行方不明の幼馴染みが異世界で勇者になってたらしい

肉球パンチ

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第1章

第33話 再現

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いよいよオークとの戦闘開始だ。
現在の位置関係は、ゴブリンの死体が広場の中央、オークから見てそれより若干手前の左右に分かれて俺たちが隠れ、ケインさんは広場の奥にあるゴブリンの死体置き場の近くに身をひそめている。
俺たちが待ち受けているとは知らずに、広場のゴブリン目掛けて走り寄ってくるオーク。

オークがゴブリンをつかみ上げようと身をかがめたところに、一斉に飛び出して取り囲む。盾を装備している俺が、オークがこん棒を持つ右側、ミーコとサーヤが背中側、コータは左側に位置取っている。

こん棒を振り回されるのはけたいので、その手の甲をめがけてナイフを突き立てた。
それと同時に、コータは木刀を首に振り下ろし、ミーコは背中を木剣ぼっけんで突く。

「ゴガッ! グガー!」

突然現れた俺たちに驚いたオークは、すぐには対処出来ず全ての攻撃をくらっている。
手の甲への不意の攻撃で、既にこん棒は手から離れた。ミーコの突きは木剣であるがゆえにほぼダメージにはなっていないが、走りこんだ勢いとコータの首への攻撃もあいまって、もともと屈んだ姿勢だったオークは前のめりに体勢を崩した。そこへ狙いましたかのようなサーヤの木の槍が刺さる。

「ホゲギャ――ッッッ」
「「「はうぅっ!!」」」

サーヤの必殺『尻突き』再びである。
レベルが上がってパワーアップしたからか、槍術の補正のおかげ(?)か、ホーンラビットの時よりさらにしっかりグッサリ突き刺さり、オークは一際デカイ叫び声を上げてうつ伏せに倒れている。

俺たちも心に若干のダメージを負い、一瞬呆気あっけにとられてしまったが、オークは苦しみながらもすぐさま動いて槍を持ったままだったサーヤを振り払った。
そして、横向きになって槍を引き抜こうと懸命にもがいているが、短い手のせいでどうにも届かないようだ。

オークの少し滑稽こっけいな姿を見て我に返った俺は、牙が危険だと判断して盾で頭部を押さえにかかった。ミーコとコータも同じく我に返って、手にしている武器でそれぞれに攻撃していった。しかし、殴りつけるだけではあまりダメージを与えられず、モタモタしているうちにオークは渾身こんしんの力でもって転がり、俺達から距離をとった。

「体勢を立て直すつもりだ。起き上がる前に袋叩きにするぞ」
「うっす!」「うん!」「はい!」

サーヤもいつの間にか、予備に持ってきていた木剣を装備して返事を返した。
すぐさま全員で駆け出すが、辿たどり着く前に一瞬早くオークが立ち上がりそうだ。

「マズイ、間に合わ「ヒギャン!」」
「「「「ヒィッ!!」」」」

サーヤの槍は長さ130cmほどだった(本当はもう少し長いものがよかったのだが、訓練場の小屋にあった中ではサーヤが扱えるサイズの槍はコレしかなかったのだ)。深々とオークの尻に刺さっていた槍だが、それでもまだ10cmらしい。そこを無理矢理立ち上がったのだ。

結果、槍は更に数cm深く刺さることになり、それ以上刺さらないように、オークは背伸びをした状態で足をプルプルさせている。そして痛みのせいか、怒りのせいか、顔面は恐ろしい形相になっていた。

俺たちは、ある意味二重の精神攻撃を食らった気がするが、実際には無傷だ。なんとか気を取り直して、動けないでいるオークに向かっていく。
哀れなオークはすべなく再び倒れ、最後は立候補したミーコが俺のナイフでトドメを刺した。

