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夢忘れ編
草木も凍る丑三つ時
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【ロミーの部屋】
「始祖の吸血鬼ディー・アモンでぇす。以後お見知り置きを~」
戦争という恐怖に身を縮めて震え上がっていたロミータの前に突如として現れたのは、元魔王ザッド・クルスの左腕として名を馳せたディー・アモンだった
「な、な、何の用ですか?」
やっとの思いでロミータが絞り出した言葉だったが…
「ふははHAHAHA♪吾輩がこんな場所にワザワザ現れたのでぇすよ。この戦争を終わらせる為に、貴女の生命を貰いに来た以外に何の用があると言うのでぇすか~(笑)」
魔族側の大幹部とも言える彼がワザワザ単身で乗り込んで来たのだ。ソレに対してのロミータの質問は愚問と言わざるをえなかった
「あ、あの…その…」
助かる為に何かを言わなければ。と思ったロミータだが、目の前の男の強過ぎるプレッシャーに口を動かすのもままならなかった
何故なら、ハリウッド顔負けの吸血鬼伯爵の表情の凄み。それだけでなく闇を司る代表格の始祖の吸血鬼が、自分の生命を取る為に現れたと言うのだから仕方ない
「ちょっと待ってもらえないかな。吸血鬼のオジサン?」
重苦しい雰囲気の中、言葉を発したのはカルーアだった
「んうぅ?…おんやぁ、貴女はどこぞかでお会いした覚えがありますねぇ。何処でしたかねぇ?」
ディーはカルーアの顔に覚えがあるようだ
「マリニウム近くの平野だよ。そんな事よりさ、わたし達は惑星神エリスア様からの依頼で彼女を見守っているんだよ?」
「エリスア様からのぉ?……ふはHAHAHAHAHAHA♪ん~嘘はいけませんんねぇ、お嬢さん。惑星神様にお会いした事があるなどとぉ~」
カルーアもディーの暴挙を止めようと会話する事を試みた。正直、彼の戦力を全く知らないのだが、約12畳の広さの室内の目の前で対立しているだけで、背筋が凍りついているかのような恐怖に襲われていた
「嘘じゃないですの!私たちはお母様の言いつけに従っていますの」
姉であるカルーアが恐怖に耐えながら対話しているのを見たサーシャも、ディーの恐怖に耐えながら発言した
「揃いと揃ってエリスア様の名前を軽々しく口にするのを良くないですよぉ~?…ん!?貴女はもしや、天使族なのでぇすかぁ?」
カルーアとサーシャの言葉を軽く笑い飛ばしたディーだったが、チラリと眺めたサーシャの身体から発せられている高貴な光のオーラの強さに、彼女が天使族かも知れないと見抜いたディー
「そ、そうですの。お母様から神聖力を頂いていますの!…な、何ですの?」
ディーから見れば進化型のカルーアですら脅威を感じないのか、彼女にはあまり注目しなかったのだが…サーシャからは特別な何かを感じると歩み寄り、その手を彼女の頬に近づけた
「バチィィン!」
「お、おおぅ!?吾輩を拒絶する程の高貴な光は…間違いなく、貴女が天使族だという証明になりますなぁ…んぅ!?横に居る貴女はもしや、吾輩と同じく真祖たる吸血鬼ではないのですかぁ?」
吸血鬼と言えば、闇の代表格とも言える存在だ。サーシャが纏う強い光のオーラがディーの手を弾いたその時に、彼はサーシャの横後ろで震えているコハラコに気が付いた
「ま、ママに酷いことしちゃメっなノ!」
コハラコは冷や汗をかきながら恐怖していた。目の前の吸血鬼伯爵ディーの凄まじいプレッシャーと、自分自身が彼と同じ恐ろしい吸血鬼の一族だという事実に…
「むわぁさか、こんな所で吾輩と同じ吸血鬼のお嬢さんと出逢えるとは~。安心なさい吸血鬼のお嬢さん。吾輩はこの少女には、絶対に手出ししませ~ん。何故ならぁ、彼女は吾輩が敬愛するザッド様が布教なされた、惑星神エリスア様の娘さんなのですからね~」
