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日記に日々の不満や出来事を記載して四年、この村にババアのとこにきて、ルーカス達と共同の生活をしてからは三年が経過した。
俺の生活は大きく変化はない。たまに村に行くことはあっても基本的に新しく建てた魔道具の研究をする倉庫に篭ってることが多い。
当然、狩りにも適度に出てはいるが、今ではあんこを抜きにすれば狩りだけ腕前ならルーカスの方が上になっている。まぁ単純な強さという点については今でも負ける気はしないけど。
遂にルーカスが成人をすることになり、念願のエレナとの結婚という話になり、ババアの母家とは別に新婚夫婦用に家を建築してもらい、さぁもう少ししたら本格的な進行生活だぞ! っという対明で問題が起こっている。
「もう嫌なの! 私、兄弟子と結婚する!」
「何を馬鹿なこと言ってるんだエレナ! 俺のどこが嫌なんだよ!」
「靴下は裏返すし、トイレは立ったままするし、食事の用意だってサボってばっかり! お風呂だって汚れを落としてから入っていってるのに入らないし!」
「わかったよ、ごめん直すから、俺、変わるかさ」
「その話、何度目だと思ってるの!」
マリッジブルーってやつだろうか? これの使い方が正しいかもわからないけどさ。どうするのこれ。
数日後には村で結婚するカップルは祭りと一緒に集められて、村全員から祝福されるみたいなイベントがある。
俺が来てからの数年は新しい薬草関連の事業も始まったりでバタバタしており、今回は八組と最多の大きな祭りになるとは聞いている。俺も美味いものが食えるとワクワクしていたのだが、肝心の参加予定である弟子と妹弟子がこれである。
「師匠、これどうするんですか?」
「私に聞くんじゃないよ。それよりも、あんたも巻き込まれてるけど、どう収拾をつけるつもりだい」
「兄弟子は今話したことも守ってるし、料理も上手だし、優しいし、薬学も魔道具作成だって腕がいいし」
おいおい、エレナよ、お前そんなに俺に惚れていたのか? そこまで熱烈に言われたらやぶさかではないぞ。
「顔は好みじゃないけど! 妥協するのではあれば最高の相手なんだから!」
「兄貴に失礼だろうが!」
ルーカス! お前の言ってること、そこだけは正しいぞ!
おい、ババア、爆笑するな!
エレナが自室に鍵を閉めて最終的に篭ってしまった。どうしたものか。
「おい、ルーカス表に出ろ」
「兄貴?」
上半身裸になり、ルーカスにも同じように服を脱ぐように指示する。
ババアもお茶を飲みながら熊を椅子にして見物をしている。あんこ、これは遊んでるわけじゃないから、グルグル走り回らないでね。
エレナも異変に気がついたのか、玄関の扉からこちらを覗き込んできる。
「ルーカス、お前が俺に負けたらエレナは俺がもらう!」
「兄貴? そんな、そんなのってないですよ!」
「どうした、勝てばいいだけだろ?」
「俺が勝てるわけないじゃないですか!」
いいぞ、エレナが顔を真っ赤にしてこちらを見ている。シチュエーションとしては最高だ。
「お前の気持ちはそんなもんかあぁあああああああああ! だったらエレナをもらっちまうぞぉおおおお!」
「ぐっ、でもエレナは兄貴みたいな人に貰われた方が幸せなのかもしれないです」
おいおい、引き下がるなよ! エレナも焦ってるぞ。
「ぐへへ、毎晩あの乳を好きにできる思えば、今から考えただけで、ぐへへへ、子供は何人産ませようかなぁ」
ルーカスが顔を真っ青にしている。効いてる、効いてるぞ! そしてエレナからの真顔のゴミを見るような視線も俺の心に響いいているぞ!
「兄貴にエレナは渡せない!」
「ガハハ! かかってこい!」
意外にルーカスのパンチは効くなぁ、だが俺も負けるつもりはない!
行くぞ我が至高の筋肉達、ビースト、キング、アレク、サンダー全力解放!
