引き籠もりVTuber 配信者編

龍之介21時

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転倒

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【ファミレス経営】
亜沙美とメルル、すもらの今夜のオフコラボ配信は…今日、偶然にファミレスで服部の妹の茜と出会った事もあったし、以前2Dだったゲームが3D番がリリースされたということも重なっていたので、このゲームが選ばれた

「役割分担した方が良いと思うのですけど、2人はどう思います?」

「うん。その方が良いよねぇ…アミはウェイトレスさんをしようかなぁ?」

「私も賛成だわ。配膳やら食器洗いをしようかしら?」

すもらの提案に同意した亜沙美とメルル

✱「メルルとすもらは良いとして…」
✱「アミはな~」
✱「ドジっ子だからな~」
✱「だが、それが良い」
✱「せやなぁ…( ˘ω˘ )」

5段階に難易度が設定されているのだが、まずは3段階目からプレイすることに決めた。明日には亜沙美とロミータが三重県に、すもらも静岡県に帰るので、こんなオフコラボが出来る機会は中々無いので、今夜中に最高難易度に挑みたいようだ

……………………………………………

【STAGE CLEAR♪】
「ふぅ。まぁ、この辺はね」
「やったぁ♪」
「…良かったわね」

難易度3段階目であるベリーハードをCLEARした3人。そのまま4段階目の【EX HARD】へと移行した

アミが注文と掃除、メルルが配膳と皿洗い、すもらが調理と役割を決めた

✱「アミ落ち着いて」
✱「アミ焦り過ぎだろ」
✱「すもら良い動きしてるよな」
✱「安定感がある」
✱「メルルも良いよな」

器用で冷静な、すもらの動きがダントツに良くて、メルルがまぁまぁ。アミが何とか、といった感じだった

……………………………………………

「痛った~いぃ!?」

フロアで歩き回っているアミが、突然つまずいて転倒した。どうやらゴミの固まりに足が引っかかったようだ

「店内がゴミだらけじゃないですか!手が空いた時に、ちゃんと掃除しておかないからですよ」

「でもぉ、忙し過ぎて中々掃除してる暇が無いんだもぉん…」

「..........................」

亜沙美が言うように難易度【EX HARD】では、メニューも増えているうえに来客するペースも早いし、慣れない3Dでの操作もあって、注文を聞いて料理をテーブルに置くのも余裕が無いようだ


「次の難易度に挑む前に、少しお話ししませんか?」

「えっと…何かなぁ?」

「今日、3人で東京観光してたんですけど…その時のアミちゃんってば、キョロキョロ周りを見渡して「ほわぁ、凄~ぃ!」って口をポカーンとして、田舎者丸出しで恥ずかしかったんですよ(笑)」

「ちょっと、すもらちゃん。ソレは恥ずかしいから言わないでよォ…」

✱「アミらしいぜ」
✱「その時の光景が目に浮かぶw」
✱「やっぱりか」
✱「東京観光してたんか。ワンチャンすれ違ってたのかも…」
✱「人の多さに驚いたんやな」
✱「連休中だしな」
✱「いかにもアミらしいw」
✱「wwwwww」

「みんな聞いてください。土産物屋さんに行った時なんか、行った店、行った店でアレもコレも買おうとするから、その度にすもらが止めてたんですよ?」

✱「誰から見ても田舎者やん」
✱「一緒に居たら恥ずかしい奴w」
✱「解釈一致w」
✱「いくつ買ったのやら…」
✱「すもらちゃんお疲れ様」
✱「日本刀とか必要無いのに買う奴、クラスに1人はおるよな」
✱「ロミータちゃん苦労してそ」

「も、もう止めてぇ!!」

すもらは、リアルでの亜沙美の行動が凄く面白かったことを伝え、リスナーから笑いを取って場を和ませていた

しかし、彼女はゲームの手を止めスマホに文章を書いて亜沙美に見せていた
「メルル先輩の顔色 悪いと思わない?」
亜沙美も配信者になって間もなく半年を迎える。不器用ではあるが、ロミータと絡みながらの配信も何度か経験したおかげで、差し出されたその文字を目で読みながら
「アミはまだ高校生だもん。すもらちゃんみたいな大人じゃないから、仕方ないじゃん…」
と返事をして場の空気を繋ぎながらも、隣の椅子に座るメルルの顔色を伺(うかが)っていた


