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夢忘れ編
九尾の狐 ホワイト・ブリニァン
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【マナティート森林帯】
空を舞い飛来する9本の剣の攻撃を回避しながら戦っている渇望の魔女
「まさか、こんな事になってしまうなんて…」
重なったイライラの解消と、魔王メイビー様から請け負った明日の役割を、より確実にする為に偵察に出ただけだったのに…
「くうぅ。流石、魔王専属の魔女ですね。まだマトモに1撃も入れられないなんて、強過ぎです…」
マナティート地方での人族側最強の剣王ホワイト・ブリニァンと戦闘に入ってしまった
「それにしても…この私と、ここまで対等に戦える者が存在していたなんて…」
ある程度以上の空間干渉魔法を使える者ならば、魔力で空を飛ぶことはそんなに難しくないのだが…高熱魔法と同じくらいに浮遊魔法を世界最高レベルで使いこなすフュールは、四方八方から様々なパターンで攻撃してくる9本の【吹雪剣王(フブキング)】の攻撃を、自在に空を舞う鳥のように華麗に回避し続けていた
「はぁはぁ…まだ全力こそ出していませんが、これだけの攻撃で決定打が与えられないなんて…」
ブリニァン・ホワイトからすれば【吹雪剣王(フブキング)】をコピーし、多方向から自在に攻めるこの攻撃は、今までは絶対勝利を導く為の必殺技だったのだ。しかし、擦り傷以上のダメージを与えられていなかった
「ふぅ、はぁぁ…。よし、個別に独立して攻撃してくると言っても、所詮はあの狐女が1人で操っているモノの様ね。そろそろ軌道パターンも読めてきたわ」
急加速や急停止、急な方向転換や、木の葉のように舞う動きや、体操選手の様に身体を捻って回避するなどの動きを魅せつつ華麗に回避し続けるフュール
「バッゴーーーーン!!」
「ひいぃぃぃ。あっぶないですね~」
ブリニァンは攻撃している最中も、絶え間なく森の中を走り回っている。そうしないとフュールから反撃の爆炎攻撃を当てられてしまうからだ
「アレが彼女の全力の魔法なのでしょうか?それとも、あまり目立たない様に威力は抑えている?」
マナティートはその地形上、地上の孤島のようになっているので外部の情報が入りにくいのだが…それでも伝わってくる魔王軍上層部の将騎や魔女の強さから考えれば、渇望の魔女の本気の攻撃はもっと凄いのだろう。と考えているブリニァン
「魔王専属の魔女の攻撃が、この程度の威力とは考えにくいですね…まぁ、万が一当てられたら本当にヤバそうなんですけどね…」
(私が9本の吹雪剣王をひとつひとつ操れるのは…私が九尾の狐であって、シッポの1本1本で剣を操っているからなのですが…このままでは先に体力か?妖力が尽きそうだわ…)
回避運動に余裕が出始めてきたフュールに対し、逆に焦りの色が出始めたのは持久戦にあまり自信の無いブリニァンのほうだった
「使うなら今でしょうね」
少し思案した後、ブリニァンは腰にぶら下げている袋から饅頭のような食べ物を2つ取り出すと、走りながらソレらを食べた
「…ん?何かを食べている…何だ?」
【吹雪剣王(フブキング)】の攻撃を回避しながら、徐々にブリニァンとの間合いを詰めていたフュールは、彼女が何かを食べ始めたことに気が付いた
【夜の激戦】
饅頭のような物を食べたブリニァンの身体が薄く発光し始めた。彼女は手に持っている【吹雪剣王(フブキング)】の本体に闘気の様なモノを流し込むと剣も発光し始めた
「ん~~~喰らえぇ!!」
ブリニァンがフュールに向けて【吹雪剣王(フブキング)】を振ると、超圧縮された冷気を封入した槍状の光の矢がフュール目掛けて飛んで行く
「もういっちょう!!」
ブリニァンは、同じ物を別の角度からフュール目掛けて放った
「ふぬ~~この程度で私を~」
「チュドォォォン!!」
