ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

文字の大きさ
56 / 170
化け物たちとの遭遇編

超人類のエリエス

しおりを挟む
【王都クラウン内通路】
ヒイロ達が明らかに疲労が溜まっているのを感じたアテナ。彼女はヒイロ達に提案する

「ババアも少し疲れておるでの。今日は皆でハイキングにでも行きゃせんかの?」

「他のみなさんが復旧作業をしているのにですか?」

【舞闘女神】の2つ名でクラウンにこの人有り!とまで言われているアテナの口から、まさかの息抜きが提案され驚くヒイロ達

「全員、そげな疲れた顔で手伝いをしても、他の者達に余計な気を遣わすだけやろが?それなら今日は気分転換して、明日以降にしっかり手伝えやエエじゃろ?…その方が捗るじゃろうしの?」

「お祖母様の仰る通りですわ。アリスお姉様もお顔の色が良くありませんわ。お外に出て英気を養われた方がよいですわ。私が腕によりを掛けて美味しいお弁当をお作りしますわ♪そうしましょう!」
 

「それでしたら、サーシャもお手伝いさせていただきますの!」
「コハラコも手伝うノ!」

アテナの提案を後押しするエリエス。サーシャとコハラコもその意見に同意したようだ

「この流れで断るのは、逆に良くないね。ね?ヒイロ。今日は羽根を伸ばすとしようよ!」

「そうだな…そうすっか!」

今日は復旧作業は休みにする!と言う方向で話がまとまった頃、コハラコが戻ってきた

「持ってきたの!食べようなの!」

「コハラコ。それはお出掛けにとっておくですの」

「ふみゅ?」

「みんなでお出掛けしましょうなの♪」



【クラウン東部の平原】
この辺りから真っ直ぐに南下すると…ヒイロ達の工房が在る【ヘルメスの街】へ向かう。移動の馬車などのルートのすぐ近くにある平原にやって来たヒイロ達とアテナ、エリエス

「すっごーい!何これ、美味しいの!」

「本当だねぇ!エリエスちゃん、料理も上手いなんて頭が上がらないなぁ(汗)」

エリエスとサーシャが作ったお弁当を楽しむ全員。2人の作った物はどれも美味しかったが、特にエリエスが作ったという玉子焼きは、群を抜いて美味だった

「ふふふ(笑)アリスお姉様に喜んでもらえて何よりですわ。それにコハラコちゃん、気に入ってくれた?」

「うんうん!エリエス凄い!一緒に住んで毎日作って欲しいノ!」

「はは、どうやらコハラコの味覚に突き刺さったみたいだね。でも、この味なら納得だね!」

サーシャの手料理をいつも食べているカルーア達だが…エリエスと作ったお弁当は、それに輪をかけて美味しかった


「ふぅ、美味しかったよ。ご馳走様。空気もお弁当も美味しくて良い気分転換になったな」

ヒイロを始め、みんなからも笑顔がこぼれていた

「しかし、実際エリエスさんは凄いよね」

「そうじゃのう…時にハイエルフのカルーアよ。何故にそう思ったのかの?」

カルーアの一言にアテナが質問をしてきた

「ん?そりゃあ…剣を握ってもAランクの強さでしょ。加えてヘパイトスさん並みの鍛冶屋スキル、そしてこの料理の美味さだからね
とても、わたしより2つ上の人とは思えないよね……あれ?それにしてもレベルが高過ぎるような気が…」
 

カルーアは特に何か思うところがあって言った訳ではなかったが、それがアテナに何かを決意させた

「ヒイロ君や、その腰にさげているソードはどんな物かえ?」

「これですか?えと、アリスが今持っているのと同じミスリル製ですよ?」

「そうだよねぇ」

正直、アテナのその質問が何を意味しているのかヒイロには分からなかった。が、エリエスはアテナのその言葉に何かを感じ、ゆっくりとその場に立ち上がった

「ヒイロ君たち聞いて欲しいのじゃ。実は…エリエスは人間では無いのじゃ」

「∑( °口° )!?えっ!そうなのぉ?」

普通の人間がその言葉を聞けば、もっと大きなリアクションをしているのだろうが…異種族で構成されているアルバート一家(ヒイロや三姉妹達を指す)には、それほど驚く事ではなかったのだが…それにしても人間ではない。は特別だ

