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38 黄金色の美味さ
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「麦畑が金色です!」
「わん」
見事、黄金色に実った畑の中を、モモと大福が駆け回る。
稲とは少し違う風景ではあるが、これはこれで見事で美しい。
「それじゃあ、収穫していくぞー」
モモも収穫を手伝いたいとのことで、鎌をもう一本追加し、ふたりで刈り進めていく……が、思った以上に腰が痛い。普段使わない筋肉がきしむ。
自動で刈り取ってくれる機械とかないのかよ——百万円であった。
……いつかは買いたいな。
「にゃーん」
「やっぱり、数ヶ月程度の畑仕事じゃ、体はついていかないっすね」
俺に比べてモモはどんどん麦を刈り進めていく。
さくらさんに出された課題をこなし、さらに早朝のランニングや自主トレを大福と一緒に行っているだけあって、体のキレが違う。
娘に頼りっぱなしの父親というのは、さすがに情けない。
適材適所とはいえ、モモだけに任せるわけにはいかない。
「モモ、もう半分終わっただろ? 残りは俺の取り分だからね」
「え、でも……」
「にゃーん」
「はい、わかりました。ではお父さん、頑張ってください!」
モモの応援があれば百人力! ……とはいかないが、気力だけは湧いてくる。
これが終わったら、パンを焼くための窯も買ってあるし、焼き立てをみんなで食べようと思っているのだ。
「ひー、疲れた……」
「お父さん、お疲れ様です。取れた麦は、これに入れていけばいいんですか?」
「そうだね、えっと、小麦に設定してっと、どんどん入れていこう」
足のついた箱には「小麦」「大麦」と書かれたボタンがあり、小麦を選択して一杯になるまで麦を入れる。そして蓋を閉じると——見事な小麦粉になっていた。
箱の下には蛇口のような取り出し口がついており、そこに袋をセットして蛇口をひねると、さらさらと綺麗な小麦粉が流れ落ちてくる。
順番に袋詰めしていき、最終的に十袋完成した。
「一つ十キロ計算だから、百キロか。思ったよりも多いな」
「こんなに綺麗な小麦を見るのは、初めてです!」
市販のパンでも十分美味しいと言ってくれたが、焼き立てなら、もっと美味しいに違いない。
モモもきっと喜んでくれるはずだ。
しかも今回は、ただの食パンを焼くんじゃない。
もう作る物は決めてある。
購入したパン窯は、家のスペースを圧迫することもなく、まるで増築されたかのように窯用のエリアが出現していた。
そしてこの窯、燻製器のように材料さえ入れれば、自動でパンを焼いてくれるという超優秀アイテム。
さすが十万円。
パンの生地をこねるとか、焼き加減を調整するとか、そういうのはまだ難易度が高いから本当に助かる。
小麦粉を五百グラム投入すると、窯の前に表示されたパネルに「食パン」の選択肢が現れる。選択すると——完成予定時間は三十分後。
「お父さん、最初は何を作るんですか?」
「まずは食パンかな。いろいろ塗って、食べてみよう」
パンが焼きあがるまでの間に、マーガリンと苺ジャムを購入。
あと、サンドウィッチ用に燻製肉を簡単に焼いて、トマト、キャベツ、きゅうりなども準備しておく。
——チーンという、トースターのような完成音が鳴り、部屋中がパンの焼ける香ばしい香りで満たされた。
「いい匂いです!」
「ちょっと待ってな、熱いかもしれないから俺が出すよ」
オーブン用の手袋をはめて取り出すと、見事な食パンが二斤。パン屋のそれと見紛うほどの完成度だった。
台所で適度な厚さにスライスし、居間のテーブルにずらりと並べる。
今日はビュッフェスタイルだ。
「にゃーん」
姉さんの号令で、全員パンを手に取る。まずは何も塗らずに、そのままの味を確認。
「これは美味いな!」
「お父さんが買ってくれるパンも美味しいですが、これはそれ以上に柔らかくて……本当に美味しいです!」
「わん」
「大福様はパンだけじゃ物足りないそうです」
なんだかんだで、お前はやっぱり肉派だな。
大福用にマーガリンを塗ったパンに、溢れるほどの肉と野菜を挟んで出すと、器用に前脚で支えながら、豪快にかぶりついた。
「にゃーん」
「姉さんはやっぱり米派ですか。今度はちゃんと用意しますね」
「にゃーん」
「手間なんかじゃないですよ」
最近では、大福も姉さんも、市販の動物用ごはんより俺の料理を好んで頼んでくれる。
ペットフードより美味しいと言ってもらえるのは、ちょっと嬉しい。
まぁ、本来なら食べさせてはいけない物も多いんだけど、厳密には“動物”っていう枠じゃないしな。
モモはどうやらジャムが気に入ったようで、一瓶使い切る勢いでパンに塗っていた。
つけすぎだと注意すると、しょんぼりした顔をして、それがまた可愛い。
甘い物って、基本的にこの世界じゃ少ないからなぁ。
実はチョコとかケーキも買えなくはないけど、値段の問題と、刺激が強すぎる気がしてまだ出したことはない。
チョコクリームなんて出した日にゃ、そのままスプーンで食べられてしまいそうだ。
女の子ってのは、どこの世界でも甘い物が好きなんだなぁ。
