71 / 100
夢忘れ編
集うメスと猛者たち
しおりを挟む
【呑み喰い屋 ユグドラシル】
「まさか貴様、ヒイロの昔の恋人とか言うのではあるまいなっ!?」
かなり久し(数年)ぶりに中立の町を訪れたホルンだったが店内に入った途端、彼女(ホルン)が結婚を前提にした付き合いをしようとして連れて来たヒイロと、独特の雰囲気を醸し出して見つめ合うウエイトレスに腹が立ち啖呵(たんか)を切っていた
「ば、バカを言うなよ。何度もコイツに計画を邪魔されてきたんだ。何がどうなったら恋人関係に…恋人!?(ポッ)…あるハズが無いっ!」
乙女心など、とうの昔に封印して魔人級の魔法使いになることを目指して修行していたレキシントンは、【恋人】という単語自体に反応し顔を赤くしてソッポを向いた
「貴様のその反応!怪しい、怪しいぞっ!」
地上の者たちからすれば何かあるのでは?と疑いたくなるほど初々しい反応を魅せたレキシントンだが、ただ単に色恋沙汰に対する免疫がほぼゼロだから、恥ずかしがっているだけである
「ぬっはっは♪何やら勘違いされているようだなレキシントンよ♬しかしだな…その男はやめておいた方が無難だぞ」
「ランドルフまでっ!?決してそんな感情は抱いていないっ!こんな所でまで出会(でくわ)したから驚いただけだって!」
「うわぁ…すんごい筋肉ぅ…」
奥から大量の飲み物をイッキに運んできた、頭部が狼男で全身毛むくじゃらのランドルフという男が、レキシントンを笑いながらメニューを別の客のテーブルに置いた
緊迫した空気の中、自分の容姿について軽くコメントしたアリスをチラ見した後、ヒイロの方に向き直った
「なにしろ、その男は…毎回会う度に横に居る女が違う…ヘルメスではエルフの少女で、マリニウムではスタイル抜群のアサシン女だった。そして今日は成人のエルフ女性だ。かなりの女たらしか?普通に生きてるだけで、勝手にモテてしまう運命の元に生まれた男だろう。迂闊に関わるとロクな目にあわんぞ?」
「た、確かに。何度も会ってるのに、同じ女と居るところを見たことが無いわね」
「初回だけ女を魅せるように強要されて、次に会った時には知り合い程度のモブキャラ扱いされるのがオチだ。悪いことは言わん、やめておけ」
「流石に言われかた酷くないか?俺はそんな事するつもりは全く無いんだが…」
下衆野郎な評価をされて凹むヒイロだが…出会って数日のホルンにも、ヒイロに寄り添ってくる女の多さ(カルーア、シャルル、レキシントンの3人)に彼を庇えなかったホルン
「確かに。この男の周囲には色目で近寄ってくる女が多過ぎるな…」
(ヒイロが初めて訪れたこの地でさえ3人もの女が言い寄っている…地元に帰ったら、彼の帰りを待つ女は一体何人居るのだ?)
部族の掟に従いヒイロと夫婦関係になろうと誓い、中立の町にデートしに来たホルンだが…本当にこの男で良いのだろうか?と不安が芽生え始めていた
「アリスお姉様。放っておいて良いのですか?」
「大丈夫だよぉ♪お兄ちゃんが結婚相手に選ぶのは、アタシか妹のカルーアか、サーシャしか有り得ない!ってずっと言ってくれてるもぉん♪♬♪」
見た目が大学生くらいのホルンとレキシントンが、ヒイロを巡って言い争いをしている修羅場を目の当たりにしても「ビクともしない」アリスに違和感を感じたエリエスは、素直にアリスに質問していた
「まぁ、どうしても惚れ込んじまった!って言うのなら、これ以上野暮なことは言わんがな。ガーハッハッハッ♪」
豪快に笑う彼にツッコミを入れる者は居なかった。何故なら、初めて見る屈強そうな狼魔人ランドルフに、全員が強い警戒心を抱いていたからなのだが…
「オジサン凄く強そうだよねぇ。そんなに筋肉が凄い人、初めて見るかもぉ?」
「ほぅ?初対面の俺を【オジサン】呼ばわりか!?」
同じ狼系の獣人族であるアリスだけは無警戒に、その男を眺めていた。素直に自分を褒める言葉を発してくれたアリスの方に、不敵な笑みを浮かべて静かに近付いていくランドルフ
「カチャ…」
タダの獣人族ではない強者のオーラを纏うランドルフという男が、エリエスの想い人であるアリスに近付くのを彼女が黙って見ているハズもなく、何時でも戦闘を開始出来るように腰のエクスカリバーに手を添えていた