「どうした! どうした! お前のエレナに対しての気持ちはこんなもんか!」
「俺はエレナを愛しているんだああああああ!」
いつだって正義が勝つとは限らない。人生の厳しさを教えてやろう!
俺のパンチを受けていた両腕が痛みからかもう上がらず、垂れ下がってしまっている。問答無用で、顔面にストレートを叩き込むこと、ルーカスは倒れ込んでしまった。
「ルーカス!」
飛び出してきたエレナがルーカスを抱き起こす。
美しい光景だ。
「ルーカス、大丈夫? こんなになるまで……」
「俺、負けちゃったよ。幸せになれよ、エレナ」
「ごめんなさい、あそこまで私のことを愛してくれていたなんて」
「俺こそごめん、エレナに迷惑ばかりかけて」
おいおい、二人だけの世界にはいちゃったよ? 魔王はまだここでピンピンしてるぞ?
「ルーカスまだ立てるだろ? かかって来い」
「まだ、まだやれる!」
「ルーカスもういいの! 兄弟子ももうやめて! 私が嫁になれば気が済むんですよね」
悪役を演じてはいるけどさ、元々はエレナが嫁になるって言い出したんだよ? 扱い酷すぎない?
「うおおおおおおおお」
ルーカスの渾身のパンチが俺の胸板に響く。心にこそ響くが体はノーダメージだ。
「ぐああああああああああ」
「兄貴?」
大袈裟に吹き飛んで、転げ回る。
「ルーカス、お前の勝ちだよ。エレナと幸せになりな」
「兄貴! ありがとうございます」
「ルーカス!」
二人は熱いキスを交わしている。羨ましい。
もう成人だし結婚すること決まってるんだったら多めに見てくれますよね?
「四〇点くらいかね」
「演技力はともかく、演出を含めての点数ですか?」
「こんな演出じゃあ、客も取れやしないよ」
「別に客を取ること目指してませんから」
我ながら完璧な演出だった。
エレナには演出であった話をしたが暫くは会うたびに胸を隠されるという仕打ちを受けた。たまにしか見てないよ?
またルーカスは今回の一件でエレナに尻に敷かれることになるのは別の話である。
結婚憧れるなぁ。俺も来年で二十一になるんだけど、先は長そうだ。
俺の生活は大きく変化はない。たまに村に行くことはあっても基本的に新しく建てた魔道具の研究をする倉庫に篭ってることが多い。
当然、狩りにも適度に出てはいるが、今ではあんこを抜きにすれば狩りだけ腕前ならルーカスの方が上になっている。まぁ単純な強さという点については今でも負ける気はしないけど。
遂にルーカスが成人をすることになり、念願のエレナとの結婚という話になり、ババアの母家とは別に新婚夫婦用に家を建築してもらい、さぁもう少ししたら本格的な進行生活だぞ! っという対明で問題が起こっている。
「もう嫌なの! 私、兄弟子と結婚する!」
「何を馬鹿なこと言ってるんだエレナ! 俺のどこが嫌なんだよ!」
「靴下は裏返すし、トイレは立ったままするし、食事の用意だってサボってばっかり! お風呂だって汚れを落としてから入っていってるのに入らないし!」
「わかったよ、ごめん直すから、俺、変わるかさ」
「その話、何度目だと思ってるの!」
マリッジブルーってやつだろうか? これの使い方が正しいかもわからないけどさ。どうするのこれ。
数日後には村で結婚するカップルは祭りと一緒に集められて、村全員から祝福されるみたいなイベントがある。
俺が来てからの数年は新しい薬草関連の事業も始まったりでバタバタしており、今回は八組と最多の大きな祭りになるとは聞いている。俺も美味いものが食えるとワクワクしていたのだが、肝心の参加予定である弟子と妹弟子がこれである。
「師匠、これどうするんですか?」
「私に聞くんじゃないよ。それよりも、あんたも巻き込まれてるけど、どう収拾をつけるつもりだい」
「兄弟子は今話したことも守ってるし、料理も上手だし、優しいし、薬学も魔道具作成だって腕がいいし」
おいおい、エレナよ、お前そんなに俺に惚れていたのか? そこまで熱烈に言われたらやぶさかではないぞ。
「顔は好みじゃないけど! 妥協するのではあれば最高の相手なんだから!」
「兄貴に失礼だろうが!」
ルーカス! お前の言ってること、そこだけは正しいぞ!
