行方不明の幼馴染みが異世界で勇者になってたらしい

肉球パンチ

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第1章

第15話 入村

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ホーンラビットを回収した後も、村についてや周辺のモンスターなんかについて少し話しながら村へと向かった。本当は魔法とか時間の概念とか冒険者だとか、この世界のことについて色々聞きたかったのだが、俺たちが異世界から来たことはとりあえず伏せておきたい。そのため、あくまでから来たというていで話しをした。

ミーコやコータがうっかり言ってしまいそうだが、そのあたりは森を歩いている時に打ち合わせ済みだ。変に疑われたり怪しまれたりしたくないからな。

マックスによると、ここはエステバン王国という国に所属しており、この山の稜線りょうせんが隣のカスタロス王国との国境になるらしい。そして、今向かっているのはフォンド村というそうだ。小さな村で宿は一つしかなく、酒場も兼ねているとのことだ。
とりあえず今日はその宿に泊まることになるだろうが、そのためにはまず金を作らないとな。
雑貨屋でホーンラビットの素材を買い取ってくれるようだが、基本的には解体した物を持ち込むらしい。当然ながら、解体なんぞ俺たちはやったことがない。せいぜい魚をさばいたり、学校で解剖実習をしたくらいだ。

「解体か…。そういうのはやったことないな」

「ですよね。道具もないし、ちょっと、無理だと思います」

ぼそりと呟くと、サーヤが同意してくる。

「それならオレの知り合いのオジサンに頼んでやるよ! 肉を少し分けてあげれば、やってくれると思うよ!」

「ホント!? 良かった~。これでとりあえず資金が確保できるね」

「ありがとう、マックスくん!」「お、おう」

マックスがありがたい提案をしてくれたので、こっちはなんとかなりそうだ。となると…、

「あとの問題は、服だな。マックス、この格好で村に入るとやっぱり目立つよな?」

「うーん、そりゃ目立つけど、もともと他所よその人はそうそう来ない村だから、服に関係なく目立つと思うよ」

どっちにしろ目立つなら、気にしても仕方ないか。まぁなるべく早く服も手に入れよう。

「そうか…、まぁ仕方ないな。なら、まずはマックスのお母さんに薬を飲ませて、それから解体を頼んでやってもらって、できたら雑貨屋に持ち込む。換金したら宿屋だな」

「薬は煎じなきゃいけないんだ。だから先に解体頼みに行くよ。じゃないと暗くなっちゃうから」

「ありがたいけど、それでいいの? 遅くなってお母さん心配してるんじゃない?」

「大丈夫だよ、ミーコ姉ちゃん。そのオジサンの家はうちのすぐ近くだから」

「そっか。それじゃあお願いしようかな」

「うん!」

そんな感じでやりとりしているうちに村が見えてきた。ジャイアントピーコックの羽は見られるとマズイので、ナップサックごと村に入る前に茂みに隠しておくことにした。
村は全体を1m程度の高さの木製の柵で囲っており、入り口には警備の人員が配置されているようだ。村に入るには身分を証明するもの(通行許可証や冒険者ギルド証、商業ギルド証など)があった方がスムーズだということだが、別段なくてもそう問題にはならない、とマックスからは聞いている。

「ただいま、ライルさん」

「おう、マックス! 遅かったな。心配してたんだぞ。そっちの人達は? なんか変わった格好をしているが…」

「草原の前でホーンラビットに襲われたところを助けてもらったんだ! 人を探して遠くの国から旅してきたんだって」

「ホーンラビットに襲われた!? あの辺りには滅多に出ないってのに…。それで怪我はなかったのか?」

「うん、大丈夫だよ。」

「そうか。旅人さん達、マックスが世話になったな! って、こりゃあまた立派なホーンラビットじゃねぇか!」

どうやらこのホーンラビットは、大きい部類に入るようだ。それにしても、この門の警備のライルさんとやらは、気さくで話しやすい感じだな。マックスが一緒だからというのもあるかもしれないが。

