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日常編
渇望の魔女誕生
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【聖騎士勇者隊の部屋】
「お姉ちゃんは、自分がムァンコスに身体を求められている事に勘づいていながらも、何ひとつ助けてもくれなかった里の人達に嫌気が差して、私と一緒に旅に出てくれたんえ
そして数ヶ月の旅の末に…私たち姉妹は伝統工芸の街【イーガ】に辿り着いたんですわ。それから数十年間は「中級の魔法使い姉妹」として暮らした訳どす」
「強過ぎる魔法力(チカラ)を持っている事を知られたら、また里の時の様に利用されかねないからなんだね」
メリーズの説明を聞いていたアドルが、これまでの話を整理して話すことで、今までの説明を自分がちゃんと理解出来ていることを彼女に伝えた
「たしか【イーガの街】は手先の器用な職人さんが多くいる街ですわね。そこでやっと、姉妹揃っての平和な時間を手に入れたのですね?」
「そうですなぁ…けれど、その平和は長くは続きませなんだわ。今から30年ほど前やったやろか?…ミャンジャムはん、王都クラウンの前国王の悪評は聞いた事ありますやろ?」
「はい……20年前、前国王が大戦時に死亡し今のロード王に代わられたのが私(ワタクシ)が生まれた年なので、前国王へのイメージはあまり残っていないのですが…かなりの外道だったと聞いていますわ…」
悪名がとどろいている前国王の話となり、苦虫を噛み潰したような顔で話をするミャンジャム
「Σ(゜□゜)あっ!そうですわ。私(ワタクシ)はお邪魔したことは無いですけれど、【イーガの街】は戦争に参加しない中立の街と聞いていますが……そんな争いの無いハズの街に居たのに何故お姉さんは【渇望の魔女】と呼ばれる様になったんですか?」
「それはですなぁ…」
今度はメリーズの方が【苦虫を噛み潰したような表情】になって話し始めた
「30年前にクラウン城の前国王が、新しい魔王が就任したての今のアレクス城を狙って元魔王(ザッド)の生命を奪うために攻め込んだんよ」
「確か…その時の戦いは他の国を巻き込んではいなかったけど、20年前の時の大戦と同じくらいの死者が出た戦いだった。って聞いているけど…」
やはり過去の戦争の話など深く掘り下げて話し出すと、良い顔色になる事などは滅多に無く、イシスの英雄アドルも表情を曇らせていた
「……せや!今回のラッセル公爵のクーデターで彼が使った古代決戦兵器は覚えてはるやろ?」
ラッセル公爵が古代遺跡から掘り出した兵器を使い、マリニウム城の転覆を企てた際に使用した背丈18メートルほどの強力な兵器だ
「アレは厄介だったよね?それで、その兵器がどうしたんだい?」
「30年前、クラウン側が魔王の拠点に攻め込んだ時もその兵器と同タイプの決戦兵器が使われたんよ」
「Σ( °꒳° ).ᐟ.ᐟ何ですって!?そんな情報はクラウンの資料館にも有りませんでしたわ!」
ラッセル公爵がマリニウム城攻略に使用した兵器が、30年前にも使われていた!クラウン城にも残されていない情報に驚くミャンジャム
「【イーガの街】もアレクス城にソコソコ近いんでな、いくら中立を宣言していても、流石に無関係な態度を決め込むのは無理やったんよ。クラウンの前国王が使用した決戦兵器は元魔王(ザッド)の居る城に近付いてきてな、アレクス城の魔族軍も迎撃に出たんやけど…それが【イーガの街】のすぐ側で交戦を始めてな…やむなく私たち姉妹も人間側の味方として、戦争に参加せざるを得なかったんよ」
「分からないな…それなのにどうしてフュールさんは魔王側に就いたんだ?」
