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アリス IN 異世界地球
拡がる脅威
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【伊勢神宮南部森林地帯】
にやって来たアリスと師範代たち
国有地の山間部という事もあり道もろくに整備されていない為、ふだん人が出入りするような場所ではない。なので大部分が自然状態のままになっているので、ヴォィドカウが身を潜めるには格好の場所だった
「こんな所に居たのか…コイツは既に死んでいるのか?」
「はい!発見からピクリとも動いていません…ですが…」
青年団のひとりがヴォィドカウのお腹の辺りを指さした。みぞおち辺りの場所に、ソフトボールくらいの大きさの穴が開いている。そこから這い出しているヴォィドの幼虫
「これがヴォィドの幼虫なのぉ?…コイツがヴォイドゥルフを生み出して、アタシの故郷が壊滅される原因になったの…こんな幼虫が…」
アリスもヴォィドを見るのは初めてだったが、この幼虫に寄生されたゥルフメンが凶暴化し【ヴォイドゥルフ】になり、集団化してアリスの生まれ故郷を壊滅させた…ソレを思うとアリスの目に憎しみの炎が灯った
数匹の幼虫がウネウネ動く様子は、見ていて気持ちの良いものではなかった
「あっ!アレ!」
佐々木がヴォィドカウから少し離れた場所を指さした。そこには幼虫の背中が割れ、中から羽根の生えた蜂の様な虫が現れようとしていた
「孵化しようというのか?」
青年団のひとりが、そう言ったかと思った時…孵化したヴォィドが、背中の羽根を広げ飛び上がった
「焼き払えっ!」
「うわあっ!」
師範代の号令に火炎放射器を持っている青年団のひとりが、ソレを使って孵化したヴォィドを焼いた
「ヴォィドカウごと幼虫を全部焼き払うんだ。こんな物が政府とかに知られたら、エライ事になってしまうぞ!」
師範代が心配する様に、こんな恐ろしい生物が研究され戦争の道具にでも使われたら大変だ!ヴォィドカウは幼虫ごと全て焼かれた
「とにかく、間に合って良かったねぇ…」
アリスはヴォィドカウを発見できて、焼却できた事に安堵した。しかし、佐々木は青ざめている
「本当に間に合ったのかな?…もしかしたら、既に何匹か孵化して獲物を探しに行ったんじゃぁ…」
「もし、そうだったら最悪だ。この大きさのヴォィドカウですら、見付けるのにこんだけ日数が掛かったんだ。親指より小さいヴォィドなんて…探したところで見つからんだろうな…」
とりあえず、ヴォィドカウは焼却した。後は青年団を中心に蜂の様なヴォィドを今後も探す事になるが…正直、発見を期待するのは難しいだろう…
【沖田流道場】
に帰ると【消去の魔女】の父親が彼等の帰りを待っていた
応接室で徳川さんから【賢者の石】について、分かった事を説明してもらった
「クリスタルの中央に金色の文字で描かれている文章は、ダイヤの様な鉱石を粉まで削った後に固める形で書かれています」
「何処の国の言葉だったんですか?」
師範代の問いに少し考えた後で返事をする徳川パパ
「日本語です。正確に言うと…【神代文字】と言う天照大御神が実在していたと言われる程の大昔に日本で使われていた。と言われている文字でした」
「神代文字…という事は大昔の日本人が【惑星エリスア】に既に行っていた。という事でしょうか?」
兄である優輝の失踪から色々と調べていくうちに、オカルト分野にまで手を広げていた優香が興味深そうに訪ねた
「恐らくは…世界は何度かリセットされ、歴史を繰り返している。と言う学者も沢山居ます。ここからは想像も入りますが…
遥か大昔、今とは違う形で高度な文明を誇っていた地球…もしくは日本が宇宙にまで足を伸ばし【惑星エリスア】に到着した
しかし、その時の日本とはあまりにも違いがあるその星で生活していく為に、いくつかの道具を作った。そのひとつが、この【賢者の石】ではないかと予想しました」
