メティス・ラヴァルの冒険書

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学生編

76話 アウレ連邦7

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76話 アウレ連邦7

「どうぞ手に取ってみてくださいねー」

「あ、はい。ありがとうございます。」
何本かある解体用に使えそうなナイフを手に取り重心や手の馴染を確かめるけど、やっぱり完璧なのはないかなぁ。
値段もそこそこだから、買い頃かな?って悩んでいると

「お客さん、よかったら合わせましょうかー?」
声をかけてきてくれたのは、この店のスタッフ(と言っても一人しかいないから、多分このナイフを作った人なんだとおもう。)たぶんドワーフ族?いや、ちょっと体つきが細いかな?の女性でバンダナを巻いている。

「合わせる?とは?」

「あぁ、うちはね、既製品だけど組み合わせオーダーができるんですー。例えば刀身はこれがいいけど、柄はこっちとかねー。」

「えぇ!面白そう。お願いします。」

「お客さんは何用を探してるんですかー?」

「解体用のナイフを探してるんです。
今まで使ってたのが初心者用で、一年半くらい使っていたので、、、もぅ切れ味が、、、」

「なるほど、ちょぅと見せてもらってもいいですかー?」

「はい。どうぞ。」

解体用ナイフを渡すと、店員さんが刀身や柄を色んな角度から見て、「はい。」と言って返してきた。

「お客さんそれを使って一年半?かなり使い込んでますね。メンテナンスもしっかりやってはいるけど、寿命ですねー。」

「基本的にできる時は自分で解体してるんですよ。だからかな?
寿命かぁ仕方ないですよね?」

「はい、素材的に仕方ないです。メインの武器はなにを使ってるんですかー?」

「鞭と片手斧なんですけど、ちょっと変わっていて。」
見せてって言われる前に装備していたマァリッシュを渡す。

「ありがとうございますー。」
マァリッシュをカバーから外すと、目をキラキラさせながら観察し出した。
「刃は槍のバルディッシュに似てるけど、それより小型、柄のバランス的に短剣にしてはバランスが少しズレてるし、、、遠心力もつくから片手斧なのか、、、刃の擦り減りがココとココなのか。それなら素材のバランスを

、、、
ぶつぶつ
、、、

おもしろいですねー。
どうやって使うんですかー?」

「格闘と短剣と片手斧の複合的な使い方なんですよ。」

「へぇーおもしろそー。益々気になるー。」

「明日鍛冶ギルドで私演武するんで、よかったら来てくださいよ。」

「鍛冶ギルドね!わかったー。
色々この武器について聞きたいけどそれはまた明日にして、解体用ナイフを合わせていきましょうかー。
はい、武器返しますねー。」

「お願いします。」

「じゃあまず刀身ですけど、解体用なら調理にも使うだろうから小振のもの。お客さんの体格ならこの二つかなー?あ、でもあまり小振だと力入りにくいからコレもかなー。」

出してもらった三本のうち二本は今までに使っていたやつと同じタイプの小振のナイフみたいな感じ。最後に追加したものがそれよりかは少し大振りで、刀身の根元らへんに穴が空いている
「この穴ってなんですか?」

「それはね、解体は戦闘中と違って遠心力を使えないから、その穴に指を入れて力が入りやすいようにしてるんですよー。」

「へぇー面白そう。」

「で、柄は解体用ならコレがオススメ!
少しアーチがかかってるんだけど、上から切ることが多いから、この形が力が入りやすいし安定し易いんですー。それか、今までの形と同じがいいなら、このストレートタイプ。」

刀身と柄を仮止めして、合計六通り試させてもらって握り心地やバランスを見た結果
刀身は穴が空いてるやつで、柄はアーチがついてるやつにした。
値段は思っていたより安くて、解体用ナイフ購入予算の半分くらきで買えた。しかも、思っていたよりいい物、、、かどうかはわからないけど、少なくとも納得できるものだった。

「はい、どうぞー。バランス確かめてくださいねー。」

手に持って、握りやすい部分を探したり、重心を確かめて、問題がないか確認する。
「はい、いい感じだと思います。」

「そのナイフですけど、かなり錆びにくい素材を使っているので、普通に研ぎのメンテナンスをしていけば、刃がなくなるまで使えますよー。」

「えっ!めっちゃ凄いですね!!なんかお得すぎません?」

「わたしまだ工房に入ってまだ日が浅いから、そんなに値段取れないんですよー。
あ!けど、お売りしたのは自信作なんで、品質は間違いないはずですー。」

「そうなんですか?
私としては納得いく商品がお安く手に入ったから、嬉しいんですけどね。」

「そう言ってもらえると助かりますー。」

「鍛冶屋の世界って厳しいんですね。
こんなにいい物作れるのに歴がないと、、、だなんて。」

「そうなんですよねー。
ドワーフの鍛冶屋は独り立ちするまで八年って言われてるんですよー。
しかもお師匠さんの許可がないとダメだし。」

「八年!思ってたより長い!!」

「ですよねーわたしもそう思いますー。
けど、今いる工房のお師匠さんはわりと寛容で、

ハ年もなにすんねん!実力有ればそれでええやん 

って言ってくれるんですよー。
ちょっと希望がありますー。」

「へぇ~そのお師匠のお弟子さんはみんな早く独立してるんですか?」

「いや、わたしが最初の弟子ですー。」

「わっ!じゃぁ頑張らないとですね。」

「そうなんですよー。

あ!いらっしゃいませー。

すみません、次の接客してきます。
じゃぁ明日鍛冶ギルドでー。」

話し込んでいたら、別のお客さんが露店を見出したから、お姉さんがそっちに行っちゃった。
もぅちょっと話したかったけど、お仕事の邪魔できないしね。明日また話せるかな??
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