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憎奪戦争編
異変の始まり
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リキュールとケチュアが、オルガスとチェイムを連れて…エーデにとっても亡き両親の仇を討つ機会を伺いミクイと共に…そして、ヒイロが叔父のロベルトに案内され、ケチュアからの情報によりオヅベルド伯爵が叛乱を企てているという、ここマリニウム地方に役者が揃おうとしていた頃。静かに異変は始まっていた…
【マリニウム山岳の東の麓(ふもと)の村】
「おい爺さん、今朝は飯の用意がまだみたいだけど…何かあったのかい?」
北の勇者のひとりラデュードが、いつもの時間にキッチンに来ても…今朝は何も用意されていなかったので、食事係りの爺さんの部屋を訪ねた
「すまんのう…くっ!?あ、痛たたた…」
「どうした?どこか怪我でもしたのか?」
「そういう訳ではないが…腰を捻(ひね)ってしもうてのう…ちょっと待っとれ。今、起き…つっ!」
どうやらボッチちゃんの世話役のお爺さんは、寝ている時に寝返りをした拍子に腰を痛めてしまったらしい
「分かった、分かった!爺さんは寝てろ。プディングも多少は料理が出来るからよ…おーいプディング!……プディング?」
爺さんの代わりにプディングを手伝い朝食の用意をしようとしたラデュードだったが…そのプディングが見当たらない…
「プディングー!どこだー?」
「ガチャ!」
すると奥のボッチちゃんの部屋からプディングが、血相を変えて飛び出してきた!
「お爺さんっ!ボッチちゃん、凄い熱が出てて凄い苦しそうにしてるんだけど?」
「なんじゃとっ!?…まさか?早過ぎる!」
その話を聞いた爺さんが、かなり険しい顔付きになったのを見たラデュードは、ただ事ではないと理解し爺さんを背中にオンブしてボッチちゃんの部屋を訪ねた
「…で~…ででー…」
「どうしたんだ?凄い汗をかいてるじゃないか!…爺さん、これは?」
「マズイのう…周期が予想以上に早くなっておるのう…すまんが、お主らワシらを連れてある場所に向かって欲しいのじゃ!」
「近くにお医者さんでも居るの?」
しかし、お爺さんの案内は北の勇者の2人の予想に反していた。山の麓のその場所から街に降りていくのとは真反対に、ボッチちゃんを乗せたリヤカーを山の奥へと走らせた
【遺跡の西ホロミナティの暫定アジト】
その頃、急造の秘密結社であるホロミナティが拠点にしているアジトでも、慌ただしい動きがあった。それはノエールが朝食の用意をしていた時の事だった
「みなさーん!起きてますかぁっ!…ってか起きてくださーい!大変、大変、大変なんですよっ!」
「朝食ですけ?今シチウが出来たとこだべさ。もう少しでご飯も炊き上がるでな、良い子良い子でもう少し待っててくんなまし」
朝の見回り兼、趣味の散歩に出ていたサケマタが血相を変えて室内に飛び込んで来た!
「落ちちゅけサケマタ!何があったのか、エリートなミーコに説明しやがれ!」
「大群です、大群!ゴブリンとオークの大群が、コッチにやって来てるんですよぉ!」
サケマタの報告により山のアチコチから、この暫定アジトに向けてゴブリンとオークが大量に向かって来ているらしい
「ホンマけ?飯の用意してる場合じゃなかんべな!ミーコ様、迎撃準備いたしませんとぉ!」
ソレを聞いてミーコは、コヨリィの部屋のドアを荒々しく叩く!
