91 / 172
学生編
91話 ボスコ砦1
しおりを挟む
91話 ボスコ砦1
「よし、ここから迂回すれば相手の本陣を突けるぞ!
ここからはスピード勝負だ!みんないくぞ!」
まだ少しあどけなさは残るが、大人の顔立ちになりつつあるエルフ族の男性が仲間達に声をかける。
そこは木々や川、岩や丘など様々な環境が入り混じり、道は入り組み、正確な道を読み解く必要がある、また同時に脇道からの襲撃にも備えなければいけない。
エルフ族の仲間は多種多様の人種で構成されているが、共通点を上げるとすると、歳は若く素早さに特化した体つきをしている。
仲間達の無言の頷きを確認したエルフが、音を消しながら敵の本陣向かっていく。
暫く歩くと敵の本陣が見えきてた。
敵の大将は熊の原種人の女性、重いフルプレートの鎧を着込み、右手にバトルアックス左手には大楯。
重装備で機動力に欠ける様に思えるが、熊の原種人のパワーは竜の原種人に匹敵する程と言われ、更に走る速度はかなり速く、スタミナも多い。
身体能力だけだと勝ち目はない。
仲間達を散らばらせて、攻撃に向かわせる。
自分自身は狙いやすい位置に移動する。
耳を澄ませて警戒をする。
幸い敵の足音はなく、聞こえるのは草が風で擦れあっている音。
魔法だと気付かれる可能性があるから、スッと立ち上がり弓を引き、狙いを定める。
矢を放とうとした時、事態の異変に気付いた。
足元にあった草がツルが、自然ではあり得ない速度で全身に絡みつき、解こうとすればする程絡みつき、動けなくなり
ビリっという刺激を最後に意識が遠のいていった。
もう一方の大将サイドでは。
革装備に身を包み、使い慣れたブロードソードとバックラーを装備した希薄人の男性が、二人の護衛と共にダミーで用意した本陣とみせかけた天幕を監視できる場所に隠れていた。
天幕をセオリーから少しズレた場所に配置して、自分達を囮にして、四十名の部隊の殆どを攻撃に回した。
なんせ相手の大将は熊の原種人。
単純に武力だけで勝つには多大な被害が出る。
エルフ族をリーダーにした攻撃部隊で奇襲をかけて、それを合図に三方向から攻撃をくわえる作戦だ。
もちろん攻撃に比重をかける分、守りが薄くなるのは承知だけど、これでも幼少期から剣術を習い、冒険者としてもクエストを繰り返しこなしてきた。
そう簡単にやられる訳はない。
それに勝たなくていいんだ!負けなければいいだけだ。
「ズズっ。日差しがなくなるとまだちょっと冷えますね。」
鼻をすすりながら護衛についてもらったリザード系の原種人の男が話しかけてきた。
「あぁ、確かに少し冷えるな。」
夏前のこの季節、日差しがあると暖かいが、それが遮られると涼しさを感じれる。
近くに川があるから、そこから吹き込む風によって、涼しさは寒さに変わる。
天幕の近くに霧が発生してきた。
これも、この地形を選んだ理由だ。
事前に待ち伏せ部隊を決められたポイントに配置して、前を通ったモノを打てば、視界が悪くても誤爆する事はない。
更に言うとこの地形は地面が泥濘んでいて敵の機動力も落ちるから、待ち伏せに適している。
次第に霧は濃さを増し、自分達の場所まで上がってきた。
ここまで霧が来るのは予想していなく、少し不安を覚えたが、天幕の方から戦闘音が聞こえてきて、安堵の気持ちが大きくなった。
戦闘音が止まり緊張感が途切れ、地面に腰を落として一息つこうとしたら、目の前の霧が揺らぎ人影が濃くなっていく。
現れたのは赤髪を立たせた希薄人の男。
身長は一メートル八十センチはあろうか?身体つきは見せかけてではなく、戦闘で培った筋肉がついている。
手にはトンファーを持っている
武道家か?
どうやってここまで来た?足元を見ても泥の中を進んできた感じはしない!
そもそも他のみんなはどうした??やられたのか?
くそっ!!
一先ず目の前の事に集中しろ!
こちらは三人!人数的有利はこちらにある。
急いで剣を抜き戦闘体勢になる。
霧の揺れと共に弓使いの仲間が吹き飛んだ。
くそっ!早いなっ!!
急いでもう一人の仲間がカバーに入った。
俺と一緒の装備を使い、同じ道場で共に鍛錬し、冒険者としてもパーティーを組んでいる相棒だ。
二対一だ。
敵を挟み込むように回り込み、袈裟斬りと横薙ぎの同時攻撃をしかける。
ガキィィン
まるでゴーレムを殴ったかのような衝撃が手に走った。
木製のトンファーを刃物で斬りにいって、刃が負けるのか?!
それでも攻める他活路はない!
二ノ型、三ノ型
何度も鍛錬し、冒険してモンスターと戦って、培った相棒との必勝パターン
絶え間なく流れる様に続く攻撃。
上下左右斜めと連携しながらの攻撃は、回避できる方向が限られていき、ゆくゆくは詰む算段
、、、
それが、何故
それが何故!!
完璧に誘導して、回避不可の一撃を放ったはずなのに!!
