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日常編
年末祭(前編)
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【年末祭のヘルメスの街】
年末祭が開かれているヘルメスの街の中でも、沢山の人々で賑わう中央広場にやって来たアルバート家族(ファミリー)。まず最初に広場に来たのには理由があった
「ねぇヒイロ。この時間の広場が混雑しているのは分かってたのに、何故真っ先にここに来たんだい?」
「俺は鍛冶屋として商業ギルドに加盟しているだろう?なので、屋台で使える引換券をもらっているんだ。1枚で1000ゼニーまでの物と交換出来るぞ。家族分で(ヒイロ、三姉妹、コハラコ)5枚あるから1人1枚な…俺のはエルデスさんに差し上げますよ」
「宜しいのでしょうか~?」
「俺は沢山稼いでいますので、自分の分は財布から出しますから気にしないでください」
「有難うございます~」
ヒイロは商業ギルドからもらっている無料券をみんなに渡した
「ワァ───ヽ(*゜∀゜*)ノ───イ 何に使おうかなぁ?迷っちゃうなぁ!」
15歳になったアリスだが、天性の子供っぽさが抜けた訳でもなく無邪気に喜んでいると…
「なぁアリス。あそこに射的屋があるぜ。どっちが取れるか勝負しないか?」
「え~、ヨシュアがアリスに勝てるのぉ?」
楽しくて仕方がないアリスは、ヨシュアに対して煽るような言い方をする
「はっ!言ってろよ。俺が負ける訳ないだろ」
「どういう勝負にするぅ?」
「そうだなぁ…お互いに欲しい景品を言い合って、相手が欲しいと言った物を先に落とした方が勝ち!っていうのはどうだ?」
「それで良いよォ♪ヨシュアは何が欲しいのぉ?」
「うーん…そうだなぁ…あの目覚まし時計かな?アリスは何が欲しいんだ?」
「あの熊のぬいぐるみぃ!」
「熊の……おい!ちょっと待て!あのヌイグルミ、めちゃくちゃデカいじゃねーか!ハンデ大き過ぎだろ!」
アリスが望んだぬいぐるみは、ヨシュアが望んだ目覚まし時計の3倍くらいのサイズだった。射的用の銃の威力など、たかが知れている。こういう場では軽くて小さい物を狙うのが定石なのだ
「あらぁ?ヨシュアったら、もう負け宣言なのぉ!?だらしがないんだねぇ(笑)」
「てっめ…良いだろう。やってやろうじゃねーか!」
ヨシュアはアリスと同レベルの言い合いをして、是が非でも取ってやる!と射的を始めた。が…実は彼が欲しいと言った目覚まし時計も…朝が弱いアリスの為の物だった
「はいオジサンこれ!」
アリスは射的屋のオジサンに無料券を渡した
「おっ!無料券持ってるのか?…でも、良いのかい?ソレは1000ゼニー(1000円)までなら何と替えても良いんだぞ?」
射的は1回500ゼニーだ。最大に利用できる額の半分で使う事になるのだが…
「うぅん!アタシはヨシュアと射的がしたいから、これで良いのぉ!」
「はっはっは!嬉しいこと言ってくれるじゃねーか!なら特別に弾を倍の6発渡してやるぜ。それなら2人仲良く楽しめるだろ?」
本来なら1000ゼニー以下の物と1回交換で終わる無料券なので、アリスの心意気に打たれた店主は1000ゼニー分の弾をアリスとヨシュアに渡した。ヨシュアは自分の分は財布から出そうとしていたが、ソレを引っ込めアリスから3発の弾をもらって勝負を始めた
「姉さんもヨシュアも楽しそうだね!」
「そうだな…なかなかお似合いみたいだな、あの2人は」
アリスとヨシュアのやり取りを眺めていたヒイロとカルーア。仲良く勝負する2人を見て笑顔がこぼれていた
「コハラコ、アレ食べたいノ。サーシャママも一緒に食べるノ!」
「ソフトアイス?…1個600ゼニーですのね。サーシャの分は自分で買いますけど、ミルちゃんはどうしますの?」
「あ、ボクは…冷たい物は苦手なので…遠慮しておきます。気にしないで…2人で食べてください…」
その会話を聞いていたソフトアイスの店長が、コハラコに声を掛けてきた。
「吸血鬼のお嬢ちゃん。2段重ねなら980ゼニーだよ。ソレを買えばサーシャママと半分こ出来るんじゃないかな?」
「オッサン賢いノ!ソレにするノ♪」
どうやら店長はサーシャの事を良く知っているようだ。なので普段は距離を置かれがちなコハラコに対して怖がったりせずに、優しい提案をしてくれたようだ。その時、突然背後からよく知る声が聞こえてきた
「あー!ミルちゃんだニャ!すまニャいけど、お店を手伝って欲しいニャー!忙し過ぎて追いつかないのニャー!」