「【イーガの街】の人達にもその時の大戦で、既に多くの人間が死亡している事は知れ渡っていたわ。もちろん私もお姉ちゃんもソレが、魔族の攻撃による被害者だと信じて戦っていたんよ……でも違ったんよ!人間側の多くの死者が出た理由は……強力な決戦兵器を動かす為のエネルギーを作り出す為に、国王の命令で奪われた兵士の生命だったんよ」
「馬鹿なっ!!戦争を有利に進められる決戦兵器を稼働させる為に、多くの兵士や国民を国王自らの命令で奪わせた。だと!?」
「それじゃ人間側と魔族側、どちらに非があるなんて言えなくなる……いえ、むしろクラウンの方が悪としか言えないわよ!」
「そうよ。私たちの部隊は魔族の精鋭たちに阻まれていたんよ…中級の魔法力に抑えて戦ってたからね…」
「そっか、イーガで中級の魔法使いって言ってたんだから、そうなるよね。それで、メリーズのお姉さんはその後どうなったんだい?」
いよいよ話の確信に近付いたからか?淡々と話していたメリーズの顔がイッキに曇った
「街の近くで戦闘が長引くと…私たちが身を寄せているイーガにも被害が及ぶと考えたお姉ちゃんは…本来の魔法力(チカラ)を発揮して、戦闘の1番激しいエリアへと向かったらしいんよ。そこで見た光景にお姉ちゃんは、戦う意志を失った!って言ってたわ…」
激しい戦闘を突き破り、単独で戦闘の中心部に向かったフュールが見たものは…
「何だ!?この怪物は!…ええい、総員ここが最後の防衛ラインと思って戦え!決して怯むなぁ!!」
当時、魔王ザッドの配下として守備隊長をしていたアレクスが、異様な敵に恐怖しながらも部隊を指揮して戦っていたのだが…
神話に出てくるケンタウロスを模した姿の巨大な機械化兵が、魔族の戦士達と激しく交戦していたのだが…
「ええぃ!回復が追いついておらん。用意したエネルギーを古代兵器に与えるのだっ!」
前線で指揮を執る当時のクラウン城の国王の命令で、運んできた大型の鉄籠が開かれた
「こ、ここは何処なんだ!?」
「ひぃぃ!魔族が目の前に居るぞぉ!」
「誰かっ、助けてくれ~!」
意外なことに鉄籠の中から現れたのは…何も知らない国民たちだった。視界を遮られた鉄籠の中に閉じ込められていた彼らは、何が起きているのか?訳が分からずに近くに居た騎士たちに助けを求めた
しかし、国民を守るハズの兵士たちは彼らを助けずケンタウロス型の兵器の前に彼らを突き飛ばした
「うわぁー!」
「く、食い殺されるぅ~」
「神様ー!神様ぁぁぁ!!」
そのボディに損傷が重なっていくほどに、馬が口を開け死んだ兵士や…時には生きた国民をそのまま食事としエネルギーを得て、傷付けられたボディの修復をしていた
「そんな馬鹿な…また私はろくでもない奴らに利用されたと言うの?…善人ツラして、どれだけ私利私欲を満たせば気が済むのよ。ふざけないでよ!私は、私たち姉妹は!普通に平和に暮らしたいだけなのにッ!!!」
生命を食事し続ける限り破壊不可能な強力な決戦兵器を動かす為だけに、多くの生命を奪ったクラウン城の前国王
「そうなんよ。その事実を知ってしまったお姉ちゃんは…人間側に失望し、魔族側に就くことを決意した。という訳なんよ」
「なんて事なの!里の人達からも利用され、国民や兵士を兵器のエネルギーとして大量虐殺した前クラウン国王にも利用されてしまっては…メリーズのお姉さんも心底愛想が尽きてしまっても…至極当然ですわね…」
……………………………………………
「燃え尽きよ!!はあぁぁぁ…猛き炎よ軍旗となりて悪を焼き尽くせっ!!【大紅軍旗(グラシエール)】 」
彼女が密かに開発中だった、禁呪級の呪文を初めて実戦で使用した。岩をも気化させる程の熱量を帯びたその軍旗は、古代人たちの遺品であるケンタウロス型の機械化兵を焼き尽くした!
そのまま単身で魔王ザッドの居城に辿り着き、立ち塞がる魔族の兵士を吹き飛ばし、魔王ザッドの前に立った!
