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夢忘れ編
3人3色の夜
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【ヒルドゥルブ砦前】
「チカッ…チカチカチカ…」
人族側の防衛拠点であるヒルドゥルブ砦前の林を抜ける直前の場所で、一旦歩みを止めたホルン率いる一行は、彼女の低魔力による発光信号を宿直室の窓に向けて照射した
「チカチカチカ…」
ホルンは光の合図を1+3回送ったのに対して、宿直室からは3回の発光信号が帰ってきた
「ふぅ…どうやら砦内部は何事も無かったようだな。さて、迎えの兵が出て来たのを確認したら砦に向かうが、準備は良いな?」
ホルンはヒイロ達に砦に入ることを説明した
「1つ良いか?」
「何だ?魔族の少年…」
当然のように皆は中に入る気でいたのだが、ヨシュアがホルンに話始めた
「俺様は…実は魔族の中でも上位の…貴族のような出身なんだ。無理に彼らに協力しようとは思っていないけどよ、そんな俺が人族の砦内部に入っちまうと中のヤツらが焦っちまうだろ?」
「確かに。じゃあ、どうするんだヨシュア君?」
上位魔族である自分が人族の防衛拠点内に入るのは良くないだろう。と提案したヨシュアに対し、質問を返したヒイロ
「俺はこの林の中で身を潜めて居ようと思ってる。そんで、彼女であるアリスがヤバくなった時だけ動くつもりだよ」
「ヨシュア…」
砦内部には一緒に来てくれないと言うヨシュアを、心配そうに見つめるアリス
「大丈夫だ!お前は何がなんでも俺様が護るから安心してな」
「うん。ヨシュアありがとぅ…」
優しい言葉を掛けてくれるヨシュアを不安そうに見つめるアリス。この国に入った途端、彼と1度別れたからか?それとも何か嫌な予感でもしているのか?アリスの目から不安が消えることはなかった
「砦の南側に小さな倉庫がある。ソコは姫さまの部屋に近い。アリスちゃんの救出にスグ向かえるから、ソコで身を潜めて居ると良いぞ」
「そうなのか?ありがとう、恩に着るよ」
ホルンとヨシュアの関係性を理解したホルンが、彼に倉庫に居ると良いと提案した。ソレを快く受け入れたヨシュア
「そうだ!エルデスって、エルフの女が居るだろ?アイツは俺の世話係なんだ、その倉庫に来るように言ってくれ」
「アタシが連れていくねぇ」
「そうか、頼むなアリス」
エルデスをヨシュアが待機する倉庫に連れて行く約束をしたアリス。だが彼女は、サーシャを護る為に彼と一緒には居られなかった
【ヒルドゥルブ砦内】
「何っ!?渇望の魔女が現れていただとっ!?」
「えぇ…ブリちゃんもメイアンとコンビで動いていなかったら、殺られていたと思うのよ…」
中立の町から戻ったホルンは、まずエルデスを呼び出しアリスと共にヨシュアが居る倉庫へと向かわせた後、不在の間の報告を聞いたのだが…
「渇望の魔女と言えば、魔王専属の魔女のハズです。決して魔王の元から離れないと聞いていましたが…」
次期王女のロミーに寄り添う護衛騎士のクリストファーも、人族側の切り札である狐騎士ブリニァンが押されていたと聞かされ、興奮しながら話している
「良いですか?」
「ヒイロか、何だ?」
鍛冶師であり客人のヒイロが、戦術的な話に首を突っ込んできた事に少し驚くホルン
「1年ほど前のことですが…臥龍族の国であるドルイド王国の南東にある【封印の洞窟】で復活した、古代13獣神の1体である【マルバァス】。ソイツに臥龍族の天才戦士と天才魔法使いに、ウチのカルーアが加わっても倒せなかったその獣神を、渇望の魔女と消去の魔女の2人で手玉に取って撃破したと聞いています」
「ふむ…そんな魔女が20年以上も戦争が終わらぬこの地方にワザワザ現れた理由は…」
「もしかして…近いうちに本気で人族を滅びしに来るってこと!?」
