ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

古代遺跡施設

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【暫定アジト周辺】
コヨリィが魔法で数箇所同時に起爆させた爆薬による連鎖的な爆発で、山岳地帯のアチコチから集結していたゴブリンとオークの群れの大半に、壊滅的なダメージを与えた

ノエールとサケマタが残敵の掃討に向かったが、爆発でそれだけの結果を出した為、山のアチコチで火の手が上がっていた
しかし、その後ミーコによる日本語での雨乞いの儀式により空は急激に雨雲で覆われ、爆発で火の手が上がっている山岳地帯を中心に強い雨が降り注いだ

100体以上いたゴブリンやオーク共だったが…数箇所で強い爆発とソレによる火災に襲われたうえに、突然の強い雨に足場を取られた為に、生き延びた50体ほどもホロミナティのメンバーから追撃を受けることになった

「ミーコ達も掃討に行くにぇ!」

「肉体労働は勘弁願いたいですけど…流石に2人に任せるのは気が引けちゃいますかね?バテない程度で魔法支援しますっ!」

ミーコは魔法で空間に黒い穴を開けると、ソコに手を突っ込み中から湾曲刀を掴み取った。神秘的なフォルムのその刀は、オーク達をまるで豆腐でも斬るかの様に斬り裂いた



【暫定アジト】
「まんず、皆さん無事で良かったなぁ!あ、喉乾いてますやろ?紅茶と甘いモン用意すっから!」

「ぶへえぇぇ…なんかサケマタの扱い酷くないっすかー!ヘロヘロのぽえぽえ~…ですよ!」
 

2人は爆発から生き残ったオーク達約50体以上のほとんどを、ほとんど2人で掃討してきた。バテバテのサケマタはソファーに倒れ込んでいたが…ノエールは体力オバケのようで、帰ってスグにお茶会の用意を始めている

「ミーコ様は何か知っているのですか?」

「何のことにぇ?」

今回のゴブリンとオークの大量発生は、その数もさることながら…あまりにも突然過ぎた。コヨリィは何かキッカケがある!と見ているのだが…
ミーコは知っているのか?いないのか?惚(とぼ)けた返事で濁(にご)していた

「ミーコ様から提案されていた、暫定アジトが襲撃された時の為の対策として周囲の地中に、起爆式爆薬を設置しておいたおかげで今回は助かりましたが…もしかして…こうなる事を予測されていたのですか?」
 
コヨリィもノエールもサケマタも、実はミーコの生命を狙って襲ってきた者なのだが…ミーコの魔眼【赤子魅力(ベイビィチャーム)】で記憶の1部を洗脳され今は味方になっている
コヨリィはミーコの魔眼が100%は効いていないのか?用意周到過ぎた今回のミーコの行動に、かなりの疑念を抱いていた

「ミーコは罪な女だにぇ!」

「はいぃ?」
「ナニ言ってんすか?」

予想外過ぎるミーコの返事にキョトンとしたコヨリィと、思わず呆れたサケマタ

「ミーコの美しさに目が眩んだ男たちから、今まで何度も求婚されてきたにぇ!断った相手の中には逆恨みして、ミーコの生命を狙う者も居たからな…自然と防衛策には凝る様になっちゃったにぇ!」

「マジですか!?」

「いやいや、有り得ないっすから…」

半信半疑のコヨリィと全面否定するサケマタ。そこへノエールが紅茶と菓子を持って入室して来たので、ひとまずティーブレイクにした



【マリニウム遺跡前】
「おい爺さん、こんな山の中に来てどうすんだよ!?本当に医者が居んのかよ?」

「そーよ!ボッチちゃん、いよいよヤバそうなんだけど?」

街に向かわず山奥に案内された北の勇者の2人は、訳が分からずに焦っていた

「焦るでないわ。この木が目印なのじゃ」

そう言うと爺さんは懐からクリスタルを取り出すと、周囲の木々の中でもひと際大きい木の穴に、そのクリスタルを押し当てた

「ふいぃぃん…」

すると眼前に広がっていた森林の景色の1部が姿を変え、日本の大社の様な遺跡が彼らの眼前に現れた

「この中にボッチちゃんを助ける薬でも有るって言うのか?」

「まぁ、そうじゃな…付いて来てくれ」

そう言うと爺さんは更に遺跡に近付き、大社の正面にやって来た。正面には左右に向き合った【狛犬】が居る。片方は口を閉じ、片方は口を開けている

「これ、ラデュード。コイツを口の中にハメ込んでくれぃ」

「こ、こうか!?」

クリスタルを受け取ったラデュードが、ソレを口の空いている狛犬にセットすると…一瞬だが遺跡全体が神々しく輝いた!

「な、何なの今のは!?」

「封印を解いたのじゃ。さぁ、ボッチ様を連れて中に入るぞぇ」


ここ数日間ホロミナティの4人が、どれだけ足掻いても解除出来なかった大社の結界を難なく解除したお爺さん
プディングとラデュードは、ボッチちゃんを乗せたリヤカーを押し大社の中へ侵入して行く

「はぁはぁ…ふひゅ~」

心なしか遺跡の敷地内に入った途端、さっきまで苦しんでいたボッチちゃんの表情が少し和(やわ)らいでいた



【西の古代遺跡ダンジョン2F】
「ふひぃ!ま、参りましたわ!はぁはぁ…村雨さん、お強いですわね…」
 

ヘルメスの街のかなり西にある、古代遺跡のダンジョン2Fのフロアマスターの村雨と稽古をしていたミャンジャムが、負けを認めてその場に座り込んだ

「貴様は普通の人なのに、一対一で拙者をここまで熱くさせるとは大したモノだぞ。誇って良いぞ」

「私(わたくし)で5人目の相手なのに…誰も村雨さんに勝ててないなんて…強過ぎですよー(汗)」

基礎(ベース)型超人類の村雨は、古代技術の結晶の武器である妖刀【村正】を使っているとは言え…アリス、エリエス、ヨシュア、カルーア、そしてミャンジャムと連戦していたにも関わらず、誰一人として彼を追い詰めることさえ出来なかった

「悲観するでない。経験と積み重ねの差というものだ。ところで、お前たちは今後どうするのだ?まだ訓練を続けるか?1度帰還するのか?」

村雨から提案され話し合う一同
ヘルメスの街の周辺の魔物は、ここ数日の聖騎士勇者隊の活躍でほぼ一掃されていて、地上に出ても大したクエストは無いだろうと予測された。急いで帰る理由も無いが…
1Fの黒龍(ブラックドラゴン)も基礎型超人類(ムラサメ)も、訓練相手をしてくれると確約してくれているので無理して今、居続けなければならない理由も無いのだが…

「わたしは早く強くなりたいんだ!後もう1日だけ訓練していこうよ!」

滅びたエルドラド王国の過去に封印されているミオランダに生命を狙われているカルーアは、姉妹や愛するヒイロを守れる強さを手に入れる為に1日でも早く強くなりたかった
ただ、この時の誰もがアルバート家でヒイロが、帰りを待って居てくれているものと信じて疑わなかった

この決断が三姉妹とヒイロの間に、大きな差を作ってしまうとは誰も予想出来なかった



続く
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