虐げられた公女は、前世が悪役レスラーだったことを思い出す【完結】

松林ナオ

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3.めでたしめでたし?

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その日のうちに、クラリスは両親に対し声明文を書くよう指示した。


『グラッグルージュ公爵家の特有魔法“再生魔法”を継いだのは長女クラリスであり、これまでの公表はすべて誤りであった』

『現公爵は、グラッグルージュ公爵の地位をクラリスに譲る』

と。

嘘は撤回され、社交界は大騒ぎになったが—

誰も“グラッグルージュ公爵が吹き飛ばされた話”の真偽には触れようとしなかった。

話題に触れたら自分も飛ばされる気がしたからだ。

そして1ヶ月後。

クラリスは正式に、グラッグルージュ公爵家の当主となった。

屋敷では、かつてクラリスを部屋に閉じ込めていた両親が、今では丁寧すぎるほど頭を下げてくる。

「ク、クラリス様。本日のご予定は…」

「ああ。鍛錬の時間だから邪魔するなよ。
あと、オヤジ。昨日のスクワットはサボるなって言ったよな?」

「あ、その。申し訳ありませんクラリス様」


地獄の筋トレメニューを課せられた両親は、毎日ふらふらである。

だが、以前より確実に健全な精神となっている。

リリーも筋肉痛に耐えながら

「おはようございますクラリスお姉様様。リリーは昨日5セットも行いましたのよ」

と毎朝挨拶してくる。そんなリリーが神妙な面持ちでクラリスに話しかけてきた。


「私の婚約者であった、侯爵家のルノーはどうしましょうか。公爵家の婿養子にと決まった縁談ですからクラリスお姉様の婚約者になるのでは?」

「いや、それはちょっと。リリーの婚約者なのだからそのまま添い遂げるなり婚約破棄なり当人同士で決めればいい」


妹の元婚約者と婚約だなんて御免である。

色々あったが、ようやくこの家がまともな形になりつつある。

それと同時に、胸の奥では、自分の中で目覚めた“もうひとつの魂”が戦いを渇望していた。

さて、これからどうしたものか。

これから、クラリスの第二の人生の幕開けとなる。
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