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少女たちとの出会い
グレイキャッツ再臨
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【決着の時】
【ア・イヤン・メイデン】が今度はアリスを取り込もうと触手を延ばした時だった。明後日の方向から飛び込んでくる影
「お宝発見!頂きニャー!開け!グリムリンボックス!」
アリスのペンダントを奪おうとしたネコ耳少女が突然現れると、手に持つ宝箱を開いた
宝箱の中から大きな舌が飛び出し【ア・イヤン・メイデン】を丸呑みした
「ニャーハッハッ!火事場泥棒はお手の物ニャ、コレはグレイキャッツ様が頂いて行くニャー!ニャーハッハッハ!!」
ネコ耳少女は宝箱を抱えて、猛スピードでその場から立ち去って行った……戦いの決着は意外な形だった
「最後の勝負だ、行くぞ魔族の男!」
「良いだろう…父親の後を追え!」
光放つヒイロのソードと、チェーンロッドの攻撃が交差した
「ブシャッ!」
魔族の男は右脇腹から出血し、その場に倒れ込んだ
ヒイロは緋色化してるのが限界だった
緋色化を解き、魔族の男に近付いた
「兄さん…危険だよ…」
「大丈夫だ、もうロッドから魔力を感じない。最後に貴様に聞きたい事がある…父親は最後に何か言っていたか?」
「迂闊だったが、負けは負けだと言っていたな…だが、剣士の俺も利き腕を失って戦士としては終わりだった。俺も剣に絶対の自信を持っていたからな……俺はお前の父親に聞いたよ
「何故そこまで強くなれたのか?」とな…」
【街で帰りを待つ息子が居るからな……もしも縁があったら…よろしくしてくれ】
ソレが父親の最後の言葉だったらしい
そして魔族の男は笑った
「よろしくしてくれ。ってどういう意味だよ?流石に分からなかったぜ!だからまぁ、なんだ…
俺の寿命が近かったから、最後にお前に稽古を付けに来てやったのさ」
「ふざけるな!今回の襲撃で何人街の人が犠牲になったと思ってるんだ!」
ヒイロの怒りはもっともだ!稽古に来てくれたついでに街への侵攻だと?筋が通るはずもない
「仕方ないだろぅ?俺にも魔族の戦士長としての立場もある。最期の務めのついでに、お前に稽古をした。ってのが正解だ。そうだ…この牙笛(きばぶえ)を吹け…ゴブリン達が…撤退する…」
「ピイィィー!」
余力のあるアリスが代わりに吹いてくれた
「その男の言う通り…ゴブリン達が…去って行くよ…」
カルーアが探知魔法で調べてくれた結果、街を襲っていた魔物たちは全て撤退したようだ
「……納得は出来ないが理解はした。それで、お前は最後に何かあるか?」
「そうだな…腹違いの妹が居る…争いの嫌いな妹は魔法で姿を変え…一般人として生活している…
もしも会う事があれば…兄の仇とか討とうとせずに幸せに暮らして欲しいと…」
「分かった…ソレで妹の名は?」
「アルテッツアだ…よろしく頼む…」
そう言うと男は息をしなくなった
とりあえず、魔力が残っているサーシャにカルーアを治癒してもらい、アリスにカルーアを家まで送ってもらう
俺はサーシャと共に魔族の男の死体を、冒険者ギルドまで運んだ
サーシャも疲労している(楽しんだ?)感じだが、街の人に回復を必要としている人も居ると思い、無理を言って付いてきてもらった
【冒険者ギルド】
モンスターの大侵攻にあったギルドの内部は騒然としていた。俺はこの男が侵攻の主犯であり、自分達で倒したと説明した
ソレと【グレイキャッツ】なる怪盗ネコ耳少女の事をギルドマスターに伝えて帰宅した
【ヒイロの工房】
1番ダメージを負っているのはカルーアだ
彼女に魔力回復の薬草を飲ませた
「何とかカルーア姉さん、無事で良かったですの」
「本当にぃ、良かったねぇ!」
「ところでアリスは、あれからどうしてたんだ?かなり時間があった筈だが?」
「(ギクッ!)…ペンダントを奪い返せてからぁ、その、えーと…み、道に迷ってたのぉ(汗)
だって、だって、仕方ないじゃない!ゴブリンがいっぱいだったしぃ…街も大混乱だったんだからぁ!」
俺は別に合流が遅れた事を責める訳ではなかった。引け目を感じているアリスの頭を優しく撫でた
「アリスのおかげで助かったよ、ありがとうな」
アリスはまだ申し訳ないのか、苦しんでいるカルーアの看病をすると言い出した。子供っぽいアリスだが、この優しさが姉として慕われてるところだろう
アリスはカルーアを抱っこして部屋に入って行った。とにかく無事に片付いた。ようやく安心して寝れそうだ…
【ヒイロの部屋】
長い一日がようやく終わり、今日はグッスリ寝ようとしているヒイロのベッドにニコニコ笑顔のサーシャが居る
「ちょっとサーシャさん、流石に今日は凄ーく疲れていて、スグに眠りたいんですが?」
「ムフゥ!お兄さまの匂いですの…」
サーシャは迷いなくヒイロの布団の中に侵入して来て、怪しい笑みを浮かべて見上げている
「私、あの中で魔力を吸われる為に、全身を触手でビクンビクンに刺激されまくって…サーシャは、収まりが着きませんのぉ!」
サーシャの目の中はハートマークだ
どうやら簡単には寝させてくれないようだ
