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憎奪戦争編
悩める乙女たち
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【ダラボ村】
「………んっ!?あたっ!…ナニ、頭が痛い…」
「…あてててっ!?後頭部が……」
「で~!」
「おや?お気づきになられましたか…」
ランドルフ達に襲われた【北の勇者隊】は布団の上で目を覚ました。その傍(かたわ)らには、プディングとラデュードが襲った少女と初老の老人が居た
「ほれ、紅茶しかないが飲みなされ」
北の勇者隊の2人は差し出された紅茶を飲んだ
「ありがとう…貴方たちが助けてくれたんだろ?助かったよ…それと、さっきは悪かった」
「そうだ!それだよ!…その、私たちはアンタらから荷物を強奪したんだよ。どうして助けてくれたのさ?」
そう。プディング達に襲われた少女と初老の男性。むしろ加害者である彼らがプディング達を助ける必要など、有るハズもない話なのだが…
「ふう…その通りじゃ。ハッキリ言うとワシはお前さん達を助ける気など毛頭無かったわ。しかし、ボッチ様がどうしても助けたい!と、言って聞かなくてな…」
「でー!」
少女は目覚めたばかりのプディング達の顔を、心配そうに見詰めている
「爺さん、アンタは「でー」としか言わない彼女の言葉が解(わか)るのか?」
ラデュードは「でー」のひと言しか言わない少女との会話など、どうやってしているのか?普通に疑問を感じた
「彼女…ボッチ様はこの【ダラボ村】の巫女様なのじゃ。彼女の家系は代々この近くの遺跡を守る為に存在しておる。それでワシは…ワシの一族は代々ボッチ様のお世話役をしているのじゃ」
「なるほどね…「でー」しか言えないんじゃ、1人では買い物だって出来ないよな」
プディング達は少女と爺さんの関係性を理解した。流石に助けられたお礼代わりにと、自分達の素性を話し始めた……
……………………………………………
「なるほどの…大陸北西の外れの出身か。一旗上げようとヘルメスの街に出向いて、猛者と戦い名をあげようとしたら…返り討ちに会った。しかも、挑んだ相手が王都クラウンの直属の聖騎士様だった挙句に…街で人気の鍛冶師の妹に嫌がらせをして立場を失い、このマリニウムまで流れて来おったか…ふむ、つくづく自業自得じゃのうw」
「んんぅ…」
「ぐうっ…」
あまりにも言われる通りなので、何も反論出来ないプディングとラデュード
「でー、で~!」
何やらボッチ様と呼ばれる少女がお決まりのひと言を言いながら、両腕をパタパタさせた後に両手をお腹にあてた
「そうですな。ボッチ様、そろそろ飯にしましょうかの……お前さん達も食べていくか?」
「あの…そこまでしてもらっても…良いのですか?………そうですか!有難うございます!」
わりと自己中な部分があるプディングさえも、自分が襲った相手に介抱され、オマケに飯までご馳走してくれると言うので、かなり申し訳ない気持ちになっている
その時、部屋の中や部屋の外を見渡しているラデュードが、何かに気が付いたようだ
「爺さん!今チラッと庭を見たが、雑草が伸びてるじゃねーか。助けてもらったのと飯の礼を兼ねて、草むしりくらいさせてくれ!」
「ボッチ様と2人暮らしなので、なかなか手が行き届かなくてのぅ。やってもらえたら大助かりじゃな」
「任せておいて!ラデュード、ここまでして貰って恩を返さなくちゃ…2度と勇者隊なんて名乗れないわね!」
「そうだな、良しやるか!」
「玄関の脇に鎌が置いてある。ソレを使ってくれたら良いぞ」
「サンキューな。少し借りるぜ!」
仇を恩で返された北の勇者隊の2人も流石に反省したようで、丹精込めて草刈りを頑張った
【ホロミナティ新アジト】
「ふんふんふーん!掃除すっと心が洗われるようで、きんもち良いさな!」
自分の部屋の掃除を終えたノエールが、大広間まで掃除を始めた。自分に与えられた部屋の掃除も雑に終わらせたサケマタが、気分良さそうに働く彼女の様子を眺めていた
「ノエールだっけ?働き者だねー」
「クーロエさん?…みんなであづまって何かするのって久しぶりな感じがしてなぁ、けっこう楽しいんだな」
「ふーん…まぁ、たまには和気あいあいとするのも悪くはないかな?とは思うかなー…ふむ。サケマタも何かみんなの為に働きますかねぇ?」
働き者のノエールと必要最低限の事しかしないサケマタは、実に対照的だが性格的に上手く噛み合っているようだ
【ミーコの部屋】
「うみゅみゅみゅみゅー!……は!わかんない!分かんないったら、分かんないぃ!」