「15年前の事じゃ。ワシは王都からの要請で、あの人達と共に新しく発見された古代文明の跡地の調査に行ったのじゃ
ワシは用心棒でついて行ったのじゃが…その遺跡の最深部には機械で動くゴーレム達がおっての、ワシも散々苦戦したが…何とか撃破して辿り着いた最奥の部屋にはゴツイ機械の部屋があっての。その部屋の中央に大きなクリスタルがあったのじゃ」

「大きなクリスタルって…もしかしてぇ、【賢者の石】みたいなぁ?」

クリスタルと聞き、そのチカラで地球へと導かれたアリスはすぐ様、反応していた

「まさにソレじゃ!クリスタルの台座と機械を結ぶ多くのパイプは、青く光っておった。そして常に地響きのような音も鳴っておったわい
まるでクリスタルの中に居る者に、エネルギーでも送っておる様じゃった」

「まさか?そのクリスタルの中に居た者、って言うのが…」

「そう!エリエスじゃ。そのパイプを切断するとクリスタルは砕け、中からエリエスが現れ目を開けたのじゃ!」

「……私はよく覚えてはいないのですけど…どうやら、そうらしいです」

「クリスタルの台座には【超人類・エリエス】と刻まれておった。王の判断により、ワシとあの人(ヘパイトス)が国家最大級の秘密として、エリエスを育てる事になったのじゃ……余談じゃが、それをキッカケにワシとあの人は結婚したのじゃがな(笑)」

「どうやら私(わたくし)は人類を超える人類を創造する為に産み出された、超人類とやらの試作品らしいのです」

唐突でスゴすぎる話に、言葉を失うヒイロ達。少ししてカルーアが口を開く

「その、超人類とか言う種族だから、エリエスさんは何をやっても凄い結果を出し続けてきたと言うのかい?」

「そうじゃ、ワシの舞闘術も3年程でほぼマスターし、あの人の鍛冶スキルも同じくらいの年数で会得した。ワシやあの人の20年程の成果を、その程度の年数でほぼ同じレベルで会得するエリエスにとっては、よほど退屈じゃったのじゃろうのぅ…料理をしたり精霊の宿る鉱石を探しに行ったりしよったわ」

「凄いですの!まさに、超人類の名前に偽り無しですの!」

サーシャだけでなく、ヒイロ達も呆気に取られていた

「アリスちゃんや」

「な、なぁにぃ…」

「そんな、何でも早すぎる速度で会得しちまうエリエスは完全に天狗になっておった」

「はは、そりゃ仕方ないってとこだよね(汗)」

世間では超上位種と言われるハイエルフのカルーアでさえ、エリエスの話には驚かされていた

「そんな孫の鼻っ柱をへし折ってくれたじゃろ?ババは感謝しとるんじゃ。この娘に「それでも上が居る!」と教える事が出来たからの
そんで、ひとつ頼みがあるのじゃが…今からその同じソードで、エリエスと戦ってやってくれんかの?」

「お願いします、アリスお姉様」

途方もない話に飲み込まれていたアリスだが…「それがエリエスちゃんの為になるのなら!」と、覚悟を決めて立ち上がった

「良いよ!エリエスちゃん。今度は本気だよぉ!」

「有難うございます!エクスカリバーじゃなくても強い所をお魅せします……刮目してくださいね!」


思いがけない事から、エリエスと再戦する事になったアリス。奢りの無くなった【超人類】エリエスに、アリスは勝負になるのか?



続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...