フュールは光の槍が近付く前に、自分の周囲を取り囲む複製された【吹雪剣王(フブキング)】に強い火炎弾を当てて吹き飛ばした
「…なんとぉ!」
「パドォォォォン!」
続けて向かってきた光の槍を、右手全体に纏った炎の鞭で切り裂いた!切り裂かれた槍状の光の矢が、妖力により内封していた冷気が周囲に拡散され、まるで花火のように輝き落ちていく
「そんな…あれだけの攻撃をしても当てられないなんて、流石に無理ゲー過ぎませんか~?」
どれだけ攻撃を重ねても致命的なダメージを1度も入れられないことに焦り出したブリニァンは、上空を華麗に舞い続けるフュールに意識が集中していた
「マッマ、足元っ!!」
「ふえぇ!?」
無数に生えている太い木々に、気配を隠しながらブリニァンと付かず離れずの位置で、フュールに気取られないように移動していたメイアン・ホワイトだったが…
「下からの攻撃!?間に合うかっ!?」
「やはり、もう1人居たわねっ!」
9本の吹雪剣王の攻撃を回避しながら時折、その分身の剣王を破壊していたフュールだが…更にその合間にも少しずつ反撃し、彼女の炎の魔力を地面内に貯蔵して、2人に気付かれないように範囲効果タイプの灼熱魔法の準備をしていた
「狐女。まずは貴女を丸焼きにしてあげるわ!」
ブリニァンの居る位置を中心にして、半径約500メートル程の地面に突如として浮かび上がった灼熱の魔法陣から、石をも気化させる程の熱量が溢れ出した
「この熱量は流石に!?」
連れ添っていたメイアンの言葉で、足元からの攻撃に気が付いたブリニァンは慌てて遠くの木を目掛けて跳躍ようとしたのだが…
「ボッフォォォォ!!」
灼熱の魔法陣から複数の火柱が立ち上がり、跳躍しようとしたブリニァンの行く手を阻んだ!
「もう駄目かも?」
「悪しきチカラを退けたまへ!【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】!!」
噴き出る熱量の高さと、遅れ気味な回避まで遮られてしまい流石に助からないと判断したブリニァンだが、木の影から姿を見せたメイアンが右手を腰あたりまで下げると、半径2メートル程の白く輝く魔法陣が展開された
「嘘っ!?私の魔法陣が掻き消されていく!?」
メイアンは、フュールがブリニァンの周囲を囲むように描き出した熱波の魔法陣に【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】を上書きして、その魔法効果を無効化した
「私の魔法を封じ込むなんて何者なの!?……なら、貴女だけでも焼かせてもらうわよ!」
ブリニァンへのトドメが難しくなった事を理解したフュールは、攻撃目標をメイアンに変更した
「逃げなさいメイアンっ!」
狐科獣人族のブリニァンは、森の中での移動速度に自信を持ってはいるものの、先程まで戦闘していたフュールの異常なまでの飛行能力に、メイアンを助けるのは間に合わないと理解していた
「貴女には悪いけど、戦場で敵として私と出会ってしまったことを後悔しなさい【灼熱の槍(ニール・マグナ)】!」
移動に魔法力を注ぎ、ブリニァンに邪魔されなくする速度を出しながらも、一撃必殺の威力を持つ槍状の灼熱体を創り出し、右手で掴みメイアン目掛けて突撃するフュール
「悪しきチカラを退けたまへ!【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】!!」
メイアンは、ブリニァンが灼熱の魔法陣で焼かれないようにする為に展開した魔法陣を維持しつつも、自分を攻撃してくるフュールをも同時に生成した同じ魔法陣で包み込んだ
「パシュ~~…なっ、地面に激突する!?」
メイアンが新たに展開した魔法陣に包まれたフュールは、1次的に全魔力を無効化された為、直線的に飛行してきた強い推力をコントロール出来なくなり、そのまま地面に激突しそうになった
「上がりなさぁぁぁいっ!!」
