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第五章 アンデッド VS 筋肉
第52話 復讐のデスナイト
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魔王レメゲトンを封じたのは、フェターレ・ダメリーニ王子の先祖らしい。
しかも、眼の前にいるデスナイトは、ダメリーニと因縁があるという。
「私は元々、レメゲトンの配下だった。しかし勇者との戦いに敗れ、戦場を亡霊となってさまよっていた」
勇者は強く、一撃で仕留められたらしい。
「そこに、ネクロマンサーの召喚に応じたのである」
それ以降、ゼム将軍の側近として活動していたという。
彼のような死霊が味方についていれば、なるほどネロックのような大国さえ、ひとたまりもない。
「しかし、まさか魔王が勇者と手を組んでいるとは。自身の再生を条件に、勇者の甘言に乗ったか」
ドクロの騎士が、ため息をつく。
「ボクが勇者の末裔だと、わかるのか?」
「ダメリーニは、香るのだ。膨大な魔力、鋭い叡智、人を引き付けて離さぬ魅力。すべてが妬ましい!」
どうやらこの男、生前は勇者に嫉妬していたようだ。
「神は力のある私より、ダメリーニなんぞを選んだ。私こそ、勇者にふさわしい実力を持っていたはずなのに」
「それで、裏切ったのですね?」
「左様!」
勇者に選ばれなかったコイツは、レメゲトンの配下になったのである。
「レーやん、ご存知ですか?」
『ちっとも』
レメゲトン本人でさえ、印象に残っていないらしい。
「ここで貴様を倒し、後ろにいるダメリーニの命を奪うとしよう。そして、私こそ最強なのだと神に証明してくれる。神は選択肢を、誤ったのだ」
デスナイトの振るう大剣を、わたしはロッドで受け流す。
ドラゴンさえ追い詰める剣撃をさばかれて、デスナイトは困惑していた。
「くっ。なんという。私をここまで追い詰めたのは、レメゲトンか勇者以来よ」
「レメゲトンに負けて、配下になったと?」
「左様。あの力が手に入るなら、私は悪魔にさえ魂を売るのだ。そして、闇に堕ちた貴様も、私と同じ運命をたどる」
おそらく彼は、わたしも近いうちに、デスナイトになってしまうと予言しているのだろう。
バカバカしい。
「そうですか」
わたしは、ロッドをしまった。
「なんと。降伏するのか?」
「あなたなど、素手で十分です。魔王の力も、必要ありません」
わたしは、指の関節を鳴らす。
「ほう。素手でこの私と立ち会うか。無謀か、それとも傲慢か」
「傲慢なのは、お主の方でござろう?」
後ろに下がりながら、女サムライはデスナイトに言い放つ。
「先程、お主の剣は、後ろから蹴り飛ばされたのでござる」
「な!?」
気づいた頃には、もう遅い。
わたしのヒザは、デスナイトのアゴを的確にとらえた。
デスナイトも応戦しようと、剣を逆袈裟に振り上げようとする。
だが、わたしのヒザがドクロのアゴを粉砕するほうが早かった。
「神のご判断は、正しかったようです。あなたのような嫉妬深い人間は、勇者にふさわしくない」
「私は、二度、死ぬのか……」
ガイコツの顔面が、崩れ落ちる。
「お見事なり、フォトン殿」
「あなた方も、ご無事で」
どうも、スッキリしない。
「講釈をたれている余裕があるなら、かかってくればよろしいものを」
『殺してしもうたか。我の過去を詮索する機会を逃したぞよ?』
「こんな相手が、口を割るとは考えにくいです。それに、わたしは過去に興味はありません」
わたしは、自分の手をじっと見つめた。
「レメゲトン、わたしもデスナイトのような、ただの死霊と成り果てるのでしょうか?」
『冗談ではない。お主は人間ぞ。そもそもデスナイトは、【ネクロノミコン】のしもべ。主を鞍替えするようなものに、ふさわしい末路よ』
「そうですね。今は、ゼム将軍のことだけを考えましょう」
『山のてっぺんが、見えてきたぞ』
ようやく、将軍のもとまでたどり着いたようだ。
半裸の男性が、陣形を組んだ兵隊に囲まれている。兵隊は、青い鎧に身を包んでいた。
「あの甲冑はネロックの。フォトン。半裸の男性は、ネロック兵と一人で戦うつもりだ」
カチュアが、戦況を報告してきた。
「なんですか、あの上半身裸の男は? 寒くないのでしょうか」
あれが、ゼム将軍か?