「お嬢ちゃんも狼系の獣人なのか?それにしてもその男、女好きも大概だな。こんな小さな子にまで好かれてるとは…守備範囲広過ぎじゃないか?」
成人エルフのホルンだけでなく、獣人族の少女アリスにまで恋愛相手としての視線を送られているヒイロのモテっぷりに、やや呆れるランドルフ
「お兄ちゃんは凄く優しくてカッコ良くて強いんだよぉ。だから、みんなから好かれているの。女好きだからなんかじゃないもん!それにアタシは15歳なんだからね。子供扱いされるのは心外だわ…プンスカプン!」
「そうか、そうか。それじゃオジサンの勘違いだったみたいだな。すまなかったぜ」
見た目がイカつい自分に、自然体で接してくれたアリスに好印象を抱いたランドルフは、彼女の頭を優しく撫でていた
「もう良いでしょう?その手を離しなさい」
上機嫌でいつまでもアリスの頭を撫でているランドルフに嫉妬しているのか?エリエスが不機嫌そうに立ち上がった
「姉妹愛か?それとも…百合の関係ってヤツか?…安心しな。俺たちは2度と不必要にチカラを振るわないと決めたんだ」
「ふぅ…まぁ良いです。迂闊にアリスお姉様に暴力を振るえば貴方の肉体…そのレシートと同じになりますよ?」
ランドルフがアリスの頭に手を置いた瞬間に、エリエスが愛剣エクスカリバーを手に持っただけにしか間近に居た者にも見えなかったのだが…彼女(エリエス)がエクスカリバーを腰の横に挿し置いた瞬間…
「ピリ……はらり…」
いつエリエスがエクスカリバーを振ったのか?誰にも分からない速度で、いつの間にやらテーブル上のレシートは真っ二つに斬られていた
「おお!?おっかねぇなー、綺麗な顔して何て剣撃を放ちやがる。これは…俺でも苦戦するのは確実だな…」
どちらかと言えば戦闘を好むランドルフにも、冷や汗を流させるほどのエリエスの剣さばきに店内は静まり返った
「まるで剣王ホワイトみたいだな…」
「ホルンさん。誰ですか、その人は?」
基礎型超人類の生き残りとして強い自覚が芽生えつつあるエリエスは、自分と剣で並びそうな者がアリス以外にも居ると聞き興味を覚えていた。しかし…
「ガタンっ!」
「ホルンですって!?まさか、人族側の天才軍師と言われ超重要人物と聞かされたホルン・グリンミストですか!?……あっ!?」
ファスク城を出る前に、オボロやヴァルから人族側の重要人物を聞かされていたミアナ。彼女は、魔法に長けたエルフ族であるホルンでさえ気が付けなかった程、高位の認識阻害魔法(ハードゥーン)を掛けていたのだが、適当に入った呑み喰い屋で偶然出会した事の驚きで、思わず大声を上げて立ち上がってしまった
「ほぅ、貴様。この私にも感知させない程の認識阻害(ハードゥーン)を掛けて気配を殺していたとは…何者だ?」
エルフ族でも上位の魔法が使えるホルンからすれば、こんな町の呑み喰い屋で自分を欺くほどの魔法使いに出会うとは予想外過ぎて、愛用している精霊の杖を手に取ると彼女(ミアナ)の席に歩み寄り、鋭い眼光で何者なのか?を問うていた
「え?いや、その私は…お友達と勤務明けに飲みに来た駆け出しの魔法使いでして…」
「はっ、もちろん。そんな戯言など信じるハズは無いが…まさか、この私の命でも狙ってやって来たか?」
今は無きエルフの里の中でも、かなり上位の魔法使いだったホルンにも今まで感知出来なかったほどの認識阻害魔法(ハードゥーン)を掛けられる者が、駆け出し魔法使いのハズがない
「えーと、これは、その~…」
ミアナは呑み喰い屋に入る前に、姫の護衛役として付いてきたツバキとモメントに話していた事がある
……………………………………………
「良いですか?私の魔法を使えば、私とオボロ姫の2人だけを一瞬で町の外まで転移させる事が可能です。姫様の身に危険が迫ったと感じたら、私は貴方たち2人を見捨ててでも城に帰投しますので、その事を覚えておいてくださいね」
「分かりました…」
「承知しました」
……………………………………………
ミアナは、約束していた強制脱出すべきなのは今だろう!と考えていた
「可愛らしい魔法使いのお嬢さんだが…タダモノじゃなさそうだなー」
「それだけの魔力の器を、私相手に隠し通せると思うなよ?」
狼魔人のランドルフだけでなく、天才軍師ホルンにも目をつけられてしまったミアナだが、彼女が恐れているのはその2人ではなかった
