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夢忘れ編
117年 VS 573年
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【死線の森】
妖狐剣士ブリニァン・ホワイトは、妖力でコピーした9本の聖剣を9本の尻尾で遠隔操作して、不死王ディー・アモンを攻撃していたが…
「はぁはぁはぁはぁ…硬いなぁ…」
日頃、森林地帯での作戦を主任務にしているブリニァンとメイアンは細身ながらも体力には自信があったのだが…
「おやおやおやおや?どうしましたか、妖狐のお嬢さ~ん。息が上がってきているじゃ、あ~りませんかっ!」
彼らが激突してからまだ5分程度しか経過していないのだが…妖力をかなり消費する闘い方をしていたブリニァンは、身体が汗ばみ始め息も少しずつ荒くなっていたが…
「さてさて…そろそろ本腰を入れて闘うと致しましょうかね~♪」
「自分から地上に降りてくるなんて随分、余裕じゃないか?」
渇望の魔女が昨夜ブリニァンと戦っていた時は、地上から20メートル程の高度を維持して戦っていた
それに対してディーは、約10メートルの高度で今まで戦っていたのだが…突然、地上に足を付けた
「吾輩は~フュールお嬢ちゃんとは違いまして、あまり高い場所で戦い続けるのは得意ではあ~りませんからねぇ♪それに…貴女はか~なり疲労がかさんできた、みたいですからね~(ニヤ)」
地上に降りてレイピアを構えているディーの顔には、勝利を確信しているかのような笑みが浮かんでいた
「この程度で、ブリちゃんが体力切れをおこすのを期待してたら…甘いよ?」
息が荒くなっているのを隠せないブリニァンだが、ディーを睨みつける眼光は衰えていなかった
「そうですか?…そうかもしれませんねぇ…しかしぃ、貴女はまだ戦えたとしぃても~、貴女の連れの狼少女さんは随分辛そうにしていますがねぇ?」
「えっ!?メイアン?」
対峙しているディーの前で隙を魅せないように、闘気は彼に向けたまま「チラリ」と視線をメイアンに向けたブリニァン
どうやらメイアンは、限界寸前まで不死鳥たちを撃ち落とす為の対魔陣を打ち続けていたようだ
「かはっ、はぁはぁ…ふひゅぅぅぅ…」
全身の毛穴から噴出している大量の汗は、彼女の上着を透けさせていた。疲労が限界を超えているのか?上空を見上げることさえ辛そうにしていた
「貴女自身が~聖剣の本体で直接攻撃するのに消極的でぇ、イタズラに時間を掛ける戦い方をしているからではないですかね~?」
ディーが言うとおりブリニァンは、接近して聖剣本体での攻撃に消極的だった
(やはり何かあるみたいだね。何度か直接攻撃した時に感じた、奴のそばに居続けるとマズイ事になりそうだ。って勘はあってるみたいだね…でも、奴が言うようにこのままじゃあ…)
不用意に至近距離に入るとマズイ事になると、今までの戦闘経験が彼女に警鐘を鳴らしているのだが…コピーした聖剣の遠隔操作では攻撃は軽く、割と単調な動きになってしまうので、ディーは余裕を魅せながらその攻撃を捌いていた
「バッフルゲャベァバーズド!!」
視線を下に落とし動きの鈍っていたメイアンが、残っている魔力と精神力を振り絞り、退魔陣の上位を魔法を撃ち放った!
「ぬわんですとぉ!?」
「バジュジュジュン!」
メイアンが今まで上空に撃っていた退魔陣に比べればサイズは約半分ほどだが、攻撃力の高さが段違いなのは、退魔陣の発光の強さから予想された
「ゲベゴビバァァァ!!」
メイアンの退魔陣に捕らえられたディーは、今までの余裕たっぷりな態度からは想像も出来ないような、断末魔に近い悲鳴を上げた
「今です【吹雪剣王(フブキング)】そのチカラを示せっ!」
メイアンの必死の援護で訪れた好機に、吹雪剣王の能力を引き出し襲いかかったブリニァン。だが…
「んぅ~♪【半霊半幽体(アストラルバディ)】」
「スカッ」
「んなっ、バカなっ!?」
突然ディー・アモンの身体が半透明に透けると、メイアンが放った退魔陣からスルリと抜け出した。更に、その動きに合わせて斬りかかったブリニァンの攻撃までもが、空を斬るかの様に素通りした
「くははははははっ、あんま~いでぇすねぇ♪」
「ドシッ!」
数秒後、身体の色味が濃くなって実体化したディーが、左前方でよろけているブリニァン目掛けて強烈な体当たりをカマした!
