ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

任せられる背中

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【古代遺跡地下2F】
現在カルーア達の古代遺跡調査隊は黒龍(ブラックドラゴン)から聞いていた安全地帯(セーフティゾーン)で休憩していた

ホロワーズはテントを組み立て始め、サーシャ、コハラコ、エルデスが食事の用意を始めた

「オマエ良い匂いがするな。気に入ったぜ!僕はベイオネット、お前の名は何てんだ?」

「ありがとう。私(ワタクシ)はミャンジャム・イレイユ。王都クラウンの聖騎士よ、宜しくね」
 

ミャンジャムは現出したベイオネットの精霊と会話していた

「ところでベイオネットはどうして私(ワタクシ)と同じ見た目をしていますの?」

「オマエは僕が現出する時に、僕の姿をイメージしなかったろ?だから、オマエの姿を真似させてもらったんだ」

「そうなのですね…あの、お互いもう少しフレンドリーな呼び方にしませんか?私(ワタクシ)の事は【ミャン】で良いでわよ」

「そっか、なら僕のことは【ベイオ】って呼んでくれてイイぜ♪」

素直な妖精ベイオネットと、頭はキレるがズル賢い事が嫌いなミャンジャムは、スグに意気投合しお互いに「ミャン」「ベイオ」と呼びあう事にしたようだ

アドルは研石(とぎいし)を出しクレリアソードを研ぎ直していた。それだけ魔装機兵のボディは堅いようだ
その隣でメリーズは精神集中しながら、消費した魔力の回復につとめていた



【晩ご飯】
「皆さん、ご飯が出来ましたの!」
「美味しく~頂きましょう~」

サーシャとエルデスの声で全員が集まり、出来たての晩ご飯を食べ始めた

「アリスお姉さま、大丈夫ですの?」

「んー、うん。大丈夫だよぉ…でも、双頭龍(ヒュドラ)ちゃんてば凄く強かったぁ…」
 

サーシャはアリスがいつもの様にガツガツと食べずに、箸がスローペースな事に気が付き心配している様だ。にしても、大怪獣の様な見た目の双頭龍を「ちゃん」呼びする辺りはアリスらしい

「エリエスさんもツラそうだね。大丈夫かい?」

「あ、はい…双頭龍(ヒュドラ)かなり強かったですわ…」

カルーアもエリエスの疲労が深いことに気が付く。1Fの攻略で唯一、限界までチカラを振り絞って戦ったアリスとエリエス。その2人の身を案じた

地下2Fの守護者にチャレンジするにも、全員が万全の状態の方が良いだろう。と、いう事で仮眠をする事に決まった



【ダンジョンの夜】
黒龍(ブラックドラゴン)の話ではタイルフロアに居る限りは襲われない。という話だが、場所が場所だけに一応見張りを立てている

「時間だ。交代しようぜ。アンタらも休みな」
「わたし達が警戒するから、安心して寝てよ」

「眠かったから助かる~」
「お願いしますピョン!」
「ごめんね。よろしくね」

テントから出てきたヨシュアとカルーアが、ホロワーズの3人と見張りを交代した

「ダンジョンの中でも暗くなるんだな。さっきまでは明るかったのによ…外と連動しているみてーだが、地下なのにどうなってんだ?」

ヨシュアはダンジョンの地下なのに、外と同じように明るかったのが時間に合わせて暗くなっている事に疑問を抱いていた

「たぶんだけどね。壁や天井の岩、足元に転がっている石は精霊石だと思うんだ」

「石や岩が生きてるってのか?」

「うーん…生きてるって言っても良いのか?は分からないけど、ただの鉱石ではない気がするよ。微弱だけど精霊が宿っている感じかな?」

「なるほどな。その精霊が生物の活動時間に沿うように光度を調整してるのか…古代人の化学って奴なのかもな…」

外の世界と合わせて光度が変化する不思議なダンジョン。地球から来た古代人の技術なのかも知れない


「ねぇヨシュア。聞きたい事があるんだけどさ…アリス姉さんの事だけど…良いかな?」

「アリスの妹からの質問に答えない訳にはいかねーよ。何でも聞いてみろよ」

見張りの時間を有意義に使おうとするカルーアは、都合よくヨシュアと2人になったので気になっていた事を質問する

「キミ達は成り行きみたいな感じで付き合い始めたじゃないか?今キミは、本当のところ姉さんの事、どれだけ本気なんだい?」

「そうだな……かなり気に入っているぜ。曖昧な返事かも知れねーけどよ。俺は人と恋愛した事がねーからよ…これ以上は上手く言えねーな」

照れ臭い内容だった為、カルーアから視線を外して返事したヨシュア

「そっか、うん。そうだよね…コッチの都合で悪いんだけど…姉さんはキミで4人目のお付き合いなんだ…姉さんは、ほら!純粋無垢だろ?」

「そうだな。あんな分かり易く考えてる事が顔に出る奴は、そうそう居ねーだろうな(笑)」

「だからさ…姉さんはいつも真剣に付き合ってると思うんだ。あんまり別れを繰り返すと…ソレが当たり前みたいになって、人と本気で付き合えなくなったりしないか…心配なんだよ」

ヨシュアの目には、本気で姉であるアリスを心配するカルーアの顔が映っている。軽い話ではない事を悟るヨシュア

「なるほどな。姉が純粋過ぎるから、妹としては凄く心配な訳だな…任せとけ!
って言いたいけどよ…俺もまだ12歳なんだぜ?まだまだ人生経験が足りてねーよな」

「そ、そうだね(焦)わたし、ちょっと気持ちがはやり過ぎてみたいだね。はは…」

「12歳」と言われ思わず「はっ!?」としたカルーア。かつてサーシャに
「わたし達はまだまだ若いんだ。そんなに急ぐことはないだろう?」
と何度も言ったのはカルーア本人だった

「まあ良いさ。そんだけアリスの事が心配なんだろう?……でもよ、まだ若くても俺は元魔王(ザッド)の息子なんだぜ。可愛い女の1人も本気にさせられねーようじゃ、カッコつかねーよな。少し時間は掛かるかも知れねーが、任せておいてくれ」

(なんだ。姉さんの事、本気で考えてくれているんだね。彼なら…ヨシュアなら、姉さんを幸せにしてくれるだろうな)
 

「まだ、わたし達は若いんだ。そんなに急ぐことは無いよね?姉さんをよろしく頼むよ」

まだ小さなヨシュアの背中だが、純粋無垢な姉を任せるに足りる背中だと認めたカルーア
(彼が姉さんの帰るべき場所になってくれそうだ……わたしは、常にヒイロが家で待ってくれてるから…わたしが無事に帰りさえすれば何時(いつ)でも会えるんだから、わたしの方が幸せかな?)

常にヒイロが待って居てくれる。それが当たり前だと信じて疑わないカルーアだったが…彼が既にアルバート家からマリニウム王国に出掛けているなど、当然知る由もなかった



続く
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