「貴女は確か…クラウン城での武闘大会で、トンデモナイ強さの村長さんと一緒に参加してた魔法使いですよね?」
「そうだった!植物使いの魔女アンナローザを手玉に取って戦っていた…消去の魔女の弟子だったハズ…」
「そうだよねぇ!決勝でエリエスちゃんと本格的に戦う前にギブアップしてた人だぁ」
エリエスもヒイロもアリスも、ミアナがブルージュ村の村長であるキウ・ケディータのパートナーとして参加していた【消去の魔女】の唯一の弟子である事を思い出した
「ほほぅ。タダモノではないと感じたが…消去の魔女の唯一の弟子とはな…尚更、タダの偶然的な出会いとは思えんな~」
魔族側の者が目の前に居る。しかも、魔女の中でも最強!と噂されている消去の魔女の唯一の弟子が、である。コレを単なる偶然の出会い、と思うハズがない天才軍師のホルン
最強の魔女の弟子のミアナ
基礎型超人類のエリエス
魔界の狼魔人ランドルフ
こんな猛者たちが中立の町で偶然に居合わせてしまった!!
(嗚呼…どうして私は昔からこんなにもツイて無いんですかぁ!?今回もお師匠様に伝言を伝えに来ただけなんですよ、私は~!!)
幼少期、生きる金を得る為に親に売られ…
新天地で【勇者パーティ】の一員になる為にクソ真面目に修行したら、1人だけぶっ飛んで強くなり過ぎてしまい勇者パーティから生命を狙われ…
師匠との約束で元魔王を憑依している元王妃の嫁さんにされ…
その元魔王から伝言を伝えに来たら、戦地マナティートに送られ…
姫様の護衛を命じられたら、こんな猛者たちが集う呑み喰い屋に来てしまったミアナ
彼女は、己の不幸過ぎさに呆れを通り越して放心状態になっていた
続く
「まさか貴様、ヒイロの昔の恋人とか言うのではあるまいなっ!?」
かなり久し(数年)ぶりに中立の町を訪れたホルンだったが店内に入った途端、彼女(ホルン)が結婚を前提にした付き合いをしようとして連れて来たヒイロと、独特の雰囲気を醸し出して見つめ合うウエイトレスに腹が立ち啖呵(たんか)を切っていた
「ば、バカを言うなよ。何度もコイツに計画を邪魔されてきたんだ。何がどうなったら恋人関係に…恋人!?(ポッ)…あるハズが無いっ!」
乙女心など、とうの昔に封印して魔人級の魔法使いになることを目指して修行していたレキシントンは、【恋人】という単語自体に反応し顔を赤くしてソッポを向いた
「貴様のその反応!怪しい、怪しいぞっ!」
地上の者たちからすれば何かあるのでは?と疑いたくなるほど初々しい反応を魅せたレキシントンだが、ただ単に色恋沙汰に対する免疫がほぼゼロだから、恥ずかしがっているだけである
「ぬっはっは♪何やら勘違いされているようだなレキシントンよ♬しかしだな…その男はやめておいた方が無難だぞ」
「ランドルフまでっ!?決してそんな感情は抱いていないっ!こんな所でまで出会(でくわ)したから驚いただけだって!」
「うわぁ…すんごい筋肉ぅ…」
奥から大量の飲み物をイッキに運んできた、頭部が狼男で全身毛むくじゃらのランドルフという男が、レキシントンを笑いながらメニューを別の客のテーブルに置いた
緊迫した空気の中、自分の容姿について軽くコメントしたアリスをチラ見した後、ヒイロの方に向き直った
「なにしろ、その男は…毎回会う度に横に居る女が違う…ヘルメスではエルフの少女で、マリニウムではスタイル抜群のアサシン女だった。そして今日は成人のエルフ女性だ。かなりの女たらしか?普通に生きてるだけで、勝手にモテてしまう運命の元に生まれた男だろう。迂闊に関わるとロクな目にあわんぞ?」
「た、確かに。何度も会ってるのに、同じ女と居るところを見たことが無いわね」
「初回だけ女を魅せるように強要されて、次に会った時には知り合い程度のモブキャラ扱いされるのがオチだ。悪いことは言わん、やめておけ」
「流石に言われかた酷くないか?俺はそんな事するつもりは全く無いんだが…」
下衆野郎な評価をされて凹むヒイロだが…出会って数日のホルンにも、ヒイロに寄り添ってくる女の多さ(カルーア、シャルル、レキシントンの3人)に彼を庇えなかったホルン
「確かに。この男の周囲には色目で近寄ってくる女が多過ぎるな…」
(ヒイロが初めて訪れたこの地でさえ3人もの女が言い寄っている…地元に帰ったら、彼の帰りを待つ女は一体何人居るのだ?)
