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しおりを挟む「休憩をしないでいいんですか?」
「へーきっすよ」
腕の筋を伸ばしながらあくまで軽いノリでカイルが答える。
トーナメントの優勝者はカイルだった。
ついさきまで激戦を繰り広げてたというのに未だ元気いっぱいなその体力が信じられない。
この後にクラウ・ソラスのメンバーとの模擬試合も控えているというのに、魔獣とも闘う気マンマンだった。
たぶんクラウ・ソラスのデモンストレーションが最後なのって大トリなのと、トーナメントに勝ち上がった上位5名に休憩挟ませるために間に魔獣戦いれてんだと思うんだよね。
なのに参加自由のそれに5名中4名が参加って……。
トーナメント勝ち上がるような実力者って脳筋とか戦闘狂ばっかなの??
そんなこと言いつつ俺もフィールド脇に居るんですけどね。
白熱した試合に熱があがったのか王子がウズウズしてきたらしく、流れでみんな参加することに。
「魔獣はどの程度召喚を?」
「強さは中級程度かな、数は……参加者の人数より少し多いくらいじゃないかな」
フィールドの隅に描かれた魔法陣を見つつレイヴァンが零した疑問に昨年、一昨年の経験から答える。二年とも観戦オンリーだったがそれぐらいだったはずだ。
「今年は彼らもいるからもう少し大物もありかもね」
もはや立っているだけでキャーキャー悲鳴が飛び交うゼリファンたちの居る方をちらりと見つつそう付け足した。
ローブを羽織った複数の男たちの前で魔法陣が淡く光り出した。
赤く五芒星と複雑な文字と図形が浮かぶあがるその中に大きな門が生まれる。
その門が開かれ、魔獣たちがそこから沸いて出た。
滅多に目にすることのない召喚魔法にどよめきや興奮の声が観客席から飛び交う。
ピュウゥと口笛を吹く者、大きな拍手を鳴らしあげられる歓声…………だけどその声に戸惑いが混じりはじめる。
「おい、多くねぇか……?」
門から溢れるように湧いてくる魔獣の群れ。
「どうなってる?!」
「早く、門をっ…………!」
焦った様子のローブの男たち。
門をこじ開けるようにしてこちらへと這い出てくる巨大な魔獣。
もはやそれは一目で脅威を感じる程の深層クラスの魔獣たちだった。
「おいっ、どうなってるんだ?!!」
「……なんだよ、アレ?!なんであんなのが居んだよ」
広がるざわめき。
熱に浮かれた歓声は、いつしか本物の悲鳴と怯えに変わっていた。
「……バカな。召喚先が書き換えられて…………」
「そんなことより早く閉めろ!これ以上魔獣を侵入させるわけにはっ」
「…………くっ!」
全貌はわからないながらも、ローブの男たちの焦り様から予想外の事態が起こっていることだけは伝わった。
これが余興でもなんでもないことも。
ローブたちの必死の頑張りにより淡く光った門はなんとか閉ざされ、門は魔法陣の中に沈むように消えたが…………そこら中を跋扈する魔獣の大群。
飛びかかってくるそれらを交わしつつ屠る。
一歩引けば、肩がトンと背に当たった。
「校外学習ん時の悪夢再び、ってか?」
剣を手にそんな笑えないことを呟くカイルにああ、と低く答えた。
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