「フー、なんとか倒したね」
「だな。サーヤのお手柄だ」
「いえいえ、そんな…」
「やっぱり早く装備を整えたいっすね」

「その装備にしちゃ上出来だ」

俺たちが口々に感想を言っている間にケインさんが来た。

「囮を立てたのは正解だ。オークの突進は警戒が必要だからな」

「「「「はい!」」」」

「サヤカの突きは見事だった。ただ、尻はいいが睾丸は高く売れるから傷付けるな」

「はい、わかりました!」

睾丸は高値がつくのか。ホ-ンラビットのも薬に使うとかで売れたけど、オークのも薬になるのか? なるべく薬のお世話になるのは避けたいな。

「オークは魔石も肉も牙も売れる。そこそこよく出会うモンスターだから解体も覚えろ」

「「「「はい!」」」」

ケインさんは、一つ一つポイントを説明しながら解体を教えてくれた。用意のいいサーヤが、持って来ていたメモ帳に図解入りで書き込んでいく。俺とコータは指導を受けながら半分くらい解体をやらせてもらった。筋肉質な肉は硬く、かなり大変な作業だった。

「硬いっすね。この前オーク肉食べたときは柔らかくてうまかったのに」

「そういえば『赤い狐亭』で食べたよね。あれは確かに柔らかかったよね!」

「ケインさん、硬い肉を柔らかくする方法があるんですか?」

そういった方法があるなら知っておきたい。ここまで硬いと、自分達で料理しても美味しく食べられなさそうだ。

「ああ、肉に混ざってる魔素を抜くと柔らかくなる。そのための薬草と一緒に数日熟成させると柔らかくなるらしい」

「熟成させるんですか…。それじゃあ解体の時には使えませんね」

がっかりだ。解体する段階で柔らかくできれば楽だったのにな。だがまぁ、食べる分には数日かければなんとかなりそうだ。その薬草についてはアヤメさんに詳しく聞いてみよう。

オークの解体にはそれなりに時間がかかり、終わった頃には昼過ぎになっていたため、とりあえず昼食をとった。アヤメさんが持たせてくれたサンドイッチには、タイムリーなことにオーク肉のハムが入っており、美味しかったがイマイチ食は進まなかった。

食後、しばらくの休憩をはさんで実戦訓練を再開した。
次はゴブリンが2体、その次はゴブリン4体、そして最後にオーク1体を相手にして解体後、この日の訓練は終わった。少しヒヤっとする場面もあったものの、ケインさんの魔法による補助が入ったおかげでなんとか事なきを得ていた。また、戦闘中に遅れてやってきたゴブリンもいたそうで、俺たちが接近に気付く前にケインさんが始末しまつしてくれていたらしい。

最後のオーク戦では皆で話し合い、ミーコとコータの魔法も使った。ケインさんのアドバイスでMP5を残して全てをつぎこんだ1発ずつを放ち、ミーコのエアカッターがかなりダメージを与えていた。レベルアップでミーコはMPが結構増えていたらしい。

ゴブリンの死体とオークの残骸ざんがいは、ケインさんが地魔法で開けた穴に放り込んで、更に地魔法で出した土であっという間に埋められた。前に「地魔法は地味」とノバラがぼやいていたが、なかなか便利だな。

こうして、広場を出る頃には日が暮れ始める少し前であったが、肉体的にも精神的にも疲労が大きく、少し早目の帰途きとに着いた。
のだが、帰り道、草原に出たところでホーンラビット3匹に出くわした。

ケインさんを除いて疲れきっていた俺たちだったが、あのオークと戦った後ではホーンラビットは可愛くすら見える。ケインさんの手をわずらわすまでもなく、倒すことが出来た。自分達で言うのもなんだが、数日前に1匹を相手にした時とは別人のようだった。ミーコに至っては腹が減っていたのか、ホーンラビットを見た瞬間に「お肉~!」とか叫んでたし。

とりあえず、美味しい肉を持って帰らない手はないので、ケインさん指導のもと解体練習再び、だ。今回は3体あるので、1体はケインさんによる解説付きの解体ショー。その後指導を受けながら二組に分かれて解体練習となった。
オーク2体分とホーンラビット3匹分の肉や素材は、さすがに運ぶのに骨が折れた。しかし、装備を買う軍資金のために気力を振り絞り、レベルアップで筋力が上がっていたおかげもあって、なんとか村まで運ぶことが出来たのだった。
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