ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

「分かった!……分かんない!」

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【マリニウム遺跡】
「にゃっはろ~。どう?結界の解除は目処が付きそうかにゃ?」

「うーん……駄目ですねぇ…幾つもの結界が重ね張りしてある感じですね。そのひとつひとつが違う術式で編まれてますので…この場でスグに解除するのは難しいですね。1度落ち着いた場所で研究させて欲しいですぅ(汗)」

巨大な結界でその姿を隠されていたマリニウム遺跡。ソレを覆う巨大で複雑な結界の張られ方から、ここが凄く大切な何かを隠しているのは明白なのだが…

「それならさー、1度アジトに戻ってご飯にしましょうよー。サケマタお昼も食べずに来たから…もぅツラくってー…」

「ミーコ様。オラもお腹すいたんでアジトでご飯に賛成なんよ。帰りましょうよ」

「そうさなー…少し待って!エリートなミーコも1度結界を調べてみるにょ………」

サケマタとノエールから、コヨリィの結界解除が進まないのなら1度アジトに帰ろう。の意見を一旦保留にして自ら結界を調べだしたミーコ

「ふむ…どれどれなぁ…」

ミーコが結界に触れ意識を集中させると…彼女の眼が怪しく光り始める。どうやらミーコは魔眼持ちのようだ

「うーん………にょ!?分かった!!」
 

「えっ!?本当ですかぁ!」

自称天才のコヨリィが散々調べても分からなかった結界の解除方法を、僅かな時間で理解した!というミーコに驚くコヨリィ。だが…

「ここを、こうして…ソコをそうすれば……ふほっ!?…あにょ?…あっ……分かんない!」

「ちょっとー!期待したじゃないですかぁ!」
「ははは…駄目っぽいっすねー」
「んじゃー、けーるべな…」

元気でノーテンキな口調で「分かった!分かんない!」と言うミーコのそのサマは、まるでコントの様に見えたコヨリィ、サケマタ、ノエールの3人は思わずズッコケそうになったw

「それはそうと…実は困った事があるのね…」

「何ですか?困った事って?」

「その…怒んないで聞いてにぇ…あのね、アジトなんてものは無いのだっ!」

「あはは……無いんだ。アジト……あっ!そうだ!ココに来る途中でオーク達が占拠してるログハウスみたいのが有ったんですけど…そこ、ぶん取っちゃいません?」

「ノエールとサケマタの2人で制圧出来そうかにぇ?」

目当ての遺跡調査にまだまだ日数を必要とする事になったので、近くに拠点を構えるのが必須になった彼女たちは、是が非でもアジトが必要だった



【ホロミナティ新アジト】
「ノエール!お前は素晴らしい奴だにぇ!褒めてやるぞ!ヨシヨシ!」

「のほほほほ!オークの10匹くらいは、なんて事はねーんさよ!これからも、任せてくんなし!」
 

「いやいやいや、サケマタも手伝いましたよね?3匹は倒しましたよ?」

「コヨリィは頭脳派ですから、戦闘方面はお任せさせてもらいますからね」

ホロミナティの4人はサケマタの提案を採用し、マリニウム遺跡から1kmほどの位置にあるオーク達が占拠していたロッジを、ノエールとサケマタの2人でチカラずくで強奪し、自分達【ホロミナティ】のアジトとした


「ミーコ様。都合良く個室が4部屋あって大部屋がひとつ有りますから…大部屋を食堂 兼 会議室にして、1人1部屋を割り当てる。って感じでどうでしょう?」

ミーコはコヨリィの提案に二言返事で了承した。落ち着いたところでサケマタが叫んだ!