「女…貴様は魔族の者ではないな。よくぞ単身で俺の前までやって来れたものだ…まさか、アレクス達を全滅させてきたのか?」
「私が破壊したのは、国王が使っていた非人道的な古代人の兵器よ。アレクスと言うの?彼らを殺してはいないわ」
「そうか…なら何故、貴様は単身で俺の所にやって来たのだ?」
「魔王ザッド、貴方という男が…私が仕えるのに足る人物か?どうかを知りたくてやって来たのよ」
魔王ザッドを守護する精鋭たちにグルリと囲まれ、当時ブッチギリで魔族最強と言われた魔王の前に単身で立ち「魔王の資質を知りたくて来た」と言い放ったフュール
……………………………………………
「お姉ちゃんは自分の目で、元魔王(ザッド)の人間性を見極めて魔族側に就いた。けど私は…もうどこかの軍に所属する事が嫌になって…」
「それでフリーの冒険者になった訳か…」
「つらかったのねメリーズ…」
アドルもミャンジャムも何故メリーズが悪党に対し即決して【悪即斬!】な行動をしがちなのか?どうして彼女の姉が【渇望の魔女】になったのか?その理由を姉妹の過去の話から理解した
【30分後】
全てを話したメリーズは泣き崩れた。恐らく姉妹の生い立ちを全て話のは、初めての事だったのだろう。抑えていた感情が、ダムが崩壊した様に溢れ出したようだ。そんな彼女が泣き止んだ頃、アドルは貯水タンク(飲料を冷やす為に氷水を入れる容器)から、数本の瓶を持ってきた
「今夜はコレでも飲まないか?」
「まぁ高級なお酒じゃない!いつの間にこんな良いのを隠し持ってたのよ?」
「本当は…僕とミャンの結婚式を終えてから飲もうと密かに買っておいたんだけどね…」
「それじゃ、今飲んでしまうんは…」
「良いんだよ。僕は今飲みたくなったんだ。良いだろミャンジャム?」
「そうね、飲みましょ!1リットル瓶を30本も買っておいたのよ、さぁさぁメリーズも遠慮しないで飲みなさいな!」
「ありがとうな…2人とも…大好きよ♪」
メリーズがお酒好きなのをよく知っているアドルとミャンジャムは、結婚式の後で今までのお礼と今後も変わらぬパーティとしてのお願いをする為に、たっぷりと買っておいたようだ
「まあまあまあ!?コレってイーガの地ピールじゃないの!ええんどすか?ウチはコレがホンマに大好きでなぁ…10本くらいなら一晩で軽く飲み干してしまいますえ♬」
「あはは、メリーズ。手に入れるの難しいから、半分は結婚式の時の為に残しておきましょうね」
「そ、そうだよね?かなり高かったからね…」
イーガの地ピールを見た途端、メリーズの目の輝きが見たこともない程に変化したことに恐怖を感じたミャンジャムとアドル
姉のフュールは魔族側に付き、掛け替えのない親友【徳川有栖】と唯一の弟子【エーデ】を手にし、妹のメリーズはフリーの冒険者となり【ミャンジャム】と【アドル】という大切な仲間を手に入れていた
進んだ道は別れたが【アシェスタ姉妹】は長い旅路の末、ようやく大切な人たちを手にしたのだった
続く
「お姉ちゃんは、自分がムァンコスに身体を求められている事に勘づいていながらも、何ひとつ助けてもくれなかった里の人達に嫌気が差して、私と一緒に旅に出てくれたんえ
そして数ヶ月の旅の末に…私たち姉妹は伝統工芸の街【イーガ】に辿り着いたんですわ。それから数十年間は「中級の魔法使い姉妹」として暮らした訳どす」
「強過ぎる魔法力(チカラ)を持っている事を知られたら、また里の時の様に利用されかねないからなんだね」
メリーズの説明を聞いていたアドルが、これまでの話を整理して話すことで、今までの説明を自分がちゃんと理解出来ていることを彼女に伝えた
「たしか【イーガの街】は手先の器用な職人さんが多くいる街ですわね。そこでやっと、姉妹揃っての平和な時間を手に入れたのですね?」
「そうですなぁ…けれど、その平和は長くは続きませなんだわ。今から30年ほど前やったやろか?…ミャンジャムはん、王都クラウンの前国王の悪評は聞いた事ありますやろ?」
「はい……20年前、前国王が大戦時に死亡し今のロード王に代わられたのが私(ワタクシ)が生まれた年なので、前国王へのイメージはあまり残っていないのですが…かなりの外道だったと聞いていますわ…」
