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浅草の攻防
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【1月2日12時頃】
「う、う~ん…あ!いや、来ないでぇ…」
亜沙美は夢を見ていた。丑三つ時と言える時間にメルルを訪ねて来た者が、この家内で自分を追い掛けて来る!という内容だった
「ガバッ!…はぁはぁ…ゆ、夢かぁ……ん?スンスン…何だかイイ匂いがする…」
亜沙美はゆっくり身体を起こした。ベッドには、すもらが気持ち良さそうに寝ている
「ガチャ…あ、おはようございますぅ…」
良い匂いはキッチンから漂って来ていた。ドアを開けた亜沙美は、メルルが食事を用意している姿を見た
「あら、おはようアミちゃん。ゆっくり眠れた?…そうだ、朝食もう出来るから火影ちゃんを起こしてきてもらえる?」
「分かりました…」
亜沙美は再び寝室へと向かう。その時に魅せたメルルの笑顔と、丑三つ時の来訪者に対応していた時の彼女の顔を見比べていた
(30分だけにして。って言ってたけど、あの後ナニをしてたんだろ?)
訪ねてきた者を30分だけ相手する。と言っていたメルルがナニをしていたのか?気になりながらも、取り敢えず火影を起こしに行く亜沙美
【朝食】
「夜は焼き肉食べさせていただいたのに、モーニングまで用意してくださって有難うございます!メルル先輩って優しいんですね♪」
「普段は中々ここまで用意出来ないけどね」
亜沙美に起こされた「すもら」はその後、亜沙美と一緒に顔を洗った後、メルルが用意してくれた「コーヒー」「トースト」「サラダ」「ゆで卵」が用意された、いわゆる喫茶店モーニングメニューを嬉しそうに食べていた
「…そう?じゃあ、お願いしようかな?」
「これくらいはさせて下さい。あ、アミちゃんも座ってて良いよ」
「有難うございます…」
モーニングメニューを食べ終えた3人。すもらは、焼き肉と朝食のお礼に「皿洗いくらいはさせて下さい」と言った
「ずずず…ぷはぁ。やっぱり朝はコーヒーを飲まないと始まった気がしないわ」
「お世話になりっぱなしですみま…ありがとうございます♪」
「ふふ。分かってるわねアミちゃん」
「えと…ロミーちゃんの教育の賜物なんです」
「へぇ…意外とシッカリしてるのよね、ロミーってばさ…」
「はい。色々と助けてもらってます…まぁ、困らされることも度々なんですけどォ…」
ロミー、梨香、太一らと交流を深める前の亜沙美は自己肯定感が低く、こういう場面では「ごめんなさい」と言ってしまうのが口癖だったのだが…配信者としても人としても、その受け答えは良くない。とロミーから「ごめんなさいより、ありがとう。と言おうね」と仕込まれていたのだ
「にしてもですよ。ロミー先輩のアミちゃんへのセクハラは度が過ぎていると思うんですけどね…」
「あはは、そだねぇ。でも、それだけ私を大切にしてくれてる。って事でもあるから…最近はソレでも良いのかなぁ?って…」
「もう!良くないですよ。って言おうとしたのに、惚気(のろけ)られたらお終いじゃないですかっ!」
王道派アイドルを目指す【火影すもら】としては、ロミータから亜沙美へのセクハラ行為は絶対NG!と言いたかったのだが…亜沙美が満更でもないような顔を浮かべたので、悔しがっていた
「そうだ!アミちゃんって東京観光したことある?良かったら案内しようか?」
「え、良いんですか?東京はまだ2回目なので嬉しいです♪」
前回来た時は、事務所と配信者契約をする為に来て、ゆっくりする間もなく家に帰ったので観光は出来てなかった
【浅草】
「うわぁ!でっかぁい…」
