「Ｒ-18」異世界で花の乙女になった少女 ～侯爵夫人への階段を昇る～

異世界での一歩

花の乙女対策室

　　　　　リィ・ブロウ(白百合)

資質　『聖なる母、純血、無垢、威厳』

固有能力　優れた胎　緑の手


魔力　800

体力　500


属性　水　(D)
　　　土　(D)
　　　聖　(C)

弓　　(C)


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「優秀だが、花の乙女としては、平凡だ」

「それが？」

対策室のメンバーは、皇太子とクリフォード宰相補佐官の応対を、静かに見守る。

聖女を除いた乙女達の魔力測定が、キャスル侯爵家の花嫁で完了になるのだが、想定を越える低さだったのだ。


『白百合の君』歴代聖女の中に数人現れた、花の乙女。

王室寄りの王太子府のメンバー、王族の中には、聖女が、機能しなかった場合の事を考え、白百合の君に期待を持つ者もいた。

白百合の君の能力が、平均内ということに安心する者もいた。

最悪の場合は、キャスル侯爵家と王家の不和になりかねない。

「我が家の、花嫁に何か？」冷静に応対されると、返す言葉は無い。

王太子は、神官長のサインが入っている報告書をヒラヒラとさせながら、不機嫌な様を隠さない。

偽造？

思う者は、１人では無いのだ。

しかし、言葉にできる強者はいない。

王太子が報告書に、静かにサインを記す。





　深夜「殿下、私共は宰相室に戻ります」クリフォードを筆頭に、優秀な集団が対策室を後にする。
花の乙女達の、今後に関わる事の枠組みは決まった。
後は、修正を加えながら実行のみとなる。

彼らは、宰相室に戻り本来の国政に携わるのだ。


王太子は彼らを静かに見送りながら、国の政治の仕組みに、思いを馳せる。

王太子府は、王室執務室の一部で有る。

王室執務室の長は、国王で有る。

王室執務室と宰相室は、対する存在になる。

しかし、馬車の両輪の様に同じ方向に進みながらも、一定の距離を詰める事は無いが離れる事も無い。

国王が国民に、大きな夢を語る。

宰相は、現実を王族、貴族に突き付ける。

お互いに、学生だった頃を思い出す。

『クリフォード・フォン・キャスル』
親しくしていたが、取り巻きの１人では無かった。
だが、彼の力を認め卒業後、側近として王太子府に望んだが断られた。

対策室で共に仕事をし、更に彼の能力を認め、共に仕事をする喜びを得たのだ。

再び、道は別れたのだろう。