ジョブがまさかの【魔性の女】

くぅ

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異世界転移・アルフェナ王国編

3話

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【名前】
 山内凛(リン・ヤマウチ)

【職業/ジョブ】
 魔性の女

【技術/スキル】
 魅惑の身体(Lvなし(常時発動
 魅了(Lv1(常時発動
 色気(Lv1(常時発動
 清涼(Lv1(常時発動
 視線(Lv1(常時発動
 誘惑(Lv1
 挑発(Lv1
 演技(Lv1
 幸運(Lv1












「なに…これ…?」

もしかしたらこの世界では当たり前のことかもしれないけれど、でも、こんな、こんな職業にこんなスキルじゃ、もう昼ドラの悪女にでもなれっていうの!!??

多分この身体は十中八九スキルである、【魅惑の肉体】によるものだ。
そして更に重ね掛けするように、常時発動型とでも呼ぼうか。常時発動型のスキル達が働いており、スキル名から察するに私は、【色気がありながらもどこか清涼な、なぜか目が離せない魅惑の美女】にでもなっているのだろう。…どうせこうなるんだったら!若気の至りがきく十代の頃であって欲しかった!
三十路にもなれば職場の修羅場だっていくらでも見るんだから!夢も希望もない、あるのは婚期を逃し気味な現実!良いなと思った同期は上司の奥さんと不倫して飛ばされたし!仲良かった後輩達は新しく入ってきたイケメンを取り合って足の引っ張り合いするし!

十代の頃ならまだ、現金にも「やったこれで金も地位もあるイケメン捕まえられるかも…!?」なんて夢を見れただろうけど、今となってはそれって虚しいだろうなとも思うし、なによりそんな金も地位もあるイケメンなんて周りの女の子がどう思うか…考えるだけで恐ろしい。
けれどもっと恐ろしいのが、これらが常時発動型だということ。自分で止められたら良いんだけど…。そうじゃなくても、この職業とかスキルについてもう少し詳しくわかれば…

「…あ、詳細出た」

そういう風に考えてたのが良かったのか、職業やスキルについての詳細が浮かび出てきた。






そうしてわかったのは、この【魅惑の肉体】はこの世界の住人にはまず万人受けする身体だということ。Lv1のスキル達は、レベルが低い故かかる対象が限られるということ。けれど常時発動とされているスキルは一度かかってしまったら、例え私であっても基本的に解除することはできないということ。あとは、スキルの内容は大体名前の通りだということ。
主にこんな内容のものが難しげな言葉でびっしり書かれていたから解読に少し時間がかかってしまったが、まぁ大体理解できたと思う。

…まぁその代わりにというか、空が明るみ始めてしまった訳ですが。

うーん…正直今からでも寝てしまいたいが、さすが異世界。窓の外を見てみれば、もう何人もの人が早速働き始めていた。
まぁそういう訳で寝ようにも人々の生活する音や声が気になるし、仮にも社畜だったのだから今更徹夜の一つや二つどうってことはない。
とりあえず服でも着ようとして…被るだけのネグリジェならともかく、用意されていたドレス達(煌びやかなものではなく普段着という感じのものだ)の着方が全くわからない。
ので、仕方なくネグリジェの上からストールを羽織り、バルコニーで外を眺めながらメアリーを待つ。この世界でいう時計(気の枠縁の中央に砂時計があり、ひっくり返るたびにその下にある板の数字がカウントされている。魔法の道具らしく、数字は問題なく読めた)を見れば、メアリーが起こしに来るにはまだ1時間ほどある。

そんなことを考えていると、ふと先ほどより下が騒がしくなっているのに気づいて再び下に目をやる。
すると、部活でいう朝練…朝稽古とでも言おうか。朝稽古が終わったあとらしき、昨日見た騎士のような人達…もう騎士でいいか。昨日見た騎士達に似た格好の人が、心なしか頬を染めながらそれなりに沢山集まっていた。

(…やっちゃった、かな…)

少し考えが足りなかったらしい。今の私の容姿はら今まで付き合ってきた山内凛のものではなくまさに魔性の女そのものなのだ。そう考えるとこの状況も無理もないだろう。
このまま窓際を離れてしまおうか、と思ったところで、それもなんだか感じが悪いかもしれない、と考えてしまった。周りの目を気にしすぎるのは日本人の悪いところだ、なんて思いながらも、一度考えてしまったものは仕方がないと腹を括る。

(うーん…微笑むだけでこの場を去る?…いや、それこそ感じ悪くないか?男なんて微笑んでやるだけで感謝しろ、みたいな…?)

ため息を押し留め、それまで座っていた椅子から立ち上がる。それから、窓のすぐそばにあった扉からバルコニーに出て、寒さに顔を顰めそうになるのを寸のところで堪えて外へ向けて身を乗り出す。そして、下にも聞こえる程度に声を張って。折角だから、スキルである【演技】も使ってみる。

「皆様朝からお疲れ様です!今日も、沢山食べて沢山頑張ってくださいね!」

極力笑顔で、片手を振って。すると、騎士達が一瞬ぽかんとした後に、真っ赤に頬を染め、それから大きく両手を振りながら、野太い声で「はぁああああい!!!!」と返事をしたのを確認して今度は控えめに手を振って部屋へと戻った。

騎士達の反応が思った以上だったな、とか、今の声でお隣さんとか起きちゃったかもな、とか、思うことは多々あったけど、でも、何より強く思ったのは。
















もしかしてこれって、物凄く気持ちのいいことなんじゃないの…?




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