「コヨリィ!起きてるかぁ!出番だぞぉ!」
ホロミナティの4人が根城にしている暫定アジトは、かつてオークが住み着いていたのを強奪したものだ
「アイツんら、ここは取り返しに来たんだべかな?」
「理由は分かんないけど…今、このアジトを盗られる訳にはいかねーのよ!コヨリィ、仕込んでいたアレは完成してんだよな?」
暫定アジトが揺れているかの様な、数百モノ巨体が大挙して移動してくる様な地響きに、サケマタとノエールは青ざめていた
その2人とは違い真剣な顔のミーコと、高笑いをしてふんぞりがえっているコヨリィ
「ふはは!もちろんですよ、ミーコ様!ホロミナティの頭脳と呼ばれるこのコヨリィに任せてくださいよ!」
するとコヨリィは、彼女の上着のヘソの辺りから…胸の谷間に向けて右手を侵入させる
「エッチぃ事してる場合じゃねーべよ!」
「違います!何でこの場面で、ひとりエッチぃしなきゃいけないんですか!これですよ、コレ!」
コヨリィの上着の胸の谷間あたりから取り出したのは、手のひらサイズの何かの薄い鉄板だ。その横でミーコは、遠眼鏡と呼ばれる30センチ程の筒を取り出し山の状況を確認している
「何してるんですかっ!?逃げる時間が無くなっちゃいますよ?ねぇ?ねぇ~!!」
「オークどもがアジトを取り返しに来るなんて事は、モチのロンで想定済みですよ。こんな事もあろうかと、仕掛けは既に仕込んでありますよぉ♪」
数百体のゴブリンとオークに囲まれるまで、もうあまり時間の猶予が無い!その恐怖で取り乱しそうになっているサケマタ…
「コヨリィ、今だにぇ!!」
「お任せください、ポチっとなっ♪」
コヨリィは取り出した鉄板に描かれている丸いボタンの様な部分を、人差し指で軽く押した。すると…
「バゴバゴっ、バッゴーン!!ズドド、ドドドバーンッ!!けぎょおっ!ぐもおっ!」
山の中のアチコチで、あらかじめ仕掛けられていた爆薬が、コヨリィの鉄板から魔力が周囲に拡散された直後…それに反応した地中に埋めておいた爆薬の場所から火の魔法が発動し…辺り一面が火の海と化した!
「やりました!大成功です♪」
まるで悪戯が大成功した様に無邪気に喜ぶコヨリィ。あまりの予想外な光景に呆気に取られているサケマタとノエール
「すっごいです!凄いです!やりましたね!後は残敵を掃討するだけですね♪」
イッキに形成有利になったので歓喜するサケマタ。ノエールに手を引かれ、生き延びたゴブリンとオークの掃討に走り出した
「エリートなミーコは後始末も、ちゃんと考えているにぇ!……(惑星神エリスア様。燃え盛る炎を鎮める恵みを与えたまにぇ!)」
「ミーコ様。今の言語は?」
ミーコは日本語で惑星神エリスアに問い掛ける神聖魔法を使ったので、この星で生まれ育ったコヨリィに日本語が聞き取れるハズも無かったのだが…
ミーコの詠唱の後、彼らのアジト周辺の精霊たちが騒がしくなっているのを感じたコヨリィ。そして、天気が少しずつ変化していった
続く
【マリニウム山岳の東の麓(ふもと)の村】
「おい爺さん、今朝は飯の用意がまだみたいだけど…何かあったのかい?」
北の勇者のひとりラデュードが、いつもの時間にキッチンに来ても…今朝は何も用意されていなかったので、食事係りの爺さんの部屋を訪ねた
「すまんのう…くっ!?あ、痛たたた…」
「どうした?どこか怪我でもしたのか?」
「そういう訳ではないが…腰を捻(ひね)ってしもうてのう…ちょっと待っとれ。今、起き…つっ!」
どうやらボッチちゃんの世話役のお爺さんは、寝ている時に寝返りをした拍子に腰を痛めてしまったらしい
「分かった、分かった!爺さんは寝てろ。プディングも多少は料理が出来るからよ…おーいプディング!……プディング?」
爺さんの代わりにプディングを手伝い朝食の用意をしようとしたラデュードだったが…そのプディングが見当たらない…
「プディングー!どこだー?」
「ガチャ!」
すると奥のボッチちゃんの部屋からプディングが、血相を変えて飛び出してきた!
「お爺さんっ!ボッチちゃん、凄い熱が出てて凄い苦しそうにしてるんだけど?」
「なんじゃとっ!?…まさか?早過ぎる!」
その話を聞いた爺さんが、かなり険しい顔付きになったのを見たラデュードは、ただ事ではないと理解し爺さんを背中にオンブしてボッチちゃんの部屋を訪ねた
「…で~…ででー…」
「どうしたんだ?凄い汗をかいてるじゃないか!…爺さん、これは?」
「マズイのう…周期が予想以上に早くなっておるのう…すまんが、お主らワシらを連れてある場所に向かって欲しいのじゃ!」
「近くにお医者さんでも居るの?」
しかし、お爺さんの案内は北の勇者の2人の予想に反していた。山の麓のその場所から街に降りていくのとは真反対に、ボッチちゃんを乗せたリヤカーを山の奥へと走らせた
【遺跡の西ホロミナティの暫定アジト】
その頃、急造の秘密結社であるホロミナティが拠点にしているアジトでも、慌ただしい動きがあった。それはノエールが朝食の用意をしていた時の事だった
「みなさーん!起きてますかぁっ!…ってか起きてくださーい!大変、大変、大変なんですよっ!」
「朝食ですけ?今シチウが出来たとこだべさ。もう少しでご飯も炊き上がるでな、良い子良い子でもう少し待っててくんなまし」
朝の見回り兼、趣味の散歩に出ていたサケマタが血相を変えて室内に飛び込んで来た!
