ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

打ち合わせと挑戦

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【アルバート家】
買い物から帰ったアリスから、ネネカさんが
「祭りの日に是非エルデスさんに、2-3曲自由に歌って欲しい。伴奏隊との打ち合わせをしたいので、なるべく早く商業ギルドに顔を出して欲しい」と言われた

「ヨシュア様~商業ギルドまで~ついてきてもらえませんか~?」

「あぁ良いぜ!アリスも一緒に行かないか?デザートくらいなら訓練で頑張っている褒美に奢ってやるぜ?」

「えっ!?本当にぃ?」

ヨシュアは彼氏としてアリスを誘っただけなのだが…その時、いくつかの思惑が交差した

「アリスお姉さま、ヨシュアさんとのお付き合いも仲良く続いているようですので、そろそろ苦手な料理に挑戦しても良いかと思いますの?」
「思いますノ!」

実はこの発言は、偶然サーシャが突発的に言い出した訳ではなかったのだ


【前日のアルバート家】
「えっ!?アリスお姉さまに料理を教えてあげて欲しいですの?ん~…もちろん、教えること自体は構いませんけど…」
 

「でもねエルデスさん。姉さんの料理の腕前の程は、実はわたし達も知らないんだよ…」

「えーっと~誰もアリスさんが料理するところを~見た事が~無いのですか~?」

サーシャもカルーアもアリスの料理の実力を知らないと言うので、仲の良い三姉妹にしては珍しいから驚いたエルデス

「実はですね…俺たち4人が初めて出会った8ヶ月前のあの日、お互いに自己紹介をして聞いたのですが……アリスの料理の腕前が壊滅的らしいので…
料理した事も無かった彼女の義父が、新しく料理にチャレンジしてまでアリスは料理をした事が無い。と聞かされましたので…」

「なんと~それ程でしたか~(汗)」

アリスの料理の腕前の酷さに…冒険者であるオッサンが彼女の為に、生まれて初めて料理を勉強することが必要になった。そんなレベルだったとヒイロから聞かされて、言葉を失うエルデス


【当日のアルバート家】
……と、いう会話がアリスとヨシュアが出掛けている内に話されていて、ヨシュアの為に彼女であるアリスに少しでも料理が出来るようになって欲しい!と、エルデスに思わせていた

「そういやぁ…カルーアのデザート、サーシャのご飯、ミルのご飯、エルデスのご飯……と、色々食べさせてもらったが…アリスが作った食事は…紅茶くらいしかもらってなかったな…」

「ふぎゅ!……えっとぉ…ごめんなさぁい…」

遂に、ヨシュアにアリスが全く料理が出来ないことがバレてしまった。いつまでも妹達やミルに頼ってばかりだけでは良くないと、料理を学ぶ決意をした!

「それじゃあヨシュア。わたしが一緒に行くよ。キミに聞いて欲しい話もあるからさ」

「そうか、いいぜ」

「ヨシュアが帰るまでに、絶対に上手く作れるようになってるからねぇ!」

カルーアと出掛けるヨシュアに、意気込みのほどを語ったアリス



【キッチン】
「ほらほら!包丁はもっと優しく握るんですの!材料を切る時はチカラを抜いて、必要なだけのチカラを込めるんですの!」
「………………………………………」

珍しい事だが、コハラコはいつもの様にサーシャの言ったことを復唱していない。実はコハラコはサーシャの作る料理が凄く美味しい!
という事を、その身で痛感したようで…サーシャが料理している時はコハラコなりに、一生懸命サーシャのやり方を覚えようとしている

