引き籠もりVTuber 学生編

龍之介21時

文字の大きさ
19 / 173

初恋?

しおりを挟む
【縄島スパーランド喫茶コーナー】
「ねぇねぇ、本当に大丈夫ぅ?顔色すっごく悪そうだけど?」

亜沙美のリクエストに応える形で【ブラックサイクロン】に一緒に乗った太一は、世界一高くて速いジェットコースターの凄さを体感してしまい、完全にテーブルに突っ伏していた

「あ、あはは…やるじゃねーか…ブラックサイクロン…はぁはぁ…今日は、この辺にしてやるぜ…」

「本当に駄目みたいねw……何か飲もうか?あ、そだ!甘い物でも食べない?楽になると思うよ」

「そうだな…注文は任せるわ。頼む…」

「ほいほい。あの…その…」

注文を頼まれた亜沙美は、太一の分も注文しようとウェイトレスに声を掛けようと頑張ったのだが……
いかんせん人見知りが発動してしまい大きな声を出せない。ウェイトレスも忙しい様で、細かいところにまで気を配る余裕もないようだ

「すんませーんっ!!」

「はい!スグに向かいます!」

「後は…頼んだぜ…」

「あ、うん……ありがと…」

恥ずかしさのせいで大声で呼べない亜沙美の代わりに、残りのライフを振り絞ってウェイトレスを呼ぶ気遣いを魅せた太一


「えっと、その…ジンジャーエールを2つと…イチゴショートと……マロンケーキで…お願いしますっ!」

知らない人と対面で話す緊張から、ジックリとは話せなかったので勢いで注文した亜沙美
商品が届くまで時間があるので何か太一と話そうとしたのだが…太一はまだバテたままだった。俯(うつむ)いている彼を見ている亜沙美

………俺の女に手を出すんじゃねーよ!……

(さっき確かにそう言ってたよね…太一ってば本気?……いやいや、ナンパ男を威嚇する為の方便ってヤツだよね?でも…少しもその気がなかったとしたら、あんな場面で咄嗟に口に出るかな?でも、やっぱり太一は私の事を……)
 

あんな熱いセリフを言われた事など生まれてから今までで初めての事だった亜沙美は、そのセリフを思い出していると段々と顔が赤くなってきたが…女としては先程のは嬉しいとも思っていた


「お待たせしてすみません!ジンジャーエール2つと、イチゴショート、マロンケーキになります。ごゆっくりおくつろぎください」

商品を届けてくれたウェイトレスは、レシートを置くと忙しそうに次のテーブルへと移動して行った


「ん~!美味しいね太一!」
「(/◎\)ゴクゴクッ・・ぷはぁ!ふぅ、生き返った!…うん、甘い物が嬉しいよ」

マロンケーキを喜んで食べている太一の顔を見詰めている亜沙美
(太一の好きなケーキはマロンで合ってた。良かった、良かった♪)
その視線に気が付いた太一

「んっ?どうかしたか?」

(どうしよう…聞いちゃおうかな?でも…私が期待してるみたいに思われちゃうかな?…少し冗談っぽく言ってみるか!)

「あ、あのさぁ太一。さっきはありがとね」

「あぁ、ナンパ男の事か…気にすんなよ。むしろ怖い思いさせて悪かったな」

「でさ太一……「俺の女に手を出すんじゃねーよ!」あのセリフはシビレちゃったよぉ。太一ってば私の事、そんなに好きだったなんて知らなかったなぁ。震えちゃったよ?」
 

「ば、馬鹿っ!アレは……ナンパ男を追い返す為に……敢えて言っただけだろうが?嘘も方便!って奴だよ(汗)」

本当のところ太一は色々な意味で亜沙美の事が最近特に気になっているのだが…こうも真正面から言われてしまうと恥ずかしさが勝ってしまい、照れ隠しで誤魔化してしまった

「あはは!冗談だって!分かってるよ」
(あーあ、少し残念。でも、まぁ…そうだよね…太一が私を彼女になんてするハズが、無いよね…。私って頭悪いし、不登校気味だし…)

「と、ところでだな…」

「ん、なぁに?」

「ゴールデンウィークが近いから今日からナイトパレードをやるらしいんだけどさ…どうする、見ていくか?」

コレは太一なりの精一杯のアプローチだった。遊園地で2人で見るナイトパレード!絶対仲良くなれるイベントになるハズ!と考えての誘いだった

「ナイトパレード!?良いねぇ♪見たい、見たい!何時までやってるの?」

「19:00~19:30らしいぞ」

「そうなんだ!楽しそう!絶対見た……あっ!?」

その時、21時から定期的にしている配信の事を思い出した。太一とナイトパレード。VTuber活動の配信。亜沙美の心は揺れた

(パレードが終わってから速攻で帰ったら…何とか間に合わないかなぁ…)



続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...