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異世界転移・アルフェナ王国編
2話
しおりを挟む何故私の名前を知っていたのか。メアリーに恐る恐る聞いてみれば、なんとも呆気なく答えが示された。
「ステータス?」
「はい。基本的に他人が見れるのは名前の欄ではありますが、こちらの世界ではステータス、というものが存在します。私達使用人はまず、主人との円滑な主従関係の為、まずそのステータスからお名前を拝見させていただくのが主流なのです」
「そ、そうだったんですか…」
それは変なことを勘繰ってしまったと、メアリーが入れてくれたお茶を啜りながら申し訳なく思う。
なるほど…ステータス。確か今は遠き高校時代、クラスの男子たちが教室でそんなことをゲーム機片手に話していた気がする。
「しかし、この世界の事を知らないリン様にはひと言申し上げるべきでした。…申し訳ございません」
「えっ!?そんな、頭を上げてください!それがこの世界の常識なんですよね?それなら仕方ないですよ!」
深々と頭を下げたメアリーに、慌てて頭を上げるようお願いをする。
すると、メアリーはやはり頬を赤く高揚させたままひと言「感謝致します」と言って頭を元の位置に戻した。
私はほっと息を吐く。
「…それでは、ステータスの話にお話を戻させていただきます。そもステータスとは、この世界にいる限り誰もが持っているもの。所謂、身分証のようなものでございます。
先ほども申しました通り、他人が覗き見ることができるのはお名前のみ。ステータスの持ち主よりも優れた魔法使いの方はまた別になりますが、基本的に彼らが勝手に他人のステータスを見ることはありません。また、優れた魔法使いならばステータスの偽造も可能ですが…、今はその話は良いかと。
己が見ることができるのは、自分自身のステータス全てとなっております。名前、身長、年齢、体重、家族構成なども、全て。
ですが、その中で特に重要なものが、天に御坐す女神様が与えられし、【ジョブ】と【スキル】です。
私達はその【ジョブ】に従って職につき、【スキル】を磨きます。
現に私の【ジョブ】は使用人でございますし」
メアリーはそう説明をしてから、失礼します、と言って空になりかけていた私のカップに紅茶を注いだ。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえ。仕事ですので…」
何がスイッチだったのか、また急に照れるメアリーと、数秒の沈黙。沈黙は、メアリーの咳払いで破られた。
「その、ですからリン様もステータスをご覧になって、【ジョブ】と【スキル】をご確認なさるのが良いかと…」
「え?えぇ、わかりました。…えっと、その、ステータスの開き方って…」
「えっ、あ、失礼致しました!1番簡単な方法は、『ステータスオープン』と叫ぶ事にございます!しかし、それでは周りの人間にもステータスが筒抜けになってしまいますので…、ご確認いただくときは、わ、私は退室したします!」
「あ、ありがとうございますっ、その、ごめんなさい色々と…」
「いえ、そんな事は…!」
また、沈黙。今度は私の言葉で破られた。
「そ、その…それじゃあ、後は寝るだけだから…」
「か、かしこまりました。それでは、私はこれで」
また綺麗な一礼を見せるメアリーが退室したのを、何故かどこか気恥ずかしい思いで見送って、私は「『ステータスオープン』!」と叫んでみた。
すると、薄い緑色の液晶のようなものが目の前に現れる。何となく、スマホのような感覚でスライドしてみると、確かにそこには様々な個人情報が羅列していて。私はぼんやりと、もしこれが流出したら、営業会社は大打撃だろうなぁ、なんて思いながら、メアリーの言っていた【ジョブ】と【スキル】の欄を探す。もしかしたら、こんな身体になってしまった理由がわかるかもしれない、なんて少し期待しながら。
「あっ、あったあった。…………、っ、はっ!?なにこれ…!?」
しかしそこにあったのは、信じられない、というか信じたくない文字の羅列であった。
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