青年が放った一撃は
赤髪の武道家の手首への一撃で回避され、カウンターで入った顎への掌底で脳を揺らされ、崩れていった。
「よし、ここから迂回すれば相手の本陣を突けるぞ!
ここからはスピード勝負だ!みんないくぞ!」
まだ少しあどけなさは残るが、大人の顔立ちになりつつあるエルフ族の男性が仲間達に声をかける。
そこは木々や川、岩や丘など様々な環境が入り混じり、道は入り組み、正確な道を読み解く必要がある、また同時に脇道からの襲撃にも備えなければいけない。
エルフ族の仲間は多種多様の人種で構成されているが、共通点を上げるとすると、歳は若く素早さに特化した体つきをしている。
仲間達の無言の頷きを確認したエルフが、音を消しながら敵の本陣向かっていく。
暫く歩くと敵の本陣が見えきてた。
敵の大将は熊の原種人の女性、重いフルプレートの鎧を着込み、右手にバトルアックス左手には大楯。
重装備で機動力に欠ける様に思えるが、熊の原種人のパワーは竜の原種人に匹敵する程と言われ、更に走る速度はかなり速く、スタミナも多い。
身体能力だけだと勝ち目はない。
仲間達を散らばらせて、攻撃に向かわせる。
自分自身は狙いやすい位置に移動する。
耳を澄ませて警戒をする。
幸い敵の足音はなく、聞こえるのは草が風で擦れあっている音。
魔法だと気付かれる可能性があるから、スッと立ち上がり弓を引き、狙いを定める。
矢を放とうとした時、事態の異変に気付いた。
足元にあった草がツルが、自然ではあり得ない速度で全身に絡みつき、解こうとすればする程絡みつき、動けなくなり
ビリっという刺激を最後に意識が遠のいていった。
もう一方の大将サイドでは。
革装備に身を包み、使い慣れたブロードソードとバックラーを装備した希薄人の男性が、二人の護衛と共にダミーで用意した本陣とみせかけた天幕を監視できる場所に隠れていた。
天幕をセオリーから少しズレた場所に配置して、自分達を囮にして、四十名の部隊の殆どを攻撃に回した。
なんせ相手の大将は熊の原種人。
単純に武力だけで勝つには多大な被害が出る。
エルフ族をリーダーにした攻撃部隊で奇襲をかけて、それを合図に三方向から攻撃をくわえる作戦だ。
もちろん攻撃に比重をかける分、守りが薄くなるのは承知だけど、これでも幼少期から剣術を習い、冒険者としてもクエストを繰り返しこなしてきた。
そう簡単にやられる訳はない。
それに勝たなくていいんだ!負けなければいいだけだ。
「ズズっ。日差しがなくなるとまだちょっと冷えますね。」
鼻をすすりながら護衛についてもらったリザード系の原種人の男が話しかけてきた。
「あぁ、確かに少し冷えるな。」
夏前のこの季節、日差しがあると暖かいが、それが遮られると涼しさを感じれる。
近くに川があるから、そこから吹き込む風によって、涼しさは寒さに変わる。
天幕の近くに霧が発生してきた。
これも、この地形を選んだ理由だ。
事前に待ち伏せ部隊を決められたポイントに配置して、前を通ったモノを打てば、視界が悪くても誤爆する事はない。
更に言うとこの地形は地面が泥濘んでいて敵の機動力も落ちるから、待ち伏せに適している。
次第に霧は濃さを増し、自分達の場所まで上がってきた。
ここまで霧が来るのは予想していなく、少し不安を覚えたが、天幕の方から戦闘音が聞こえてきて、安堵の気持ちが大きくなった。
戦闘音が止まり緊張感が途切れ、地面に腰を落として一息つこうとしたら、目の前の霧が揺らぎ人影が濃くなっていく。
現れたのは赤髪を立たせた希薄人の男。
身長は一メートル八十センチはあろうか?身体つきは見せかけてではなく、戦闘で培った筋肉がついている。
手にはトンファーを持っている
武道家か?
どうやってここまで来た?足元を見ても泥の中を進んできた感じはしない!
そもそも他のみんなはどうした??やられたのか?
くそっ!!
一先ず目の前の事に集中しろ!
こちらは三人!人数的有利はこちらにある。
急いで剣を抜き戦闘体勢になる。
霧の揺れと共に弓使いの仲間が吹き飛んだ。
くそっ!早いなっ!!
急いでもう一人の仲間がカバーに入った。
俺と一緒の装備を使い、同じ道場で共に鍛錬し、冒険者としてもパーティーを組んでいる相棒だ。
二対一だ。
敵を挟み込むように回り込み、袈裟斬りと横薙ぎの同時攻撃をしかける。
ガキィィン
まるでゴーレムを殴ったかのような衝撃が手に走った。
木製のトンファーを刃物で斬りにいって、刃が負けるのか?!
それでも攻める他活路はない!
二ノ型、三ノ型
何度も鍛錬し、冒険してモンスターと戦って、培った相棒との必勝パターン
絶え間なく流れる様に続く攻撃。
上下左右斜めと連携しながらの攻撃は、回避できる方向が限られていき、ゆくゆくは詰む算段
、、、
それが、何故
それが何故!!
完璧に誘導して、回避不可の一撃を放ったはずなのに!!
青年が放った一撃は
赤髪の武道家の手首への一撃で回避され、カウンターで入った顎への掌底で脳を揺らされ、崩れていった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
11
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる