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憎奪戦争編
マリニウム城陥落
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【マリニウム城下町】
かなり城に近い位置にラデュードと、ボッチちゃんの世話役の爺さんが人目を避けて潜んでいた
「なぁ爺さん、これからどうするつもりなんだ?」
「ツレを失ったばかりのお前さんには、非常に申し訳ないと思っておる…しかし!ボッチ様をお助けするのを手伝ってくれまいか?」
爺さんは死をも覚悟した顔をしていた。プディングを失ったばかりで悲しみの底にいたラデュードだったが、爺さんの鬼気迫る頼みにここまで付いてきていた
「そうだな…すっかり巻き込まれちまったけど、せめてボッチちゃんだけでも助けたいよな…分かったぜ!俺は何をすれば良い?」
「そうか…すまんのぅ感謝するぞ!…良いか、間もなくボッチ様は溜め込んだ負のエネルギーが尽きて元の身体のサイズに戻るじゃろう」
「そうなのか?もう暴れないんだな…良かった…」
「良くは無い!…考えてみてくれ。アレだけ街を破壊し多くの生命を喰らったボッチ様が、少女の姿に戻ったら街の者たちがボッチ様に対してどんな行動を取ると思う?」
「……………まさか!」
しばらく考えていたラデュードだが、ひとつの答えに辿り着いた。今までは無害の可愛い少女だったからこそ街の人たちに愛されてはいたが…これ程の大破壊をし敵味方問わずに何十人と食べたボッチちゃんを、街の者たち、特に貴族や城の者たちが許すハズがない
「おそらく、捕まえられ惨(むご)たらしい方法で処刑されてしまうじゃろう…」
「いや、でもボッチちゃんは自分の意思で行動していた訳じゃない。仕方がなかったハズだ…」
「…それはワシらが事情を知っているからじゃ。ソレを知らぬ者たちからは…身内を喰われた者はボッチ様を許してくれると思うか?」
「………有り得ないな。元のサイズのボッチちゃんを見つけたら…公開処刑が待ってるか…」
ボッチちゃんを待つ未来を察したラデュード
「ソレはあまりにも不憫過ぎる!今まで言葉も話せぬ身体で、無償で慈愛を振りまいていたボッチ様が、街中の負のエネルギーを食わされた故の行動の末に、公開処刑などあまりにも不憫過ぎるではないか!」
「…確かにな。是が非でも助けなきゃな…で、どうやって助ける?」
「ボッチ様が元のサイズになったら、誰にも見付からずに回収してここに来てくれ。その間にワシは馬を探しておく。ボッチ様を乗せて大社の西にある小屋に向かおう。取り敢えずはソコに身を潜めよう。食料は1月分くらいは蓄えてあるからの」
爺さんの話は、こっそりボッチちゃんを連れ出し、予備である小屋に匿(かくま)おうという事だった。しかし、その小屋は今【ホロミナティ】のアジトとして使用されており、お爺さんの言った食料は既にそのほとんどを彼女たちに食べられていた
「良し!俺は城内に行くぜ。爺さんも上手くやれよ、生き延びるぜ絶対にな。じゃあな!」
「あぁ、頼んだわい」
打ち合わせを済ませたラデュードは、人の目を盗んで城内を目指した
「くぁーはっはっはっ!スティーブ国王め、巨人に潰されおったわ!ジョブス王子も空の船ごと喰われたようだし、これでマリニウムはラッセル様のモノだぁ!!」
倒れ込んだ巨人のボッチちゃんに、謁見の間とその周辺ごと押し潰されたマリニウム城。中に居た者の安否は絶望的な状況だ。スティーブ国王の死を確信したラッセル公爵は、神代兵器のコクピットで高笑いをしている
「お主らがぁぁぁっ!!」
仕えるべき主(あるじ)を失った基礎(ベース)型超人類の武蔵が、動きが悪くなっている身体を気にする事なく神代兵器に突っ込んで行った
「くははははははっ!主君に殉じて玉砕する気か?愚か者めっ!」
……………………………………………
「ねぇランドルフ、アレを見て…」
「おぉ!城は陥落したようだな…公爵が戦っているのは…古代人の子孫とやらか?古代兵器の空飛ぶ船も見当たらねーし、コレは勝利目前なんじゃねーのか?」
治療を終えたランドルフとレキシントンが、城の手前で戦うラッセル公爵と武蔵が居るスグ近くまでやって来た
「国王が死んだとなりゃ、後はアイツらさえヤレば公爵の勝利だな。約束通り、この地に俺たちの居場所を作ってもらうぜ……エセックスの野郎も健在のようだしな!」
「そうね!最後に私達も手柄を立てましょう!ラッセル公爵の援護を…」