ヒイロの説明に対して、この先に起きそうな展開を説明した【武闘女神アテナ】。その重過ぎる内容に、地球での生活が嫌になりファンタジー世界に逃避してきた形のロミーは、予想外過ぎる激ヤバな状況に頭が割れそうに痛み、思わず両手で頭部を押さえてしゃがみ込んだ
「大丈夫です。姫さまは私たちが必ずお守り致しますので…」
クリストファーは不安で顔色を悪くしているロミーに優しい言葉を掛けるが…
「こう言ってはなんですが…あの魔女に対してブリちゃんは【聖剣吹雪王(フブキング)】を使って、生まれて初めて全力で戦ったのですが…メイアンが助けてくれなかったら殺られてましたよ?もう1度闘っても1人では勝ち目が無いと思います」
「……………………………」
「………………………………」
「…………………………………」
マナティートの人族側最強の騎士ブリニァンでさえも、1対1で勝てる気がしないと言っている。その言葉に会議室は沈黙に包まれた
「しかし、アテナ様も居られるのですから何とかなるのでは?」
「…アレクス城から来た魔族の援軍が、渇望の魔女1人だけだったら…の話だな…」
場の空気を明るくしようと兵士長の1人が、コチラに有利な話を提供しようとしたのだが…天才軍師と称されているホルンは、他の増援も居る可能性がある。楽観視は出来ないと慎重な意見を述べた
「それに、アリスお姉様やカルーアさん、サーシャさんは魔族とは積極的に闘われないのですよね?」
喉から手が出るほど増援が欲しいのは人族側であるのだが、エリエスは三姉妹がマナティートの人達から、戦力としてアテにされない為にワザと話を振った
「そうだね。人族も魔族もサーシャの母である惑星神エリスア様を信仰しているから、天使族であるサーシャは立場上、闘いには参加しにくいんだよね…」
「申し訳ありません。みなさん…」
サーシャがマナティートの人達に断りやすいように、簡単な前振りを入れたカルーア
「アタシはぁ…サーシャを護る為に闘うよぉ…」
「わたしは家族を護る為に闘うかな?」
サーシャの姉であるアリスもカルーアも、魔族とは積極的に闘わないと宣言した
「そうですか…」
「ソコを何とかなりませんか?」
「我々は姫さまを護りたいのですが…」
会議室に呼ばれていたマナティートの数人の兵士長たちは、自分たちの国や部下の事を考えると「何とか考えを曲げてくれないか?」と言いたげなコメントをしていたが…
「止めんか貴様ら!サーシャちゃんは危篤状態だった姫さまを助けてくれて、今も体調安定の為に尽力してくれているのだぞ!?それだけでも我々は感謝をするべき立場なのだぞ!」
泣き言ともとれる言葉を並べる自国の兵士長たちに怒りを覚えたホルンが、大きな声で彼らの意見を遮ったが…
「私だって…頭を下げたら助けてくれるのならいくらでも…(ボソボソ)」
三姉妹のチカラを1番アテにしたいのは、この国の天才軍師と言われているホルンだ。彼女は右拳を握り締めながら、誰にも聞こえないような小さな声で呟いていた
「それと、お祖母様。もう1つ悪い報告があります」
「何じゃ?エリエス言うてみぃ」
強力なチカラを持つ三姉妹が助けてくれない。という話だけでも、重い空気が漂っている会議室だったが…エリエスは中立の町に現れた魔装機兵の報告をした
………………………………………
「あの古代遺跡で、かなり手を焼かされた機械人間まで現れておったのか…」
「何ですかエリエスさん。そのマソーなんたら、と言うのは?」
マナティートでは魔装機兵や、古代遺跡が発見された報告は無いようだった。しかし、選りすぐりのメンバーで古代遺跡の調査に向かった時に、アテナやエリエス、カルーア達もかなりの苦戦をさせられたと聞かされたマナティートの者たちは、全員が顔色を悪くさせていた
「魔族が本気で戦争を終わらせに来ているのであれば、明日にでも総攻撃が開始されるかも知れん。全員、今夜は早く就寝せよ!明日の朝6時に兵士長以上を集めて、決戦に向けた本格会議を行う。以上だ、解散!」