サーシャを心配したコハラコだったが、ディーはサーシャが惑星神エリスアの本当の娘だと信じ、彼女には手出ししないことを約束した。そこへ…
「ま、待ってくれディー殿。ロミー様はローゼンバーグ家の女性ではないのです。彼女は地球から転生した別の女性なんだ!」
「ぬわんですとぉ!?」
意外なディーの優しさにイチるの希望を感じたクリストファーが、ロミータの素性を明かす事により彼女を見逃してくれと懇願する
「やれやれやれやれ。どうした事ですかねぇ、今回の作戦は想定外の事だらけじゃあーりませんか?流石の吾輩も理解するのが大変でぇすよ~…」
………………………………………
「なぁるほど~彼女はローゼンバーグのお嬢さんの身体に転移しただけの全く別人だということなのでぇすね~」
少しの時間。クリストファーの一生懸命な説明を聞いて、今ローゼンバーグの跡取り娘の中に入っているのは、地球から転移したロミータという別人だということを理解したディーだが…
「全くもって不運なお嬢さんだと言わざるを得ませんねぇ。この国で20年以上も続いてしまったこの戦争を終わらせる鍵は~、その肉体の死しかないのですからねぇ!」
吸血鬼伯爵ディー・アモンの目が怪しく光ると同時に、それまで静まり返っていた彼の負のオーラが増大し始めた
「そ、そんな…ロミーは生きたいの。このファンタジー世界で楽しく暮らしたいだけのよぉ!!」
やはり自分が助かる道は無いのだと確信したロミータは、世界を引き裂く程の叫び声をあげた!
「バリィん!」
「誰ですかぁ?こんな大事な場面に踏み入って来る者は~」
今、ディーがロミータの生命を摘み取ろうとした時に、コウモリ(ディー)が侵入する時に開けた穴を更に大きく破り、別の者が室内に侵入して来た
「クケケケケケ♪」
その者は、中立の町でミアナを1度仮死状態にまで追い込んだ機械化した少女だった
「ズシンズシン…」
機械化少女は他の者には目もくれず、真っ直ぐにサーシャの方へ歩いて行く
「やれやれやれやれや~れやれ。2転3転も度を越すと怒りが沸いてきちゃいますねぇ。彼女は惑星神様の娘さんなのです。ザッド様への忠誠が嘘ではないことを証明する為に、吾輩がこの者を退治しちゃいますよぉ♪」
意外なことに、サーシャの生命を狙って歩み寄る機械化少女を、ディーが退治すると宣言した
「ろ、ロミーは生きたいっ!」
この混乱に乗じたロミータは、機械化少女が開けた大きな穴を利用して外へと飛び出した
「もうっ、仕方ないなぁ!!」
そんなロミータを心配して、カルーアが彼女を追い掛けて外へ飛び出す。クリストファーは室内で立ち尽くしていたが、ロミータを助けない。という意思ではなかった
「ロミー…」
ディー・アモンから感じる身がすくむ程の恐怖と機械化少女の異様な迫力で、震える足が言うことを聞いてくれないのだ
「おやおやおや。余計な邪魔者が現れてしまうから~、お嬢さんに逃げられるではあーりませんかぁ…しかぁしっ!吾輩がここに居たことが貴女の不幸でぇすね~」
身体の半分が機械化している異様な少女の姿に全く動揺している感じもないディーは、サーシャを護る為の戦いを始めようとしている
「サーシャママ…」
あと小一時間で朝日が登ろうという日本で言うところの丑三つ時に、ロミーの部屋で鉢合わせした者たち。彼女たちの運命は?
続く
⚠️次回予告⚠️
逃げ出したロミータを護る為に、エリスア様との約束を反故にする覚悟で追い掛けるカルーア
主人であるザッドの教えを守り、惑星神エリスア様の娘であるサーシャを護ろうと戦闘態勢に入ったディー・アモン
果たしてマナティート国の戦争の結末は、どのような形で迎えるのか?