「ちょっと…田舎者感丸出しですよw」
朱塗りの山門が亜沙美達を出迎えた。門に向かって右側に風神、左側に雷神が立っている。そして、門の中央には高さ3.9メートル、直径3.3メートルの提灯が吊り下げられている
その立派な雷門に度肝を抜かれた亜沙美は、ポカーンと口を開けて見入っている。いかにも田舎者丸出しだ
「やっぱり人多いですね。人酔いしてしまいそうですよ…」
「はぐれないように気を付けてね…あ!痛っ!?」
ドスン。すもらと亜沙美に先頭を行くメルルが、振り返りながら注意を促していた時…前から走ってきた子供とぶつかり、尻もちをついたメルル
「亜沙美ちゃん。先輩をお願いしますっ!」
「うん、分かった。先輩、大丈夫ですかぁ?」
倒れたメルルを亜沙美に任せた火影は、ぶつかって謝りもせずに走り逃げた少年を追い掛けた
【杵屋通り】
「はぁはぁ…ここまで来れば大丈夫かな…ガツッ…うあっ!?」
雷門から駅とは反対方向の西側に逃げた10歳くらいの少年は、【浅草雷門通り商店街】を抜けて杵屋通りまで来ると、何かに足をぶつけて転倒してしまった
「いってーな!誰だよ、危ねーなっ!」
「大丈夫かしら?…そんな事よりも、さっきキミがぶつかった時に私の知り合いから奪った財布を、返して欲しいのだけど?」
少年を先回りした火影が、彼女が差し出した足につまずき倒れた少年を見下ろしていた
「なんの事か分からないよ…」
「キミのズボンのポケットにあるピンクの財布。知り合いの物と同じにしか見えないのだけど?」
とぼけている少年の言い分を「一応は聞いてやるけど?」みたいな態度で受け答えしている火影
「さっき彼女の家でその財布を見せてもらった時に、財布に彼女のイニシャルが刺繍してあるのを見ているのよ。何て書かれているか、当ててあげましょうか?」
「……ちくしょう!ふざけんなっ!…バシッ」
このまま言い合いを続けても、自分がメルルの財布を盗んだことを騙し続けられないと覚悟した少年は、財布を火影に投げつけると同時に走り去って行った
「…日本人っぽくなかった。外国人かな?…やれやれ東京は物騒ね。さて合流しようかな」
中学、高校時代にアイドルを目指してトニーニングに打ち込んでいた火影の脚力と、冷静に周囲を見渡す彼女の洞察力のおかげで、メルルの財布は守られたように見えたが…
【浅草 牛カツ】
「ぶはぁ。美味しかったですぅ♪でも、本当にお昼までご馳走になって良いんですかぁ?」
「良いのよ、良いのよ。財布を取られてたなんて気づいてもいなかったんだし、こっちこそ有難うよ」
「いえ、取り返せて良かったです」
焼き肉とモーニングをご馳走したメルルは、お昼は2人に奢ってもらおうかな?(亜沙美とすもらに、お返しする機会を与えようかな?)と考えていたのだが…大切な財布をすもらに取り返してもらったので、ここの食事代も奢る気になっていたのだが…
「財布が無かったら、この後の買い物も出来なくなってた訳だからね。一応、現金もそれなりに入れてたし…ん?…あぁ!お札だけ盗まれてるっ!」
財布の話をしながら、クレカや免許証などが入ってることを確認したメルルだったが…お札だけが綺麗に抜き取られている事に気が付いた
「えぇ!そうなんですかぁ…」
「あんのチビ。抜け目ないやつだな~」
すもらは、少年が財布を投げ返した時にバレずに札だけ抜き取っていたことまでは、気が付けなかったことを悔しがっている
「どうしましょ…警察に届けた方が良いのかなぁ?」
「流石に難しいかと…」
3人とも現金だけ盗まれたモノが、帰ってくるのは難しいだろうな。と途方に暮れた時だった
「バシッ。ふふ、相変わらず亜沙美さんはトラブルに巻き込まれガチなんですね♪」
「あっ!?茜ちゃん?」
「だ、誰!?」