天才軍師ホルンは、魔王専属である渇望の魔女を差し向けた狙いは、この国での魔族勝利による戦争終結であると読んでいる
「エリエスや、明日に備えて今夜は早く寝るぞい」
「はい、お祖母様…」
エリエスは慕っているアリスの方をチラッと見たが、アリスは外の倉庫でエルデスと共に居るヨシュアの事で頭がいっぱいだ。という表情をしていた
【ロミー姫の寝室の隣の部屋】
「予想していたよりも遥かに凄い話になってしまったな…」
ロミーの寝室には、彼女とクリストファー。それと、姫さまの急な容態変化に対応する為にサーシャ。更にサーシャを母と慕うコハラコを加えた4人で寝ている
「そうだね…わたしとしては、この国の人には悪いけど、家族全員が無事でヘルメスの街に帰れたら言うことないよ」
カルーアは、この国の存続の為に身を犠牲にする気は無いと言っている
「まぁな。いくらカルーアたちが強力なチカラを持っていると言っても、魔族の戦力はかなり強大だ。お前たち3人が参加しても、戦争の行く末を変えられる訳ではないからな」
カルーアもヒイロも、ホルン達の事が全く気にならない訳ではないのだが、まずは家族が生きて国に帰るのが望みだった
「ねぇ、今夜は優しく抱き締めてよ。ヒイロの温もりが欲しいんだ」
カルーアは、モスコーの事でホルンに負い目を感じてはいたが…明日、明後日にでも国単位での決戦を迎えそうだ。とあっては、悠長なことは言ってられないのだ
愛するヒイロの温もりを感じながら寝ることで、明日以降の不安を拭おうとするカルーア
「カチャリ。ごめんねサーシャ…」
サーシャを護る立場にあるとは言え、彼氏であるヨシュアのことが気になって仕方ないアリスは、姫さまの部屋を静かに出てヨシュアの居る倉庫に向かった
母親で惑星神であるエリスアからの頼みをシッカリとこなし、戦争に参加することなくこの国を去りたいサーシャ
三姉妹それぞれに少し想いは違うのだが、3人とも無事な帰国を望んで眠り落ちていった
続く
「チカッ…チカチカチカ…」
人族側の防衛拠点であるヒルドゥルブ砦前の林を抜ける直前の場所で、一旦歩みを止めたホルン率いる一行は、彼女の低魔力による発光信号を宿直室の窓に向けて照射した
「チカチカチカ…」
ホルンは光の合図を1+3回送ったのに対して、宿直室からは3回の発光信号が帰ってきた
「ふぅ…どうやら砦内部は何事も無かったようだな。さて、迎えの兵が出て来たのを確認したら砦に向かうが、準備は良いな?」
ホルンはヒイロ達に砦に入ることを説明した
「1つ良いか?」
「何だ?魔族の少年…」
当然のように皆は中に入る気でいたのだが、ヨシュアがホルンに話始めた
「俺様は…実は魔族の中でも上位の…貴族のような出身なんだ。無理に彼らに協力しようとは思っていないけどよ、そんな俺が人族の砦内部に入っちまうと中のヤツらが焦っちまうだろ?」
「確かに。じゃあ、どうするんだヨシュア君?」
上位魔族である自分が人族の防衛拠点内に入るのは良くないだろう。と提案したヨシュアに対し、質問を返したヒイロ
「俺はこの林の中で身を潜めて居ようと思ってる。そんで、彼女であるアリスがヤバくなった時だけ動くつもりだよ」
「ヨシュア…」
砦内部には一緒に来てくれないと言うヨシュアを、心配そうに見つめるアリス
「大丈夫だ!お前は何がなんでも俺様が護るから安心してな」
「うん。ヨシュアありがとぅ…」
優しい言葉を掛けてくれるヨシュアを不安そうに見つめるアリス。この国に入った途端、彼と1度別れたからか?それとも何か嫌な予感でもしているのか?アリスの目から不安が消えることはなかった
「砦の南側に小さな倉庫がある。ソコは姫さまの部屋に近い。アリスちゃんの救出にスグ向かえるから、ソコで身を潜めて居ると良いぞ」
「そうなのか?ありがとう、恩に着るよ」
ホルンとヨシュアの関係性を理解したホルンが、彼に倉庫に居ると良いと提案した。ソレを快く受け入れたヨシュア