「ゴツッ!」
「はぁはぁ、バカな!?半幽半霊体(アストラルバディ)は、強い魔法か?強い精霊力を纏った武器で攻撃すれば、ダメージを与えられるんじゃなかったのかい?」
ディーの体当たりを受けて、数メートル先に生えている巨木に受け身も取れずに激突してしまったブリニァンは、何がどうなっているのかサッパリだった
「ストっ」
「んふふふふ~ん。どうやら、吾輩の半幽半霊体に対する攻撃手段を予め知っていたようですね~?」
吹き飛ばされたブリニァンの目の前に、飛行移動してきたディーが着地した
「な、何故ブリちゃんの攻撃が効かなかったんだい?」
「くははははははっ。な~に簡単なことですよぉお嬢さん。パワー不足ですよ、単純にね~」
巨木に激突した衝撃の強さで、手足に上手くチカラが入らない状態にブリニァンが陥っているのを見抜いたディーは、両腕を組んだ仁王立ちスタイルで彼女を見下ろし得意気に語り始めた
「ん~。貴女と狼のお嬢さん、御2人合わせて110年ほど生きてきましたかね~?」
(ブリちゃんが116歳。メイアンが11歳だから合わせて127歳。10年ちょっとズレがあるけど…誤差かな?)
「…流石、伯爵。女性を見る目があるじゃないか。まだ会って数分だというのに、そこまで分かるなんてね」
本来なら戦地で敵と愉快なトークを繰り広げるのは、あまり好きではないブリニァンだが…まずは自分のダメージが回復するまでの時間稼ぎが必要だった
「吾輩はでぇすね。確か今年で573歳なのですよぉ。しかぁもぉ、吾輩は吾輩の肉体美に磨きをかける事にぃ労力を惜しまないのでねぇ、500年以上は訓練に励んでいましてねぇ、貴女たちの積み上げた100年ちょっとのパワーではぁ、吾輩自慢の【半幽半霊体(アストラルバディ)】をブチ抜くのは無理と言うものでぇすね~♪くははははははっ!」
ディーは得意気に高笑いをした。敵対する兵士の中で、おそらく最強の位置に居る剣士のチカラが1対2の状態であっても、自分を傷付けられない事実に笑いが零れたようだ
「そんな…あの修行の日々が、貴様の前では無力だと言うのですか?そんな…」
ブリニァンは話しながらも目線を落とし、自分の身体のダメージ具合を確認する
(戦闘服はビリビリにされたけど…まだ戦えなくもない。けど、メイアンの強退魔陣とブリちゃんの強斬撃でもダメージを与えられていない相手に、何をどうすればいいの?)
ダメージと疲労がかなり蓄積されてきたが、まだ戦えないことはないのだが…それでも全く勝機が見えないブリニァン
「さぁて、ところで個人的な興味でぇ、貴女に幾つか質問したいことがあるのでぇすが~よろしいですかね~?」
ブリニァンに避けられない【敗北】の二文字が刻まれたことを確信したディー・アモンは、警戒心を下げ彼女に歩み寄る
「ディー・ドゥーン」
「ボファツ!」
ディーが何か魔法を使った途端、彼の身体から真っ黒な瘴気が溢れ出し、ディーはもちろんブリニァンの身体も飲み込み、彼を中心とした直径100メートルほどの範囲が、黒い霧が立ち込めたようになった
「さて妖狐のお嬢さん。貴女はぁ、是が非でも吾輩を殺そうとはしていませんね~。ソレはどういった理由ですかねぇ?死ぬ気でなければ~吾輩に勝機を見い出すのは、不可能だと理解しているのでしょうおぅ?」
ディーの口から出た質問は実に個人的な内容であり、砦に関してか?砦内のロミー姫に関して質問されると思っていたブリニァンは驚いている
「…ブリちゃんは、この国の生まれじゃないんだ。良い待遇をしてもらえてはいるけどさ、はぁはぁ…生命を賭けてまで。って程じゃないんだよ」
ブリニァンは、自分の言葉をディーが信じてくれるのか?確認するかのように彼を見上げて返事をした
「な~るほどぉ。確かに、吾輩もこの国に入ってからまだ貴女と同じ種族(妖狐)に出会っていませんね~。この国に愛着が枠ほどの年数を過ごしていない?それともぉ、尊敬や執着するほどの相手に出逢えていないから、でぇすか~?」
「ブリちゃんは、平和で穏やかな日々を過ごしたいんだよ。こんな四方を囲まれた陸の孤島みたいな場所じゃなく、世界のアチコチをメイアンを連れてね」
珍しい光景だが、長年続いた戦争に終止符が打たれようという今夜の戦場のど真ん中で退治している彼らは、お互いに無言で数秒間見つめ合っていた
「ふむぅ、良いでしょう。あの狼少女を連れて引き上げなさ~い。あの冒険者もどきの4名と一緒にね~。後はぁ…」
