狩人達と薔薇の家

紫陽花

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「.........へ?」

間抜けな声を出したのはヘザーだった。

彼女はソフィアの指先を阿保のように眺めていた。

「殺すのはヘザーで良いんだな?」

ギルが確認するとソフィアは頷いた。
ヘザーはそれを聞くと体を、ガタガタと震わせはじめた。
何かを話そうとしているらしいが、震えすぎてうまく話せないでいる。

そんな彼女にお構いなしに、準備が進められる。
カレンは一度拘束を解かれ立たせられる。
どこか安心した風な顔だ。
ちらりとヘザーとソフィアを見ると、何も言わず俯く。

「な、な、なんでっ!なんでっ!ソフィア!」

ようやく声が出たのかヘザーは涙で顔を濡らしながら問い詰めた。

「わたし!けがしたあなたのこと!あんなに!!」

言いたいことがありすぎるのか、支離滅裂になるヘザー。

ソフィアはそれを聞くと、今まで無表情を装っていた顔が一気に怒りに滲む。

拳を震わせてヘザーを睨むと一言

「......あんた、最初から私の事、見捨ててたでしょ」

と言いはなった。

ヘザーは黙って彼女の顔をみる。
何を言っているのかわからないと言った風だ。
他の男達も興味があるのか、作業の準備を止めてソフィアの話を聞いている。

「ヘザーあなた、あの森で一人殺されて、さらに私の首を掴まれておられそうになった時、あの人に呼び止められる前、『背中を向けて』いたわよね...死ぬとこを見て悲鳴をあげたあと!私が!殺されそうになっていたのに!一人で逃げようとしていたじゃない!!」

ソフィアの怒りの声が加工場に響く。
どうやら、ヘザーから背中を向けていたレオは気づかなかったらしいが、ヘザーの方を向いて座っていたソフィアにはハッキリと見えたらしい。

レオに呼び止められる前、一人逃走しようとしているヘザーの姿が。

あの時立ち止まっていたように見えたのは。
恐怖で動けない。ではなく、ただ単に声をかけられたから止まったのである。

自分が死にたくない一心で。

さらにソフィアは続ける。

「あのお家でもそう!カレンが先に捕まったのを知ってて、一人ででドアに向かっていたって!一人で助かろうとしていたって!!!」

「ち、違う!違う!」

ヘザーは必死に否定する。

だがどうやら家での捕獲の様子を聞いたのだろう。
ソフィアの怒りはとまらない。

「今もよ!私が殺す方を選ぶって聞いたら、すぐに媚売って!!!何が友達よ!!何が背負って歩いたよ!自分が死にたくないだけじゃない!!カレンの事も確かに許せないけどヘザー!私はあなたの方がもっと許せない!!少なくてもカレンはあなたを守ろうとしたわ!だから連れて逃げた!なのに!あなたは!!!」

「そ...ふぃ...あ?」

もはや反論もできないのか、呆けたような瞳でソフィアを見つめるヘザー。

ギルがゆっくりと後ろから近寄ると、ソフィアに向かい「満足か?」と声をかけた。

ソフィアは肩で息をしており、興奮冷めやらぬようだったが小さく頷く。
その目は少し潤んでおり、怒りと悲しみで感情が揺れているのであろう。

ヘザーをそのままに、ソフィアとカレンは別室に移されると、三人とも例の黒い作業着を着用し、ヘザーを囲む。
もちろんカメラは設置されている。

「やだ...やだやだやだああああああっっっ!!!」

両脇に凶悪な道具が並びだしたとこで、ヘザーは発狂したように暴れだした。
髪を振り乱し、なりふりかまわず暴れるそのさまはまるで獣だ。

「体に傷がつくぞ。やめておけ」

冷静に話すギル。
どうやら今回も彼が解体するらしい。
ヘザーは彼の方を向くと哀れっぽく声を出して泣きはじめ懇願する。

「お願いします...殺さないで...売るなら生きたままお願いします...」

「いや、お前の肉は売らないよ」

ギルは淡々と伝えた。
その言葉に、ヘザーはそれなら!っと続けて命乞いをする。が、彼は続けて

「でも、俺たちが必要だから捌くんだよ。確かに映像の方はもっと数を寄越せって言われてたけど」

と、ヘザーに言い放つ。

「必要...何が?何が必要なんです!?」

もはや、少女を家畜としか見てないであろう男にそれを聞いても無駄なことだ。

ヘザーを無視して、カメラをオンにするように合図を送ろうとしたところ、レオがストップをかける。

「ちょっとまてギル。いつもと同じじゃだめだ」

「はぁ?」

ギルはカメラの後ろにいるレオの方を向き直すと、レオは取引先からの指示を伝えだした。

「なんでも、もっと泣きわめくような姿が見たいらしい。すぐに殺さないようにしろってさ」

それを聞くと、深いため息をついた。

「そういうのはそっちのプロに頼めよ」

ギルは面倒くさそうに呟くと、横たわった少女を改めて見る。
この半月で少し肉付きは良くなったとはいえ、まだ細い体。
今回は肉ではなく、中身が欲しかったこともあり途中で潰すことにしたのだ。
本当なら、中身も綺麗にしてからだが急ぎの用もある。
配慮して切れば支障はないだろう。

ギルは思案したのち合図を送ると、カメラがオンになった。
いつもより時間かけて解体していこう。

ギルはメスを握り直すと、右胸をつかむ。
まだ未発達なのか、それともたんに貧乳なのかわからない大きさの胸だ。

突然胸をつかまれて、嫌悪感を表す少女の顔を見ながら、その右胸の根本からメスをいれていく。

「いた...い...いぎゃああああああああ!!!!」

突然身を切られる痛みに絶叫するヘザー。
体を動かし逃れようとするが、しっかりと固定されているためか無駄な苦労で終わる。

完全に切り取られた乳房をトレイに置くと、痛みのあまりすでに意識がなくなりそうになっているヘザーに、声をかけた。

「次、反対側な。残念だけど簡単には死ねないぞ今日は」

無情な発言と共に左胸がつかまれる。

長い長い、苦悶の時間が始まった。
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