「ふぬぬぬ……うぎぎぎぃぃ……お料理…なんて強敵なのぉ!…うにゅにゅにゅにゅ…」
 

「ほらほら、アリスお姉さま…料理は戦闘ではないんですの!もっと肩のチカラを抜いて…」

まずは、本当に簡単なメニューからアリスに教えているのだが…彼女の義父に料理する必要を覚悟させた程の腕前のアリスに料理を教えるというのは、かなり難しいようだった

「ごめんねぇ……でも!今回は覚えるまで頑張るからぁ!だからぁ…お願いしますぅ!」

いつも料理する事からは、真っ先に逃げ出すアリスが…今回は必死に料理に向き合っていた



【ヘルメス中央通り】
カルーア、ヨシュア、エルデスは街の中央通りを進み【商業ギルド】を目指していた。今日はいつもより少し人も多く、動きも活発に感じられた

「祭りが近いから、街が活気づいてるようだね。なんか、こう…嬉しく感じちゃうよね」

「そうですね~人もいつもより~少し多いような気がしますね~別の街からも~来ているのかも~知れませんね~」

ヘルメスほどの大きな街で祭りをおこなえば、かなり沢山のお金も動く訳なので…この好機(チャンス)を逃すのは商売人(アキンド)としては許されないことだろう

「商業ギルドマスターの奥さんだったか?
そのネネカって人、そうとうヤリ手なんだな?こういう好機(チャンス)を見逃さずに儲け話にして、オマケに新設される隣村との友好関係をシッカリ築くなんてな」

ネネカが有能だという事を理解したヨシュアが、その事を思わず口にした時、背後から近づいてくる女性がいた

「ふふふ…お褒めに預かり光栄です。先程はソコまで分かりませんでしたが……ふむ。ウチの旦那とは違って賢そうな目をしていますね。これは将来有望な人材かも知れませんね(笑)」

「悪かったな!頭が悪そうな旦那でよっ!」

商業ギルドの前まで来たカルーア達。雑談しながら来ていたら、ネネカさん達に話を聞かれていたようだ

「さっそく連れてきたぜ。この…エルフのクセにやたらと胸がデカいのが、さっき話していたエルデスだ。村に居た頃に何度か聞かせてもらったが、コイツの唄声はマジで癒されるぜ」

「あはははは~そう褒められると~恥ずかしいですね~なるべく~頑張りますね~」

人前なのに、ヨシュアに褒められてマイペースに照れるエルデス。彼女はネネカとジュリアンに連れられて、当日ステージになる場所で打ち合わせを始めた
周りで屋台造りの為に作業している男女の元気な声が、次の祭りへのヤル気の高さを感じさせ街はテンションアップしている

「んで、カルーア。俺に聞かせたい話って何だよ?…わりと大事な話なんだろ?」

「うん……あのさ。今すぐ、と言う訳ではないんだけどね……わたしは何時か…あの古代遺跡を制覇したいと思っているんだ…」

かつて……三姉妹と美人姉妹、舞闘女神に超人類、聖騎士勇者隊、ホロワーズ。などなどの豪華パーティをもってしても…地下1階すらクリア出来なかった古代遺跡ダンジョンに、再挑戦したいと言い出すカルーア

「本来なら……馬鹿なこと言ってんじゃねーよ!!って言うところなんだろうけどな…ミオランダとかいう、過去のエルドラド王国に封印されているヤバい奴に勝利できるようになる為に!なんだろ?なら仕方ねーよな」

流石にヤバい話ではあるが…カルーアの言うことも理解できるヨシュアは…

「理解できるぜ。ま、焦らずゆっくりやろうぜ!どうせ、そう簡単には行かないだろうからな」

「まぁそうだよね…ごめんね。わたしのワガママで危険な目に……」

「言うなって!俺の彼女の妹の大事な話なんだからよ…親身になって、可能な限り協力してやるよ。だが!コッチからもひとつ、お願いだ」

「何かな?言ってみてよ…」

「アリスの料理の腕前…マジで頼む!」

なまじ、サーシャ、エルデス、ミルたちの美味しい料理に食べなれてしまったので…アリスにも料理が上手くなって欲しい!と心から願うヨシュアだった



続く
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