悪名がとどろいている前国王の話となり、苦虫を噛み潰したような顔で話をするミャンジャム
「Σ(゜□゜)あっ!そうですわ。私(ワタクシ)はお邪魔したことは無いですけれど、【イーガの街】は戦争に参加しない中立の街と聞いていますが……そんな争いの無いハズの街に居たのに何故お姉さんは【渇望の魔女】と呼ばれる様になったんですか?」
「それはですなぁ…」
今度はメリーズの方が【苦虫を噛み潰したような表情】になって話し始めた
「30年前にクラウン城の前国王が、新しい魔王が就任したての今のアレクス城を狙って元魔王(ザッド)の生命を奪うために攻め込んだんよ」
「確か…その時の戦いは他の国を巻き込んではいなかったけど、20年前の時の大戦と同じくらいの死者が出た戦いだった。って聞いているけど…」
やはり過去の戦争の話など深く掘り下げて話し出すと、良い顔色になる事などは滅多に無く、イシスの英雄アドルも表情を曇らせていた
「……せや!今回のラッセル公爵のクーデターで彼が使った古代決戦兵器は覚えてはるやろ?」
ラッセル公爵が古代遺跡から掘り出した兵器を使い、マリニウム城の転覆を企てた際に使用した背丈18メートルほどの強力な兵器だ
「アレは厄介だったよね?それで、その兵器がどうしたんだい?」
「30年前、クラウン側が魔王の拠点に攻め込んだ時もその兵器と同タイプの決戦兵器が使われたんよ」
「Σ( °꒳° ).ᐟ.ᐟ何ですって!?そんな情報はクラウンの資料館にも有りませんでしたわ!」
ラッセル公爵がマリニウム城攻略に使用した兵器が、30年前にも使われていた!クラウン城にも残されていない情報に驚くミャンジャム
「【イーガの街】もアレクス城にソコソコ近いんでな、いくら中立を宣言していても、流石に無関係な態度を決め込むのは無理やったんよ。クラウンの前国王が使用した決戦兵器は元魔王(ザッド)の居る城に近付いてきてな、アレクス城の魔族軍も迎撃に出たんやけど…それが【イーガの街】のすぐ側で交戦を始めてな…やむなく私たち姉妹も人間側の味方として、戦争に参加せざるを得なかったんよ」
「分からないな…それなのにどうしてフュールさんは魔王側に就いたんだ?」
「【イーガの街】の人達にもその時の大戦で、既に多くの人間が死亡している事は知れ渡っていたわ。もちろん私もお姉ちゃんもソレが、魔族の攻撃による被害者だと信じて戦っていたんよ……でも違ったんよ!人間側の多くの死者が出た理由は……強力な決戦兵器を動かす為のエネルギーを作り出す為に、国王の命令で奪われた兵士の生命だったんよ」
「馬鹿なっ!!戦争を有利に進められる決戦兵器を稼働させる為に、多くの兵士や国民を国王自らの命令で奪わせた。だと!?」
「それじゃ人間側と魔族側、どちらに非があるなんて言えなくなる……いえ、むしろクラウンの方が悪としか言えないわよ!」
「そうよ。私たちの部隊は魔族の精鋭たちに阻まれていたんよ…中級の魔法力に抑えて戦ってたからね…」
「そっか、イーガで中級の魔法使いって言ってたんだから、そうなるよね。それで、メリーズのお姉さんはその後どうなったんだい?」
いよいよ話の確信に近付いたからか?淡々と話していたメリーズの顔がイッキに曇った
「街の近くで戦闘が長引くと…私たちが身を寄せているイーガにも被害が及ぶと考えたお姉ちゃんは…本来の魔法力(チカラ)を発揮して、戦闘の1番激しいエリアへと向かったらしいんよ。そこで見た光景にお姉ちゃんは、戦う意志を失った!って言ってたわ…」
激しい戦闘を突き破り、単独で戦闘の中心部に向かったフュールが見たものは…
「何だ!?この怪物は!…ええい、総員ここが最後の防衛ラインと思って戦え!決して怯むなぁ!!」
当時、魔王ザッドの配下として守備隊長をしていたアレクスが、異様な敵に恐怖しながらも部隊を指揮して戦っていたのだが…
神話に出てくるケンタウロスを模した姿の巨大な機械化兵が、魔族の戦士達と激しく交戦していたのだが…
「ええぃ!回復が追いついておらん。用意したエネルギーを古代兵器に与えるのだっ!」
前線で指揮を執る当時のクラウン城の国王の命令で、運んできた大型の鉄籠が開かれた
「こ、ここは何処なんだ!?」
「ひぃぃ!魔族が目の前に居るぞぉ!」
「誰かっ、助けてくれ~!」