「始祖の吸血鬼ディー・アモンでぇす。以後お見知り置きを~」
戦争という恐怖に身を縮めて震え上がっていたロミータの前に突如として現れたのは、元魔王ザッド・クルスの左腕として名を馳せたディー・アモンだった
「な、な、何の用ですか?」
やっとの思いでロミータが絞り出した言葉だったが…
「ふははHAHAHA♪吾輩がこんな場所にワザワザ現れたのでぇすよ。この戦争を終わらせる為に、貴女の生命を貰いに来た以外に何の用があると言うのでぇすか~(笑)」
魔族側の大幹部とも言える彼がワザワザ単身で乗り込んで来たのだ。ソレに対してのロミータの質問は愚問と言わざるをえなかった
「あ、あの…その…」
助かる為に何かを言わなければ。と思ったロミータだが、目の前の男の強過ぎるプレッシャーに口を動かすのもままならなかった
何故なら、ハリウッド顔負けの吸血鬼伯爵の表情の凄み。それだけでなく闇を司る代表格の始祖の吸血鬼が、自分の生命を取る為に現れたと言うのだから仕方ない
「ちょっと待ってもらえないかな。吸血鬼のオジサン?」
重苦しい雰囲気の中、言葉を発したのはカルーアだった
「んうぅ?…おんやぁ、貴女はどこぞかでお会いした覚えがありますねぇ。何処でしたかねぇ?」
ディーはカルーアの顔に覚えがあるようだ
「マリニウム近くの平野だよ。そんな事よりさ、わたし達は惑星神エリスア様からの依頼で彼女を見守っているんだよ?」
「エリスア様からのぉ?……ふはHAHAHAHAHAHA♪ん~嘘はいけませんんねぇ、お嬢さん。惑星神様にお会いした事があるなどとぉ~」
カルーアもディーの暴挙を止めようと会話する事を試みた。正直、彼の戦力を全く知らないのだが、約12畳の広さの室内の目の前で対立しているだけで、背筋が凍りついているかのような恐怖に襲われていた
「嘘じゃないですの!私たちはお母様の言いつけに従っていますの」
姉であるカルーアが恐怖に耐えながら対話しているのを見たサーシャも、ディーの恐怖に耐えながら発言した
「揃いと揃ってエリスア様の名前を軽々しく口にするのを良くないですよぉ~?…ん!?貴女はもしや、天使族なのでぇすかぁ?」
カルーアとサーシャの言葉を軽く笑い飛ばしたディーだったが、チラリと眺めたサーシャの身体から発せられている高貴な光のオーラの強さに、彼女が天使族かも知れないと見抜いたディー
「そ、そうですの。お母様から神聖力を頂いていますの!…な、何ですの?」
ディーから見れば進化型のカルーアですら脅威を感じないのか、彼女にはあまり注目しなかったのだが…サーシャからは特別な何かを感じると歩み寄り、その手を彼女の頬に近づけた
「バチィィン!」
「お、おおぅ!?吾輩を拒絶する程の高貴な光は…間違いなく、貴女が天使族だという証明になりますなぁ…んぅ!?横に居る貴女はもしや、吾輩と同じく真祖たる吸血鬼ではないのですかぁ?」
吸血鬼と言えば、闇の代表格とも言える存在だ。サーシャが纏う強い光のオーラがディーの手を弾いたその時に、彼はサーシャの横後ろで震えているコハラコに気が付いた
「ま、ママに酷いことしちゃメっなノ!」
コハラコは冷や汗をかきながら恐怖していた。目の前の吸血鬼伯爵ディーの凄まじいプレッシャーと、自分自身が彼と同じ恐ろしい吸血鬼の一族だという事実に…
「むわぁさか、こんな所で吾輩と同じ吸血鬼のお嬢さんと出逢えるとは~。安心なさい吸血鬼のお嬢さん。吾輩はこの少女には、絶対に手出ししませ~ん。何故ならぁ、彼女は吾輩が敬愛するザッド様が布教なされた、惑星神エリスア様の娘さんなのですからね~」
