かくりよの宅配便〜春屋敷の招かれざる客〜

松林ナオ

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1.5 早桃の話

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父と母は、本当に仲が良かった。

母は、私を大層かわいがり、大事にしてくれた。

養子を迎えようと言い出したのも母で、その強い要望によって、この縁が結ばれたのだろうと。10歳を過ぎた頃から、私はなんとなく察するようになった。

父は、不思議な妖だった。

父なりに、不器用ながらも私を大事にしようとしてくれていたのだと思う。

ただ、その距離の取り方が、どこか分からなかった。

父は、本当は母と二人きりで、静かに仲睦まじく暮らしたかったのだろう。

そこへ私という存在が入り込み、母の気を引き、手を取らせ、限りある二人の時間を削ってきたのではないか。

そんな不安が、いつも胸の奥にあった。

私が結婚する時、母は寂しそうに、けれど心から喜んでくれた。

父は、「好きにしたらいいさ」と、それだけ言った。

私が子を産んだ時。

母は涙を流して喜んだ。父は、産まれたばかりの我が子を囲む輪に加わることなく、病室の片隅でぼんやりとしていた。

その姿が、ひどく胸に残った。

子は、当然に父と母に似ていない。私にそっくりの子だった。

―不安だった。

その後、母は60代という若さで逝ってしまった。

それ以来、父は私の前に姿を現さなくなった。

私は、母の忘れ形見にはなれなかったのだろう。

私の子―父にとっての孫も、父には関係のない存在だったのかもしれない。

だから思うのだ。

私が、最後に母の形見を届けに行くのはやめておこう。

若い頃の母によく似た、あの親類の少女の方が、きっと父は喜ぶのではないか。

彼女なら、扉を開いてもらえる。

そう考えたのだった。
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