机に向かって座り、コヨリィが描きあげた結界の術式図を眺めて頭を悩ますミーコが居る
「ミーコ様も分かりませんか?」
「そう言うコヨリィはどうなのにぇ?」
話を振られたコヨリィは、ミーコが座っているテーブルの端っこに腰を下ろした
「難しい!と言わざるを得ませんね……結界は異なる術式を4っつ組み合わせた物ですが…1-3番目までの物は、よくある精霊魔法の3パターンを組み合わせているに過ぎないので大した問題ではないのですが…4っつ目の術式が厄介ですね
見た事の無い言語パターンで組まれてますので、迂闊に手を出せないので困っていますw」
コヨリィの言葉には重みが有った。長年研究し続けた者による言葉選びと、分かりやすい様に順序だてて話している点だ
ソレを聞いたミーコが、少し悩んだ後…
「4っつ目の術式に使われている言語は…【神代文字】だにぇ!」
「えっ!?あの…この星の遙か外から大昔にやって来たという、あの古代人が使っていたと言われる【神代文字】ですか?……確かに、そう言われると…何処かで見たことが有るような気がしますね…」
「ソレと…更に問題なのが、ひとつ目から3つ目までの結界を弄(いじ)ろうとすると…4っつ目の術式が形を変化しようとする事だにぇ…」
一見。ちょっと、おバカそうに見えるミーコだが、自称天才のコヨリィよりも1歩先の地点で悩んでいた事に驚かされるコヨリィ
「うみゅみゅー…これ以上悩んでも答えは出なさそうだにぇ。…あっ!?お腹すいてきたにぇ」
「……そうですね。そろそろご飯ができる頃でしょうか?見てきますね」
結界を解く術を見出せなかったが、とりあえず4人で1つのテーブルを囲み仲良く晩メシを食べることにした
「んほっ!?このスープは美味しいですね♪このアジトには大した食材は無かったのに…これはノエールさんが?」
「大豆があったでな。磨り潰してから団子にして、保存用に持ってた干し魚から出汁とってみたんだ」
「んでんで、サケマタがその干し魚をナイフでスライスして~肉団子の中に混ぜて油で焼いてみたって訳。ソレも美味しいっしょ?」
「うんうん♪美味しいにぇ!ミーコとコヨリィの目的が達成されたら4人で料亭を営むのも良いかも知れないにぇ♬」
【ホロミナティ】
ミーコの魔眼による暗示によって結成された秘密結社ではあるが、寝食を共にする事によって少しずつ結束が生まれていた。果たして彼女たちの目的とは?
続く
「………んっ!?あたっ!…ナニ、頭が痛い…」
「…あてててっ!?後頭部が……」
「で~!」
「おや?お気づきになられましたか…」
ランドルフ達に襲われた【北の勇者隊】は布団の上で目を覚ました。その傍(かたわ)らには、プディングとラデュードが襲った少女と初老の老人が居た
「ほれ、紅茶しかないが飲みなされ」
北の勇者隊の2人は差し出された紅茶を飲んだ
「ありがとう…貴方たちが助けてくれたんだろ?助かったよ…それと、さっきは悪かった」
「そうだ!それだよ!…その、私たちはアンタらから荷物を強奪したんだよ。どうして助けてくれたのさ?」
そう。プディング達に襲われた少女と初老の男性。むしろ加害者である彼らがプディング達を助ける必要など、有るハズもない話なのだが…
「ふう…その通りじゃ。ハッキリ言うとワシはお前さん達を助ける気など毛頭無かったわ。しかし、ボッチ様がどうしても助けたい!と、言って聞かなくてな…」
「でー!」
少女は目覚めたばかりのプディング達の顔を、心配そうに見詰めている
「爺さん、アンタは「でー」としか言わない彼女の言葉が解(わか)るのか?」
ラデュードは「でー」のひと言しか言わない少女との会話など、どうやってしているのか?普通に疑問を感じた
「彼女…ボッチ様はこの【ダラボ村】の巫女様なのじゃ。彼女の家系は代々この近くの遺跡を守る為に存在しておる。それでワシは…ワシの一族は代々ボッチ様のお世話役をしているのじゃ」
「なるほどね…「でー」しか言えないんじゃ、1人では買い物だって出来ないよな」
プディング達は少女と爺さんの関係性を理解した。流石に助けられたお礼代わりにと、自分達の素性を話し始めた……
……………………………………………
「なるほどの…大陸北西の外れの出身か。一旗上げようとヘルメスの街に出向いて、猛者と戦い名をあげようとしたら…返り討ちに会った。しかも、挑んだ相手が王都クラウンの直属の聖騎士様だった挙句に…街で人気の鍛冶師の妹に嫌がらせをして立場を失い、このマリニウムまで流れて来おったか…ふむ、つくづく自業自得じゃのうw」
「んんぅ…」
「ぐうっ…」
あまりにも言われる通りなので、何も反論出来ないプディングとラデュード