地面に激突する直前に、メイアンの魔法陣を突き抜けたフュールは一瞬で凄まじい量の魔力を放出して自分の身体を包み込むと、地面に激突しないようにイッキに上へと持ち上げた
「はぁはぁはぁ…あ、危なかったわ。2対1では分が悪いみたいね、ここは一旦…ん?アレは!?」
ブリニァンはフュールと戦闘しながら、少しずつヒルドゥルブ砦に近くなるように位置をズラしていた
戦闘に集中しすぎるがあまり周りの状況が的確に見えていなかったのは、どうやらフュールも同じだったようだ。古代人が創り出した機械化砦であるヒルドゥルブ砦は、対魔法コーティングが施されているので並大抵の魔法ではビクともしない
なので、噂に名高い魔女から助かるには砦に逃げ込むのが最善の策だと思ったようだ。しかし、その砦内に居た者の中で唯一、早い段階で【渇望の魔女】の存在を感知していたカルーアが…
「世界を彩る七精霊よ!強き魔女を撃ち抜く光となれ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!」
「ギュワァァァァァァ…」
「はぁはぁ…あの魔法は、私が有栖から教えてもらったエルフ族秘伝の超極大魔法。私たち以外であの魔法が使えるのは確か…あ!マルバァス討伐の時に居たエルフの少女か?」
メイアンに無効化された自分の魔法を素早く再稼働させて、上空に舞い上がった瞬間をカルーアに狙われたフュールだったが、距離も離れていた事もあり、紙一重のところでその攻撃を回避する事に成功した
【ヒルドゥルブ砦】
「カルーアお姉さま。魔女は倒せましたの?」
「ふぅ。いや、避けられてしまったよ」
渇望の魔女が戦闘しているのを感知したカルーアは、クリストファーらにその事を報告すると、長距離魔法で狙うのならココが良いだろうと言われ、サーシャと共に見張り台に来ていた
「カルーアさん。それで、渇望の魔女はどうされました?」
「撤退したみたいだよ。それと、獣人族かな?2人がこの砦に向かって移動して来ているよ」
「剣王ブリニァン様と退魔師メイアンちゃんの2人だと思います。安心してください。我が軍の特務遊撃隊です…まぁ、2人だけの部隊なんですけどね」
「うーん、剣王さんの方かな?ものすごく疲れているみたいだよ?」
カルーアは宝剣級の武器を携えている方の気が、かなり乱れていることを察知したので、そのつもりで出迎えたほうが良いとクリストファーに伝えた
マナティートの人族と魔族の戦争の行方は?
元魔王の元へ向かった有栖を待つものは?
中立の町で消去の魔女と遭遇したヒイロ達は?
続く
空を舞い飛来する9本の剣の攻撃を回避しながら戦っている渇望の魔女
「まさか、こんな事になってしまうなんて…」
重なったイライラの解消と、魔王メイビー様から請け負った明日の役割を、より確実にする為に偵察に出ただけだったのに…
「くうぅ。流石、魔王専属の魔女ですね。まだマトモに1撃も入れられないなんて、強過ぎです…」
マナティート地方での人族側最強の剣王ホワイト・ブリニァンと戦闘に入ってしまった
「それにしても…この私と、ここまで対等に戦える者が存在していたなんて…」
ある程度以上の空間干渉魔法を使える者ならば、魔力で空を飛ぶことはそんなに難しくないのだが…高熱魔法と同じくらいに浮遊魔法を世界最高レベルで使いこなすフュールは、四方八方から様々なパターンで攻撃してくる9本の【吹雪剣王(フブキング)】の攻撃を、自在に空を舞う鳥のように華麗に回避し続けていた
「はぁはぁ…まだ全力こそ出していませんが、これだけの攻撃で決定打が与えられないなんて…」
ブリニァン・ホワイトからすれば【吹雪剣王(フブキング)】をコピーし、多方向から自在に攻めるこの攻撃は、今までは絶対勝利を導く為の必殺技だったのだ。しかし、擦り傷以上のダメージを与えられていなかった
「ふぅ、はぁぁ…。よし、個別に独立して攻撃してくると言っても、所詮はあの狐女が1人で操っているモノの様ね。そろそろ軌道パターンも読めてきたわ」