【サメ焼き屋】の屋台を広場に出しているグレイス姉妹の2人が汗だくになって働いていたのだが、獣人族ネコ科の優れた聴力でミルの声を聞き分けて走って来たようだ
「どうしたんですか…テルアさんは…お休みですか?」
【サメ焼き屋】はグレイス姉妹の2人とテルアの3人で営業しているハズなのだが、そのテルアの姿は見えない
「(>ω<ノ) テルアは昨夜のBARが大盛況だったらしくて、ヘトヘトになって朝帰りしたから起きなかったニャ。助けてくれニャー!!」
「あはは…仕方がないですね。分かりました」
「ミル…サーシャも手伝おうと思いますの?」
「いえいえ、サーシャさんは…家族(ファミリー)と…年末祭(カウントダウン)を楽しんでください…ボクはグレイスさん達に…恩返ししたいので…」
サーシャの事が好きなミルは、彼女には気兼ねなく祭りを楽しんで欲しいので、手伝いは自分に任せて欲しいと言った
「サーシャママ、遊ぼ♪」
サーシャがお店に取られそうだった事を察知したのか?コハラコがサーシャの手をグイグイと引っ張った
「そうですね。サーシャはコハラコと遊びますの」
「遊びますノ♪」
サーシャが自分を選んでくれたのが嬉しいコハラコは、満面の笑みを浮かべた。一緒に居るだけで楽しいようだ
「あれ?そう言えばエルデスさんの姿が見えないですの…どちらへ?」
「エルデスさんはさっき…」
すると少し離れた所から歌声が聞こえてきた
「夜の森を~流れる彗星~水面にうーつる月と~私たち~♪撫でていくそよ風が~揺らす~私の心~♪彼に~届いて欲しい~私の心~♪…」
「おぉぉ…」
「なんて美しい歌声だ」
「透き通る声…素敵だわ…」
「エルフ様の唄声は格別だねぇ」
【うた自慢会場】から聞こえてきたのはエルデスの歌声だった
「綺麗な声ですの…」
「ですノ…」
「エルデスさん。歌うっま!」
「あぁ、コレは凄いな!」
居合わせた全員、サーシャ、コハラコ、カルーア、ヒイロもエルデスの美声に立ち止まり耳を済ませて聞き惚れていた
「みなさーん。お待たせしてしまいました~【審査員特別賞】というのを~もらっちゃいました~」
歌自慢大会に飛び入り参加したエルデスは、【審査員特別賞】のトロフィーとカゴいっぱいのフルーツが入った商品を持って帰って来た
「エルデスさん。歌凄いね」
「聞き惚れてしまいましたの」
射的屋で勝負しているアリスとヨシュア以外の全員から、大絶賛されて照れているエルデスだった
続く
年末祭が開かれているヘルメスの街の中でも、沢山の人々で賑わう中央広場にやって来たアルバート家族(ファミリー)。まず最初に広場に来たのには理由があった
「ねぇヒイロ。この時間の広場が混雑しているのは分かってたのに、何故真っ先にここに来たんだい?」
「俺は鍛冶屋として商業ギルドに加盟しているだろう?なので、屋台で使える引換券をもらっているんだ。1枚で1000ゼニーまでの物と交換出来るぞ。家族分で(ヒイロ、三姉妹、コハラコ)5枚あるから1人1枚な…俺のはエルデスさんに差し上げますよ」
「宜しいのでしょうか~?」
「俺は沢山稼いでいますので、自分の分は財布から出しますから気にしないでください」
「有難うございます~」
ヒイロは商業ギルドからもらっている無料券をみんなに渡した
「ワァ───ヽ(*゜∀゜*)ノ───イ 何に使おうかなぁ?迷っちゃうなぁ!」
15歳になったアリスだが、天性の子供っぽさが抜けた訳でもなく無邪気に喜んでいると…
「なぁアリス。あそこに射的屋があるぜ。どっちが取れるか勝負しないか?」
「え~、ヨシュアがアリスに勝てるのぉ?」
楽しくて仕方がないアリスは、ヨシュアに対して煽るような言い方をする
「はっ!言ってろよ。俺が負ける訳ないだろ」
「どういう勝負にするぅ?」
「そうだなぁ…お互いに欲しい景品を言い合って、相手が欲しいと言った物を先に落とした方が勝ち!っていうのはどうだ?」
「それで良いよォ♪ヨシュアは何が欲しいのぉ?」
「うーん…そうだなぁ…あの目覚まし時計かな?アリスは何が欲しいんだ?」
「あの熊のぬいぐるみぃ!」
「熊の……おい!ちょっと待て!あのヌイグルミ、めちゃくちゃデカいじゃねーか!ハンデ大き過ぎだろ!」
アリスが望んだぬいぐるみは、ヨシュアが望んだ目覚まし時計の3倍くらいのサイズだった。射的用の銃の威力など、たかが知れている。こういう場では軽くて小さい物を狙うのが定石なのだ
「あらぁ?ヨシュアったら、もう負け宣言なのぉ!?だらしがないんだねぇ(笑)」
「てっめ…良いだろう。やってやろうじゃねーか!」
