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異世界での一歩
クリフォードとフリーゲル
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クリフォードは、小さな森にある東屋に向かっていた。
幼い花嫁の様子を、使用人に聞いたら、家族に可愛がられ、元気に過ごしていたみたいだ。
ほっとした気持ちと、残念な気持ちを同時に感じる。
執着・・・相手は、幼児だ。
自分は、幼女の夫になる予定だが保護者のような位置付けである。
彼女が年頃になれば、年の近いアルフレッドと、心を重ねるのだろう。
神殿で別れた時、父の侯爵に抱かれ、眠りに就いていた。
年の離れた弟が、悔しげな表情をしていたのが思い出される。
眠りに就いた花嫁を、抱き上げる事が出来ない、自分の身体の未熟さと執着。
東屋に立ち入ると、フリーゲルが書類仕事をしている。
東屋の中に使用人の姿はなく、変わりに、子供の娯楽品やら、花嫁が書いた手習いが乱雑に置かれている。
「兄さん、帰れたみたいだね」
癖の強い、年下の従兄弟が話し掛けてくる。
「あぁ、昨日の、お前の活躍のおかげだ」
「あっははは…… それは、良かった」
嫌味を、混ぜて答えても、素知らぬ振りで返してくる精神力。
祖父、先代の侯爵は、死に際まで、従兄弟の処遇に気を揉んでいた。
『使い方を、間違えぬように』父達に、諭していた。
「怒ってる?」
紫色の髪、銀の瞳。中性的な端正な顔立ち。
己の持てる、すべてを武器に代える才能。
「あれは、どうした?」
「あれでは無いよ。リリィーだよね」
「…… 。 何処にいる?」
「ハイハイ。使用人達と小川で水遊びをしてるよ」
従兄弟が、子供用の魔獣図鑑を見せてくる。
「川の底にいる、魔虫取りをしてるんだよ。土の中にいる魔虫では取れない栄養が有ります。此、読んだら飛び出して行っちゃたんだ」
魔虫?栄養?
「魔梟の雛をプレゼントしたんだよ。そろそろ、おやつだから、連れて来てくれないかな」
小さな森、何代か前の侯爵家に嫁いで来た、花の乙女の為に用意された、豪華な鳥籠。
花嫁の衣を剥ぎ取りながら、森の中で狩りを楽しむ様に花嫁を羽交い締めにし、情事を楽しんだ夫達。
情事の事のみ知れば、顔をしかめる者もいるだろう。
しかし、彼等の業績は素晴らしい物だ。
国の中央での、権力の把握。領地改革。
花嫁との間に、優秀な子供を多数儲けた、実績。
当時、高位貴族家であったキャスル家の土台を、更に固めた。
「キャァ!キャァ!はっはっはっ!」
水が流れる音と、幼女の楽しげな声が聞こえてくる。
リリィーが着て要るのは、私達のお下がりだろう、男児の服装だ。
メイドと子守りの少女達は、水に入ってはいないが、濡れている。
犯人は、小川に入っている、リリィーなのが解る。
「キャァ!はっはっ!!キャァ!」
従者も何人か、小川に入り遊び相手になっているようだ。
「お嬢様、仕返しです!」
メイド達が楽しげに、リリィーに水を掛けると、従者とリリィーで倍の水を掛けている。
リリィーの視線が上がり、私を捉えたようだ。
「クリフォード様!!」
私を求めるように、走り寄る子の為に腰を屈め、抱き上げる。
幼い子供、特有の香りが心地良く感じる。
「あのね、会いたかったの。ずっと、会いたかったの」
私は会いたかった。クリフォードが視線に入った途端に、感情が溢れてしまった。
なんて、贅沢な思いなんだろう。
そして、クリフォードに、抱き上げて貰うのが好きなんだと、思う。
不器用な愛情が、伝わってくる。
東屋の中で、フリーゲルに全裸にされ着替えた時は、拷問かと思いました。