おい、ババア、爆笑するな!
エレナが自室に鍵を閉めて最終的に篭ってしまった。どうしたものか。
「おい、ルーカス表に出ろ」
「兄貴?」
上半身裸になり、ルーカスにも同じように服を脱ぐように指示する。
ババアもお茶を飲みながら熊を椅子にして見物をしている。あんこ、これは遊んでるわけじゃないから、グルグル走り回らないでね。
エレナも異変に気がついたのか、玄関の扉からこちらを覗き込んできる。
「ルーカス、お前が俺に負けたらエレナは俺がもらう!」
「兄貴? そんな、そんなのってないですよ!」
「どうした、勝てばいいだけだろ?」
「俺が勝てるわけないじゃないですか!」
いいぞ、エレナが顔を真っ赤にしてこちらを見ている。シチュエーションとしては最高だ。
「お前の気持ちはそんなもんかあぁあああああああああ! だったらエレナをもらっちまうぞぉおおおお!」
「ぐっ、でもエレナは兄貴みたいな人に貰われた方が幸せなのかもしれないです」
おいおい、引き下がるなよ! エレナも焦ってるぞ。
「ぐへへ、毎晩あの乳を好きにできる思えば、今から考えただけで、ぐへへへ、子供は何人産ませようかなぁ」
ルーカスが顔を真っ青にしている。効いてる、効いてるぞ! そしてエレナからの真顔のゴミを見るような視線も俺の心に響いいているぞ!
「兄貴にエレナは渡せない!」
「ガハハ! かかってこい!」
意外にルーカスのパンチは効くなぁ、だが俺も負けるつもりはない!
行くぞ我が至高の筋肉達、ビースト、キング、アレク、サンダー全力解放!
「どうした! どうした! お前のエレナに対しての気持ちはこんなもんか!」
「俺はエレナを愛しているんだああああああ!」
いつだって正義が勝つとは限らない。人生の厳しさを教えてやろう!
俺のパンチを受けていた両腕が痛みからかもう上がらず、垂れ下がってしまっている。問答無用で、顔面にストレートを叩き込むこと、ルーカスは倒れ込んでしまった。
「ルーカス!」
飛び出してきたエレナがルーカスを抱き起こす。
美しい光景だ。
「ルーカス、大丈夫? こんなになるまで……」
「俺、負けちゃったよ。幸せになれよ、エレナ」
「ごめんなさい、あそこまで私のことを愛してくれていたなんて」
「俺こそごめん、エレナに迷惑ばかりかけて」
おいおい、二人だけの世界にはいちゃったよ? 魔王はまだここでピンピンしてるぞ?
「ルーカスまだ立てるだろ? かかって来い」
「まだ、まだやれる!」
「ルーカスもういいの! 兄弟子ももうやめて! 私が嫁になれば気が済むんですよね」
悪役を演じてはいるけどさ、元々はエレナが嫁になるって言い出したんだよ? 扱い酷すぎない?
「うおおおおおおおお」
ルーカスの渾身のパンチが俺の胸板に響く。心にこそ響くが体はノーダメージだ。
「ぐああああああああああ」
「兄貴?」
大袈裟に吹き飛んで、転げ回る。
「ルーカス、お前の勝ちだよ。エレナと幸せになりな」
「兄貴! ありがとうございます」
「ルーカス!」
二人は熱いキスを交わしている。羨ましい。
もう成人だし結婚すること決まってるんだったら多めに見てくれますよね?
「四〇点くらいかね」
「演技力はともかく、演出を含めての点数ですか?」
「こんな演出じゃあ、客も取れやしないよ」
「別に客を取ること目指してませんから」
我ながら完璧な演出だった。
エレナには演出であった話をしたが暫くは会うたびに胸を隠されるという仕打ちを受けた。たまにしか見てないよ?
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