ヒイロの戦いはまだ終わらなかった
布団の夜戦のゴングが鳴った気がした…
続く
【ア・イヤン・メイデン】が今度はアリスを取り込もうと触手を延ばした時だった。明後日の方向から飛び込んでくる影
「お宝発見!頂きニャー!開け!グリムリンボックス!」
アリスのペンダントを奪おうとしたネコ耳少女が突然現れると、手に持つ宝箱を開いた
宝箱の中から大きな舌が飛び出し【ア・イヤン・メイデン】を丸呑みした
「ニャーハッハッ!火事場泥棒はお手の物ニャ、コレはグレイキャッツ様が頂いて行くニャー!ニャーハッハッハ!!」
ネコ耳少女は宝箱を抱えて、猛スピードでその場から立ち去って行った……戦いの決着は意外な形だった
「最後の勝負だ、行くぞ魔族の男!」
「良いだろう…父親の後を追え!」
光放つヒイロのソードと、チェーンロッドの攻撃が交差した
「ブシャッ!」
魔族の男は右脇腹から出血し、その場に倒れ込んだ
ヒイロは緋色化してるのが限界だった
緋色化を解き、魔族の男に近付いた
「兄さん…危険だよ…」
「大丈夫だ、もうロッドから魔力を感じない。最後に貴様に聞きたい事がある…父親は最後に何か言っていたか?」
「迂闊だったが、負けは負けだと言っていたな…だが、剣士の俺も利き腕を失って戦士としては終わりだった。俺も剣に絶対の自信を持っていたからな……俺はお前の父親に聞いたよ
「何故そこまで強くなれたのか?」とな…」
【街で帰りを待つ息子が居るからな……もしも縁があったら…よろしくしてくれ】
ソレが父親の最後の言葉だったらしい
そして魔族の男は笑った
「よろしくしてくれ。ってどういう意味だよ?流石に分からなかったぜ!だからまぁ、なんだ…
俺の寿命が近かったから、最後にお前に稽古を付けに来てやったのさ」
「ふざけるな!今回の襲撃で何人街の人が犠牲になったと思ってるんだ!」
ヒイロの怒りはもっともだ!稽古に来てくれたついでに街への侵攻だと?筋が通るはずもない
「仕方ないだろぅ?俺にも魔族の戦士長としての立場もある。最期の務めのついでに、お前に稽古をした。ってのが正解だ。そうだ…この牙笛(きばぶえ)を吹け…ゴブリン達が…撤退する…」
「ピイィィー!」
余力のあるアリスが代わりに吹いてくれた
「その男の言う通り…ゴブリン達が…去って行くよ…」
カルーアが探知魔法で調べてくれた結果、街を襲っていた魔物たちは全て撤退したようだ
「……納得は出来ないが理解はした。それで、お前は最後に何かあるか?」
「そうだな…腹違いの妹が居る…争いの嫌いな妹は魔法で姿を変え…一般人として生活している…
もしも会う事があれば…兄の仇とか討とうとせずに幸せに暮らして欲しいと…」
「分かった…ソレで妹の名は?」
「アルテッツアだ…よろしく頼む…」
そう言うと男は息をしなくなった
とりあえず、魔力が残っているサーシャにカルーアを治癒してもらい、アリスにカルーアを家まで送ってもらう
俺はサーシャと共に魔族の男の死体を、冒険者ギルドまで運んだ
サーシャも疲労している(楽しんだ?)感じだが、街の人に回復を必要としている人も居ると思い、無理を言って付いてきてもらった
【冒険者ギルド】
モンスターの大侵攻にあったギルドの内部は騒然としていた。俺はこの男が侵攻の主犯であり、自分達で倒したと説明した
ソレと【グレイキャッツ】なる怪盗ネコ耳少女の事をギルドマスターに伝えて帰宅した
【ヒイロの工房】
1番ダメージを負っているのはカルーアだ
彼女に魔力回復の薬草を飲ませた
「何とかカルーア姉さん、無事で良かったですの」
「本当にぃ、良かったねぇ!」
「ところでアリスは、あれからどうしてたんだ?かなり時間があった筈だが?」
「(ギクッ!)…ペンダントを奪い返せてからぁ、その、えーと…み、道に迷ってたのぉ(汗)
だって、だって、仕方ないじゃない!ゴブリンがいっぱいだったしぃ…街も大混乱だったんだからぁ!」
俺は別に合流が遅れた事を責める訳ではなかった。引け目を感じているアリスの頭を優しく撫でた
「アリスのおかげで助かったよ、ありがとうな」
アリスはまだ申し訳ないのか、苦しんでいるカルーアの看病をすると言い出した。子供っぽいアリスだが、この優しさが姉として慕われてるところだろう
アリスはカルーアを抱っこして部屋に入って行った。とにかく無事に片付いた。ようやく安心して寝れそうだ…
【ヒイロの部屋】
長い一日がようやく終わり、今日はグッスリ寝ようとしているヒイロのベッドにニコニコ笑顔のサーシャが居る
「ちょっとサーシャさん、流石に今日は凄ーく疲れていて、スグに眠りたいんですが?」
「ムフゥ!お兄さまの匂いですの…」
サーシャは迷いなくヒイロの布団の中に侵入して来て、怪しい笑みを浮かべて見上げている
「私、あの中で魔力を吸われる為に、全身を触手でビクンビクンに刺激されまくって…サーシャは、収まりが着きませんのぉ!」
サーシャの目の中はハートマークだ
どうやら簡単には寝させてくれないようだ
ヒイロの戦いはまだ終わらなかった
布団の夜戦のゴングが鳴った気がした…
続く
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