亜沙美たちが座っている席に近付き、テーブルの上に数枚のお札を、コーヒー片手に叩き付けたのは…伊賀の服部の妹の茜だった
……………………………………………
「えぇ。兄がアミさんの猛烈な……変態的なファンでして…今日は兄と一緒にコチラに来ているのですが、兄と別行動をしている時に亜沙美さんをお見掛けしたと思ったら…」
「へぇ、私がぶつかられて転倒した時に財布を盗まれたのに気がついて…お札が抜かれたのも見抜いて取り返してくれたのね?…有難うございます。本当に助かったわ…ガシッ」
「……いえいえ、おチカラになれて良かったです♪」
メルルはお金を取り返してもらえた嬉しさに、思わず茜の手を強く握った。その様子を眺めていた火影
「茜ちゃんだっけ?…貴女、タダモノじゃないみたいね。私でさえも、財布を投げ返される時に札を抜かれた事に気付けなかったのに…」
「茜ちゃんと、お兄さんは伊賀忍者の末裔らしいんですよォ。私も何度か助けてもらっているんですけどォ、そのお兄さんがまだ高校生なのに……ヒイッ!?」
「亜沙美先輩……」
服部兄妹の事を、ブイチューバー仲間のメルルと火影に紹介しようとした亜沙美だったが…服部たちが裏稼業で、政府や財界のVIPから仕事を請け負っている。こんなとこまで話しそうになったので、覇気を纏いながら鋭い眼光で亜沙美を威嚇した茜
「こっわ~。茜ちゃん、本当に中学生?」
「世の中には知らずにいた方が良い事ってありますよね?…アミ先輩。私にはその話はしないでくださいね…」
「う、うん…」
先程まで、愛くるしい中学生にしか見えなかった茜から、危ない犯罪者から香ってくる異様な殺気のようなモノを感じたメルルとすもらは、自分たちには話さないで!と念押ししたのだった
……………………………………………
「ご馳走様でした。それでは、そろそろ兄と合流する時間ですので、お先に失礼させていただきますね(笑)」
メルルはお金を取り返してくれた茜にも【牛カツとろろ定食】を奢った
「茜ちゃん。気を付けてねぇ♪」
「はい、それでは…」
茜は3人に手を振りながら別れて行ったが…最後まで亜沙美に鋭い眼光を飛ばし「兄と私の秘密は絶対に人に言わないでくださいね」と圧を放っていた
「アミちゃんってば凄い知り合いが居るのね…」
「私、中学生女子に本気でビビったの初めてですよ…」
「う、うん。でも、2人ともとっても優しいんだよォ♪」
「..........................」
「..........................」
茜の可愛いらしい中学生の見た目に合わない、恐ろしいまでの覇気に驚かされたメルルとすもらだが…そんな茜に睨まれていてもマイペースに笑顔を浮かべる亜沙美も、大概凄いヤツだなと思わされたのだった
続く
最終回まで後8話(予定)
「う、う~ん…あ!いや、来ないでぇ…」
亜沙美は夢を見ていた。丑三つ時と言える時間にメルルを訪ねて来た者が、この家内で自分を追い掛けて来る!という内容だった
「ガバッ!…はぁはぁ…ゆ、夢かぁ……ん?スンスン…何だかイイ匂いがする…」
亜沙美はゆっくり身体を起こした。ベッドには、すもらが気持ち良さそうに寝ている
「ガチャ…あ、おはようございますぅ…」
良い匂いはキッチンから漂って来ていた。ドアを開けた亜沙美は、メルルが食事を用意している姿を見た
「あら、おはようアミちゃん。ゆっくり眠れた?…そうだ、朝食もう出来るから火影ちゃんを起こしてきてもらえる?」
「分かりました…」
亜沙美は再び寝室へと向かう。その時に魅せたメルルの笑顔と、丑三つ時の来訪者に対応していた時の彼女の顔を見比べていた
(30分だけにして。って言ってたけど、あの後ナニをしてたんだろ?)
