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女侯爵になります。
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アルバニアの「侯爵になります」発言に最初に噛みついたのは、フローレンス王女だ。
何しろ、彼女の結婚問題も絡むかも知れないのだから。
「サイラス様は、どうなるの!婚姻を受けたじゃない」
「はい、お兄様は私の後継になります。ですから、お兄様と王女殿下の婚姻は有効です」
アルバニアは、王女に微笑む。
「私の事は侯爵家当主」
「う~ん、何か、硬苦しいですね」
アルバニアは又しても微笑む。
「お義母様でもいいですよ。王女殿下の、お好きな様に、お呼び下さい」
皆、一同、絶句する。
前当主、アルバニアの父は娘と王女のやり取りを見て目を細める。
アルベニアの父である前当主となった彼が思い浮かべるのは、2カ月前の衝撃的な光景。
落馬したアルバニアの意識が戻ったと屋敷から城の執務室に連絡が来たので屋敷に戻り、アルバニアの部屋に行くと信じられない場面に遭遇したのだ。
アルバニアが寝台の上で、サイラスに馬乗りに跨がっていたのだ。
しかも、15才の少女が何発も兄を殴っている。
サイラスも、言いなりになり殴られていた。
後ろめたさが会ったのだろう。
サイラスの裏切りは、侯爵も気付いていたのだ。
だが一番に恐怖したのは、アルバニアがサイラスに自分を殴れと命令した時だ。
「お兄様は、殴られてる自分に酔ってるのよ!妹の怒りを受け止めている自分に酔ってるの!お兄様は一族の裏切り者、そう、自分に酔っている極小の裏切り者なのよ!」
アルバニアは、サイラスに愛らしく微笑む。
「お兄様、私を殴って」
侯爵は、アルバニアが壊れたかと思った。
サイラスは今まで従順な妹と思っていた少女に、恐怖を覚えた。
「お兄様達が仕様としていた行為は、普通に道を歩いていた人をいきなり殴り付けるのと同じ行為なのよ」
アルバニアはサイラスに再び笑いかける。
愛らしく、悪戯を思い付いたように。
「サイラス・フォン・テアルスティア、私を殴りなさい」
サイラスは、蹲り泣きじゃくる。
「貴方が妹に仕様とした行為を、身を持って体験しなさい!」
侯爵から見たアルバニアは別人に見えた。
その日は結局、収拾がつかないと思い翌日に問題は持ち越したのだ。
勿論、サイラスには謹慎を伝えた。
「テアルスティア侯爵、当主交代の手続きは終了しているのか」
国王が詰問する。
「陛下、問題なく終わっております」
私が、書類を陛下の従者に渡すと陛下も従者も、えっ、て顔している。
失礼ですよ。
当主は私だよ。
この国は、ガチガチの法治国家。
勿論、王族、貴族には其なりの裁量権が有り、優遇もされている。
貴族の領地には、それぞれの法律が有り個別の領法が優先される場合いが多い。
だが、戦争や、人権、相続は、国家の法律が適用される。
王の側に法律家が呼ばれた。
王室が雇っている、一流の法律だからね。
この場で認められたら、国王でも覆す事は不可能ね。
だからこそ法律は重きを置かれる。
ちなみに、何代か前の国王が法律違反をしたらしいが適正に罰せられたの。
王は3日間、冷たい牢に入れられたの。
侯爵家当主、元気で艶々。後継は新当主より年上。
新当主は女子で未成年。
でもね、合法なんだよ。
相続の法律は、戦争中に改定されて以来そのまま何だよね。
「陛下、検証が終わりました」
法律家が王様に上奏する。
「申せ」
「はっ、珍しい事例ですが合法でございます」
王様も、王族の皆さんも貴族達もビックリした顔をしている。