サーシャを心配したコハラコだったが、ディーはサーシャが惑星神エリスアの本当の娘だと信じ、彼女には手出ししないことを約束した。そこへ…
「ま、待ってくれディー殿。ロミー様はローゼンバーグ家の女性ではないのです。彼女は地球から転生した別の女性なんだ!」
「ぬわんですとぉ!?」
意外なディーの優しさにイチるの希望を感じたクリストファーが、ロミータの素性を明かす事により彼女を見逃してくれと懇願する
「やれやれやれやれ。どうした事ですかねぇ、今回の作戦は想定外の事だらけじゃあーりませんか?流石の吾輩も理解するのが大変でぇすよ~…」
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「なぁるほど~彼女はローゼンバーグのお嬢さんの身体に転移しただけの全く別人だということなのでぇすね~」
少しの時間。クリストファーの一生懸命な説明を聞いて、今ローゼンバーグの跡取り娘の中に入っているのは、地球から転移したロミータという別人だということを理解したディーだが…
「全くもって不運なお嬢さんだと言わざるを得ませんねぇ。この国で20年以上も続いてしまったこの戦争を終わらせる鍵は~、その肉体の死しかないのですからねぇ!」
吸血鬼伯爵ディー・アモンの目が怪しく光ると同時に、それまで静まり返っていた彼の負のオーラが増大し始めた
「そ、そんな…ロミーは生きたいの。このファンタジー世界で楽しく暮らしたいだけのよぉ!!」
やはり自分が助かる道は無いのだと確信したロミータは、世界を引き裂く程の叫び声をあげた!
「バリィん!」
「誰ですかぁ?こんな大事な場面に踏み入って来る者は~」
今、ディーがロミータの生命を摘み取ろうとした時に、コウモリ(ディー)が侵入する時に開けた穴を更に大きく破り、別の者が室内に侵入して来た
「クケケケケケ♪」
その者は、中立の町でミアナを1度仮死状態にまで追い込んだ機械化した少女だった
「ズシンズシン…」
機械化少女は他の者には目もくれず、真っ直ぐにサーシャの方へ歩いて行く
「やれやれやれやれや~れやれ。2転3転も度を越すと怒りが沸いてきちゃいますねぇ。彼女は惑星神様の娘さんなのです。ザッド様への忠誠が嘘ではないことを証明する為に、吾輩がこの者を退治しちゃいますよぉ♪」
意外なことに、サーシャの生命を狙って歩み寄る機械化少女を、ディーが退治すると宣言した
「ろ、ロミーは生きたいっ!」
この混乱に乗じたロミータは、機械化少女が開けた大きな穴を利用して外へと飛び出した
「もうっ、仕方ないなぁ!!」
そんなロミータを心配して、カルーアが彼女を追い掛けて外へ飛び出す。クリストファーは室内で立ち尽くしていたが、ロミータを助けない。という意思ではなかった
「ロミー…」
ディー・アモンから感じる身がすくむ程の恐怖と機械化少女の異様な迫力で、震える足が言うことを聞いてくれないのだ
「おやおやおや。余計な邪魔者が現れてしまうから~、お嬢さんに逃げられるではあーりませんかぁ…しかぁしっ!吾輩がここに居たことが貴女の不幸でぇすね~」
身体の半分が機械化している異様な少女の姿に全く動揺している感じもないディーは、サーシャを護る為の戦いを始めようとしている
「サーシャママ…」
あと小一時間で朝日が登ろうという日本で言うところの丑三つ時に、ロミーの部屋で鉢合わせした者たち。彼女たちの運命は?
続く
⚠️次回予告⚠️
逃げ出したロミータを護る為に、エリスア様との約束を反故にする覚悟で追い掛けるカルーア
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