小さな子供のように、フリーゲルが広げたパンツの中に足を通すように強制されたからです。
クリフォードは、毛玉を丹念に拭いてくれていた。
着せて貰ったワンピースは、更々で着心地良く、暑い日には最高ですよ。
「毎日、こんな感じなのか?」
「基本、そうだね」
2人の男は、遊び疲れ寝てしまった、幼女を見詰めてる。
「お前が、家督を継がないか?」
クリフォードが、フリーゲルに問いかける。
「嫌だね。自分が、向いて無いのは、解って要るよ」
フリーゲルは、心底、嫌そうに答える。
「先代の意思を、兄さんは誤解している」
「誤解?」
「先の戦にも勝ち、召喚も成功し、聖女も降臨した。今、国は安定している。」
「………」
「先代の侯爵は、恐らく、無謀を視野に入れていたんだろうね」
先代の国王と、本気で、ケンカをしたらしいからね。
「!」
「戦国の世なら、お前を跡目にしただろう。だが、安定した世ならクリフォード以上の適任は、いないだろう」
俺を、追い出すように子爵位を早々に譲ったのが、何よりもの証拠だ。
あの人は、俺の事を、良く思って無かったしね。
「先代が、俺に残した言葉だよ。兄さん、あなたは、お祖父様に信頼されていたんですよ」
あの人は、俺の根本を見抜いていたんだろう。
「それとも、国取りでもやりますか。今なら勝つ自信がありますから」
召喚前に終わった戦争の兵力の6割は、キャスル侯爵家、3男のリオンが率いる領兵。
残りは、サイラス率いる国軍。
隣国、ペルリン国と、キャスル家の領地は、境を接して長期に渡り境界線がはっきりとしなかった。
原因は、希少金属が採掘できる鉱脈だ。
戦争は、勝利を納め、ペルリン王国は滅亡した。
キャスル侯爵家は、境界線を有利に引き直し、希少金属の鉱脈も、手中に納めた。
領兵の武装解除は、未だにされて無く、兵達の士気は、高いままで保っている。
「止めておく」
「良かったよ。面倒だからね。兄さん、家族を守るよ」
「そうか。この場所が好きか?」
「悪くない」
幼い花嫁の様子を、使用人に聞いたら、家族に可愛がられ、元気に過ごしていたみたいだ。
ほっとした気持ちと、残念な気持ちを同時に感じる。
執着・・・相手は、幼児だ。
自分は、幼女の夫になる予定だが保護者のような位置付けである。
彼女が年頃になれば、年の近いアルフレッドと、心を重ねるのだろう。
神殿で別れた時、父の侯爵に抱かれ、眠りに就いていた。
年の離れた弟が、悔しげな表情をしていたのが思い出される。
眠りに就いた花嫁を、抱き上げる事が出来ない、自分の身体の未熟さと執着。
東屋に立ち入ると、フリーゲルが書類仕事をしている。
東屋の中に使用人の姿はなく、変わりに、子供の娯楽品やら、花嫁が書いた手習いが乱雑に置かれている。
「兄さん、帰れたみたいだね」
癖の強い、年下の従兄弟が話し掛けてくる。
「あぁ、昨日の、お前の活躍のおかげだ」
「あっははは…… それは、良かった」
嫌味を、混ぜて答えても、素知らぬ振りで返してくる精神力。
祖父、先代の侯爵は、死に際まで、従兄弟の処遇に気を揉んでいた。
『使い方を、間違えぬように』父達に、諭していた。
「怒ってる?」
紫色の髪、銀の瞳。中性的な端正な顔立ち。
己の持てる、すべてを武器に代える才能。
「あれは、どうした?」
「あれでは無いよ。リリィーだよね」
「…… 。 何処にいる?」
「ハイハイ。使用人達と小川で水遊びをしてるよ」
従兄弟が、子供用の魔獣図鑑を見せてくる。
「川の底にいる、魔虫取りをしてるんだよ。土の中にいる魔虫では取れない栄養が有ります。此、読んだら飛び出して行っちゃたんだ」
魔虫?栄養?
