国一番の美女を決めるミスコン(語弊)にエントリーしたら優勝しそうな件…………本当は男だし、なんなら皇帝の実弟なんだが、どうしよう?

黒木  鳴

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その後

やり過ぎには要注意 1

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「いざ、出陣!」

気合い満々で陵王はそう声をあげた。

だがすかさず……「口調」と梅鈴より単語での叱責が入った。
ぐぅっ、と口をへの字にして梅鈴を振り返る。

そうだけどさぁ!
せっかくやる気を出してたのに出鼻を挫くことなくない?

そんな不満を声に出す前に、にっこりとそれはもうにっこりとと微笑まれた。

陵王の肩がピクリと揺れる。
長年の経験からよく知っている。梅鈴のこのにっこりは「良くできました」のにっこりではなく、陵王を窘める時のそれだ。
しかも逆らってはいけない類の。

「気の緩みは大敵でございます。周瑜様のお叱りを受けても宜しいのですか?」

幼馴染みの名に顔色をさぁっと青くさせふるふると首を振った。

まさか本当にはやるまい、と年上の幼馴染みを信じる気持ちはあれど……先日の周瑜の言葉と表情が怖すぎてややトラウマとなっていた。

「……い、いざ、出陣ですわ」

言葉づかいを直した陵王に満足気に頷く梅鈴。

「ご武運を!蝴蝶様!!」

手を握りしめ激励を贈る女官たち。

陵王の着替え待ちのため扉の外で待機していた宦官たちは思った。

あ、駄目出しは言葉づかいに対してだけで「いざ、出陣」自体は認めるんですね、と。


そうして陵王が向かった先は、当然のように戦場なんかじゃなかった。

しずしずと向かう先は広大な後宮の一画。妃嬪ひひんたちとの花見だった。

国における花見といえば、一般的には牡丹の観賞を指す。
花盛りのこの時期ともなれば、貴人、市井の出の者問わず牡丹の名所を巡るものだ。
出入りの自由でないことこの後宮においては、当然名所へ赴くことなど出来ない。
かわりに庭師が丹精をこめて整えた牡丹園が後宮の一画には設えられていた。

そこで牡丹の観賞を行い、その後にお茶をする。
言葉にしてしまえばそれだけで、それこそが今日のミッションだった。
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