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第五章 アンデッド VS 筋肉
第51話 デスナイト撃退
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「デスナイトを、一撃で」
「マジかよ。腕利きの一個師団が束になってやっと倒せるくらいなんだぜ? それをたった一人で破壊するなんてよぉ」
フェターレ王子の精鋭二人が、舌を巻く。
「では、デスナイトはわたしがすべて引き受けます。みなさんは、ゾンビやスケルトン兵をお願いできますか?」
「やむをえまい。各員、戦闘配置!」
フェターレが、部下たちに指示を出した。
さすがに、これだけのデスナイトが相手では、フェターレ王子お墨付きの兵士と言えど撃退は難しいか。
『フォトンよ。最短で倒すなら、我も手を貸す』
「いいえ、レメゲトン。あなたの力は、ゼム将軍討伐のために取っておきたいと」
以前に力を行使したときも、数分でもとに戻ってしまった。
それを見ているから、フェターレ王子もわたしを脅威に感じていないのだろう。
ゼム将軍が時間稼ぎのためにデスナイトを操っているなら、なおさら引き付けておいたほうがマシだ。あとは、ロプロイ側で対処できるだろう。
聖なるヤリが狙いならば、カチュアが持っていれば大丈夫のはず。彼女なら、奪われるような失態をするはずがない。
さすがのデスナイトも、カチュアを避けている。あのヤリに触れればアンデッドがタダでは済まないとわかっているのだ。
トカゲ男爵を味方につけたのは、その理由からだろう。彼なら、アンデッドのデメリットがない。
「ウォーミングアップには、ちょうどいい相手です。やってやりましょう」
わたしの言葉が聞こえたのか、一体のデスナイトが激昂した様子で襲いかかってきた。わたしに向けて、棍棒を振り下ろそうとする。
「【ライトニング・エッジ】!」
ロッドの先端に、電撃のヤリ先を呼び出す。
背後に向けて、わたしはロッドを突き刺した。
すぐ後ろにいたデスナイトが、横へと倒れる。コイツは、わたしを後ろからヤリで貫こうとしていたのだ。
棍棒で殴ろうとしていた兵士の動きが、一瞬止まる。
「そんな手に引っかかると、思っていたのですか?」
正面から来た死霊の騎士には、火球を取り付けたロッドをアゴに見舞った。
ビリヤードの球のように、棍棒使いの頭が吹っ飛ぶ。
「小細工などせず、堂々とかかってらっしゃい。伝説の戦士なのでしょう?」
やはり仮初めの魂では、いくら肉体が強くても本物には到底及ばない。
後退したデスナイトを、大剣使いが一撃で仕留めた。
「やはり、弱者では相手にならんな」
この騎士は、さっきアキコの変身を解いた個体である。腕に覚えがあるようだ。
「あなただけは、自分の意思でゼム将軍に仕えているようですね?」
「左様。現世にて強者と戦うこと、それこそ至高なり。戦のみでしか己を表現できぬもの同士、根こそぎ競い合うべし」
騎士が、鞘に収まった大剣に手をかけた。
「へっ! 何世紀前の話だってんだ? 早抜き勝負と行こうぜ」
ハーフドワーフの男が、銃を放つ。
死霊の持つ大剣が一瞬、消えた。
「があああああ!?」
跳弾により、ドワーフの肩が撃ち抜かれる。
「アブラーモ!?」
女サムライが、ドワーフ銃士のもとに。
あの一瞬で、すかさず大剣を抜いたか。自分の身の丈ほどの剣を、一瞬で。
「お主たちのような矮小な存在が、『剣と銃、どちらが強いか』などという、蝸牛角上の争いを展開する。見苦しい」
「貴様!」
女エルフが、抜刀した。光と共に、居合が繰り出される。
「なに……」
エルフの刀も、大剣の前に弾き飛ばされた。
死霊は、エルフに大型剣の切っ先を向ける。
「なんとくだらぬ。武器は関係あらず。己の肉体こそが全てなり」
「同感です」
大剣の切っ先を、わたしは蹴り飛ばす。
「ふむ。すばらしいな。ドラゴンさえ退ける我が剣を、蹴り上げるとは。こんなに熱中したのは、勇者ダメリーニの軍勢を相手にしたとき以来である」
この騎士は、勇者のことを知っているらしい。
それにしても、勇者ダメリーニとは。
『ほう。我が世界を統治していた時代の戦士とは』