【七精守護霊(ハーロウィーン)!!!】
手柄を立てようとラッセル公爵の方へ走り出そうとした2人の背後から、眩(まばゆ)い光を放つ超極大呪文【七精守護霊(ハーロウィーン)】が彼らを追い抜いて飛んで行く
「うぼぇああぁぁぁぁ!?」
神代兵器は直撃を受けた!魔法を照射され続けると、次第に神代兵器は真っ赤になった
「バゴオオーン!!」
熱量が耐久値を超え大爆発を起こした神代兵器。コクピットには黒焦げになったラッセル公爵の姿が見えた
思わず振り返るランドルフとホーネット。魔法を放つ女魔法使いリキュールが、魔法力(チカラ)を振り絞っている
「はぁはぁ…はぁはぁ…思い知ったか…悪党が!…多くの生命を奪った罪を地獄で反省なさい!」
愛するケチュアの生命を狙わせ、クーデターを起こし街の人々に不幸を撒き散らかした張本人ラッセル公爵に、リキュールの怒りの【七精守護霊(ハーロウィーン)】が炸裂した
「くぅ…もう魔法力が…限界だわ…」
チカラ尽きてその場にうずくまるリキュール。ソレを見たランドルフが、コレを好機とリキュールに襲いかかったが…
「バキイィン!!」
「おっと…おや?奇遇ですね貴方達、ヘルメスで私(ワタクシ)達に撃退されて懲りたのかと思ってましたが…また、こんな所で悪巧みですか?…悪いですけれど聖騎士として、これ以上の悪事を許す訳にはいかないわ!」
とんでもない素早さのランドルフの攻撃を防いだのは、古代装備【ベイオネット】とシンクロして戦うミャンジャム・イレイユだった
ベイオネットとシンクロする事で身体能力が跳ね上がっているようだ。以前は翻弄されていたランドルフの素早い攻撃に、しっかり反応して攻撃を止めていた
「これ以上の暴挙は【イシスの勇者】と呼ばれるこの僕が絶対に阻止させてもらうよ!」
ミャンジャムのパートナーであるアドルも、闘志を高めレキシントンに立ち塞がった
「お前ら!ヒイロを知らないか!わたしのヒイロをどこへやったんだ!!」
聖騎士勇者隊に追い付いた三姉妹とヨシュア
「貴方たちも来ていたのね…」
ヒイロの身を案じるカルーアの気迫に押されるレキシントン。以前彼女がヘルメスの街の公園で会った恋する乙女の見た目だった愛くるしいカルーアではなく、邪魔する者は全て排除する!という感じの一触即発の気迫に溢れたカルーアだった
続く
かなり城に近い位置にラデュードと、ボッチちゃんの世話役の爺さんが人目を避けて潜んでいた
「なぁ爺さん、これからどうするつもりなんだ?」
「ツレを失ったばかりのお前さんには、非常に申し訳ないと思っておる…しかし!ボッチ様をお助けするのを手伝ってくれまいか?」
爺さんは死をも覚悟した顔をしていた。プディングを失ったばかりで悲しみの底にいたラデュードだったが、爺さんの鬼気迫る頼みにここまで付いてきていた
「そうだな…すっかり巻き込まれちまったけど、せめてボッチちゃんだけでも助けたいよな…分かったぜ!俺は何をすれば良い?」
「そうか…すまんのぅ感謝するぞ!…良いか、間もなくボッチ様は溜め込んだ負のエネルギーが尽きて元の身体のサイズに戻るじゃろう」
「そうなのか?もう暴れないんだな…良かった…」
「良くは無い!…考えてみてくれ。アレだけ街を破壊し多くの生命を喰らったボッチ様が、少女の姿に戻ったら街の者たちがボッチ様に対してどんな行動を取ると思う?」
「……………まさか!」
しばらく考えていたラデュードだが、ひとつの答えに辿り着いた。今までは無害の可愛い少女だったからこそ街の人たちに愛されてはいたが…これ程の大破壊をし敵味方問わずに何十人と食べたボッチちゃんを、街の者たち、特に貴族や城の者たちが許すハズがない
「おそらく、捕まえられ惨(むご)たらしい方法で処刑されてしまうじゃろう…」
「いや、でもボッチちゃんは自分の意思で行動していた訳じゃない。仕方がなかったハズだ…」
「…それはワシらが事情を知っているからじゃ。ソレを知らぬ者たちからは…身内を喰われた者はボッチ様を許してくれると思うか?」
「………有り得ないな。元のサイズのボッチちゃんを見つけたら…公開処刑が待ってるか…」
ボッチちゃんを待つ未来を察したラデュード
「ソレはあまりにも不憫過ぎる!今まで言葉も話せぬ身体で、無償で慈愛を振りまいていたボッチ様が、街中の負のエネルギーを食わされた故の行動の末に、公開処刑などあまりにも不憫過ぎるではないか!」
「…確かにな。是が非でも助けなきゃな…で、どうやって助ける?」