「そうだ!エルデスって、エルフの女が居るだろ?アイツは俺の世話係なんだ、その倉庫に来るように言ってくれ」
「アタシが連れていくねぇ」
「そうか、頼むなアリス」
エルデスをヨシュアが待機する倉庫に連れて行く約束をしたアリス。だが彼女は、サーシャを護る為に彼と一緒には居られなかった
【ヒルドゥルブ砦内】
「何っ!?渇望の魔女が現れていただとっ!?」
「えぇ…ブリちゃんもメイアンとコンビで動いていなかったら、殺られていたと思うのよ…」
中立の町から戻ったホルンは、まずエルデスを呼び出しアリスと共にヨシュアが居る倉庫へと向かわせた後、不在の間の報告を聞いたのだが…
「渇望の魔女と言えば、魔王専属の魔女のハズです。決して魔王の元から離れないと聞いていましたが…」
次期王女のロミーに寄り添う護衛騎士のクリストファーも、人族側の切り札である狐騎士ブリニァンが押されていたと聞かされ、興奮しながら話している
「良いですか?」
「ヒイロか、何だ?」
鍛冶師であり客人のヒイロが、戦術的な話に首を突っ込んできた事に少し驚くホルン
「1年ほど前のことですが…臥龍族の国であるドルイド王国の南東にある【封印の洞窟】で復活した、古代13獣神の1体である【マルバァス】。ソイツに臥龍族の天才戦士と天才魔法使いに、ウチのカルーアが加わっても倒せなかったその獣神を、渇望の魔女と消去の魔女の2人で手玉に取って撃破したと聞いています」
「ふむ…そんな魔女が20年以上も戦争が終わらぬこの地方にワザワザ現れた理由は…」
「もしかして…近いうちに本気で人族を滅びしに来るってこと!?」
ヒイロの説明に対して、この先に起きそうな展開を説明した【武闘女神アテナ】。その重過ぎる内容に、地球での生活が嫌になりファンタジー世界に逃避してきた形のロミーは、予想外過ぎる激ヤバな状況に頭が割れそうに痛み、思わず両手で頭部を押さえてしゃがみ込んだ
「大丈夫です。姫さまは私たちが必ずお守り致しますので…」
クリストファーは不安で顔色を悪くしているロミーに優しい言葉を掛けるが…
「こう言ってはなんですが…あの魔女に対してブリちゃんは【聖剣吹雪王(フブキング)】を使って、生まれて初めて全力で戦ったのですが…メイアンが助けてくれなかったら殺られてましたよ?もう1度闘っても1人では勝ち目が無いと思います」
「……………………………」
「………………………………」
「…………………………………」
マナティートの人族側最強の騎士ブリニァンでさえも、1対1で勝てる気がしないと言っている。その言葉に会議室は沈黙に包まれた
「しかし、アテナ様も居られるのですから何とかなるのでは?」
「…アレクス城から来た魔族の援軍が、渇望の魔女1人だけだったら…の話だな…」
場の空気を明るくしようと兵士長の1人が、コチラに有利な話を提供しようとしたのだが…天才軍師と称されているホルンは、他の増援も居る可能性がある。楽観視は出来ないと慎重な意見を述べた
「それに、アリスお姉様やカルーアさん、サーシャさんは魔族とは積極的に闘われないのですよね?」
喉から手が出るほど増援が欲しいのは人族側であるのだが、エリエスは三姉妹がマナティートの人達から、戦力としてアテにされない為にワザと話を振った
「そうだね。人族も魔族もサーシャの母である惑星神エリスア様を信仰しているから、天使族であるサーシャは立場上、闘いには参加しにくいんだよね…」
「申し訳ありません。みなさん…」
サーシャがマナティートの人達に断りやすいように、簡単な前振りを入れたカルーア
「アタシはぁ…サーシャを護る為に闘うよぉ…」
「わたしは家族を護る為に闘うかな?」
サーシャの姉であるアリスもカルーアも、魔族とは積極的に闘わないと宣言した
「そうですか…」
「ソコを何とかなりませんか?」
「我々は姫さまを護りたいのですが…」