「だーかーらー、お腹空いたんですってば!誰かご飯作ってくださいよー!」

「任せてくんなし!料理は趣味なんでな!」

「じゃあコヨは自室を整理して、記憶しておいた結界を書き起こしますので…ご飯が出来たら呼んでくださいねぇ♪」

料理に自信があると言うノエールが料理を始めた。よほど空腹が我慢できないのか?出来そうにないサケマタもノエールの手伝いを始めた。研究に打ち込むための自室が確保できたコヨリィは、ご飯の事よりも結界の打破の方が興味あるようだ

「ミーコも自室を掃除してくるにぇ!」

かくして寄せ集めの秘密組織ホロミナティはアジトを新設し、ソコを拠点に活動を始めたのだった



【スズカの街郊外】
街中に必要な買い物と宿屋を探しに行った【北の勇者隊】プディングとラデュード。だが、心なしか2人の表情は険(けわ)しかった

「私らはお客様だ!つーのにさ…なにが!
「長期滞在はご遠慮頂いてます」よ!宿屋のクセに客を選ぶとかどーいう事よ!!」

「なんかよ、街の連中の空気おかしかったよな。食材も販売量が限定されてて「街の人間以外には決まった量しか売れない」って何かあるんだろうよな」

2人は街の内の者なのか?外の者なのか?で、対応が変化していた宿屋や販売店の態度に何か不信感を感じていた


「でー、でー…で~♪」

「ボッチ様。大量に買ったとはいえ、値引きしてもらえまして良かったですなぁ」

北の勇者隊の前方にリヤカーを押す初老の男性と、リヤカーを後ろから押している少女がいる。何故か、その少女は「でー」としか言てっいない

「おいプディング!アイツらは街の人間か?やたら食料とか買い込んでるじゃねーか?」

「変だね…街の外の者には販売制限がある。って言ってたのにヤツらは、しこたま買ったみたいね……なのに、街中の者にしてはリヤカーに載せて郊外へ出ていこうとしている…いったい、どういう事なんだろうね?」

2人で大量に買えている事から街中の者だと思われる彼らだが、何故かリヤカーで街の外へ運んでいる。話のツジツマが合わない

「ラデュード。やっちまおうか?」

「そうだな…ヨソ者は1泊しかさせられない。って言われて宿泊を断っちまったしな。食料もこれだけじゃ長くはもたないからな」

……………………………………………

「うわ!?貴方たちは何を!?…ぐあっ!………ボッチ様、ご無事ですか?」

不遇の対処をされて、この先の生活に不安を感じていた北の勇者隊はリヤカーを押す2人を襲撃し、詰まれていた食材を手持ちの袋の中に詰めるだけ詰めて逃走した

「で~~~で~~」
 

「良かった…ご無事ですね!何とか荷物も3分の1が奪われた程度で済みましたか…よりにもよってボッチ様から奪うとは……天罰が下ることでしょうな」

流石に【北の勇者隊】を自称するだけあって、襲った時に気絶させただけに抑えてその間に盗んで立ち去り、2人に大怪我させたりはしなかったようだ

……………………………………………

「これで数日間は何とかなりそうだね」

「まーな。しかし、悪い事をしちまったか?ガキンチョと老人を襲って奪うなんてな…」

「何いってんのさ!チカラ無き事は罪なんだよ!自衛も出来ないのに、見合わない物量を運んでたヤツらが悪いのさ!」

とんでもない事にプディングは【勇者】を自称していながら、襲われた方が悪いと言っている始末だ。しかし、そんな2人の背後に迫る者が居た

「気が合うなアンタら!その考え方、俺も同意するぜ……もっとも、お前らには同情すら湧かないがなっ!!」

「ぎゃヒイィっ!?」
「グあびゃあっ!?」

リヤカーを襲った北の勇者隊を、更に襲って追い剥ぎしたのは……地下の魔界世界からやって来た狼魔人(ランドルフ)だった

「私たちが言うのもなんだけど…あの2人、根性腐ってるわね!」

「そうだな。良心の痛まない暴力は愉快痛快だぜ!この辺りは俺の得意フィールドの山が多い。ここらで俺らの縄張りを作るか!」

「そうね。流石にこんな遠い土地には…彼らも現れないでしょうね」

と、言ってる2人だが…プディング達を襲うのにランドルフだけで襲ったのは、最悪の事態を考慮しレキシントンの面を広めさせない為でもあった。無論、ランドルフ1人でも余裕で勝てる自信もあったのだが…

ヘルメスの街からグッと東に離れたマリニウム地方を、活動拠点にしようと目論むランドルフとレキシントンだった



続く
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