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第1章
第26話 講義
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全員で魔法練習の的になる丸太の前5mくらいの場所に移動して、アヤメ先生による魔法の講義が始まった。
まず、昨日聞きそびれた「一番適性のある属性以外の属性を調べる方法」について聞いてみた。
「昨日使ったのと同じ魔道具を使って、調べたい属性をイメージしながら魔力を流します。その属性に適性があれば、その色の炎が出ますよ」
「なるほど、一つ一つ調べるんですね」
「ええ。ただし、一瞬で魔力を流せるくらい、そうですね…呼吸をするように自然にできるくらいにならなければ、他の属性を調べるのも使うのも難しいですね。
ノバラ、ちょっとやってみてくれる?」
そう言ってアヤメさんはノバラに魔道具を渡した。
実際、ノバラは本当に一瞬でオレンジと緑と青の炎を順に出した。
「「おおっ!」」「すっごーい!」「ホントに一瞬ですね」
口々に褒められて、ノバラはドヤ顔で胸を反らす。まっ平らだけど。
「さて、魔法の説明に移りますね。
魔法は、一言でいえば『イメージを具現化するもの』です。術者のイメージしだいで無限の可能性があると言われています」
「無限の可能性?」「イメージか…」
「例えば、火属性魔法でポピュラーな『ファイヤーボール』。これは炎のボールを飛ばして攻撃するのですが、ここで大事なのは『ファイヤーボール』という技名ではなく、『炎のボールを飛ばす』というイメージです」
「キター! やっぱり最初はファイヤーボールっすよね!」
「ゲームやアニメの映像とか思い出せば、イメージはしやすそうですね」
「難しい呪文覚えるとかじゃなくてよかった~!」
「ちゃんと瞬時にそのイメージができるなら、『火のボール』でも『火の玉』でも、なんでも大丈夫です」
「じゃあ、『ウォーターボール』とか言いながら火の玉を飛ばせるってことですか?」
サーヤが極端な事を言う。そういう敵がいたらイヤだなとは思うが、モンスター相手なら意味なさそうだ。ということは、そんな面倒臭そうな練習はやるだけ無駄じゃないだろうか…。
「できますね。ただ、敵を撹乱するにはいいかもしれませんが、仲間も混乱しないか心配ですね。それに、やはりイメージしにくいと思いますから、かなり練習が必要だと思います」
あー、仲間も紛らわしくてイヤだよな。
「ん~、じゃあ、何も言わず無言でも発動できますか?」
アヤメさんの回答を受けてさらにサーヤが質問を重ねる。
「それも大丈夫です。でもやはり仲間が一緒の戦闘ではお勧めできませんね」
「なるほど、そうですね。連携をとるのは大事ですよね」
「ええ、その通りです。
それで、魔法を発動する際ですが、基本は手の平から魔力を放出するイメージです。その際に、どんな魔法を、どんな威力やスピードで出すかをイメージします」
「威力やスピードまでイメージですか。難しそうですね」
「体内で魔力を感じるのがちゃんとできるようになれば、そういうのも感覚でわかりますよ。
もちろん威力やスピードで消費MPも変化しますし、MPが足りなければ発動できません。MPが0になると酷い倦怠感や目眩、場合によっては気を失うこともありますから注意が必要です」
「…倒しきれなきゃ死ぬな」
「MP0はリスクが高過ぎますね」
「そんな状態じゃ逃げるのも無理っすね」
その敵を凌いだって、また新たな敵が出る可能性もある。MPは常に余裕を持っておく方が良さそうだな。
「ええ。戦闘では最低1割はMPを残しておくのが基本です。
それじゃあノバラ、威力の低い魔法をやってみて」
ノバラが頷き、的に向かって右手を伸ばす。
『ストーンボール』
直後、ノバラの手から直径10cmほどの石が飛んでいき、「ドガッ」と丸太に当たった。当たった場所が少し凹んでいる。
「「おおおおっ!」」「すごい! 初生魔法だ!」「スゲーっすね!」
「ノバラ、次は同じ魔法でもう少し威力を出してみてね」
「はーい。『ストーンボール』!」
今度はノバラの手から直径30cmほどの岩が、先ほどより速いスピードで的に飛んでいく。
「ドガーン! メリメリッドスッ」
岩は見事的に命中し、丸太をくの字に折り曲げた後地面に落ちた。
「「「「……」」」」
「残念。私じゃまだ折れないかぁ~」
一気に威力の上がった魔法に言葉が出ない俺達をよそに、ノバラは不満げに唇を尖らせる。
「いやいやいや、充分すげーっすよ!」「大きさもだけど、スピードも速かったよね!」「すごいですね!」
あんなのまともに食らったら死ぬな…。ノバラは現在レベル14だと聞いている。14でコレって、ちょっと凄すぎじゃないか?
「ノバラ、ちょっとやり過ぎですよ!
