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王国の危機?
しおりを挟むその日の晩。私は自室にあるベッドの上で、今日起こったことを振り返っていた。
(なんというか…、濃い1日だった…)
王太子の婚約者を決めるお茶会に出席したら呼び出されて、呼び出された先ではヒロインの名前で呼ばれて、困惑してたら繰り返しのことを教えられて、そしたら今度はヤンデレたエド兄様が乱入してきて、でもエド兄様はヤンデレじゃなくて…。
「…はぁ…」
きっと他の攻略対象者たちも繰り返しの記憶があるんだろう。そしてアレク様やエド兄様のように、私がヒロインの[向こう側]に居た人間だと気付くに違いない。
だが、それだと気がかりなのはヒロインだ。お茶会の時にリリアーナ・エーデルという令嬢がいるのは確認済み。因みに調べた理由はこれがヒロインか…という好奇心が主だった。
しかしエーデル伯爵は国王陛下からの信頼も厚いと聞くし、実際政(まつりごと)に深く関わっているみたいだ。そしてその伯爵家が潰れるということはその後釜争いが起こるであろうということだが、あまりにも酷いようだとお父様が出るだろうからなんとかなるだろう。
お父様はエーデル伯爵の様に国王陛下の信頼をかっている訳ではないが、それでも権力だけはあるのだ。お父様がそれなりに力のある貴族の後ろ楯にでもなれば事態は収まるだろうし。ただ、その貴族が何かやらかした場合お父様にも責任が回ってくるだろうから、その辺が難しいだろうが。
(しかし…、残りの攻略対象にも繰り返しの記憶があった場合、ヒロインとの恋愛はないのか…)
つまりそれは、前世で何度もこなしてきたイベントも見れないと言うこと。自身が君婚のアリアンヌに転生したのだと受け入れてからは結構楽しみにしていただけに少しショックだった。
(てことは探し物のイベントも孤児院のイベントもないってこと?うーん…その辺りどうなるんだろ)
母親の形見を見つけたり、孤児院の後押しをしたりと割と人のためになるイベントもあった為、そのイベントがなくなったら彼らはどうなるんだろうか。イベントの後にはお礼を渡す程喜んでいたのに。って、あれ?…お礼…?
「…………あっ!!」
…そういえば、そのイベントをこなすごとに貰えるお礼、凄く大事なものだった。
なにせそれは、優秀だったエーデル伯爵を陥れる為にその親戚に莫大な借金を負わせたり、レーナード公爵家の力を削ぐ為にアリアンヌを唆したり、果ては国王の気力を削ぐ為にと王妃にレオンハルトの命を狙えばいいと吹き込んだりという行為を隣国が行ったということの、とても重要な証拠なのだから。(隣国は近々王国に戦争を仕掛けようとしており、この行為は全てその前準備だった)
ヒロインはそれを攻略対象と共に知らず知らずに集めており舞台の裏ではそれに気付いたエーデル伯爵と国王が隣国に異議を申し立て、近隣諸国にそれを知られた隣国は肩身の狭い思いをすることなる、というサイドストーリーがゲームにはあり、それを未然に防げなければ王国は確実に滅びていたと言うこともファンブックに書いてあった。
…つまり、だ。
(ゲームの通りにストーリー進めてイベントこなさないと、この国終わる…!!??)
しかし、果たして[繰り返し]の記憶を持つ攻略対象達がおとなしくヒロインに攻略されるだろうか。いや、攻略されなくても良いからせめてヒロインと一緒にイベントだけでも進めて欲しい。
後日私は神にでも祈る気持ちでエド兄様とアレク様の元へと足を運んだのだが…
「え、やだ、無理。アリアとなら兎も角、あんな面倒臭いこともうしたくないよ」
「断る。何故俺があんな奴と共にあんなことをせねばならん。アリアンヌとならば兎も角」
…無理だった。
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