ヨシュアはアリスと同レベルの言い合いをして、是が非でも取ってやる!と射的を始めた。が…実は彼が欲しいと言った目覚まし時計も…朝が弱いアリスの為の物だった
「はいオジサンこれ!」
アリスは射的屋のオジサンに無料券を渡した
「おっ!無料券持ってるのか?…でも、良いのかい?ソレは1000ゼニー(1000円)までなら何と替えても良いんだぞ?」
射的は1回500ゼニーだ。最大に利用できる額の半分で使う事になるのだが…
「うぅん!アタシはヨシュアと射的がしたいから、これで良いのぉ!」
「はっはっは!嬉しいこと言ってくれるじゃねーか!なら特別に弾を倍の6発渡してやるぜ。それなら2人仲良く楽しめるだろ?」
本来なら1000ゼニー以下の物と1回交換で終わる無料券なので、アリスの心意気に打たれた店主は1000ゼニー分の弾をアリスとヨシュアに渡した。ヨシュアは自分の分は財布から出そうとしていたが、ソレを引っ込めアリスから3発の弾をもらって勝負を始めた
「姉さんもヨシュアも楽しそうだね!」
「そうだな…なかなかお似合いみたいだな、あの2人は」
アリスとヨシュアのやり取りを眺めていたヒイロとカルーア。仲良く勝負する2人を見て笑顔がこぼれていた
「コハラコ、アレ食べたいノ。サーシャママも一緒に食べるノ!」
「ソフトアイス?…1個600ゼニーですのね。サーシャの分は自分で買いますけど、ミルちゃんはどうしますの?」
「あ、ボクは…冷たい物は苦手なので…遠慮しておきます。気にしないで…2人で食べてください…」
その会話を聞いていたソフトアイスの店長が、コハラコに声を掛けてきた。
「吸血鬼のお嬢ちゃん。2段重ねなら980ゼニーだよ。ソレを買えばサーシャママと半分こ出来るんじゃないかな?」
「オッサン賢いノ!ソレにするノ♪」
どうやら店長はサーシャの事を良く知っているようだ。なので普段は距離を置かれがちなコハラコに対して怖がったりせずに、優しい提案をしてくれたようだ。その時、突然背後からよく知る声が聞こえてきた
「あー!ミルちゃんだニャ!すまニャいけど、お店を手伝って欲しいニャー!忙し過ぎて追いつかないのニャー!」
【サメ焼き屋】の屋台を広場に出しているグレイス姉妹の2人が汗だくになって働いていたのだが、獣人族ネコ科の優れた聴力でミルの声を聞き分けて走って来たようだ
「どうしたんですか…テルアさんは…お休みですか?」
【サメ焼き屋】はグレイス姉妹の2人とテルアの3人で営業しているハズなのだが、そのテルアの姿は見えない
「(>ω<ノ) テルアは昨夜のBARが大盛況だったらしくて、ヘトヘトになって朝帰りしたから起きなかったニャ。助けてくれニャー!!」
「あはは…仕方がないですね。分かりました」
「ミル…サーシャも手伝おうと思いますの?」
「いえいえ、サーシャさんは…家族(ファミリー)と…年末祭(カウントダウン)を楽しんでください…ボクはグレイスさん達に…恩返ししたいので…」
サーシャの事が好きなミルは、彼女には気兼ねなく祭りを楽しんで欲しいので、手伝いは自分に任せて欲しいと言った
「サーシャママ、遊ぼ♪」
サーシャがお店に取られそうだった事を察知したのか?コハラコがサーシャの手をグイグイと引っ張った
「そうですね。サーシャはコハラコと遊びますの」
「遊びますノ♪」
サーシャが自分を選んでくれたのが嬉しいコハラコは、満面の笑みを浮かべた。一緒に居るだけで楽しいようだ
「あれ?そう言えばエルデスさんの姿が見えないですの…どちらへ?」
「エルデスさんはさっき…」
すると少し離れた所から歌声が聞こえてきた
「夜の森を~流れる彗星~水面にうーつる月と~私たち~♪撫でていくそよ風が~揺らす~私の心~♪彼に~届いて欲しい~私の心~♪…」
「おぉぉ…」
「なんて美しい歌声だ」
「透き通る声…素敵だわ…」
「エルフ様の唄声は格別だねぇ」
【うた自慢会場】から聞こえてきたのはエルデスの歌声だった
「綺麗な声ですの…」
「ですノ…」
「エルデスさん。歌うっま!」
「あぁ、コレは凄いな!」
居合わせた全員、サーシャ、コハラコ、カルーア、ヒイロもエルデスの美声に立ち止まり耳を済ませて聞き惚れていた
「みなさーん。お待たせしてしまいました~【審査員特別賞】というのを~もらっちゃいました~」
歌自慢大会に飛び入り参加したエルデスは、【審査員特別賞】のトロフィーとカゴいっぱいのフルーツが入った商品を持って帰って来た
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続く
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