今のはノバラができるほぼ最大出力です。先ほど言いましたように、実際の戦闘ではMPに余裕を持ってやらなければいけませんから、1発しか打てないあんなものはとても使いものになりません」
さっきまでフフンと胸を張っていたノバラは、「えへへ」とバツが悪そうに苦笑いしてその場に座り込んだ。よく見るとちょっと顔色が悪い。見栄を張ってほとんどのMPを消費したんだろう。
「まったくもう…、しばらく休んでなさい。
ええと、他に伝えることは……そうそう、複数の属性が使える場合は組み合わせて使うこともできます。これは合成魔法と言うんですが、存在は知っていても使える人はあまりいないんです。私も使えません。」
「合成魔法! なんかカッコイイね!」「おおー、レア魔法! 勇者っぽいっすね!」
何だそれ。…めちゃくちゃ面白そうじゃないか!!
「合成魔法は使い手がやり方を秘匿することが多いんです。見ただけじゃ何と何をどれくらいの割合で合成しているか分からないので、真似するのは難しいんです。なので、自分で組み合わせて編み出すか、高位の魔術師に弟子入りして教えてもらうしかありません」
なるほど。確かにパッと見てもすぐに真似するとかは難しいだろう。特にアリアの庶民の多くは学校なんかにも行かないし、何を組み合わせているのかすら判らないかもな。
だが現代日本人なら、割合はともかく組み合わせくらいなら判るかもしれないし、イメージもしやすそうだ。
「合成魔法は、消費MPが同じなら単一の属性魔法よりもずっと威力が高いと言われています。もしそういう使い手に出会ったら、敵対しないように気をつけてくださいね」
難しいぶんMP効率がイイのか。ますます興味深いな。
そういえば、アレを聞き忘れていた。合成魔法についてはもう聞けることはなさそうだし、聞いてみるか。
「あの、光魔法と闇魔法はどんなことができるんですか?」
「そうですね...光魔法は主に回復です。攻撃もできるらしいですが、私は見た事がないですね。闇魔法は状態異常を起こさせる魔法らしいのですが、それもよくわかりませんね。闇魔法は人族や獣人では使い手が少ないんです」
「そうですか…。
それにしても、アヤメさんは戦闘とかしなさそうなのに詳しいですね」
「ふふ。これでも子どもの頃は冒険者になろうと思ってた時期があったんです。ここで訓練に混ぜてもらったこともあるんですよ。それに、酔うとおしゃべりになるお客さんもいますからね」
アヤメさんは最後、若干いたずらっ子のような笑みを浮かべて話してくれる。
「冒険者に? それは意外ですね。でも色々教えていただけてありがたいです」
いろいろ聞いたら、一刻も早く魔法使えるようになりたくなった。それに、早くレベル上げてMP増やして、いろいろ試したい!!
皆もヤル気充分で早速それぞれ魔法の練習に入った。
まず、昨日聞きそびれた「一番適性のある属性以外の属性を調べる方法」について聞いてみた。
「昨日使ったのと同じ魔道具を使って、調べたい属性をイメージしながら魔力を流します。その属性に適性があれば、その色の炎が出ますよ」
「なるほど、一つ一つ調べるんですね」
「ええ。ただし、一瞬で魔力を流せるくらい、そうですね…呼吸をするように自然にできるくらいにならなければ、他の属性を調べるのも使うのも難しいですね。
ノバラ、ちょっとやってみてくれる?」
そう言ってアヤメさんはノバラに魔道具を渡した。
実際、ノバラは本当に一瞬でオレンジと緑と青の炎を順に出した。
「「おおっ!」」「すっごーい!」「ホントに一瞬ですね」
口々に褒められて、ノバラはドヤ顔で胸を反らす。まっ平らだけど。
「さて、魔法の説明に移りますね。
魔法は、一言でいえば『イメージを具現化するもの』です。術者のイメージしだいで無限の可能性があると言われています」
「無限の可能性?」「イメージか…」
「例えば、火属性魔法でポピュラーな『ファイヤーボール』。これは炎のボールを飛ばして攻撃するのですが、ここで大事なのは『ファイヤーボール』という技名ではなく、『炎のボールを飛ばす』というイメージです」
「キター! やっぱり最初はファイヤーボールっすよね!」
「ゲームやアニメの映像とか思い出せば、イメージはしやすそうですね」
「難しい呪文覚えるとかじゃなくてよかった~!」
「ちゃんと瞬時にそのイメージができるなら、『火のボール』でも『火の玉』でも、なんでも大丈夫です」
「じゃあ、『ウォーターボール』とか言いながら火の玉を飛ばせるってことですか?」
サーヤが極端な事を言う。そういう敵がいたらイヤだなとは思うが、モンスター相手なら意味なさそうだ。ということは、そんな面倒臭そうな練習はやるだけ無駄じゃないだろうか…。
「できますね。ただ、敵を撹乱するにはいいかもしれませんが、仲間も混乱しないか心配ですね。それに、やはりイメージしにくいと思いますから、かなり練習が必要だと思います」
あー、仲間も紛らわしくてイヤだよな。
「ん~、じゃあ、何も言わず無言でも発動できますか?」