しかも、眼の前にいるデスナイトは、ダメリーニと因縁があるという。
「私は元々、レメゲトンの配下だった。しかし勇者との戦いに敗れ、戦場を亡霊となってさまよっていた」
勇者は強く、一撃で仕留められたらしい。
「そこに、ネクロマンサーの召喚に応じたのである」
それ以降、ゼム将軍の側近として活動していたという。
彼のような死霊が味方についていれば、なるほどネロックのような大国さえ、ひとたまりもない。
「しかし、まさか魔王が勇者と手を組んでいるとは。自身の再生を条件に、勇者の甘言に乗ったか」
ドクロの騎士が、ため息をつく。
「ボクが勇者の末裔だと、わかるのか?」
「ダメリーニは、香るのだ。膨大な魔力、鋭い叡智、人を引き付けて離さぬ魅力。すべてが妬ましい!」
どうやらこの男、生前は勇者に嫉妬していたようだ。
「神は力のある私より、ダメリーニなんぞを選んだ。私こそ、勇者にふさわしい実力を持っていたはずなのに」
「それで、裏切ったのですね?」
「左様!」
勇者に選ばれなかったコイツは、レメゲトンの配下になったのである。
「レーやん、ご存知ですか?」
『ちっとも』
レメゲトン本人でさえ、印象に残っていないらしい。
「ここで貴様を倒し、後ろにいるダメリーニの命を奪うとしよう。そして、私こそ最強なのだと神に証明してくれる。神は選択肢を、誤ったのだ」
デスナイトの振るう大剣を、わたしはロッドで受け流す。
ドラゴンさえ追い詰める剣撃をさばかれて、デスナイトは困惑していた。
「くっ。なんという。私をここまで追い詰めたのは、レメゲトンか勇者以来よ」
「レメゲトンに負けて、配下になったと?」
「左様。あの力が手に入るなら、私は悪魔にさえ魂を売るのだ。そして、闇に堕ちた貴様も、私と同じ運命をたどる」
おそらく彼は、わたしも近いうちに、デスナイトになってしまうと予言しているのだろう。
バカバカしい。
「そうですか」
わたしは、ロッドをしまった。
「なんと。降伏するのか?」
「あなたなど、素手で十分です。魔王の力も、必要ありません」
わたしは、指の関節を鳴らす。
「ほう。素手でこの私と立ち会うか。無謀か、それとも傲慢か」
「傲慢なのは、お主の方でござろう?」
後ろに下がりながら、女サムライはデスナイトに言い放つ。
「先程、お主の剣は、後ろから蹴り飛ばされたのでござる」
「な!?」
気づいた頃には、もう遅い。
わたしのヒザは、デスナイトのアゴを的確にとらえた。
デスナイトも応戦しようと、剣を逆袈裟に振り上げようとする。
だが、わたしのヒザがドクロのアゴを粉砕するほうが早かった。
「神のご判断は、正しかったようです。あなたのような嫉妬深い人間は、勇者にふさわしくない」
「私は、二度、死ぬのか……」
ガイコツの顔面が、崩れ落ちる。
「お見事なり、フォトン殿」
「あなた方も、ご無事で」
どうも、スッキリしない。
「講釈をたれている余裕があるなら、かかってくればよろしいものを」
『殺してしもうたか。我の過去を詮索する機会を逃したぞよ?』
「こんな相手が、口を割るとは考えにくいです。それに、わたしは過去に興味はありません」
わたしは、自分の手をじっと見つめた。
「レメゲトン、わたしもデスナイトのような、ただの死霊と成り果てるのでしょうか?」
『冗談ではない。お主は人間ぞ。そもそもデスナイトは、【ネクロノミコン】のしもべ。主を鞍替えするようなものに、ふさわしい末路よ』
「そうですね。今は、ゼム将軍のことだけを考えましょう」
『山のてっぺんが、見えてきたぞ』
ようやく、将軍のもとまでたどり着いたようだ。
半裸の男性が、陣形を組んだ兵隊に囲まれている。兵隊は、青い鎧に身を包んでいた。
「あの甲冑はネロックの。フォトン。半裸の男性は、ネロック兵と一人で戦うつもりだ」
カチュアが、戦況を報告してきた。
「なんですか、あの上半身裸の男は? 寒くないのでしょうか」
あれが、ゼム将軍か?
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