急加速や急停止、急な方向転換や、木の葉のように舞う動きや、体操選手の様に身体を捻って回避するなどの動きを魅せつつ華麗に回避し続けるフュール
「バッゴーーーーン!!」
「ひいぃぃぃ。あっぶないですね~」
ブリニァンは攻撃している最中も、絶え間なく森の中を走り回っている。そうしないとフュールから反撃の爆炎攻撃を当てられてしまうからだ
「アレが彼女の全力の魔法なのでしょうか?それとも、あまり目立たない様に威力は抑えている?」
マナティートはその地形上、地上の孤島のようになっているので外部の情報が入りにくいのだが…それでも伝わってくる魔王軍上層部の将騎や魔女の強さから考えれば、渇望の魔女の本気の攻撃はもっと凄いのだろう。と考えているブリニァン
「魔王専属の魔女の攻撃が、この程度の威力とは考えにくいですね…まぁ、万が一当てられたら本当にヤバそうなんですけどね…」
(私が9本の吹雪剣王をひとつひとつ操れるのは…私が九尾の狐であって、シッポの1本1本で剣を操っているからなのですが…このままでは先に体力か?妖力が尽きそうだわ…)
回避運動に余裕が出始めてきたフュールに対し、逆に焦りの色が出始めたのは持久戦にあまり自信の無いブリニァンのほうだった
「使うなら今でしょうね」
少し思案した後、ブリニァンは腰にぶら下げている袋から饅頭のような食べ物を2つ取り出すと、走りながらソレらを食べた
「…ん?何かを食べている…何だ?」
【吹雪剣王(フブキング)】の攻撃を回避しながら、徐々にブリニァンとの間合いを詰めていたフュールは、彼女が何かを食べ始めたことに気が付いた
【夜の激戦】
饅頭のような物を食べたブリニァンの身体が薄く発光し始めた。彼女は手に持っている【吹雪剣王(フブキング)】の本体に闘気の様なモノを流し込むと剣も発光し始めた
「ん~~~喰らえぇ!!」
ブリニァンがフュールに向けて【吹雪剣王(フブキング)】を振ると、超圧縮された冷気を封入した槍状の光の矢がフュール目掛けて飛んで行く
「もういっちょう!!」
ブリニァンは、同じ物を別の角度からフュール目掛けて放った
「ふぬ~~この程度で私を~」
「チュドォォォン!!」
フュールは光の槍が近付く前に、自分の周囲を取り囲む複製された【吹雪剣王(フブキング)】に強い火炎弾を当てて吹き飛ばした
「…なんとぉ!」
「パドォォォォン!」
続けて向かってきた光の槍を、右手全体に纏った炎の鞭で切り裂いた!切り裂かれた槍状の光の矢が、妖力により内封していた冷気が周囲に拡散され、まるで花火のように輝き落ちていく
「そんな…あれだけの攻撃をしても当てられないなんて、流石に無理ゲー過ぎませんか~?」
どれだけ攻撃を重ねても致命的なダメージを1度も入れられないことに焦り出したブリニァンは、上空を華麗に舞い続けるフュールに意識が集中していた
「マッマ、足元っ!!」
「ふえぇ!?」
無数に生えている太い木々に、気配を隠しながらブリニァンと付かず離れずの位置で、フュールに気取られないように移動していたメイアン・ホワイトだったが…
「下からの攻撃!?間に合うかっ!?」
「やはり、もう1人居たわねっ!」
9本の吹雪剣王の攻撃を回避しながら時折、その分身の剣王を破壊していたフュールだが…更にその合間にも少しずつ反撃し、彼女の炎の魔力を地面内に貯蔵して、2人に気付かれないように範囲効果タイプの灼熱魔法の準備をしていた
「狐女。まずは貴女を丸焼きにしてあげるわ!」
ブリニァンの居る位置を中心にして、半径約500メートル程の地面に突如として浮かび上がった灼熱の魔法陣から、石をも気化させる程の熱量が溢れ出した
「この熱量は流石に!?」
連れ添っていたメイアンの言葉で、足元からの攻撃に気が付いたブリニァンは慌てて遠くの木を目掛けて跳躍ようとしたのだが…
「ボッフォォォォ!!」
灼熱の魔法陣から複数の火柱が立ち上がり、跳躍しようとしたブリニァンの行く手を阻んだ!