「にゃーん」
「ですねぇ、うんども食べたい。スープはちょっとこだわって、出汁から作って……ネギに少し肉を入れて……製麺機も欲しくなってきましたね」
「わん」
見事、黄金色に実った畑の中を、モモと大福が駆け回る。
稲とは少し違う風景ではあるが、これはこれで見事で美しい。
「それじゃあ、収穫していくぞー」
モモも収穫を手伝いたいとのことで、鎌をもう一本追加し、ふたりで刈り進めていく……が、思った以上に腰が痛い。普段使わない筋肉がきしむ。
自動で刈り取ってくれる機械とかないのかよ——百万円であった。
……いつかは買いたいな。
「にゃーん」
「やっぱり、数ヶ月程度の畑仕事じゃ、体はついていかないっすね」
俺に比べてモモはどんどん麦を刈り進めていく。
さくらさんに出された課題をこなし、さらに早朝のランニングや自主トレを大福と一緒に行っているだけあって、体のキレが違う。
娘に頼りっぱなしの父親というのは、さすがに情けない。
適材適所とはいえ、モモだけに任せるわけにはいかない。
「モモ、もう半分終わっただろ? 残りは俺の取り分だからね」
「え、でも……」
「にゃーん」
「はい、わかりました。ではお父さん、頑張ってください!」
モモの応援があれば百人力! ……とはいかないが、気力だけは湧いてくる。
これが終わったら、パンを焼くための窯も買ってあるし、焼き立てをみんなで食べようと思っているのだ。
「ひー、疲れた……」
「お父さん、お疲れ様です。取れた麦は、これに入れていけばいいんですか?」
「そうだね、えっと、小麦に設定してっと、どんどん入れていこう」
足のついた箱には「小麦」「大麦」と書かれたボタンがあり、小麦を選択して一杯になるまで麦を入れる。そして蓋を閉じると——見事な小麦粉になっていた。
箱の下には蛇口のような取り出し口がついており、そこに袋をセットして蛇口をひねると、さらさらと綺麗な小麦粉が流れ落ちてくる。
順番に袋詰めしていき、最終的に十袋完成した。
「一つ十キロ計算だから、百キロか。思ったよりも多いな」
「こんなに綺麗な小麦を見るのは、初めてです!」
市販のパンでも十分美味しいと言ってくれたが、焼き立てなら、もっと美味しいに違いない。
モモもきっと喜んでくれるはずだ。
しかも今回は、ただの食パンを焼くんじゃない。
もう作る物は決めてある。
購入したパン窯は、家のスペースを圧迫することもなく、まるで増築されたかのように窯用のエリアが出現していた。
そしてこの窯、燻製器のように材料さえ入れれば、自動でパンを焼いてくれるという超優秀アイテム。
さすが十万円。
パンの生地をこねるとか、焼き加減を調整するとか、そういうのはまだ難易度が高いから本当に助かる。
小麦粉を五百グラム投入すると、窯の前に表示されたパネルに「食パン」の選択肢が現れる。選択すると——完成予定時間は三十分後。
「お父さん、最初は何を作るんですか?」
「まずは食パンかな。いろいろ塗って、食べてみよう」
パンが焼きあがるまでの間に、マーガリンと苺ジャムを購入。
あと、サンドウィッチ用に燻製肉を簡単に焼いて、トマト、キャベツ、きゅうりなども準備しておく。
——チーンという、トースターのような完成音が鳴り、部屋中がパンの焼ける香ばしい香りで満たされた。
「いい匂いです!」
「ちょっと待ってな、熱いかもしれないから俺が出すよ」
オーブン用の手袋をはめて取り出すと、見事な食パンが二斤。パン屋のそれと見紛うほどの完成度だった。
台所で適度な厚さにスライスし、居間のテーブルにずらりと並べる。
今日はビュッフェスタイルだ。
「にゃーん」
姉さんの号令で、全員パンを手に取る。まずは何も塗らずに、そのままの味を確認。
「これは美味いな!」
「お父さんが買ってくれるパンも美味しいですが、これはそれ以上に柔らかくて……本当に美味しいです!」
「わん」
「大福様はパンだけじゃ物足りないそうです」
なんだかんだで、お前はやっぱり肉派だな。
大福用にマーガリンを塗ったパンに、溢れるほどの肉と野菜を挟んで出すと、器用に前脚で支えながら、豪快にかぶりついた。
「にゃーん」
「姉さんはやっぱり米派ですか。今度はちゃんと用意しますね」
「にゃーん」
「手間なんかじゃないですよ」
最近では、大福も姉さんも、市販の動物用ごはんより俺の料理を好んで頼んでくれる。
ペットフードより美味しいと言ってもらえるのは、ちょっと嬉しい。
まぁ、本来なら食べさせてはいけない物も多いんだけど、厳密には“動物”っていう枠じゃないしな。
モモはどうやらジャムが気に入ったようで、一瓶使い切る勢いでパンに塗っていた。
つけすぎだと注意すると、しょんぼりした顔をして、それがまた可愛い。
甘い物って、基本的にこの世界じゃ少ないからなぁ。
実はチョコとかケーキも買えなくはないけど、値段の問題と、刺激が強すぎる気がしてまだ出したことはない。
チョコクリームなんて出した日にゃ、そのままスプーンで食べられてしまいそうだ。
女の子ってのは、どこの世界でも甘い物が好きなんだなぁ。
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