ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

文字の大きさ
106 / 135
日常編

ケチュアの憂鬱

しおりを挟む
【マリニウム城下町】
マリニウム城でのクーデターに、飛び入れで参加したケチュアとリキュール。両親の殺害の指示を出した宿敵【オヅベルド公爵】は、パートナーであるリキュールの超極大魔法【七精守護霊(ハーロウィーン)】により焼却された

「帰りましょうリキュール…」

「ケチュアはこの地で名のある貴族の娘なんだろ?残らなくて良いのかい?」

「私(ワタクシ)は受け入れてくれたイシス王国で貴女と共に生きると決めたのです♪」

ケチュアもまたカルーアと同じように、自分の復讐を果たすことのみが目的であり、その後のマリニウムの行く末に関わる気など微塵も無かったので、付き添ってくれたシュバッツ家の兄妹と共にイシス城への帰路に着いた



【ケチュアとリキュールの部屋】
「(〃´o`)ふぅ~ようやく一区切りつきましたわ……肩が凝っちゃいました…」
 

目的を果たし無事にイシス王国に戻った2人は、城の者たちから温かく迎えられた

…とは言え、戦闘力としては見習い剣士程度の実力しかないケチュア。成り上がりとは言え貴族教育を受けて育った彼女は、武官としてではなく文官としての才能を買われ、書類整理や市政向上案のレポートを作成するのが王女から与えられた仕事になった

「どうしたんだいケチュア。ため息なんかついちゃったりしてさ。悩み事かい?」

「リキュール……いえ、そんな大袈裟の事ではありませんわ。ただ…」

「ふむ…マリニウムでも戦力にならなかった自分を鍛えたいのに、内務仕事ばかりさせられているから鬱憤(ウップン)が溜まっている訳だね(笑)」

「ε٩(๑>ω<)۶зもう!リキュールったら…その通りですわ。分かっていて聞いたのですね?…そういう貴女の方はどうなんですの?」

「( „❛ ֊ ❛„)んっ?私かい?……そうだね、私の方も上手くいかなくて困っているよ。はは…」

「えっ!?リキュールもなのですか?…私(ワタクシ)と違って貴女は、あんなに強いのに…何故ですの?」

「それがね…私の教え方は…なんと言うか…フィーリングが強過ぎて理解しにくい。んだってさ。嫌になっちゃうね。ソッチから講師を頼んで来といてさ…説明するのは本当に下手だよ。ってちゃんと前もって断りも入れておいたんだよ?」
 

「Σ(゜□゜)あっ!そうでしたわね…貴女は…なんと言ったかしら?……そう、それ。進化型超人類として…確かお姉さんの…あの場に居た…えーっと…」

「カルーア姉さんの事かな?…うん。私は液状データ集合体から固体化する時に、姉さんが蓄積していたデータを取り込んでの魔法力(チカラ)だからね。努力や修練で得たチカラじゃないから説明しろって言われてもね……」

そうなのである。リキュールはどこかの魔法学院に通うなり、高名な魔道士あたりから教えを受けて得た魔法力(チカラ)ではないので、教えて欲しいと頼まれたところで習得するのに時間や労力をほとんど掛けていないので、レベル差の激しい相手が理解できるように教えることなど極めて難しいのである

「そうでしたわね…強けりゃ良い。って事ばかりでもありませんのね。お互い大変ですね」

「固体化した日を、わたしの誕生日として計算したらさ…わたしはまだ生後1ヶ月なんだよ?分かり易く教えてくれと言われてもね…」

「でも…流石にその話を皆さんに伝える訳にもいきませんし…難しいですわね…」

あくまでケチュアは、お互いスグには上手くいきませんね。程度のつもりで言っただけなのだが…

「いやいや。ケチュアに比べれば私の方はそんなでもないよ。教えるべき相手がもう少しレベルが高ければ、多少のフィーリングを合わせれば教えられない事はないからね
それに比べてケチュアは剣を使わせても見習いレベルだし、書類整理もそんな言うほど慣れてる訳でもないんだから、また別の話だと思うけどね~(笑)」

リキュールは冗談っぽく言った。決してケチュアを馬鹿になどしてはいなかったのだが…思い返せばリキュールと初めて会ったその日から…リキュールは活躍しまくっているが、自分はコレと言っても何も成しえていない。それが、ケチュアを焦らせていた

「リキュール!私が何でもかんでも貴女に見劣りしていると思ってますの!?」

「な、何だいケチュア?別に馬鹿にした訳じゃないんだからさ…怒らなくても良いだろ?」
 

戦闘力(チカラ)が無いに等しいケチュアが凄んだところで、リキュールからすれば焦る必要も無いのだが……初めて魅せる彼女の気迫に思わず驚くリキュール

「いいえ!私(ワタクシ)からでも貴女に教えられる事が有るって事を、そろそろ教えてあげないとイケませんわね!」

「へ、へ~。ケチュアが私に何を教えてくれるんだろうね?(笑)ソレハキタイシチャウナァ」

こんな返し方をしたリキュールだが、内心は今まで出逢った誰よりもケチュアの仕草や反応に興味を覚えていた。本人も何故ケチュアにだけ、そこまで惹かれるのか分からないようだが…彼女を観ているのが楽しくて仕方ないようだ

「ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!言いましたわね!今夜たっぷり教えて差し上げますわ!」

ケチュアとリキュールは同じ部屋に住まわされている。ので、別に用事があるから訪ねたりする事もないのだが…今夜ケチュアが何を教えてくれるのか?少し楽しみなリキュールだった



続く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...