ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

文字の大きさ
71 / 135
憎奪戦争編

消え行く生命

しおりを挟む
【古代遺跡(大社)】
「あったー!コレだにぇ!」

大社の地下1Fは前回入った時に診療所を見付けていたミーコだが、彼女は更に地下室がある事を知っていた。が、その入り口を見つけられていなかったのだが…

ボッチちゃんが巨大化した時に、古代遺跡(大社)は壊滅的に破壊されてしまい、隠されていた更に地下に続く階段が露出していたので、目指していた地下2Fに到達出来たミーコ。そこで彼女は目当てのアイテム(ハンコ注射の大きいサイズ)を見付けた
科学者の興味なのか?コヨリィが彼女に近付いてきて、そのアイテムを覗き込む

「ミーコ様、ソレを見せてもらって良いですか?…なるほど?…この筒みたいので何をどうされるって言うのですか?」

「これで、あの巨大化した子を元に戻せるハズなんだにぇ。中に入っている解除魔法の術式を流し込んだら、でえたら化する能力(チカラ)を消しされるハズなんだにぇ…」

「なるほどです…でしたら一刻も早くあの場所に向かいコレを使って、事態を収束させないとイケませんね」

「けんど馬も見当たらねーし、徒歩ですとまた時間が掛かってしまうけんど?」

コヨリィの質問に答えたミーコだが、ノエールから急ぐにしても馬がない事を知らされる。そこへニヤニヤしながら近付くサケマタ

「サケマタはアサシンですからね脚力には自信があるんすよ!ミーコ様を担いで走っても、お馬さんと近いスピードで走れますよ。乗っていきますか?お高く付きますけどね(笑)」
 

「構わねー!最速で頼むにぇ!」

「毎度ありー♪じゃ行きますよ~?」

「かっ飛ばすにぇ!!」

ミーコは見付けた筒を大事に持ち、サケマタにおんぶされながら超特急でボッチちゃんの所へ走り出した!



【マリニウム城 衛兵用宿舎】
「すまなかったヒイロ君。とんでもない事件に巻き込んでしまったな」

城の敷地のほぼ西のハズレにある衛兵用宿舎に、ヒイロを連れてやって来ていたロベルト

「構いません。それでロベルトさんは、この先どうするつもりですか?」

「ジョブス王子は船ごと喰われ、スティーブ国王はその巨人に踏み潰された…かも知れない。だが、生きてる可能性があるのなら…私は助けに向かわねばならん」

「あんな混戦状態の中に、お1人でですか?危険過ぎます!…俺も付き合います」

「それはならん!キミには国でキミの帰りを待つ家族が居るではないか!…キミはここで死ぬべきではない。幸い馬が1頭残っている。コレに乗って急いで国に帰るんだ!」

「しかし……」

ロベルトの言う事はもっともだ。ヒイロもソレを理解しているが…死んだ父親の弟さんが今、目の前で命懸けの行動に出ようとしているのを、黙って見過ごせないのもヒイロの性分だ。そこへ

「はぁはぁ…申し訳ありません!」

そこへやって来たのは、ボッチちゃんの世話役の爺さんだった。息も絶え絶えで2人を見ている

「お願いがあります。その馬をワシに譲って貰えないでしょうか?どうしても助けたい子が居るんです!その子はワシの全てなのですっ!」

城内に入ってきた爺さんが必死な形相で頼んでいるが…

「誰かは知らんが…ここは城内だ。城内の物は簡単に市民に譲る訳にはいかん。ソレにこの馬はヒイロくんの為に…」

「良いですよ。使ってください」

「なっ!?ヒイロくん、それでは…」

「ロベルトさん。付き合わせてください。父親の弟である貴方の危険を見過ごしたら、絶対に親父に叱られますからね(笑)」

「そうか…すまないな。重ね重ね助かる」

ヒイロの漢気を受け入れたロベルト。ヒイロは必要のなくなった馬を爺さんに明け渡した。深々と頭を下げ馬に乗り込む爺さん。そしてラデュードとの合流地点に向かう



【マリニウム城 謁見の間】
「おのれ…魔女が……」

城全体を襲った大きな揺れを感じたミアナは咄嗟に謁見の間の強度を魔法で格段に引き上げ、ボッチちゃんの重圧に潰されてしまうのを逃れていた

「さようなら私の育ったマリニウム…さようならお父さん、お母さん。もう会う事は無いでしょう…」
 

国王が息絶えるのを見届けたミアナは魔法のホウキを収納空間から取りだし、風の魔法で窓を突き破り【ブルージュ村】への帰路につく為に飛び出した

謁見の間ではミアナの睡眠魔法が解除された衛兵たちが国王の姿を確認した後、その半分は外へ逃げだし残った半分は動かなくなっている国王と最後を共にした



【マリニウム城上空】
「これでトドメだ!くたばりやがれっ!!」

有翼魔獣族のリーダーエセックスは、先ほど放った槍がボッチちゃんの手を貫通し額に刺さっているのを確認した
自分の魔法が通用する事を知ったエセックスは、持てる魔力の全てを振り絞り、更なる巨大な槍を作り上げボッチちゃんの心の臓目掛けて放った!

「でーーー!!!」

ボッチちゃんの断末魔の巨大な悲鳴が周辺に響き渡った!ソレは馬を譲り受け合流点で待機していた爺さんにも届いた



【城下町の裏路地】
「今の悲鳴はボッチ様!?…こうしてはおれん!」

ラデュードが到着するまで裏路地で待つつもりだった爺さんだったが、ボッチちゃんの断末魔の悲鳴を聞いては黙っていられなかった。彼は馬を走らせ城へ向かう決心をしたのだが…

「おい爺さん。立派な馬に乗ってるな。ソレはあんたにゃもったいないぜ。俺様がもらってやるよ!!」

「ぐはっ!?」

ラッセルが雇ったならず者の1人が、この場から逃げ出そうとしていた時、爺さんが乗ってる馬を見付けた。そして馬を強奪する為に馬上の爺さんをソードで一刺しした

「バタッ!」
腹を刺されて地に落ちた爺さん。ならず者は奪った馬で逃げ出して行った

「ぼ、ボッチ様……」

爺さんはその場に小さな赤い池を作ると、間もなく動かなくなった



【マリニウム城上空】
「エセックス様!あの巨人の娘が縮んでいきます!」

「ふはは…やってやったぜ…後はトドメを…」

「いけません!エセックス様は長時間の戦闘と先程の極大呪文でお身体が危険です。1度衛生所に戻り簡単な治療と魔力の回復だけでも…」

ボッチちゃんに巨大な槍を叩き込んだエセックスを心配し、彼を抱き抱える部下のイントレピッドは戦場を離脱し衛生所へ飛んでいった



続く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...