「ボッチ様が元のサイズになったら、誰にも見付からずに回収してここに来てくれ。その間にワシは馬を探しておく。ボッチ様を乗せて大社の西にある小屋に向かおう。取り敢えずはソコに身を潜めよう。食料は1月分くらいは蓄えてあるからの」
爺さんの話は、こっそりボッチちゃんを連れ出し、予備である小屋に匿(かくま)おうという事だった。しかし、その小屋は今【ホロミナティ】のアジトとして使用されており、お爺さんの言った食料は既にそのほとんどを彼女たちに食べられていた
「良し!俺は城内に行くぜ。爺さんも上手くやれよ、生き延びるぜ絶対にな。じゃあな!」
「あぁ、頼んだわい」
打ち合わせを済ませたラデュードは、人の目を盗んで城内を目指した
「くぁーはっはっはっ!スティーブ国王め、巨人に潰されおったわ!ジョブス王子も空の船ごと喰われたようだし、これでマリニウムはラッセル様のモノだぁ!!」
倒れ込んだ巨人のボッチちゃんに、謁見の間とその周辺ごと押し潰されたマリニウム城。中に居た者の安否は絶望的な状況だ。スティーブ国王の死を確信したラッセル公爵は、神代兵器のコクピットで高笑いをしている
「お主らがぁぁぁっ!!」
仕えるべき主(あるじ)を失った基礎(ベース)型超人類の武蔵が、動きが悪くなっている身体を気にする事なく神代兵器に突っ込んで行った
「くははははははっ!主君に殉じて玉砕する気か?愚か者めっ!」
……………………………………………
「ねぇランドルフ、アレを見て…」
「おぉ!城は陥落したようだな…公爵が戦っているのは…古代人の子孫とやらか?古代兵器の空飛ぶ船も見当たらねーし、コレは勝利目前なんじゃねーのか?」
治療を終えたランドルフとレキシントンが、城の手前で戦うラッセル公爵と武蔵が居るスグ近くまでやって来た
「国王が死んだとなりゃ、後はアイツらさえヤレば公爵の勝利だな。約束通り、この地に俺たちの居場所を作ってもらうぜ……エセックスの野郎も健在のようだしな!」
「そうね!最後に私達も手柄を立てましょう!ラッセル公爵の援護を…」
【七精守護霊(ハーロウィーン)!!!】
手柄を立てようとラッセル公爵の方へ走り出そうとした2人の背後から、眩(まばゆ)い光を放つ超極大呪文【七精守護霊(ハーロウィーン)】が彼らを追い抜いて飛んで行く
「うぼぇああぁぁぁぁ!?」
神代兵器は直撃を受けた!魔法を照射され続けると、次第に神代兵器は真っ赤になった
「バゴオオーン!!」
熱量が耐久値を超え大爆発を起こした神代兵器。コクピットには黒焦げになったラッセル公爵の姿が見えた
思わず振り返るランドルフとホーネット。魔法を放つ女魔法使いリキュールが、魔法力(チカラ)を振り絞っている
「はぁはぁ…はぁはぁ…思い知ったか…悪党が!…多くの生命を奪った罪を地獄で反省なさい!」
愛するケチュアの生命を狙わせ、クーデターを起こし街の人々に不幸を撒き散らかした張本人ラッセル公爵に、リキュールの怒りの【七精守護霊(ハーロウィーン)】が炸裂した
「くぅ…もう魔法力が…限界だわ…」
チカラ尽きてその場にうずくまるリキュール。ソレを見たランドルフが、コレを好機とリキュールに襲いかかったが…
「バキイィン!!」
「おっと…おや?奇遇ですね貴方達、ヘルメスで私(ワタクシ)達に撃退されて懲りたのかと思ってましたが…また、こんな所で悪巧みですか?…悪いですけれど聖騎士として、これ以上の悪事を許す訳にはいかないわ!」
とんでもない素早さのランドルフの攻撃を防いだのは、古代装備【ベイオネット】とシンクロして戦うミャンジャム・イレイユだった
ベイオネットとシンクロする事で身体能力が跳ね上がっているようだ。以前は翻弄されていたランドルフの素早い攻撃に、しっかり反応して攻撃を止めていた
「これ以上の暴挙は【イシスの勇者】と呼ばれるこの僕が絶対に阻止させてもらうよ!」
ミャンジャムのパートナーであるアドルも、闘志を高めレキシントンに立ち塞がった
「お前ら!ヒイロを知らないか!わたしのヒイロをどこへやったんだ!!」
聖騎士勇者隊に追い付いた三姉妹とヨシュア
「貴方たちも来ていたのね…」
ヒイロの身を案じるカルーアの気迫に押されるレキシントン。以前彼女がヘルメスの街の公園で会った恋する乙女の見た目だった愛くるしいカルーアではなく、邪魔する者は全て排除する!という感じの一触即発の気迫に溢れたカルーアだった
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