ディーが展開したオリジナルの結界魔法は、吸血鬼の始祖である彼の闇のチカラをふんだんに込めた認識阻害だった
中の様子はおろか、中での会話も外からは聞こえないようになっている。探知魔法でも外からは中の様子を探れない為のモノだった
「マッマ!返事してー!」
ブリニァンの安否が気になって仕方のないメイアンの悲痛な叫びが闇夜に響く。その時…
「ぐうぅぅぅ…」
「グハッ!ぶ、ぶぁかなぁ~!?」
ディーの霧のような結界が晴れていくと…その中央で、木にもたれているようなブリニァンの右肩口を、レイピアで刺し貫いているディーの腹部を【吹雪剣王】が穴を開けて貫いていた
「おお!ブリニァンが勝ってるにぇ!」
「やったぁ!」
「すげえや」
「やりましたね」
その光景が見えたとほぼ同時に、メイアンを襲っていた不死鳥たちが急に姿を消した。絶望的な死線から解放されたホロミナティの4人が見たのは…吸血鬼の始祖ディー・アモンに勝利したブリニァンの姿だった
続く
【次回予告】
ディー・アモンを撃破したブリニァンとメイアンを護衛しながら、ヒルドゥルブ砦へと撤退するホロミナティの4人
森林地帯を急いでいる彼女たちを襲う不死鳥の生き残り。彼女らは無事に砦へと帰還出来るのか?
ブリニァンとディーが交わした話の内容は何だったのか?いよいよヒルドゥルブ砦を中心に決戦が始まろうとしていた
妖狐剣士ブリニァン・ホワイトは、妖力でコピーした9本の聖剣を9本の尻尾で遠隔操作して、不死王ディー・アモンを攻撃していたが…
「はぁはぁはぁはぁ…硬いなぁ…」
日頃、森林地帯での作戦を主任務にしているブリニァンとメイアンは細身ながらも体力には自信があったのだが…
「おやおやおやおや?どうしましたか、妖狐のお嬢さ~ん。息が上がってきているじゃ、あ~りませんかっ!」
彼らが激突してからまだ5分程度しか経過していないのだが…妖力をかなり消費する闘い方をしていたブリニァンは、身体が汗ばみ始め息も少しずつ荒くなっていたが…
「さてさて…そろそろ本腰を入れて闘うと致しましょうかね~♪」
「自分から地上に降りてくるなんて随分、余裕じゃないか?」
渇望の魔女が昨夜ブリニァンと戦っていた時は、地上から20メートル程の高度を維持して戦っていた
それに対してディーは、約10メートルの高度で今まで戦っていたのだが…突然、地上に足を付けた
「吾輩は~フュールお嬢ちゃんとは違いまして、あまり高い場所で戦い続けるのは得意ではあ~りませんからねぇ♪それに…貴女はか~なり疲労がかさんできた、みたいですからね~(ニヤ)」
地上に降りてレイピアを構えているディーの顔には、勝利を確信しているかのような笑みが浮かんでいた
「この程度で、ブリちゃんが体力切れをおこすのを期待してたら…甘いよ?」
息が荒くなっているのを隠せないブリニァンだが、ディーを睨みつける眼光は衰えていなかった
「そうですか?…そうかもしれませんねぇ…しかしぃ、貴女はまだ戦えたとしぃても~、貴女の連れの狼少女さんは随分辛そうにしていますがねぇ?」
「えっ!?メイアン?」
対峙しているディーの前で隙を魅せないように、闘気は彼に向けたまま「チラリ」と視線をメイアンに向けたブリニァン
どうやらメイアンは、限界寸前まで不死鳥たちを撃ち落とす為の対魔陣を打ち続けていたようだ
「かはっ、はぁはぁ…ふひゅぅぅぅ…」
全身の毛穴から噴出している大量の汗は、彼女の上着を透けさせていた。疲労が限界を超えているのか?上空を見上げることさえ辛そうにしていた
「貴女自身が~聖剣の本体で直接攻撃するのに消極的でぇ、イタズラに時間を掛ける戦い方をしているからではないですかね~?」
ディーが言うとおりブリニァンは、接近して聖剣本体での攻撃に消極的だった
(やはり何かあるみたいだね。何度か直接攻撃した時に感じた、奴のそばに居続けるとマズイ事になりそうだ。って勘はあってるみたいだね…でも、奴が言うようにこのままじゃあ…)
不用意に至近距離に入るとマズイ事になると、今までの戦闘経験が彼女に警鐘を鳴らしているのだが…コピーした聖剣の遠隔操作では攻撃は軽く、割と単調な動きになってしまうので、ディーは余裕を魅せながらその攻撃を捌いていた
「バッフルゲャベァバーズド!!」
視線を下に落とし動きの鈍っていたメイアンが、残っている魔力と精神力を振り絞り、退魔陣の上位を魔法を撃ち放った!