「もう駄目かも?」
「悪しきチカラを退けたまへ!【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】!!」
噴き出る熱量の高さと、遅れ気味な回避まで遮られてしまい流石に助からないと判断したブリニァンだが、木の影から姿を見せたメイアンが右手を腰あたりまで下げると、半径2メートル程の白く輝く魔法陣が展開された
「嘘っ!?私の魔法陣が掻き消されていく!?」
メイアンは、フュールがブリニァンの周囲を囲むように描き出した熱波の魔法陣に【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】を上書きして、その魔法効果を無効化した
「私の魔法を封じ込むなんて何者なの!?……なら、貴女だけでも焼かせてもらうわよ!」
ブリニァンへのトドメが難しくなった事を理解したフュールは、攻撃目標をメイアンに変更した
「逃げなさいメイアンっ!」
狐科獣人族のブリニァンは、森の中での移動速度に自信を持ってはいるものの、先程まで戦闘していたフュールの異常なまでの飛行能力に、メイアンを助けるのは間に合わないと理解していた
「貴女には悪いけど、戦場で敵として私と出会ってしまったことを後悔しなさい【灼熱の槍(ニール・マグナ)】!」
移動に魔法力を注ぎ、ブリニァンに邪魔されなくする速度を出しながらも、一撃必殺の威力を持つ槍状の灼熱体を創り出し、右手で掴みメイアン目掛けて突撃するフュール
「悪しきチカラを退けたまへ!【七破魔法陣(ファーラ・ドゥーン)】!!」
メイアンは、ブリニァンが灼熱の魔法陣で焼かれないようにする為に展開した魔法陣を維持しつつも、自分を攻撃してくるフュールをも同時に生成した同じ魔法陣で包み込んだ
「パシュ~~…なっ、地面に激突する!?」
メイアンが新たに展開した魔法陣に包まれたフュールは、1次的に全魔力を無効化された為、直線的に飛行してきた強い推力をコントロール出来なくなり、そのまま地面に激突しそうになった
「上がりなさぁぁぁいっ!!」
地面に激突する直前に、メイアンの魔法陣を突き抜けたフュールは一瞬で凄まじい量の魔力を放出して自分の身体を包み込むと、地面に激突しないようにイッキに上へと持ち上げた
「はぁはぁはぁ…あ、危なかったわ。2対1では分が悪いみたいね、ここは一旦…ん?アレは!?」
ブリニァンはフュールと戦闘しながら、少しずつヒルドゥルブ砦に近くなるように位置をズラしていた
戦闘に集中しすぎるがあまり周りの状況が的確に見えていなかったのは、どうやらフュールも同じだったようだ。古代人が創り出した機械化砦であるヒルドゥルブ砦は、対魔法コーティングが施されているので並大抵の魔法ではビクともしない
なので、噂に名高い魔女から助かるには砦に逃げ込むのが最善の策だと思ったようだ。しかし、その砦内に居た者の中で唯一、早い段階で【渇望の魔女】の存在を感知していたカルーアが…
「世界を彩る七精霊よ!強き魔女を撃ち抜く光となれ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!」
「ギュワァァァァァァ…」
「はぁはぁ…あの魔法は、私が有栖から教えてもらったエルフ族秘伝の超極大魔法。私たち以外であの魔法が使えるのは確か…あ!マルバァス討伐の時に居たエルフの少女か?」
メイアンに無効化された自分の魔法を素早く再稼働させて、上空に舞い上がった瞬間をカルーアに狙われたフュールだったが、距離も離れていた事もあり、紙一重のところでその攻撃を回避する事に成功した
【ヒルドゥルブ砦】
「カルーアお姉さま。魔女は倒せましたの?」
「ふぅ。いや、避けられてしまったよ」
渇望の魔女が戦闘しているのを感知したカルーアは、クリストファーらにその事を報告すると、長距離魔法で狙うのならココが良いだろうと言われ、サーシャと共に見張り台に来ていた
「カルーアさん。それで、渇望の魔女はどうされました?」
「撤退したみたいだよ。それと、獣人族かな?2人がこの砦に向かって移動して来ているよ」
「剣王ブリニァン様と退魔師メイアンちゃんの2人だと思います。安心してください。我が軍の特務遊撃隊です…まぁ、2人だけの部隊なんですけどね」
「うーん、剣王さんの方かな?ものすごく疲れているみたいだよ?」
カルーアは宝剣級の武器を携えている方の気が、かなり乱れていることを察知したので、そのつもりで出迎えたほうが良いとクリストファーに伝えた
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続く
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