ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

文字の大きさ
77 / 135
憎奪戦争編

天に召されて

しおりを挟む
【古代遺跡(大社)】
布団に横たわるボッチちゃん。医療薬により傷は回復していたが、それに反比例するかのように、超巨大化した時の中毒症状によりミルミル元気をなくすボッチちゃん

「だ、大丈夫よ。ラデュードさん…はぁはぁ…ここまでありがとう…あの…爺やは…何処?」
 

「爺さんか?…爺さんは…クーデターの中でハグれてしまったんだ…今頃はここに向かっているだろうさ…それよりも今は身体を休めることに専念してくれ」

心を入れ替えたラデュードは今、心からボッチちゃんの回復を願っていた。が、ボッチちゃんはドンドン顔色が悪くなり全身汗だくになっていた


【古代遺跡階段】
「ミーコ様の邪魔はさせねえだ!」
「もぉ!しーっつこいって!」
「お下がりなさいっ!」

地下3Fに続く階段の上で、ホロミナティと戦っているロベルト率いる城の護衛兵。その中にラデュードが知る男の声が聞こえた

「この中にラデュード君が居るんだろう?俺だ、ヒイロだ!キミが考えている様な悪い風には俺が絶対にさせない!だからここを通してくれ!」

「ヒイロさんですか!?」

ラデュードはヘルメスの街で会ったヒイロの声を覚えていた。彼はミーコに話し掛ける

「ミーコちゃん。追っ手の中に知っている人が居るんだ。彼らを中に入れては駄目か?」

「………お姉ちゃんは生死の境に居るにぇ。その人が信用できる人だとしても今は…」

今は誰も会わせたくない。それ程にボッチちゃんの容態は酷いものだった


「ヒイロさん。彼女の容態は酷くて…医者ならともかく…今は人に会わせたくないと…」

ラデュードはヒイロの人の良さを知ってはいたが、ボッチちゃんが危険な状態だから誰にも会わせたくない!という気持ちを汲んでいた

「そ、そうなのか?…ロベルトさん、今少し時間を置いて…」

今すぐの面会が難しそうなので、逆にロベルトを説得しようとしたヒイロの元へ駆け寄るひとりの少女が居る

「ヒイロ!!良かったよ、無事だったんだね」
 

「カルーア!?どうしてココに?」

「留守番を頼む」と書き置きしていたヒイロは、家で待っているハズのカルーアが此処にいる事に驚く

「馬鹿っ!わたしはヒイロと一緒に居たいんだ!知らない内に居なくなられて、大人しく留守番なんかしてられないんだよ!」

「そうか、心配掛けたな。ありがとう。ところでアリスとサーシャは?」

カルーアが居るなら三姉妹が揃っているのだろう。と予想したヒイロ

「姉さんは、わたしをオンブして城からここまで全力疾走してくれたから、遺跡の入り口で倒れているよ。サーシャは……聖騎士勇者隊と馬で追い掛けてくると思うけど?」

三姉妹揃って来ていると知ったヒイロは、再びラデュードに話し掛けた

「ラデュードくん!ズバ抜けた回復力のサーシャを知っていたか?三姉妹の末っ子なんだが、彼女が間もなく到着する。それに、サーシャには及ばないがカルーアもS級ランクの精霊魔法使いで回復魔法も高いレベルのモノが使えるんだ…頼むからキミが背負っていた少女と面会させてくれ!」

「あの子が!?…分かりました。説得してきます。もう少し待ってください」

ラデュードはサーシャが回復師だとは聞いていた。流石に天使族という事は聞かせれていなかったが、今のボッチちゃんには回復師は必要不可欠だと思い、ミーコに再度掛け合うためボッチちゃんを寝かせている奥の部屋へと向かった


「ガチャ!」
ラデュードは善は急げ!とその部屋のドアを勢いよく開けた

「ミーコさん。外に信頼できる人の妹の凄い回復師の子が間もなく来るらしいんだ。会わせてやってくれないか?」

ラデュードはボッチちゃんを救える人材が現れる!という吉報を持ってこれた。という思いでミーコに話し掛けたのだが…
 
「うぐっ…申し訳ないけど…少し静かにしてあげて欲しいにぇ……お姉ちゃんは…やっと静かに眠りにつけたんだからな…」

背後から話し掛けたのでミーコの顔全体はハッキリ見えなかったが…ミーコの右眼からひとしずくの涙が流れ落ちたのが見えた

「まさか?…間に合わなかったのか?」
「……………………………………………」

顔を下げ肩を震わせているミーコから返事は無かったが、それがラデュードへの応えになっていた

「そんな事ってあるかよっ!ボッチちゃんは何も悪くなかったのに、何でこんな終わり方をしなきゃならないんだぁ!!頼むボッチちゃん目を開けてくれっ!」

「……………………………………………」

「こんな事ってあるかよ!ちっくしょー!!」

ラデュードは吼えた!ほんの数日の付き合いでしかないし、長年連れ添ったプディングを食べてしまった張本人ではあるが…ボッチちゃんの優しさを知る彼には、ボッチちゃんの人生を悲観せずにはいられなかった

「ありがとうだにぇ…」

そのラデュードの暑いセリフと本気の涙に、ミーコは彼が姉のボッチを大切にしてくれていた事を理解して感謝の言葉を述べた



続く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...