部族の掟に従いヒイロと夫婦関係になろうと誓い、中立の町にデートしに来たホルンだが…本当にこの男で良いのだろうか?と不安が芽生え始めていた
「アリスお姉様。放っておいて良いのですか?」
「大丈夫だよぉ♪お兄ちゃんが結婚相手に選ぶのは、アタシか妹のカルーアか、サーシャしか有り得ない!ってずっと言ってくれてるもぉん♪♬♪」
見た目が大学生くらいのホルンとレキシントンが、ヒイロを巡って言い争いをしている修羅場を目の当たりにしても「ビクともしない」アリスに違和感を感じたエリエスは、素直にアリスに質問していた
「まぁ、どうしても惚れ込んじまった!って言うのなら、これ以上野暮なことは言わんがな。ガーハッハッハッ♪」
豪快に笑う彼にツッコミを入れる者は居なかった。何故なら、初めて見る屈強そうな狼魔人ランドルフに、全員が強い警戒心を抱いていたからなのだが…
「オジサン凄く強そうだよねぇ。そんなに筋肉が凄い人、初めて見るかもぉ?」
「ほぅ?初対面の俺を【オジサン】呼ばわりか!?」
同じ狼系の獣人族であるアリスだけは無警戒に、その男を眺めていた。素直に自分を褒める言葉を発してくれたアリスの方に、不敵な笑みを浮かべて静かに近付いていくランドルフ
「カチャ…」
タダの獣人族ではない強者のオーラを纏うランドルフという男が、エリエスの想い人であるアリスに近付くのを彼女が黙って見ているハズもなく、何時でも戦闘を開始出来るように腰のエクスカリバーに手を添えていた
「お嬢ちゃんも狼系の獣人なのか?それにしてもその男、女好きも大概だな。こんな小さな子にまで好かれてるとは…守備範囲広過ぎじゃないか?」
成人エルフのホルンだけでなく、獣人族の少女アリスにまで恋愛相手としての視線を送られているヒイロのモテっぷりに、やや呆れるランドルフ
「お兄ちゃんは凄く優しくてカッコ良くて強いんだよぉ。だから、みんなから好かれているの。女好きだからなんかじゃないもん!それにアタシは15歳なんだからね。子供扱いされるのは心外だわ…プンスカプン!」
「そうか、そうか。それじゃオジサンの勘違いだったみたいだな。すまなかったぜ」
見た目がイカつい自分に、自然体で接してくれたアリスに好印象を抱いたランドルフは、彼女の頭を優しく撫でていた
「もう良いでしょう?その手を離しなさい」
上機嫌でいつまでもアリスの頭を撫でているランドルフに嫉妬しているのか?エリエスが不機嫌そうに立ち上がった
「姉妹愛か?それとも…百合の関係ってヤツか?…安心しな。俺たちは2度と不必要にチカラを振るわないと決めたんだ」
「ふぅ…まぁ良いです。迂闊にアリスお姉様に暴力を振るえば貴方の肉体…そのレシートと同じになりますよ?」
ランドルフがアリスの頭に手を置いた瞬間に、エリエスが愛剣エクスカリバーを手に持っただけにしか間近に居た者にも見えなかったのだが…彼女(エリエス)がエクスカリバーを腰の横に挿し置いた瞬間…
「ピリ……はらり…」
いつエリエスがエクスカリバーを振ったのか?誰にも分からない速度で、いつの間にやらテーブル上のレシートは真っ二つに斬られていた
「おお!?おっかねぇなー、綺麗な顔して何て剣撃を放ちやがる。これは…俺でも苦戦するのは確実だな…」
どちらかと言えば戦闘を好むランドルフにも、冷や汗を流させるほどのエリエスの剣さばきに店内は静まり返った
「まるで剣王ホワイトみたいだな…」
「ホルンさん。誰ですか、その人は?」
基礎型超人類の生き残りとして強い自覚が芽生えつつあるエリエスは、自分と剣で並びそうな者がアリス以外にも居ると聞き興味を覚えていた。しかし…
「ガタンっ!」
「ホルンですって!?まさか、人族側の天才軍師と言われ超重要人物と聞かされたホルン・グリンミストですか!?……あっ!?」
