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敵の敵は味方
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「『あいつ』、また来やがった…」
俺はそう呟きながら、パソコンのディスプレイに向かってコマンドを打ち始めた。
俺はとある企業のシステム・セキュリティ部門の、主に外部からの不正アクセスに対応するセクションで働いている。
俺が勤める企業には世界中が手に入れたい情報があるようで、24時間365日外部からの不正アクセスを受けている。
最近はほとんどのアクセスがプログラムを使ったものになっているので、そう言ったケースはこちらもプログラムで対処することになっている。
だが時折、どう見てもプログラムのそれとは異なる方法でアクセスしてくることがある。
つまり、「人の手」によるアクセスである。
今どき「人の手」なんて古典的もいいところなのだが、プログラムでは判断や処理が追いつかないようなトリッキーな方法で攻めてくるのが侮れない。
そんな時こそ、俺のような「人間による対応」が必要になってくる。
「人の経験とカン」も馬鹿にできないものなのだ。
そして今日も、「人の手」によるアクセスが発生した。
とは言っても、人の手なんて使うような奴は限られている上に特有の「クセ」があるので、誰がアクセスしてきているのかは大体判るようになっていた。
それともあえて「クセ」を見せることで、アピールしているのだろうか…
ある意味、俺との「対決」を楽しんでいるようにも見えた。
そしていつしか俺も、褒められた話ではないのだが「あいつ」との対決を楽しみにしているようにもなってきていた。
そんなある日。
『あいつ』とは別人と思われる「人の手によるアクセス」が発生した。
最初のうちは『別の奴が来るなんて珍しい…』と少し軽く見ていたが、そいつは思った以上の凄腕だった。
プログラムの対応がすぐに追いつかなくなったのは言うまでもなく、俺の防御も追いつかなくなり始めていた。
-これは俺でも歯が立たないかもしれない-
そんなことを考え始めたが、ここで弱気になってはいけない。
そう自分に言い聞かせているものの、相手の腕の方が俺より一枚上手で、徐々に押されて行った。
-まずい、このままじゃセキュリティを突破されちまう-
もはやここまで…と覚悟を決めた瞬間、急に相手の攻撃の手がはっきり分かるほどに緩んだ。
一体何が…
そう思った瞬間、新規メッセージが届いたという通知があった。
-一体誰だよ、こんな時に-
そう毒づきながらメッセージを開くと、
-あんたを負かすのは、俺だ-
とだけ書いてあった。
俺はそう呟きながら、パソコンのディスプレイに向かってコマンドを打ち始めた。
俺はとある企業のシステム・セキュリティ部門の、主に外部からの不正アクセスに対応するセクションで働いている。
俺が勤める企業には世界中が手に入れたい情報があるようで、24時間365日外部からの不正アクセスを受けている。
最近はほとんどのアクセスがプログラムを使ったものになっているので、そう言ったケースはこちらもプログラムで対処することになっている。
だが時折、どう見てもプログラムのそれとは異なる方法でアクセスしてくることがある。
つまり、「人の手」によるアクセスである。
今どき「人の手」なんて古典的もいいところなのだが、プログラムでは判断や処理が追いつかないようなトリッキーな方法で攻めてくるのが侮れない。
そんな時こそ、俺のような「人間による対応」が必要になってくる。
「人の経験とカン」も馬鹿にできないものなのだ。
そして今日も、「人の手」によるアクセスが発生した。
とは言っても、人の手なんて使うような奴は限られている上に特有の「クセ」があるので、誰がアクセスしてきているのかは大体判るようになっていた。
それともあえて「クセ」を見せることで、アピールしているのだろうか…
ある意味、俺との「対決」を楽しんでいるようにも見えた。
そしていつしか俺も、褒められた話ではないのだが「あいつ」との対決を楽しみにしているようにもなってきていた。
そんなある日。
『あいつ』とは別人と思われる「人の手によるアクセス」が発生した。
最初のうちは『別の奴が来るなんて珍しい…』と少し軽く見ていたが、そいつは思った以上の凄腕だった。
プログラムの対応がすぐに追いつかなくなったのは言うまでもなく、俺の防御も追いつかなくなり始めていた。
-これは俺でも歯が立たないかもしれない-
そんなことを考え始めたが、ここで弱気になってはいけない。
そう自分に言い聞かせているものの、相手の腕の方が俺より一枚上手で、徐々に押されて行った。
-まずい、このままじゃセキュリティを突破されちまう-
もはやここまで…と覚悟を決めた瞬間、急に相手の攻撃の手がはっきり分かるほどに緩んだ。
一体何が…
そう思った瞬間、新規メッセージが届いたという通知があった。
-一体誰だよ、こんな時に-
そう毒づきながらメッセージを開くと、
-あんたを負かすのは、俺だ-
とだけ書いてあった。
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