アッー、久し振りに気分が良いよ。
そして貴族達から歓声が湧く。
王族の皆様は残念そうですね。私は王太子、第二王子、両陣営に取って最高の側室候補なのは解っている。
王家は、婚約内定の取り消しを業としなかったのだ。
晒し者にし、傷者になった私を安く手に入れるために。
高位貴族の娘を、王室側が側室に望む場合は莫大な金額が動く。
支度金、後宮の施設費、更に令嬢側が満足する金額を毎月の化粧代として渡さなくてはならない。
前回までの私は傷者令嬢で、王室側が同情し引き取る。
そんな扱いだ。
とてもお買い得でバーゲン品な令嬢だったんだよ。
正妃達より品格を落としたかった。
今なら解る。
誰も、愛してくれなかった。
違う、違うあの人だけは最後まで心配してくれた。
だから私は戦う事を選んだ。
これは小さな勝利。
王太子妃は、外国の貴族の出の為に国内の貴族の指示基盤が薄い。
第二王子の婚約者は男爵令嬢。
王子とは、愛情のみでの繋がりで何もかもが足りない。
しかし、第二王子の母親は国内の高位貴族故に一部の貴族達の指示基盤となる。
両陣営は玉座を狙い、対立の姿勢を崩さない。
過去のループでの時間軸の出来事。
一回目は王太子の側室になり、仕組まれた流産で死亡。
二回目は第二王子の側室になり、正妃の補佐に奔走の末の過労死。
三回目は、嫁いできた王女に侯爵邸を追い出され、領地の別荘で若くして隠居生活。
極貧生活にして賢者のような余生。
薪を入手出来なかった為、寒い雪の日に凍死。
現在4回目にして、女侯爵となる。
笑みが、こぼれてしまう。
私は、特上の笑みで第二王子とヒロインに祝辞を述べる。
「この度の婚約テアルスティア侯爵家、新当主として御祝い申し上げます」
美しいカーテシーを添える。
『ねえオーロラ、小説の時間は終わったのよ』
『かつては神々の箱庭だった土地・・・・清き、乙女が新たな王を生む物語』
転生前、日本人として生きていた頃に読んだ恋愛小説。
小説は、第二王子とオーロラの婚約発表で終わるの。
何しろ、彼女の結婚問題も絡むかも知れないのだから。
「サイラス様は、どうなるの!婚姻を受けたじゃない」
「はい、お兄様は私の後継になります。ですから、お兄様と王女殿下の婚姻は有効です」
アルバニアは、王女に微笑む。
「私の事は侯爵家当主」
「う~ん、何か、硬苦しいですね」
アルバニアは又しても微笑む。
「お義母様でもいいですよ。王女殿下の、お好きな様に、お呼び下さい」
皆、一同、絶句する。
前当主、アルバニアの父は娘と王女のやり取りを見て目を細める。
アルベニアの父である前当主となった彼が思い浮かべるのは、2カ月前の衝撃的な光景。
落馬したアルバニアの意識が戻ったと屋敷から城の執務室に連絡が来たので屋敷に戻り、アルバニアの部屋に行くと信じられない場面に遭遇したのだ。
アルバニアが寝台の上で、サイラスに馬乗りに跨がっていたのだ。
しかも、15才の少女が何発も兄を殴っている。
サイラスも、言いなりになり殴られていた。
後ろめたさが会ったのだろう。
サイラスの裏切りは、侯爵も気付いていたのだ。
だが一番に恐怖したのは、アルバニアがサイラスに自分を殴れと命令した時だ。
「お兄様は、殴られてる自分に酔ってるのよ!妹の怒りを受け止めている自分に酔ってるの!お兄様は一族の裏切り者、そう、自分に酔っている極小の裏切り者なのよ!」
アルバニアは、サイラスに愛らしく微笑む。
「お兄様、私を殴って」
侯爵は、アルバニアが壊れたかと思った。
サイラスは今まで従順な妹と思っていた少女に、恐怖を覚えた。
「お兄様達が仕様としていた行為は、普通に道を歩いていた人をいきなり殴り付けるのと同じ行為なのよ」