会議室に呼ばれていたマナティートの数人の兵士長たちは、自分たちの国や部下の事を考えると「何とか考えを曲げてくれないか?」と言いたげなコメントをしていたが…
「止めんか貴様ら!サーシャちゃんは危篤状態だった姫さまを助けてくれて、今も体調安定の為に尽力してくれているのだぞ!?それだけでも我々は感謝をするべき立場なのだぞ!」
泣き言ともとれる言葉を並べる自国の兵士長たちに怒りを覚えたホルンが、大きな声で彼らの意見を遮ったが…
「私だって…頭を下げたら助けてくれるのならいくらでも…(ボソボソ)」
三姉妹のチカラを1番アテにしたいのは、この国の天才軍師と言われているホルンだ。彼女は右拳を握り締めながら、誰にも聞こえないような小さな声で呟いていた
「それと、お祖母様。もう1つ悪い報告があります」
「何じゃ?エリエス言うてみぃ」
強力なチカラを持つ三姉妹が助けてくれない。という話だけでも、重い空気が漂っている会議室だったが…エリエスは中立の町に現れた魔装機兵の報告をした
………………………………………
「あの古代遺跡で、かなり手を焼かされた機械人間まで現れておったのか…」
「何ですかエリエスさん。そのマソーなんたら、と言うのは?」
マナティートでは魔装機兵や、古代遺跡が発見された報告は無いようだった。しかし、選りすぐりのメンバーで古代遺跡の調査に向かった時に、アテナやエリエス、カルーア達もかなりの苦戦をさせられたと聞かされたマナティートの者たちは、全員が顔色を悪くさせていた
「魔族が本気で戦争を終わらせに来ているのであれば、明日にでも総攻撃が開始されるかも知れん。全員、今夜は早く就寝せよ!明日の朝6時に兵士長以上を集めて、決戦に向けた本格会議を行う。以上だ、解散!」
天才軍師ホルンは、魔王専属である渇望の魔女を差し向けた狙いは、この国での魔族勝利による戦争終結であると読んでいる
「エリエスや、明日に備えて今夜は早く寝るぞい」
「はい、お祖母様…」
エリエスは慕っているアリスの方をチラッと見たが、アリスは外の倉庫でエルデスと共に居るヨシュアの事で頭がいっぱいだ。という表情をしていた
【ロミー姫の寝室の隣の部屋】
「予想していたよりも遥かに凄い話になってしまったな…」
ロミーの寝室には、彼女とクリストファー。それと、姫さまの急な容態変化に対応する為にサーシャ。更にサーシャを母と慕うコハラコを加えた4人で寝ている
「そうだね…わたしとしては、この国の人には悪いけど、家族全員が無事でヘルメスの街に帰れたら言うことないよ」
カルーアは、この国の存続の為に身を犠牲にする気は無いと言っている
「まぁな。いくらカルーアたちが強力なチカラを持っていると言っても、魔族の戦力はかなり強大だ。お前たち3人が参加しても、戦争の行く末を変えられる訳ではないからな」
カルーアもヒイロも、ホルン達の事が全く気にならない訳ではないのだが、まずは家族が生きて国に帰るのが望みだった
「ねぇ、今夜は優しく抱き締めてよ。ヒイロの温もりが欲しいんだ」
カルーアは、モスコーの事でホルンに負い目を感じてはいたが…明日、明後日にでも国単位での決戦を迎えそうだ。とあっては、悠長なことは言ってられないのだ
愛するヒイロの温もりを感じながら寝ることで、明日以降の不安を拭おうとするカルーア
「カチャリ。ごめんねサーシャ…」
サーシャを護る立場にあるとは言え、彼氏であるヨシュアのことが気になって仕方ないアリスは、姫さまの部屋を静かに出てヨシュアの居る倉庫に向かった
母親で惑星神であるエリスアからの頼みをシッカリとこなし、戦争に参加することなくこの国を去りたいサーシャ
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続く
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