ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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日常編

3大魔女激突!

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【神の民の里】
「族長倒れる!」
この知らせはすぐに里の者全員が知るところになった。かなりのご高齢だったので、そう遠くない日には…とみんなが覚悟していたが…
そよ風が吹くのどかなある日…里の者全員から慕われていた族長は静かに息を引き取った

「次の族長を決める御前試合を開催する!」

この里では族長が亡くなり葬儀を終えた翌日に御前試合を開き、その時に優勝した者を族長にする。という風習があった

「やっぱりフュールじゃろう」
「せやな、彼女は天才やけんな」

里の者の大本命はメリーズの姉であるフュールだった。彼女の魔法は災害や天変地異などから、これまで何度もこの里を救ってきた実績があったから当然の話だった

しかし、どんな時でも予想外の事は起こるもの。決勝はフュールとメリーズの姉妹対決になると思われていたが…準決勝でメリーズは敗退した

「はぁはぁ…何をしても敵わないなんて…」

「強い魔法力を持っていても、攻撃と防御がこうもチグハグではな…言っておくが、里の外で敵対したら3度は死んでいるぞ?」

彼女を打ち倒した者は【ミオランダ】
この里のある女性が、ある日「フラっと」この里に辿り着いた者と恋に落ち異国の者の血を入れて育った少女、それが彼女だった

この里の者は基本、魔法に長けた者がほとんどだが…異国の者の血が混ざっているからか?ミオランダの魔法は【身体強化】と【回復魔法】がソコソコ使える程度だった。彼女の強さは体術と剣術にあった。そんなミオランダがメリーズを破り、決勝戦でフュールと対峙した

「ようやくねフュール。この里最強と言われる貴女と戦える日を待ち望んでいたわ…どんな結果になっても恨んだりしないでね(笑)」
 

「もちろんよ…メリーズの仇討ち。という訳でもないのだけど、貴女の目からは良くない光を感じるわ。族長に就きたい!なんて野心は無いけど、貴女に族長を継がせるのは危険過ぎる」

「黒の剣よ、現出してチカラを貸せ」

軽装で何も持たず試合会場に現れたミオランダが、無造作に手を上げると空間に裂け目が生じソコから黒い剣が現れた

歴代の族長たちと比較してもフュールの魔法力(チカラ)はトップクラス。いや、最強か?と言われる実力者であるフュールに対しても、ミオランダは勝つ意思が強く表に出ていた

……………………………………………

「それでは族長の座を賭けた決勝戦…開始!」

族長補佐の号令により遂に始まった決勝戦
(この勝負、自分に有利な戦況に持ち込んだ方が勝つでしょうね!)

フュールは準決勝で妹のメリーズと戦ったミオランダの強さを見ていた。圧倒的なスピードと鋭い剣戟。離れた相手にも剣圧を飛ばして攻撃出来る。そんな彼女の持ち味を出させない様にして勝つつもりだ

「精霊たちよ、我が声に応えよ!」

フュールが右手を軽く挙げると、精霊のチカラを宿したクリスタルが彼女の周囲に7個現れた【火 水 土 風 木 光 闇】7大精霊と呼ばれるそれぞれの色を灯していた

「ふっ、余裕じゃないか!」

フュールが僅かな動作で召喚していたその少しの時間でさえも、ミオランダにとっては攻め入るに十分な時間だった

しかし、ミオランダの斬撃は水に写ったフュールの姿を切り裂いていた

「何っ!?……幻覚だと?いつの間に…」

フュールは7大精霊たちを呼んでいる間に、ミオランダに対して幻覚の魔法も同時に使用していた。そうとは知らずに幻覚を切り裂いたミオランダ

「今だっ!放てー!!」

斬撃直後の彼女を狙って7つの精霊クリスタルから、ほぼ同時に7種類の魔法が撃ち出された

「この程度かっ!!」

その同時攻撃をひとつは回避し、ひとつは剣で砕き、ひとつは拳で砕くなりして一瞬でフュールとの間合いを詰めたミオランダ。だが…

「かはっ!何だ?…身体が動かない??」

「貴女の得意戦法は理解してたわ。けれど貴女は私の魔法力(チカラ)を理解せずに突っ込んできた。自分の能力(チカラ)を過信し過ぎている、それが貴女の敗因よ!」

7つのクリスタルはミオランダを中心に円を描き、ソレから照射されている光が結界を生み出し、その中に彼女を封じ込めた

「何だコイツら?身体にまとわりついて離れない…だと」

土が彼女の上半身と同化して体重を重くし、地面から湧き出た水が彼女の下半身を濡らし、その水分を凍り付いて動きを封じた。闇が彼女の顔を覆い視力を奪い、光が彼女を封じる結界を生成している

「炎よ、全てを焼き尽くせ!!」
 
フュールは結界内に灼熱の炎を投げ込んだ

「(;`皿´)グヌヌ、この程度でぇ…貴様なんぞに…貴様なんぞにィ!!」

クリスタルが作り出している限定された空間しかない結界の中で、ミオランダは耐熱魔法を自身に掛けてフュールの炎魔法に耐えていたが…

「うぐっ!…これは!?…あっ!?」

_:(  _ ́ཫ`):_バタッ!!

ミオランダは知らなかったが、魔法を極める為に自然科学も首席並みに勉強していたフュールは、酸素は熱により燃焼しその量を減らす。酸素の無い空間で生物は生きられない事を知っていたフュールの頭脳戦の前に、ミオランダは気絶して敗れ去った

「ただ強くなるだけでは人の上に立つ資格は得られないわ。多くを知り経験した事を活かし、未来を照らす存在に慣れなければ…ね」

強大な魔法力に豊富な知識を活かしたフュールが、ミオランダを翻弄し圧勝した

「これにより、次期族長はフュール・アシェスタと決定した!!」
「ウオオオォォォー!!」
「フュール様バンザイ!」
「おめでとうございます」

里の者たちはフュールが族長の座を継いだことに喜び歓喜の声をあげた!新族長の誕生を祝う宴は、日か沈むまで行われた



続く
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