「なるほど…それで前に港で試した時に【賢者の石】が起動しなかった原因は?ソレはもう壊れているとか?」
師範代はその可能性も考慮してアリスとの付き合いをしている佐々木が目の前に居るので、あえて最悪の予想である【賢者の石】の故障を聞いてみた
「いえ、正常に動いています。悪い、とは思いましたが試しに使わせてもらいました
私の妻は片目の視力を失っていたので【賢者の石】を握らせたまま、その回復を願わせました。そうしたら…妻の両眼は両方とも同じように機能する様になりました」
「賢者の石は壊れていないんですね」
「じゃあ何であの時、カルーア達の所へ帰る。って願いは叶わなかったのかなぁ?」
以前アリスは試しに【惑星エリスア】への帰還を試している。しかし、その時には何も起こらなかった
「クリスタルの内部の金文字には…「切望せし願いあらばコレを握り渇望せよ!さすれば幸せの感情を糧とし願いは叶う」
と記されています。恐らく…あの時アリスちゃんは、故郷への帰還を心の底から願ってはいなかったんじゃないのかな?」
「アリス、そうなのか?」
「うーん…本当は帰りたいけどぉ…佐々木お兄ちゃんをあのまま置いて行くのは…良いのかなぁ?って思ってたのぉ…何だか放っておけなくてぇ(笑)」
「やはり。心残りがあったから【賢者の石】は反応しなかったんだ。とりあえず、これはキミに返しておくよ」
徳川パパから【賢者の石】を返されたアリス
「アタシが本当に強く帰る事を思わないとぉ、石は反応しないのかなぁ…」
「俺のせいか…俺がアリスに心配掛けているのが故郷に帰る足枷になったのか…」
佐々木は頭を抱えた。自分への心配がアリスの帰還を阻む原因になっていた。アリスの幸せを望むなら自分はどうするべきなのか?
(ヴォィドへの心配が解消される頃には、アリスの為に俺も確かな答えを出さないとイケナイな…)
アリスと別れるのか?アリスと添い遂げるのか?その選択を迫られる佐々木。しかし問題のヴォィドは、またしてもしばらく息を潜めるのだった
続く
にやって来たアリスと師範代たち
国有地の山間部という事もあり道もろくに整備されていない為、ふだん人が出入りするような場所ではない。なので大部分が自然状態のままになっているので、ヴォィドカウが身を潜めるには格好の場所だった
「こんな所に居たのか…コイツは既に死んでいるのか?」
「はい!発見からピクリとも動いていません…ですが…」
青年団のひとりがヴォィドカウのお腹の辺りを指さした。みぞおち辺りの場所に、ソフトボールくらいの大きさの穴が開いている。そこから這い出しているヴォィドの幼虫
「これがヴォィドの幼虫なのぉ?…コイツがヴォイドゥルフを生み出して、アタシの故郷が壊滅される原因になったの…こんな幼虫が…」
アリスもヴォィドを見るのは初めてだったが、この幼虫に寄生されたゥルフメンが凶暴化し【ヴォイドゥルフ】になり、集団化してアリスの生まれ故郷を壊滅させた…ソレを思うとアリスの目に憎しみの炎が灯った
数匹の幼虫がウネウネ動く様子は、見ていて気持ちの良いものではなかった
「あっ!アレ!」
佐々木がヴォィドカウから少し離れた場所を指さした。そこには幼虫の背中が割れ、中から羽根の生えた蜂の様な虫が現れようとしていた
「孵化しようというのか?」
青年団のひとりが、そう言ったかと思った時…孵化したヴォィドが、背中の羽根を広げ飛び上がった
「焼き払えっ!」
「うわあっ!」
師範代の号令に火炎放射器を持っている青年団のひとりが、ソレを使って孵化したヴォィドを焼いた
「ヴォィドカウごと幼虫を全部焼き払うんだ。こんな物が政府とかに知られたら、エライ事になってしまうぞ!」
師範代が心配する様に、こんな恐ろしい生物が研究され戦争の道具にでも使われたら大変だ!ヴォィドカウは幼虫ごと全て焼かれた
「とにかく、間に合って良かったねぇ…」