「勇者ダメリーニと、言っていました」
『うむ。ダメリーニこそ、我を魔導書へ封じた勇者なり』
「マジかよ。腕利きの一個師団が束になってやっと倒せるくらいなんだぜ? それをたった一人で破壊するなんてよぉ」
フェターレ王子の精鋭二人が、舌を巻く。
「では、デスナイトはわたしがすべて引き受けます。みなさんは、ゾンビやスケルトン兵をお願いできますか?」
「やむをえまい。各員、戦闘配置!」
フェターレが、部下たちに指示を出した。
さすがに、これだけのデスナイトが相手では、フェターレ王子お墨付きの兵士と言えど撃退は難しいか。
『フォトンよ。最短で倒すなら、我も手を貸す』
「いいえ、レメゲトン。あなたの力は、ゼム将軍討伐のために取っておきたいと」
以前に力を行使したときも、数分でもとに戻ってしまった。
それを見ているから、フェターレ王子もわたしを脅威に感じていないのだろう。
ゼム将軍が時間稼ぎのためにデスナイトを操っているなら、なおさら引き付けておいたほうがマシだ。あとは、ロプロイ側で対処できるだろう。
聖なるヤリが狙いならば、カチュアが持っていれば大丈夫のはず。彼女なら、奪われるような失態をするはずがない。
さすがのデスナイトも、カチュアを避けている。あのヤリに触れればアンデッドがタダでは済まないとわかっているのだ。
トカゲ男爵を味方につけたのは、その理由からだろう。彼なら、アンデッドのデメリットがない。
「ウォーミングアップには、ちょうどいい相手です。やってやりましょう」
わたしの言葉が聞こえたのか、一体のデスナイトが激昂した様子で襲いかかってきた。わたしに向けて、棍棒を振り下ろそうとする。
「【ライトニング・エッジ】!」
ロッドの先端に、電撃のヤリ先を呼び出す。
背後に向けて、わたしはロッドを突き刺した。
すぐ後ろにいたデスナイトが、横へと倒れる。コイツは、わたしを後ろからヤリで貫こうとしていたのだ。
棍棒で殴ろうとしていた兵士の動きが、一瞬止まる。
「そんな手に引っかかると、思っていたのですか?」
正面から来た死霊の騎士には、火球を取り付けたロッドをアゴに見舞った。
ビリヤードの球のように、棍棒使いの頭が吹っ飛ぶ。
「小細工などせず、堂々とかかってらっしゃい。伝説の戦士なのでしょう?」
やはり仮初めの魂では、いくら肉体が強くても本物には到底及ばない。
後退したデスナイトを、大剣使いが一撃で仕留めた。
「やはり、弱者では相手にならんな」
この騎士は、さっきアキコの変身を解いた個体である。腕に覚えがあるようだ。
「あなただけは、自分の意思でゼム将軍に仕えているようですね?」
「左様。現世にて強者と戦うこと、それこそ至高なり。戦のみでしか己を表現できぬもの同士、根こそぎ競い合うべし」
騎士が、鞘に収まった大剣に手をかけた。
「へっ! 何世紀前の話だってんだ? 早抜き勝負と行こうぜ」
ハーフドワーフの男が、銃を放つ。
死霊の持つ大剣が一瞬、消えた。
「があああああ!?」
跳弾により、ドワーフの肩が撃ち抜かれる。
「アブラーモ!?」
女サムライが、ドワーフ銃士のもとに。
あの一瞬で、すかさず大剣を抜いたか。自分の身の丈ほどの剣を、一瞬で。
「お主たちのような矮小な存在が、『剣と銃、どちらが強いか』などという、蝸牛角上の争いを展開する。見苦しい」
「貴様!」
女エルフが、抜刀した。光と共に、居合が繰り出される。
「なに……」
エルフの刀も、大剣の前に弾き飛ばされた。
死霊は、エルフに大型剣の切っ先を向ける。
「なんとくだらぬ。武器は関係あらず。己の肉体こそが全てなり」
「同感です」
大剣の切っ先を、わたしは蹴り飛ばす。
「ふむ。すばらしいな。ドラゴンさえ退ける我が剣を、蹴り上げるとは。こんなに熱中したのは、勇者ダメリーニの軍勢を相手にしたとき以来である」
この騎士は、勇者のことを知っているらしい。
それにしても、勇者ダメリーニとは。
『ほう。我が世界を統治していた時代の戦士とは』
「勇者ダメリーニと、言っていました」
『うむ。ダメリーニこそ、我を魔導書へ封じた勇者なり』
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