藁。

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「クソが。また逃げられた。」

俺は怒りに任せて机に拳を叩きつける。俺が怒っているのは、事件のことだ。その事件は毎月11日に起こる。今回はが???が拐われた。あり一匹も通さないような厳重な警備だった。だが、奴はそれをいとも簡単に突破した。弾丸を躱し、何人もの警備員を殺した。俺はその犠牲を無駄にはできない。そう心に決めていたはずなのに

「クソがぁぁ!!」

俺はもう一度机に拳を叩きつける。手の痛みが俺を落ち着かせていく。まだ奴の尻尾さえ掴めていない。もう奴を追い始めて一年半も経つのに…情けない。本当に情けない。俺はタバコを手に取り火をつける。タバコの煙が部屋に漂う。そこに勢いよくドアが開けられた。

「失礼します!奴の目撃情報が入りました!」
「な…それは本当か!」
「はい!」

俺は驚きのあまり声を詰まらせる。

「どこだ、どこにいる!」
「二十三番区の二番ドームです!」
「わかった。すぐに行く!お前はここで待ってろ!」

奴が姿を見せた。こんな好機はもうないだろう。部下が何か言いたそうだったが、俺はすぐに拳銃と手錠を手に取り、地面を蹴り外に飛び出す。外はまだ雪が降っていて肌寒い。そんなものに構わず俺は目撃情報の場所へ向かう。



「いた。いたぞ。」

黒のスーツ、整えられた髪。百九十はあるだろう身長。そして、最も気を引くのがあの鬼のような黒い仮面。奴で間違いないだろう。俺はいっそう真剣な顔つきで奴を睨む。ここで奴を撃ってもいいのだが、慎重に行くのが俺のセオリーだ。奴はすたすたと歩いて行ってしまう。俺も続いて歩く。ここで俺は部下にメッセージを送る。

少し目を離していると奴は止まり、民家に入って行ってしまった。ここで誰かを襲う気なのだろうか。

もう人は殺させない。

俺は走り出す。セオリーを破っているが、人の命のためだ。俺は塀を越えて、窓を割って民家に飛び込む。

「警察だ!大人しく両手を上げろ!」

俺は拳銃を突きつけながら、自分を鼓舞するように叫ぶ。額からは汗が噴き出し、頬を伝うのを感じる。奴は食事をしていたようで、机の上で肉を食っていた。奴は俺に気づくと窓を割ったからなのか、食事の邪魔をされたのが気に食わなかったのか怒った顔でこちらに近づいてくる。俺は逃げ出したいのを我慢して

「止まりなさい!止まらないと撃つぞ!」

と声を上げる。俺の言葉を無視して奴は俺に近づいてくる。俺は撃つことを覚悟する。手が少し震えるが、俺は歯を食いしばって

「パァン」

引き金を引いた。銃弾は奴の右足に当たった。奴は右足の痛さにその場にうずくまっている。

いける、いけるぞ。俺の一年半は報われる。

気づくと俺は全速力で走り出していた。俺は左手でポケットから手錠を取り出す。

「確保!」

俺は奴の左腕に手錠をつけようとする。その時、俺は顔の左側に激しい痛みを覚える。

え…

俺は吹き飛ばされていた。奴は殺気に満ちた表情で一歩、二歩と俺に近づく。俺は完全に恐怖に囚われた。

「く、来るな!」

死にたくない。俺は生きるために必死に拳銃を突きつける。だが、手が震えて狙いが定まらない。俺は恐怖に耐えられなくなった。

「うああああああぁぁ!」

俺は走り出そうと奴に背を向ける。その瞬間俺はものすごい力で後ろに髪を引っ張られる。奴の顔が目の前にあった。俺は猛獣に捕まえられたかのように暴れる。だか、それは虚しく散った。奴の拳が俺の腹に沈んでいた。そして意識が闇に落ちていった。



冷たい水をかけられたことによって俺は目を開ける。体の痛みを感じながら、ここがどこか分からず俺は戸惑う。しかし、すぐにさっき起きたことを思い出し体を震わす。俺は無意識に叫ぼうと口を開ける。しかし奴は

「叫んだら殺す」

と俺に向けて冷酷に吐く。俺はすんでのところで飲み込む。

「私の趣味は拷問でね。これが楽しくて仕方がないんだよ」

奴は少し口角を上げながら低い声で言う。

拷問だと…

震えがよりいっそう強まる。死にたくない。俺は奴に助けを求める。

「た、助けてくれ!命だけは!」
「叫んだらなんと言った?」
「あ…あぁ」

俺の顔が絶望の色に染まるのが分かる。死にたくないあまりに冷静さを失っていた。

「ただ殺すだけじゃ面白くない。さぁ拷問を始めようか」

俺は抵抗が出来なかった。奴は器具を取り俺の爪を剥ぎ、肉を削いだ。俺は痛さのあまり発狂する。俺の声が部屋に響く。

どんどん意識が遠のいていく。

俺が最後に見たのは奴の楽しそうな顔と

「ああ、極上だ」

という声だった。



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