訪ねてきた者を30分だけ相手する。と言っていたメルルがナニをしていたのか?気になりながらも、取り敢えず火影を起こしに行く亜沙美
【朝食】
「夜は焼き肉食べさせていただいたのに、モーニングまで用意してくださって有難うございます!メルル先輩って優しいんですね♪」
「普段は中々ここまで用意出来ないけどね」
亜沙美に起こされた「すもら」はその後、亜沙美と一緒に顔を洗った後、メルルが用意してくれた「コーヒー」「トースト」「サラダ」「ゆで卵」が用意された、いわゆる喫茶店モーニングメニューを嬉しそうに食べていた
「…そう?じゃあ、お願いしようかな?」
「これくらいはさせて下さい。あ、アミちゃんも座ってて良いよ」
「有難うございます…」
モーニングメニューを食べ終えた3人。すもらは、焼き肉と朝食のお礼に「皿洗いくらいはさせて下さい」と言った
「ずずず…ぷはぁ。やっぱり朝はコーヒーを飲まないと始まった気がしないわ」
「お世話になりっぱなしですみま…ありがとうございます♪」
「ふふ。分かってるわねアミちゃん」
「えと…ロミーちゃんの教育の賜物なんです」
「へぇ…意外とシッカリしてるのよね、ロミーってばさ…」
「はい。色々と助けてもらってます…まぁ、困らされることも度々なんですけどォ…」
ロミー、梨香、太一らと交流を深める前の亜沙美は自己肯定感が低く、こういう場面では「ごめんなさい」と言ってしまうのが口癖だったのだが…配信者としても人としても、その受け答えは良くない。とロミーから「ごめんなさいより、ありがとう。と言おうね」と仕込まれていたのだ
「にしてもですよ。ロミー先輩のアミちゃんへのセクハラは度が過ぎていると思うんですけどね…」
「あはは、そだねぇ。でも、それだけ私を大切にしてくれてる。って事でもあるから…最近はソレでも良いのかなぁ?って…」
「もう!良くないですよ。って言おうとしたのに、惚気(のろけ)られたらお終いじゃないですかっ!」
王道派アイドルを目指す【火影すもら】としては、ロミータから亜沙美へのセクハラ行為は絶対NG!と言いたかったのだが…亜沙美が満更でもないような顔を浮かべたので、悔しがっていた
「そうだ!アミちゃんって東京観光したことある?良かったら案内しようか?」
「え、良いんですか?東京はまだ2回目なので嬉しいです♪」
前回来た時は、事務所と配信者契約をする為に来て、ゆっくりする間もなく家に帰ったので観光は出来てなかった
【浅草】
「うわぁ!でっかぁい…」
「ちょっと…田舎者感丸出しですよw」
朱塗りの山門が亜沙美達を出迎えた。門に向かって右側に風神、左側に雷神が立っている。そして、門の中央には高さ3.9メートル、直径3.3メートルの提灯が吊り下げられている
その立派な雷門に度肝を抜かれた亜沙美は、ポカーンと口を開けて見入っている。いかにも田舎者丸出しだ
「やっぱり人多いですね。人酔いしてしまいそうですよ…」
「はぐれないように気を付けてね…あ!痛っ!?」
ドスン。すもらと亜沙美に先頭を行くメルルが、振り返りながら注意を促していた時…前から走ってきた子供とぶつかり、尻もちをついたメルル
「亜沙美ちゃん。先輩をお願いしますっ!」
「うん、分かった。先輩、大丈夫ですかぁ?」
倒れたメルルを亜沙美に任せた火影は、ぶつかって謝りもせずに走り逃げた少年を追い掛けた
【杵屋通り】
「はぁはぁ…ここまで来れば大丈夫かな…ガツッ…うあっ!?」
雷門から駅とは反対方向の西側に逃げた10歳くらいの少年は、【浅草雷門通り商店街】を抜けて杵屋通りまで来ると、何かに足をぶつけて転倒してしまった
「いってーな!誰だよ、危ねーなっ!」
「大丈夫かしら?…そんな事よりも、さっきキミがぶつかった時に私の知り合いから奪った財布を、返して欲しいのだけど?」
少年を先回りした火影が、彼女が差し出した足につまずき倒れた少年を見下ろしていた
「なんの事か分からないよ…」
「キミのズボンのポケットにあるピンクの財布。知り合いの物と同じにしか見えないのだけど?」
とぼけている少年の言い分を「一応は聞いてやるけど?」みたいな態度で受け答えしている火影
「さっき彼女の家でその財布を見せてもらった時に、財布に彼女のイニシャルが刺繍してあるのを見ているのよ。何て書かれているか、当ててあげましょうか?」
「……ちくしょう!ふざけんなっ!…バシッ」
このまま言い合いを続けても、自分がメルルの財布を盗んだことを騙し続けられないと覚悟した少年は、財布を火影に投げつけると同時に走り去って行った
「…日本人っぽくなかった。外国人かな?…やれやれ東京は物騒ね。さて合流しようかな」