アリスはヴォィドカウを発見できて、焼却できた事に安堵した。しかし、佐々木は青ざめている
「本当に間に合ったのかな?…もしかしたら、既に何匹か孵化して獲物を探しに行ったんじゃぁ…」
「もし、そうだったら最悪だ。この大きさのヴォィドカウですら、見付けるのにこんだけ日数が掛かったんだ。親指より小さいヴォィドなんて…探したところで見つからんだろうな…」
とりあえず、ヴォィドカウは焼却した。後は青年団を中心に蜂の様なヴォィドを今後も探す事になるが…正直、発見を期待するのは難しいだろう…
【沖田流道場】
に帰ると【消去の魔女】の父親が彼等の帰りを待っていた
応接室で徳川さんから【賢者の石】について、分かった事を説明してもらった
「クリスタルの中央に金色の文字で描かれている文章は、ダイヤの様な鉱石を粉まで削った後に固める形で書かれています」
「何処の国の言葉だったんですか?」
師範代の問いに少し考えた後で返事をする徳川パパ
「日本語です。正確に言うと…【神代文字】と言う天照大御神が実在していたと言われる程の大昔に日本で使われていた。と言われている文字でした」
「神代文字…という事は大昔の日本人が【惑星エリスア】に既に行っていた。という事でしょうか?」
兄である優輝の失踪から色々と調べていくうちに、オカルト分野にまで手を広げていた優香が興味深そうに訪ねた
「恐らくは…世界は何度かリセットされ、歴史を繰り返している。と言う学者も沢山居ます。ここからは想像も入りますが…
遥か大昔、今とは違う形で高度な文明を誇っていた地球…もしくは日本が宇宙にまで足を伸ばし【惑星エリスア】に到着した
しかし、その時の日本とはあまりにも違いがあるその星で生活していく為に、いくつかの道具を作った。そのひとつが、この【賢者の石】ではないかと予想しました」
「なるほど…それで前に港で試した時に【賢者の石】が起動しなかった原因は?ソレはもう壊れているとか?」
師範代はその可能性も考慮してアリスとの付き合いをしている佐々木が目の前に居るので、あえて最悪の予想である【賢者の石】の故障を聞いてみた
「いえ、正常に動いています。悪い、とは思いましたが試しに使わせてもらいました
私の妻は片目の視力を失っていたので【賢者の石】を握らせたまま、その回復を願わせました。そうしたら…妻の両眼は両方とも同じように機能する様になりました」
「賢者の石は壊れていないんですね」
「じゃあ何であの時、カルーア達の所へ帰る。って願いは叶わなかったのかなぁ?」
以前アリスは試しに【惑星エリスア】への帰還を試している。しかし、その時には何も起こらなかった
「クリスタルの内部の金文字には…「切望せし願いあらばコレを握り渇望せよ!さすれば幸せの感情を糧とし願いは叶う」
と記されています。恐らく…あの時アリスちゃんは、故郷への帰還を心の底から願ってはいなかったんじゃないのかな?」
「アリス、そうなのか?」
「うーん…本当は帰りたいけどぉ…佐々木お兄ちゃんをあのまま置いて行くのは…良いのかなぁ?って思ってたのぉ…何だか放っておけなくてぇ(笑)」
「やはり。心残りがあったから【賢者の石】は反応しなかったんだ。とりあえず、これはキミに返しておくよ」
徳川パパから【賢者の石】を返されたアリス
「アタシが本当に強く帰る事を思わないとぉ、石は反応しないのかなぁ…」
「俺のせいか…俺がアリスに心配掛けているのが故郷に帰る足枷になったのか…」
佐々木は頭を抱えた。自分への心配がアリスの帰還を阻む原因になっていた。アリスの幸せを望むなら自分はどうするべきなのか?
(ヴォィドへの心配が解消される頃には、アリスの為に俺も確かな答えを出さないとイケナイな…)
アリスと別れるのか?アリスと添い遂げるのか?その選択を迫られる佐々木。しかし問題のヴォィドは、またしてもしばらく息を潜めるのだった
続く
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