「魔梟の雛をプレゼントしたんだよ。そろそろ、おやつだから、連れて来てくれないかな」
小さな森、何代か前の侯爵家に嫁いで来た、花の乙女の為に用意された、豪華な鳥籠。
花嫁の衣を剥ぎ取りながら、森の中で狩りを楽しむ様に花嫁を羽交い締めにし、情事を楽しんだ夫達。
情事の事のみ知れば、顔をしかめる者もいるだろう。
しかし、彼等の業績は素晴らしい物だ。
国の中央での、権力の把握。領地改革。
花嫁との間に、優秀な子供を多数儲けた、実績。
当時、高位貴族家であったキャスル家の土台を、更に固めた。
「キャァ!キャァ!はっはっはっ!」
水が流れる音と、幼女の楽しげな声が聞こえてくる。
リリィーが着て要るのは、私達のお下がりだろう、男児の服装だ。
メイドと子守りの少女達は、水に入ってはいないが、濡れている。
犯人は、小川に入っている、リリィーなのが解る。
「キャァ!はっはっ!!キャァ!」
従者も何人か、小川に入り遊び相手になっているようだ。
「お嬢様、仕返しです!」
メイド達が楽しげに、リリィーに水を掛けると、従者とリリィーで倍の水を掛けている。
リリィーの視線が上がり、私を捉えたようだ。
「クリフォード様!!」
私を求めるように、走り寄る子の為に腰を屈め、抱き上げる。
幼い子供、特有の香りが心地良く感じる。
「あのね、会いたかったの。ずっと、会いたかったの」
私は会いたかった。クリフォードが視線に入った途端に、感情が溢れてしまった。
なんて、贅沢な思いなんだろう。
そして、クリフォードに、抱き上げて貰うのが好きなんだと、思う。
不器用な愛情が、伝わってくる。
東屋の中で、フリーゲルに全裸にされ着替えた時は、拷問かと思いました。
小さな子供のように、フリーゲルが広げたパンツの中に足を通すように強制されたからです。
クリフォードは、毛玉を丹念に拭いてくれていた。
着せて貰ったワンピースは、更々で着心地良く、暑い日には最高ですよ。
「毎日、こんな感じなのか?」
「基本、そうだね」
2人の男は、遊び疲れ寝てしまった、幼女を見詰めてる。
「お前が、家督を継がないか?」
クリフォードが、フリーゲルに問いかける。
「嫌だね。自分が、向いて無いのは、解って要るよ」
フリーゲルは、心底、嫌そうに答える。
「先代の意思を、兄さんは誤解している」
「誤解?」
「先の戦にも勝ち、召喚も成功し、聖女も降臨した。今、国は安定している。」
「………」
「先代の侯爵は、恐らく、無謀を視野に入れていたんだろうね」
先代の国王と、本気で、ケンカをしたらしいからね。
「!」
「戦国の世なら、お前を跡目にしただろう。だが、安定した世ならクリフォード以上の適任は、いないだろう」
俺を、追い出すように子爵位を早々に譲ったのが、何よりもの証拠だ。
あの人は、俺の事を、良く思って無かったしね。
「先代が、俺に残した言葉だよ。兄さん、あなたは、お祖父様に信頼されていたんですよ」
あの人は、俺の根本を見抜いていたんだろう。
「それとも、国取りでもやりますか。今なら勝つ自信がありますから」
召喚前に終わった戦争の兵力の6割は、キャスル侯爵家、3男のリオンが率いる領兵。
残りは、サイラス率いる国軍。
隣国、ペルリン国と、キャスル家の領地は、境を接して長期に渡り境界線がはっきりとしなかった。
原因は、希少金属が採掘できる鉱脈だ。
戦争は、勝利を納め、ペルリン王国は滅亡した。
キャスル侯爵家は、境界線を有利に引き直し、希少金属の鉱脈も、手中に納めた。
領兵の武装解除は、未だにされて無く、兵達の士気は、高いままで保っている。
「止めておく」
「良かったよ。面倒だからね。兄さん、家族を守るよ」
「そうか。この場所が好きか?」
「悪くない」
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