「落ちちゅけサケマタ!何があったのか、エリートなミーコに説明しやがれ!」
「大群です、大群!ゴブリンとオークの大群が、コッチにやって来てるんですよぉ!」
サケマタの報告により山のアチコチから、この暫定アジトに向けてゴブリンとオークが大量に向かって来ているらしい
「ホンマけ?飯の用意してる場合じゃなかんべな!ミーコ様、迎撃準備いたしませんとぉ!」
ソレを聞いてミーコは、コヨリィの部屋のドアを荒々しく叩く!
「コヨリィ!起きてるかぁ!出番だぞぉ!」
ホロミナティの4人が根城にしている暫定アジトは、かつてオークが住み着いていたのを強奪したものだ
「アイツんら、ここは取り返しに来たんだべかな?」
「理由は分かんないけど…今、このアジトを盗られる訳にはいかねーのよ!コヨリィ、仕込んでいたアレは完成してんだよな?」
暫定アジトが揺れているかの様な、数百モノ巨体が大挙して移動してくる様な地響きに、サケマタとノエールは青ざめていた
その2人とは違い真剣な顔のミーコと、高笑いをしてふんぞりがえっているコヨリィ
「ふはは!もちろんですよ、ミーコ様!ホロミナティの頭脳と呼ばれるこのコヨリィに任せてくださいよ!」
するとコヨリィは、彼女の上着のヘソの辺りから…胸の谷間に向けて右手を侵入させる
「エッチぃ事してる場合じゃねーべよ!」
「違います!何でこの場面で、ひとりエッチぃしなきゃいけないんですか!これですよ、コレ!」
コヨリィの上着の胸の谷間あたりから取り出したのは、手のひらサイズの何かの薄い鉄板だ。その横でミーコは、遠眼鏡と呼ばれる30センチ程の筒を取り出し山の状況を確認している
「何してるんですかっ!?逃げる時間が無くなっちゃいますよ?ねぇ?ねぇ~!!」
「オークどもがアジトを取り返しに来るなんて事は、モチのロンで想定済みですよ。こんな事もあろうかと、仕掛けは既に仕込んでありますよぉ♪」
数百体のゴブリンとオークに囲まれるまで、もうあまり時間の猶予が無い!その恐怖で取り乱しそうになっているサケマタ…
「コヨリィ、今だにぇ!!」
「お任せください、ポチっとなっ♪」
コヨリィは取り出した鉄板に描かれている丸いボタンの様な部分を、人差し指で軽く押した。すると…
「バゴバゴっ、バッゴーン!!ズドド、ドドドバーンッ!!けぎょおっ!ぐもおっ!」
山の中のアチコチで、あらかじめ仕掛けられていた爆薬が、コヨリィの鉄板から魔力が周囲に拡散された直後…それに反応した地中に埋めておいた爆薬の場所から火の魔法が発動し…辺り一面が火の海と化した!
「やりました!大成功です♪」
まるで悪戯が大成功した様に無邪気に喜ぶコヨリィ。あまりの予想外な光景に呆気に取られているサケマタとノエール
「すっごいです!凄いです!やりましたね!後は残敵を掃討するだけですね♪」
イッキに形成有利になったので歓喜するサケマタ。ノエールに手を引かれ、生き延びたゴブリンとオークの掃討に走り出した
「エリートなミーコは後始末も、ちゃんと考えているにぇ!……(惑星神エリスア様。燃え盛る炎を鎮める恵みを与えたまにぇ!)」
「ミーコ様。今の言語は?」
ミーコは日本語で惑星神エリスアに問い掛ける神聖魔法を使ったので、この星で生まれ育ったコヨリィに日本語が聞き取れるハズも無かったのだが…
ミーコの詠唱の後、彼らのアジト周辺の精霊たちが騒がしくなっているのを感じたコヨリィ。そして、天気が少しずつ変化していった
続く
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