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しおりを挟むおおっ!!見知った顔がいっぱい!!
内心の興奮を押し殺し、何気ない様子を装いながら周囲を見渡す。
あっちにも、こっちにもゲームでお馴染のキャラたちがそこに居た。
そしてなんか……やたら注目されてませんかね?
突き刺さるような視線にこそっと前を歩くカイルの影に隠れてみる。
「別に俺なんか注目されてねぇし!王子らと一緒に居るから見られてるだけだし」とか笑い飛ばせたらどれだけいいか。
確実に俺にも視線向いてるよね??
なんで?ねぇ、なんで??
「せっかくだ、手の空いた奴と手合わせでもしてみるか?」
「「是非っ!!」」
ここまで案内してくれた、カイル曰くの伝手でもあるザガートさんの申し出に戦闘大好き兄弟が真っ先に食いついた。
一対一、または複数人での手合わせをリンクの外から眺める。
アレンもだが、やはりカイルは強い。
現役のクラウ・ソラスのメンバーが相手だというのに、かなりの善戦をしている。
学生の身でこの水準とは末恐ろしい。
現に集まりだした野次馬から感嘆や口笛の音が響いていた。
「俺も久々に手合わせしたい。レイヴァン、付き合え」
ウズウズしてきたのか、好戦的な顔つきをした王子が立ち上がり、同じくレイヴァンも立ち上がる。
「頑張ってください」
リーゼロッテ様の声援を背に二人がリンクに上がった。
対戦相手は細身の二人組。
王子の得意な炎が鮮やかな色と熱気を持ってリンクを走り、レイヴァンの魔法がそれを補う。
先程までのカイルやアレンの剣と己の身を使った闘いと違い、魔法を多用した二人の闘い方はまた違った見応えがあった。
どちらもこれぞファンタジー世界!って感じで実にいい。
そして流石は幼馴染だけあって息がぴったりだ。
繊細にして豪快な魔法により二人も善戦を果たしたが惜しくも負けてしまった。
ああ、めっちゃ悔しそう。
二人とも何気に負けず嫌いだもんな。
あ、再戦を申し込んだ。
表情はさほど動いてなくても、親しくなればわかるぐらいにはブスたれた表情で戻ってきた二人を軽く手を叩いて出迎える。
惜しかった、惜しかった。普通に凄かったので、称賛をもっての対応だったのだが……不機嫌な二人にちょっと睨まれた。
リーゼロッテ様だって同じことしたのに。理不尽……。
婚約者の前で負けたのが悔しいのかそっぽを向く王子だが、再び闘いだしたカイルやアレンを見ながらレイヴァンと二人で「あそこがああで……」「次は……」などとすぐに話し出した。
あ~あ、負けず嫌い共のハートに火がついた。
そんな観戦を決め込んでリンク脇に座りこんでいた俺に思わぬ人物が近づいてきた。
「次、俺と一戦してみろ」
口元に笑みを浮かべ、見下ろしてくるゼリファンは言い放った。
はいぃぃ??
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