アヤメさんの回答を受けてさらにサーヤが質問を重ねる。
「それも大丈夫です。でもやはり仲間が一緒の戦闘ではお勧めできませんね」
「なるほど、そうですね。連携をとるのは大事ですよね」
「ええ、その通りです。
それで、魔法を発動する際ですが、基本は手の平から魔力を放出するイメージです。その際に、どんな魔法を、どんな威力やスピードで出すかをイメージします」
「威力やスピードまでイメージですか。難しそうですね」
「体内で魔力を感じるのがちゃんとできるようになれば、そういうのも感覚でわかりますよ。
もちろん威力やスピードで消費MPも変化しますし、MPが足りなければ発動できません。MPが0になると酷い倦怠感や目眩、場合によっては気を失うこともありますから注意が必要です」
「…倒しきれなきゃ死ぬな」
「MP0はリスクが高過ぎますね」
「そんな状態じゃ逃げるのも無理っすね」
その敵を凌いだって、また新たな敵が出る可能性もある。MPは常に余裕を持っておく方が良さそうだな。
「ええ。戦闘では最低1割はMPを残しておくのが基本です。
それじゃあノバラ、威力の低い魔法をやってみて」
ノバラが頷き、的に向かって右手を伸ばす。
『ストーンボール』
直後、ノバラの手から直径10cmほどの石が飛んでいき、「ドガッ」と丸太に当たった。当たった場所が少し凹んでいる。
「「おおおおっ!」」「すごい! 初生魔法だ!」「スゲーっすね!」
「ノバラ、次は同じ魔法でもう少し威力を出してみてね」
「はーい。『ストーンボール』!」
今度はノバラの手から直径30cmほどの岩が、先ほどより速いスピードで的に飛んでいく。
「ドガーン! メリメリッドスッ」
岩は見事的に命中し、丸太をくの字に折り曲げた後地面に落ちた。
「「「「……」」」」
「残念。私じゃまだ折れないかぁ~」
一気に威力の上がった魔法に言葉が出ない俺達をよそに、ノバラは不満げに唇を尖らせる。
「いやいやいや、充分すげーっすよ!」「大きさもだけど、スピードも速かったよね!」「すごいですね!」
あんなのまともに食らったら死ぬな…。ノバラは現在レベル14だと聞いている。14でコレって、ちょっと凄すぎじゃないか?
「ノバラ、ちょっとやり過ぎですよ!
今のはノバラができるほぼ最大出力です。先ほど言いましたように、実際の戦闘ではMPに余裕を持ってやらなければいけませんから、1発しか打てないあんなものはとても使いものになりません」
さっきまでフフンと胸を張っていたノバラは、「えへへ」とバツが悪そうに苦笑いしてその場に座り込んだ。よく見るとちょっと顔色が悪い。見栄を張ってほとんどのMPを消費したんだろう。
「まったくもう…、しばらく休んでなさい。
ええと、他に伝えることは……そうそう、複数の属性が使える場合は組み合わせて使うこともできます。これは合成魔法と言うんですが、存在は知っていても使える人はあまりいないんです。私も使えません。」
「合成魔法! なんかカッコイイね!」「おおー、レア魔法! 勇者っぽいっすね!」
何だそれ。…めちゃくちゃ面白そうじゃないか!!
「合成魔法は使い手がやり方を秘匿することが多いんです。見ただけじゃ何と何をどれくらいの割合で合成しているか分からないので、真似するのは難しいんです。なので、自分で組み合わせて編み出すか、高位の魔術師に弟子入りして教えてもらうしかありません」
なるほど。確かにパッと見てもすぐに真似するとかは難しいだろう。特にアリアの庶民の多くは学校なんかにも行かないし、何を組み合わせているのかすら判らないかもな。
だが現代日本人なら、割合はともかく組み合わせくらいなら判るかもしれないし、イメージもしやすそうだ。
「合成魔法は、消費MPが同じなら単一の属性魔法よりもずっと威力が高いと言われています。もしそういう使い手に出会ったら、敵対しないように気をつけてくださいね」
難しいぶんMP効率がイイのか。ますます興味深いな。
そういえば、アレを聞き忘れていた。合成魔法についてはもう聞けることはなさそうだし、聞いてみるか。
「あの、光魔法と闇魔法はどんなことができるんですか?」
「そうですね...光魔法は主に回復です。攻撃もできるらしいですが、私は見た事がないですね。闇魔法は状態異常を起こさせる魔法らしいのですが、それもよくわかりませんね。闇魔法は人族や獣人では使い手が少ないんです」
「そうですか…。
それにしても、アヤメさんは戦闘とかしなさそうなのに詳しいですね」
「ふふ。これでも子どもの頃は冒険者になろうと思ってた時期があったんです。ここで訓練に混ぜてもらったこともあるんですよ。それに、酔うとおしゃべりになるお客さんもいますからね」
アヤメさんは最後、若干いたずらっ子のような笑みを浮かべて話してくれる。
「冒険者に? それは意外ですね。でも色々教えていただけてありがたいです」
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