「でー、で~!」
何やらボッチ様と呼ばれる少女がお決まりのひと言を言いながら、両腕をパタパタさせた後に両手をお腹にあてた
「そうですな。ボッチ様、そろそろ飯にしましょうかの……お前さん達も食べていくか?」
「あの…そこまでしてもらっても…良いのですか?………そうですか!有難うございます!」
わりと自己中な部分があるプディングさえも、自分が襲った相手に介抱され、オマケに飯までご馳走してくれると言うので、かなり申し訳ない気持ちになっている
その時、部屋の中や部屋の外を見渡しているラデュードが、何かに気が付いたようだ
「爺さん!今チラッと庭を見たが、雑草が伸びてるじゃねーか。助けてもらったのと飯の礼を兼ねて、草むしりくらいさせてくれ!」
「ボッチ様と2人暮らしなので、なかなか手が行き届かなくてのぅ。やってもらえたら大助かりじゃな」
「任せておいて!ラデュード、ここまでして貰って恩を返さなくちゃ…2度と勇者隊なんて名乗れないわね!」
「そうだな、良しやるか!」
「玄関の脇に鎌が置いてある。ソレを使ってくれたら良いぞ」
「サンキューな。少し借りるぜ!」
仇を恩で返された北の勇者隊の2人も流石に反省したようで、丹精込めて草刈りを頑張った
【ホロミナティ新アジト】
「ふんふんふーん!掃除すっと心が洗われるようで、きんもち良いさな!」
自分の部屋の掃除を終えたノエールが、大広間まで掃除を始めた。自分に与えられた部屋の掃除も雑に終わらせたサケマタが、気分良さそうに働く彼女の様子を眺めていた
「ノエールだっけ?働き者だねー」
「クーロエさん?…みんなであづまって何かするのって久しぶりな感じがしてなぁ、けっこう楽しいんだな」
「ふーん…まぁ、たまには和気あいあいとするのも悪くはないかな?とは思うかなー…ふむ。サケマタも何かみんなの為に働きますかねぇ?」
働き者のノエールと必要最低限の事しかしないサケマタは、実に対照的だが性格的に上手く噛み合っているようだ
【ミーコの部屋】
「うみゅみゅみゅみゅー!……は!わかんない!分かんないったら、分かんないぃ!」
机に向かって座り、コヨリィが描きあげた結界の術式図を眺めて頭を悩ますミーコが居る
「ミーコ様も分かりませんか?」
「そう言うコヨリィはどうなのにぇ?」
話を振られたコヨリィは、ミーコが座っているテーブルの端っこに腰を下ろした
「難しい!と言わざるを得ませんね……結界は異なる術式を4っつ組み合わせた物ですが…1-3番目までの物は、よくある精霊魔法の3パターンを組み合わせているに過ぎないので大した問題ではないのですが…4っつ目の術式が厄介ですね
見た事の無い言語パターンで組まれてますので、迂闊に手を出せないので困っていますw」
コヨリィの言葉には重みが有った。長年研究し続けた者による言葉選びと、分かりやすい様に順序だてて話している点だ
ソレを聞いたミーコが、少し悩んだ後…
「4っつ目の術式に使われている言語は…【神代文字】だにぇ!」
「えっ!?あの…この星の遙か外から大昔にやって来たという、あの古代人が使っていたと言われる【神代文字】ですか?……確かに、そう言われると…何処かで見たことが有るような気がしますね…」
「ソレと…更に問題なのが、ひとつ目から3つ目までの結界を弄(いじ)ろうとすると…4っつ目の術式が形を変化しようとする事だにぇ…」
一見。ちょっと、おバカそうに見えるミーコだが、自称天才のコヨリィよりも1歩先の地点で悩んでいた事に驚かされるコヨリィ
「うみゅみゅー…これ以上悩んでも答えは出なさそうだにぇ。…あっ!?お腹すいてきたにぇ」
「……そうですね。そろそろご飯ができる頃でしょうか?見てきますね」
結界を解く術を見出せなかったが、とりあえず4人で1つのテーブルを囲み仲良く晩メシを食べることにした
「んほっ!?このスープは美味しいですね♪このアジトには大した食材は無かったのに…これはノエールさんが?」
「大豆があったでな。磨り潰してから団子にして、保存用に持ってた干し魚から出汁とってみたんだ」
「んでんで、サケマタがその干し魚をナイフでスライスして~肉団子の中に混ぜて油で焼いてみたって訳。ソレも美味しいっしょ?」
「うんうん♪美味しいにぇ!ミーコとコヨリィの目的が達成されたら4人で料亭を営むのも良いかも知れないにぇ♬」
【ホロミナティ】
ミーコの魔眼による暗示によって結成された秘密結社ではあるが、寝食を共にする事によって少しずつ結束が生まれていた。果たして彼女たちの目的とは?
続く
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