「ぬわんですとぉ!?」
「バジュジュジュン!」
メイアンが今まで上空に撃っていた退魔陣に比べればサイズは約半分ほどだが、攻撃力の高さが段違いなのは、退魔陣の発光の強さから予想された
「ゲベゴビバァァァ!!」
メイアンの退魔陣に捕らえられたディーは、今までの余裕たっぷりな態度からは想像も出来ないような、断末魔に近い悲鳴を上げた
「今です【吹雪剣王(フブキング)】そのチカラを示せっ!」
メイアンの必死の援護で訪れた好機に、吹雪剣王の能力を引き出し襲いかかったブリニァン。だが…
「んぅ~♪【半霊半幽体(アストラルバディ)】」
「スカッ」
「んなっ、バカなっ!?」
突然ディー・アモンの身体が半透明に透けると、メイアンが放った退魔陣からスルリと抜け出した。更に、その動きに合わせて斬りかかったブリニァンの攻撃までもが、空を斬るかの様に素通りした
「くははははははっ、あんま~いでぇすねぇ♪」
「ドシッ!」
数秒後、身体の色味が濃くなって実体化したディーが、左前方でよろけているブリニァン目掛けて強烈な体当たりをカマした!
「ゴツッ!」
「はぁはぁ、バカな!?半幽半霊体(アストラルバディ)は、強い魔法か?強い精霊力を纏った武器で攻撃すれば、ダメージを与えられるんじゃなかったのかい?」
ディーの体当たりを受けて、数メートル先に生えている巨木に受け身も取れずに激突してしまったブリニァンは、何がどうなっているのかサッパリだった
「ストっ」
「んふふふふ~ん。どうやら、吾輩の半幽半霊体に対する攻撃手段を予め知っていたようですね~?」
吹き飛ばされたブリニァンの目の前に、飛行移動してきたディーが着地した
「な、何故ブリちゃんの攻撃が効かなかったんだい?」
「くははははははっ。な~に簡単なことですよぉお嬢さん。パワー不足ですよ、単純にね~」
巨木に激突した衝撃の強さで、手足に上手くチカラが入らない状態にブリニァンが陥っているのを見抜いたディーは、両腕を組んだ仁王立ちスタイルで彼女を見下ろし得意気に語り始めた
「ん~。貴女と狼のお嬢さん、御2人合わせて110年ほど生きてきましたかね~?」
(ブリちゃんが116歳。メイアンが11歳だから合わせて127歳。10年ちょっとズレがあるけど…誤差かな?)
