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第二章
フラれてフラれてフルエル。
しおりを挟む「なんて様なの、練習であれだけ偉そうに言ってた癖に。」
メアリーがうつ向いて正座しており、その目の前でセレナが腕を組んで怒っている。
この状況だけ見たら、悪役令嬢によるいじめのように見えなくもないが周りには他のクラスメイトも集まっていて、セレナに同調している。
「だって、あんな大勢の前で……恥ずかしくなって……」
「練習では出来てたじゃない!」
「まぁまぁ、レミジオやセレナと違って人前で喋る機会が普通はないもんね。」
間に入るも、セレナやみんなの悔しい気持ちもすごくわかる。
そしてこのクラスからすれば、名誉である最優秀作品に選ばれたかったのだろう。
「ジュリアもごめんね、たくさん花も集めてくれたのに。」
「メアリーだって頑張った結果なんだし、仕方ないよ。」
「そうだよ、終わったことは仕方ない。さっ、みんな残りの学園祭楽しもうじゃないか。」
レミジオがまとめると、他のクラスメイトもまぁ仕方ないかと散らばっていった。さすがの人徳だ。
「ですけど、納得いかないですわ!」
「まぁまぁ。ほら、セレナの好きなお菓子でも食べに行こう。」
そういうと、レミジオはセレナの手を取って教室を後にした。
おぉ、やるじゃないかレミジオ。
「ジュリアには悪いけど、俺も女の子と約束してるんだよね。」
「誰も誘ってないのにフラれたみたいな言い方しないで。」
ジュリオも勝手なことを言うだけ言って教室を出てった。
メアリーと二人で全然良いんだけど。
そう思い振り返るとさっきセレナに怒られてたのとはまた違う申し訳なさそうな表情で
「ごめんなさい、私も両親が来る予定だから一緒に行けないの。」
とフラれてしまった。これはフラれてで良い言葉の使い方のはずだ。
私にはこういう時に来てくれる両親はいない。
まぁ元からこんなイベントすら縁がなかったのが私だ。
「一人はなれてるけどね。」
ここ数年、何かあっても周りには誰かがいてくれてた。
自分に言い聞かせるように呟くも寂しさは拭えない。
「よし、ここにいても仕方ないし、何か食べたりしに行こう。」
「お前、独り言多いんだよ、目が覚めたじゃねぇか。」
「ひゃっ!」
急に声をかけられて私は跳び跳ねる位驚いた。
いやだってもう誰もいないと思ったんだけど。
振り返るとメルクリオが窓の縁に座り、カーテンの間から顔を出していた。
「何お前、一人なの?」
「そ、そうだけど……」
え、何この展開。いや、ヤンキーだしないない。
モブはモブ同士みたいなやめてくれよ。
「ふぅん。」
そう言うとメルクリオは再びカーテンを閉めた。
少し悲しい空気が流れる。
いや確かに止めてって言ったけども、何か悔しい。
切なさを紛らわすためにも、私は教室を出て出し物を見て回ることにした。
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