「ええ、まぁ、なんとか助けられて良かったです。それで、私たちは身分を証明するものとか持ってないんですが…」

事前の打ち合わせ通り、代表して俺が受け答えする。

「そうか~。まぁ、問題ないよ。兄さん達はマックスの恩人だし悪人にゃ見えないからな! 一応ステータスは確認させてもらうけどな」

「すてーたす…」

しまった! ステータス! そういうのがあるんだったのか! しかも他人に見せられるとは…。ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! どうしよう? 途端に心臓はバクバク言って、背中に嫌な汗が伝っていく。

「どうした、兄さん? ああ、他人にステータス見せない国の出身かい? っつっても、ここではそういうルールだから従ってもらわにゃ困るんだが…」

「あ、あー、ですよね。えーと、どうやるんでしたっけ?」

お国柄で他人に見せないところもあるのか。ライルさんが勝手に勘違いしてくれたようだが、…なんとか乗り切れるか?

「ハハッ。普段やらんから忘れたってか? ほら、手ぇ出して俺の手と合わせて…」

そう言いつつ、ライルさんは掌をこちらに向けて、自分の胸の前に出すので、そこに俺も手を出して合わせる。

「よし、じゃあいいか? 『ステータスオープン』。フムフム、ユウスケ、19才っと」

ライルさんは俺が頷くのを確認してから呪文(?)を唱え、その後は俺の腹のあたりをぼんやりと見ながら名前と年齢を紙に記入していった。
俺からはライルさんに何が見えているのかわからなかったが、内心ビクビクしながら冷や汗を流し、成り行きを見守るしかなかった。

「あん? 心配せんでも名前と年と種族と所属しか見えんから! ほれ、記録済んだから兄さんは入っていいぞ! 次は「はい! はい! 次はあたし!」おぅ、元気な姉ちゃんだな。よし、『ステータスオープン』…」

種族と所属がどう書かれているのか不安だったが、ライルさんは特に何も言わず、淡々と進める。こうして全員、なんとか問題なく村に入ることができた。

「よし、全員終わったな! 村を出入りする時は門番に一声かけてくれよ。夜も門番はいるが、緊急でなければ夜間の出入りはなるべく控えてくれな!何もない村だがゆっくりしてってくれ」

はぁ、ライルさんが気の良いオジサンで助かった。

「さて、次はウサギの解体だな。マックス、案内を頼む」

「うん、こっちだよ!」

日が暮れてきているせいか、道々すれ違う人は少なかったが、その少ない人々からは漏れなく注目を浴びた。移動中、コータやミーコは興奮した様子で先程のステータスのことについてヒソヒソと話していたが、試したりするのは宿で人目に付かない時に、と念押ししておいた。
注目されながら歩くのは居心地が悪かったが、2分くらいでマックスの言う「解体してくれる(かもしれない)オジサン」の家に着いた。

マックスが紹介してくれたオジサン、ケインさんは、寡黙な職人という感じだった。こんな時間にと少し文句を言われたが、4分の1の肉を謝礼として渡すということで話がついたので助かった。
解体してもらっている間に、マックスは薬作りのため女子2人を伴って家に帰った。

解体は見ていて気持ちのいいものではなかったが、これからこの世界を旅するならば、避けてばかりはいられないだろう。いつかは自分でさばかなければならないかもしれない。そう思ってケインさんの作業をしっかり観察したが、流れるような手つきでサクサクと進めていた。

解体が終わる頃にちょうどマックス達が戻ってきた。幸いマックスの母親の容体は落ち着いているらしく、今度は雑貨屋まで案内してくれると言う。
雑貨屋に向かう前に、一応ケインさんにこの村での相場について聞いてみた。ある程度知っておかないと、また狼狽うろたえたりテンパるかもしれないし、もしかしたらボラれることもあるかもしれないからな。
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