アルバニアはサイラスに再び笑いかける。
愛らしく、悪戯を思い付いたように。
「サイラス・フォン・テアルスティア、私を殴りなさい」
サイラスは、蹲り泣きじゃくる。
「貴方が妹に仕様とした行為を、身を持って体験しなさい!」
侯爵から見たアルバニアは別人に見えた。
その日は結局、収拾がつかないと思い翌日に問題は持ち越したのだ。
勿論、サイラスには謹慎を伝えた。
「テアルスティア侯爵、当主交代の手続きは終了しているのか」
国王が詰問する。
「陛下、問題なく終わっております」
私が、書類を陛下の従者に渡すと陛下も従者も、えっ、て顔している。
失礼ですよ。
当主は私だよ。
この国は、ガチガチの法治国家。
勿論、王族、貴族には其なりの裁量権が有り、優遇もされている。
貴族の領地には、それぞれの法律が有り個別の領法が優先される場合いが多い。
だが、戦争や、人権、相続は、国家の法律が適用される。
王の側に法律家が呼ばれた。
王室が雇っている、一流の法律だからね。
この場で認められたら、国王でも覆す事は不可能ね。
だからこそ法律は重きを置かれる。
ちなみに、何代か前の国王が法律違反をしたらしいが適正に罰せられたの。
王は3日間、冷たい牢に入れられたの。
侯爵家当主、元気で艶々。後継は新当主より年上。
新当主は女子で未成年。
でもね、合法なんだよ。
相続の法律は、戦争中に改定されて以来そのまま何だよね。
「陛下、検証が終わりました」
法律家が王様に上奏する。
「申せ」
「はっ、珍しい事例ですが合法でございます」
王様も、王族の皆さんも貴族達もビックリした顔をしている。
アッー、久し振りに気分が良いよ。
そして貴族達から歓声が湧く。
王族の皆様は残念そうですね。私は王太子、第二王子、両陣営に取って最高の側室候補なのは解っている。
王家は、婚約内定の取り消しを業としなかったのだ。
晒し者にし、傷者になった私を安く手に入れるために。
高位貴族の娘を、王室側が側室に望む場合は莫大な金額が動く。
支度金、後宮の施設費、更に令嬢側が満足する金額を毎月の化粧代として渡さなくてはならない。
前回までの私は傷者令嬢で、王室側が同情し引き取る。
そんな扱いだ。
とてもお買い得でバーゲン品な令嬢だったんだよ。
正妃達より品格を落としたかった。
今なら解る。
誰も、愛してくれなかった。
違う、違うあの人だけは最後まで心配してくれた。
だから私は戦う事を選んだ。
これは小さな勝利。
王太子妃は、外国の貴族の出の為に国内の貴族の指示基盤が薄い。
第二王子の婚約者は男爵令嬢。
王子とは、愛情のみでの繋がりで何もかもが足りない。
しかし、第二王子の母親は国内の高位貴族故に一部の貴族達の指示基盤となる。
両陣営は玉座を狙い、対立の姿勢を崩さない。
過去のループでの時間軸の出来事。
一回目は王太子の側室になり、仕組まれた流産で死亡。
二回目は第二王子の側室になり、正妃の補佐に奔走の末の過労死。
三回目は、嫁いできた王女に侯爵邸を追い出され、領地の別荘で若くして隠居生活。
極貧生活にして賢者のような余生。
薪を入手出来なかった為、寒い雪の日に凍死。
現在4回目にして、女侯爵となる。
笑みが、こぼれてしまう。
私は、特上の笑みで第二王子とヒロインに祝辞を述べる。
「この度の婚約テアルスティア侯爵家、新当主として御祝い申し上げます」
美しいカーテシーを添える。
『ねえオーロラ、小説の時間は終わったのよ』
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(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)