意外なことに鉄籠の中から現れたのは…何も知らない国民たちだった。視界を遮られた鉄籠の中に閉じ込められていた彼らは、何が起きているのか?訳が分からずに近くに居た騎士たちに助けを求めた
しかし、国民を守るハズの兵士たちは彼らを助けずケンタウロス型の兵器の前に彼らを突き飛ばした
「うわぁー!」
「く、食い殺されるぅ~」
「神様ー!神様ぁぁぁ!!」
そのボディに損傷が重なっていくほどに、馬が口を開け死んだ兵士や…時には生きた国民をそのまま食事としエネルギーを得て、傷付けられたボディの修復をしていた
「そんな馬鹿な…また私はろくでもない奴らに利用されたと言うの?…善人ツラして、どれだけ私利私欲を満たせば気が済むのよ。ふざけないでよ!私は、私たち姉妹は!普通に平和に暮らしたいだけなのにッ!!!」
生命を食事し続ける限り破壊不可能な強力な決戦兵器を動かす為だけに、多くの生命を奪ったクラウン城の前国王
「そうなんよ。その事実を知ってしまったお姉ちゃんは…人間側に失望し、魔族側に就くことを決意した。という訳なんよ」
「なんて事なの!里の人達からも利用され、国民や兵士を兵器のエネルギーとして大量虐殺した前クラウン国王にも利用されてしまっては…メリーズのお姉さんも心底愛想が尽きてしまっても…至極当然ですわね…」
……………………………………………
「燃え尽きよ!!はあぁぁぁ…猛き炎よ軍旗となりて悪を焼き尽くせっ!!【大紅軍旗(グラシエール)】 」
彼女が密かに開発中だった、禁呪級の呪文を初めて実戦で使用した。岩をも気化させる程の熱量を帯びたその軍旗は、古代人たちの遺品であるケンタウロス型の機械化兵を焼き尽くした!
そのまま単身で魔王ザッドの居城に辿り着き、立ち塞がる魔族の兵士を吹き飛ばし、魔王ザッドの前に立った!
「女…貴様は魔族の者ではないな。よくぞ単身で俺の前までやって来れたものだ…まさか、アレクス達を全滅させてきたのか?」
「私が破壊したのは、国王が使っていた非人道的な古代人の兵器よ。アレクスと言うの?彼らを殺してはいないわ」
「そうか…なら何故、貴様は単身で俺の所にやって来たのだ?」
「魔王ザッド、貴方という男が…私が仕えるのに足る人物か?どうかを知りたくてやって来たのよ」
魔王ザッドを守護する精鋭たちにグルリと囲まれ、当時ブッチギリで魔族最強と言われた魔王の前に単身で立ち「魔王の資質を知りたくて来た」と言い放ったフュール
……………………………………………
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「まぁ高級なお酒じゃない!いつの間にこんな良いのを隠し持ってたのよ?」
「本当は…僕とミャンの結婚式を終えてから飲もうと密かに買っておいたんだけどね…」
「それじゃ、今飲んでしまうんは…」
「良いんだよ。僕は今飲みたくなったんだ。良いだろミャンジャム?」
「そうね、飲みましょ!1リットル瓶を30本も買っておいたのよ、さぁさぁメリーズも遠慮しないで飲みなさいな!」
「ありがとうな…2人とも…大好きよ♪」
メリーズがお酒好きなのをよく知っているアドルとミャンジャムは、結婚式の後で今までのお礼と今後も変わらぬパーティとしてのお願いをする為に、たっぷりと買っておいたようだ
「まあまあまあ!?コレってイーガの地ピールじゃないの!ええんどすか?ウチはコレがホンマに大好きでなぁ…10本くらいなら一晩で軽く飲み干してしまいますえ♬」
「あはは、メリーズ。手に入れるの難しいから、半分は結婚式の時の為に残しておきましょうね」
「そ、そうだよね?かなり高かったからね…」
イーガの地ピールを見た途端、メリーズの目の輝きが見たこともない程に変化したことに恐怖を感じたミャンジャムとアドル
姉のフュールは魔族側に付き、掛け替えのない親友【徳川有栖】と唯一の弟子【エーデ】を手にし、妹のメリーズはフリーの冒険者となり【ミャンジャム】と【アドル】という大切な仲間を手に入れていた
進んだ道は別れたが【アシェスタ姉妹】は長い旅路の末、ようやく大切な人たちを手にしたのだった
続く
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