ファスク城を出る前に、オボロやヴァルから人族側の重要人物を聞かされていたミアナ。彼女は、魔法に長けたエルフ族であるホルンでさえ気が付けなかった程、高位の認識阻害魔法(ハードゥーン)を掛けていたのだが、適当に入った呑み喰い屋で偶然出会した事の驚きで、思わず大声を上げて立ち上がってしまった
「ほぅ、貴様。この私にも感知させない程の認識阻害(ハードゥーン)を掛けて気配を殺していたとは…何者だ?」
エルフ族でも上位の魔法が使えるホルンからすれば、こんな町の呑み喰い屋で自分を欺くほどの魔法使いに出会うとは予想外過ぎて、愛用している精霊の杖を手に取ると彼女(ミアナ)の席に歩み寄り、鋭い眼光で何者なのか?を問うていた
「え?いや、その私は…お友達と勤務明けに飲みに来た駆け出しの魔法使いでして…」
「はっ、もちろん。そんな戯言など信じるハズは無いが…まさか、この私の命でも狙ってやって来たか?」
今は無きエルフの里の中でも、かなり上位の魔法使いだったホルンにも今まで感知出来なかったほどの認識阻害魔法(ハードゥーン)を掛けられる者が、駆け出し魔法使いのハズがない
「えーと、これは、その~…」
ミアナは呑み喰い屋に入る前に、姫の護衛役として付いてきたツバキとモメントに話していた事がある
……………………………………………
「良いですか?私の魔法を使えば、私とオボロ姫の2人だけを一瞬で町の外まで転移させる事が可能です。姫様の身に危険が迫ったと感じたら、私は貴方たち2人を見捨ててでも城に帰投しますので、その事を覚えておいてくださいね」
「分かりました…」
「承知しました」
……………………………………………
ミアナは、約束していた強制脱出すべきなのは今だろう!と考えていた
「可愛らしい魔法使いのお嬢さんだが…タダモノじゃなさそうだなー」
「それだけの魔力の器を、私相手に隠し通せると思うなよ?」
狼魔人のランドルフだけでなく、天才軍師ホルンにも目をつけられてしまったミアナだが、彼女が恐れているのはその2人ではなかった
「貴女は確か…クラウン城での武闘大会で、トンデモナイ強さの村長さんと一緒に参加してた魔法使いですよね?」
「そうだった!植物使いの魔女アンナローザを手玉に取って戦っていた…消去の魔女の弟子だったハズ…」
「そうだよねぇ!決勝でエリエスちゃんと本格的に戦う前にギブアップしてた人だぁ」
エリエスもヒイロもアリスも、ミアナがブルージュ村の村長であるキウ・ケディータのパートナーとして参加していた【消去の魔女】の唯一の弟子である事を思い出した
「ほほぅ。タダモノではないと感じたが…消去の魔女の唯一の弟子とはな…尚更、タダの偶然的な出会いとは思えんな~」
魔族側の者が目の前に居る。しかも、魔女の中でも最強!と噂されている消去の魔女の唯一の弟子が、である。コレを単なる偶然の出会い、と思うハズがない天才軍師のホルン
最強の魔女の弟子のミアナ
基礎型超人類のエリエス
魔界の狼魔人ランドルフ
こんな猛者たちが中立の町で偶然に居合わせてしまった!!
(嗚呼…どうして私は昔からこんなにもツイて無いんですかぁ!?今回もお師匠様に伝言を伝えに来ただけなんですよ、私は~!!)
幼少期、生きる金を得る為に親に売られ…
新天地で【勇者パーティ】の一員になる為にクソ真面目に修行したら、1人だけぶっ飛んで強くなり過ぎてしまい勇者パーティから生命を狙われ…
師匠との約束で元魔王を憑依している元王妃の嫁さんにされ…
その元魔王から伝言を伝えに来たら、戦地マナティートに送られ…
姫様の護衛を命じられたら、こんな猛者たちが集う呑み喰い屋に来てしまったミアナ
彼女は、己の不幸過ぎさに呆れを通り越して放心状態になっていた
続く
20
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