【23:00】
「もう!アミちゃんってば、本当に不器用なんですね。私はこれ以上、上手くやれませんからね!…流石に今夜はここまでですかね?」

「そうだねぇ…メルル先輩も疲れてるみたいだしぃ…少し早いけど終わろうかぁ?」

✱「マジで?」
✱「もう終わり?」
✱「始まってまだ2時間だぜ?」
✱「眠いとか?」
✱「これ以上は厳しいか…」

「ごめんなさい…ちょっと年末年始のスケジュールで疲れちゃったのかな?今夜は頭痛が治まらないわ…」

✱「なんやて!?」
✱「メルル大丈夫ですか?」
✱「無理はあかんよ」
✱「ならシャーないか」
✱「そういや口数も少なかったか」
✱「ゆっくり休んでください」

「それじゃお疲れ様!」
「それじゃお疲れ様ぁ♪」
「………お疲れ様~」


「大丈夫ですか?メルル先輩?」

「お水持って来ましょうか?」

「2人とも気を遣わせちゃったわね。ごめんなさい…本当に気分が優れなくて…少し手洗いに行ってくるわ…2人はくつろいでてね……ガチャ……バタン」

メルルが疲れを隠せないほど疲労しているのは、すもらだけでなく亜沙美の目にも明らかだった



【部屋に残された2人】
「そう言えば…朝からメルル先輩、少し元気が無かったみたいでしたけど…やっぱり疲れてたのかしらね?」

「..........................」

配信者は配信中に喉の乾きを潤す為に、飲みやすさで水を置いている人が多いのだが…火影も亜沙美も水を用意していた

思ってたよりも早く配信を閉じたので、2人は残っている水を飲んでいた。火影の問い掛けに答えない亜沙美

(今朝、早い時間に来ていた人。何を言ってたか?までは分からなかったけど、男の人の声だった気がする…あの後メルル先輩とナニしてたんだろぉ?)

「ねぇ聞いています!?」

「えっ!?あ、はいぃ!」

突然、顔を近付けて大きめな声を出された亜沙美は我に返った。そして少し悩んでから…

「何か心当たりでも有るのですか?」

「う、うん…今朝の事なんだけどねぇ、私も眠たかったから夢だったのか?現実だったのか?もハッキリ分からないんだけどぉ…」

亜沙美は明け方、自分が見聞きしたであろう事を小さな声で火影に話し始めた


「Σ( ˙꒳˙  )はあぁ!?夜中にメルル先輩を訪ねてきた男~!?」

「しぃーっ!声が大きいよォ…私も凄く眠たかったから自信が無いんだからぁ…」

確証が無いのに、メルルが男と逢い引きをしている話なんて大声で話されたくなかった

「そ、そうですね。ごめんなさい…しかし、メルル先輩に彼氏が居るだなんて…いや、メルル先輩は半年くらい前から急にチャンネル登録者が増えてたらしいから、彼氏を作ってる暇なんか無いと思いますけど…」

「私もそう思うんだけどぉ…けど、メルル先輩が「30分で済ませて帰って欲しい」って言ってた気がする……」

「バタンッ!!」

火影と亜沙美が話し合ってると、隣のリビングから何かが倒れたような音が聞こえた

「まさかっ!?」


【リビング】
「メルル先輩っ!?」

「うっ…はぁはぁ…」

大きな音に驚いた2人がリビングに来ると…かなりの汗をかいて意識の無いメルルが床に倒れていた

「不味いわっ!救急センターに電話するから、アミちゃんは先輩を見ていてください!」

「先輩!大丈夫ですかっ!?」

メルルはか細いうめき声をあげていた。シャツが透けて見えるほどの、大量の汗をかいている



【大学病院】
「あ、亜沙美っ!」

「ロミータちゃん!」

メルルは救急車で大学病院に運ばれた。まだ朝日も登っていない時間だったが、火影からの電話に出たオリビアがロミータを連れてやって来た

「メルルが倒れたって本当なの?」

「うん。リビングで倒れてたの…」

5人が待合室でメルルの検査が終わるのを待っていた。すると…

「ガチャ…どなたか彼女のご親族の方は見えますか?」

「私が彼女の勤務先の上司です」

「そうですか…少し込み入ったお話しが…」

メルルを診た医者の顔は険しく見えた。オリビアも「心配する程の事ではない」という言葉は期待出来ないことを悟った

「3人とも今日 地元に帰るのでしょ?彼女には私が付き添うから、このまま帰宅しなさい。間もなく始発も動き出す時間だし…彼女のことは後から連絡するからね?」

「で、でもぉ…」

「亜沙美。私たちが居ても何か出来る訳じゃないし、ここは先輩に任せましょ?」

「そうですね。私もソレが良いと思います。それでは後は宜しくお願いします」

「それでは失礼させていただきます」

3人はメルルの事をオリビアに任せて病院を出た。そして1度メルルの部屋に戻り、亜沙美と火影の荷物を回収してから駅に向かった

果たしてメルルの身に何が起こったのか?




続く





最終回まで後7話(の予定)
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