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第二章
私の為に争わないでとか言ってみたい。
しおりを挟む入学式、講堂に集まって学園長の話を聞く。
こればっかりはどの世界も共通して退屈なことこの上ない。
知ってる顔がないかと周りを見渡してみると、少し癖毛のある金髪に緑の透き通る目、人形のような可愛い女の子が目にはいった。目を奪われたと言った方が正しいのかもしれない。
その子がこちらを向き、私に向かって歩いてきた。
「あのー、私の顔になにかついてますか?」
見つめすぎている内に学園長の話が終わって、みんな各教室に移動していたらしい。
「いっいえ、ごめんなさい。私はジュリア=アルファーノと申します。可愛いなと思ってつい見つめてしまいました。」
「ふふっ、私はメアリー=マティーノと言います。ジュリアと呼んでもいいかしら?」
「喜ん……で……って、メアリー……?」
「はい!メアリーと呼んでください。」
メアリーって主人公の名前だよね?
いや、良くある名前だし、ここは中等部だし。
でもこの可愛さも特徴も考えれば似ている。
よく思い出せ。本来、エスカレーター式の学校だ。
なぜ、私の知っている話ではメアリーは高等部から入ってきたのか。
「あらあら、マティーノ家の子と仲良くしたってなんのメリットもないわよ、ジュリア。」
思考の邪魔をしないでくれ、モブBことエリーザさん。
「マティーノ家は確か……鉄道会社の方でしたかしら?」
「さすがセレナ様、幅広く覚えてらっしゃってるのですね!」
セレナ様とモブCのソフィアも一緒にやってきた。
こらこら、学校は階級関係なく学ぶ場所でしょうが。
ただこれ以上話すと、セレナ様がメアリーに文句を言ってる空気になる。事実周りもチラチラこちらを伺っている。
「メアリー、申し訳ないのだけれどまた後で……」
話しましょう。と離れようとした私の手をメアリーは掴んできた。
「お言葉ですが、先ほど学園長がこの学校では身分は関係ないと仰っていましたわ。私が誰であろうと関係ありませんこと?」
「なっなんですって!」
「エリーザ、良いんじゃないかしら、だってジュリアも……ほら……」
あの事件によって、細々といえど伯爵家としてやってきたアルファーノ伯爵家は爵位こそそのままだが、社交界では没落貴族のような扱いになっていた。
叔父様も頑張ってくださっていたが、領地の管理は一朝一夕で出来るものではなく、手放す部分も多かったのだ。
「二人ともお止めなさい。」
「でもセレナ様……」
「マティーノさんの仰る通り、ここでは、身分は関係ありませんのよ。マティーノさん、私とジュリアは幼馴染みですの。これからは私も仲良くしてくださいね。」
「えっと……セレナ様……?」
セレナ様は笑顔で私の掴まれてない方の腕を掴んできた。
何この逆ハーレム。
「ありがとうございます。嬉しいですわ、気軽にメアリーと呼んでください。」
怖い笑顔の二人に挟まれて、エリーザとソフィアには睨まれて、周りは「何だこいつら……」と不思議そうな目線を送ってきている。
いや、どうせならイケメンにされたかった。
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