「…流石、伯爵。女性を見る目があるじゃないか。まだ会って数分だというのに、そこまで分かるなんてね」
本来なら戦地で敵と愉快なトークを繰り広げるのは、あまり好きではないブリニァンだが…まずは自分のダメージが回復するまでの時間稼ぎが必要だった
「吾輩はでぇすね。確か今年で573歳なのですよぉ。しかぁもぉ、吾輩は吾輩の肉体美に磨きをかける事にぃ労力を惜しまないのでねぇ、500年以上は訓練に励んでいましてねぇ、貴女たちの積み上げた100年ちょっとのパワーではぁ、吾輩自慢の【半幽半霊体(アストラルバディ)】をブチ抜くのは無理と言うものでぇすね~♪くははははははっ!」
ディーは得意気に高笑いをした。敵対する兵士の中で、おそらく最強の位置に居る剣士のチカラが1対2の状態であっても、自分を傷付けられない事実に笑いが零れたようだ
「そんな…あの修行の日々が、貴様の前では無力だと言うのですか?そんな…」
ブリニァンは話しながらも目線を落とし、自分の身体のダメージ具合を確認する
(戦闘服はビリビリにされたけど…まだ戦えなくもない。けど、メイアンの強退魔陣とブリちゃんの強斬撃でもダメージを与えられていない相手に、何をどうすればいいの?)
ダメージと疲労がかなり蓄積されてきたが、まだ戦えないことはないのだが…それでも全く勝機が見えないブリニァン
「さぁて、ところで個人的な興味でぇ、貴女に幾つか質問したいことがあるのでぇすが~よろしいですかね~?」
ブリニァンに避けられない【敗北】の二文字が刻まれたことを確信したディー・アモンは、警戒心を下げ彼女に歩み寄る
「ディー・ドゥーン」
「ボファツ!」
ディーが何か魔法を使った途端、彼の身体から真っ黒な瘴気が溢れ出し、ディーはもちろんブリニァンの身体も飲み込み、彼を中心とした直径100メートルほどの範囲が、黒い霧が立ち込めたようになった
「さて妖狐のお嬢さん。貴女はぁ、是が非でも吾輩を殺そうとはしていませんね~。ソレはどういった理由ですかねぇ?死ぬ気でなければ~吾輩に勝機を見い出すのは、不可能だと理解しているのでしょうおぅ?」
ディーの口から出た質問は実に個人的な内容であり、砦に関してか?砦内のロミー姫に関して質問されると思っていたブリニァンは驚いている
「…ブリちゃんは、この国の生まれじゃないんだ。良い待遇をしてもらえてはいるけどさ、はぁはぁ…生命を賭けてまで。って程じゃないんだよ」
ブリニァンは、自分の言葉をディーが信じてくれるのか?確認するかのように彼を見上げて返事をした
「な~るほどぉ。確かに、吾輩もこの国に入ってからまだ貴女と同じ種族(妖狐)に出会っていませんね~。この国に愛着が枠ほどの年数を過ごしていない?それともぉ、尊敬や執着するほどの相手に出逢えていないから、でぇすか~?」
「ブリちゃんは、平和で穏やかな日々を過ごしたいんだよ。こんな四方を囲まれた陸の孤島みたいな場所じゃなく、世界のアチコチをメイアンを連れてね」
珍しい光景だが、長年続いた戦争に終止符が打たれようという今夜の戦場のど真ん中で退治している彼らは、お互いに無言で数秒間見つめ合っていた
「ふむぅ、良いでしょう。あの狼少女を連れて引き上げなさ~い。あの冒険者もどきの4名と一緒にね~。後はぁ…」
ディーが展開したオリジナルの結界魔法は、吸血鬼の始祖である彼の闇のチカラをふんだんに込めた認識阻害だった
中の様子はおろか、中での会話も外からは聞こえないようになっている。探知魔法でも外からは中の様子を探れない為のモノだった
「マッマ!返事してー!」
ブリニァンの安否が気になって仕方のないメイアンの悲痛な叫びが闇夜に響く。その時…
「ぐうぅぅぅ…」
「グハッ!ぶ、ぶぁかなぁ~!?」
ディーの霧のような結界が晴れていくと…その中央で、木にもたれているようなブリニァンの右肩口を、レイピアで刺し貫いているディーの腹部を【吹雪剣王】が穴を開けて貫いていた
「おお!ブリニァンが勝ってるにぇ!」
「やったぁ!」
「すげえや」
「やりましたね」
その光景が見えたとほぼ同時に、メイアンを襲っていた不死鳥たちが急に姿を消した。絶望的な死線から解放されたホロミナティの4人が見たのは…吸血鬼の始祖ディー・アモンに勝利したブリニァンの姿だった
続く
【次回予告】
ディー・アモンを撃破したブリニァンとメイアンを護衛しながら、ヒルドゥルブ砦へと撤退するホロミナティの4人
森林地帯を急いでいる彼女たちを襲う不死鳥の生き残り。彼女らは無事に砦へと帰還出来るのか?
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