中学、高校時代にアイドルを目指してトニーニングに打ち込んでいた火影の脚力と、冷静に周囲を見渡す彼女の洞察力のおかげで、メルルの財布は守られたように見えたが…
【浅草 牛カツ】
「ぶはぁ。美味しかったですぅ♪でも、本当にお昼までご馳走になって良いんですかぁ?」
「良いのよ、良いのよ。財布を取られてたなんて気づいてもいなかったんだし、こっちこそ有難うよ」
「いえ、取り返せて良かったです」
焼き肉とモーニングをご馳走したメルルは、お昼は2人に奢ってもらおうかな?(亜沙美とすもらに、お返しする機会を与えようかな?)と考えていたのだが…大切な財布をすもらに取り返してもらったので、ここの食事代も奢る気になっていたのだが…
「財布が無かったら、この後の買い物も出来なくなってた訳だからね。一応、現金もそれなりに入れてたし…ん?…あぁ!お札だけ盗まれてるっ!」
財布の話をしながら、クレカや免許証などが入ってることを確認したメルルだったが…お札だけが綺麗に抜き取られている事に気が付いた
「えぇ!そうなんですかぁ…」
「あんのチビ。抜け目ないやつだな~」
すもらは、少年が財布を投げ返した時にバレずに札だけ抜き取っていたことまでは、気が付けなかったことを悔しがっている
「どうしましょ…警察に届けた方が良いのかなぁ?」
「流石に難しいかと…」
3人とも現金だけ盗まれたモノが、帰ってくるのは難しいだろうな。と途方に暮れた時だった
「バシッ。ふふ、相変わらず亜沙美さんはトラブルに巻き込まれガチなんですね♪」
「あっ!?茜ちゃん?」
「だ、誰!?」
亜沙美たちが座っている席に近付き、テーブルの上に数枚のお札を、コーヒー片手に叩き付けたのは…伊賀の服部の妹の茜だった
……………………………………………
「えぇ。兄がアミさんの猛烈な……変態的なファンでして…今日は兄と一緒にコチラに来ているのですが、兄と別行動をしている時に亜沙美さんをお見掛けしたと思ったら…」
「へぇ、私がぶつかられて転倒した時に財布を盗まれたのに気がついて…お札が抜かれたのも見抜いて取り返してくれたのね?…有難うございます。本当に助かったわ…ガシッ」
「……いえいえ、おチカラになれて良かったです♪」
メルルはお金を取り返してもらえた嬉しさに、思わず茜の手を強く握った。その様子を眺めていた火影
「茜ちゃんだっけ?…貴女、タダモノじゃないみたいね。私でさえも、財布を投げ返される時に札を抜かれた事に気付けなかったのに…」
「茜ちゃんと、お兄さんは伊賀忍者の末裔らしいんですよォ。私も何度か助けてもらっているんですけどォ、そのお兄さんがまだ高校生なのに……ヒイッ!?」
「亜沙美先輩……」
服部兄妹の事を、ブイチューバー仲間のメルルと火影に紹介しようとした亜沙美だったが…服部たちが裏稼業で、政府や財界のVIPから仕事を請け負っている。こんなとこまで話しそうになったので、覇気を纏いながら鋭い眼光で亜沙美を威嚇した茜
「こっわ~。茜ちゃん、本当に中学生?」
「世の中には知らずにいた方が良い事ってありますよね?…アミ先輩。私にはその話はしないでくださいね…」
「う、うん…」
先程まで、愛くるしい中学生にしか見えなかった茜から、危ない犯罪者から香ってくる異様な殺気のようなモノを感じたメルルとすもらは、自分たちには話さないで!と念押ししたのだった
……………………………………………
「ご馳走様でした。それでは、そろそろ兄と合流する時間ですので、お先に失礼させていただきますね(笑)」
メルルはお金を取り返してくれた茜にも【牛カツとろろ定食】を奢った
「茜ちゃん。気を付けてねぇ♪」
「はい、それでは…」
茜は3人に手を振りながら別れて行ったが…最後まで亜沙美に鋭い眼光を飛ばし「兄と私の秘密は絶対に人に言わないでくださいね」と圧を放っていた
「アミちゃんってば凄い知り合いが居るのね…」
「私、中学生女子に本気でビビったの初めてですよ…」
「う、うん。でも、2人ともとっても優しいんだよォ♪」
「..........................」
「..........................」
茜の可愛いらしい中学生の見た目に合わない、恐ろしいまでの覇気に驚かされたメルルとすもらだが…そんな茜に睨まれていてもマイペースに笑顔を浮かべる亜沙美も、大概凄いヤツだなと思わされたのだった
続く
最終回まで後8話(予定)
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