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最終章 怨念 VS 筋肉
第60話 さらば、レメゲトン?
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アドリアナの身体が、干からびていく。
「魔力が、抜けていく! おのれフォルテ! 貴様、なにをした!? ロプロイの杖など、持っていなかったはず!」
「わたしがロッドを所持していないのに、気づくべきでしたね」
「はっ……!?」
どうしてわたしは、カチュアを連れて行かなかったのか。
連れていけば、聖なるヤリを警戒されるからだ。
「おそらくあなたなら、ロプロイの軍勢などたやすく壊滅させられたはず。しかし、それをしなかった。あなたにとっても、ロプロイのヤリは恐ろしかったのでしょう」
「あの短時間で、そこまで把握して……なんてやつ」
カチュアには、王子の護衛ふたりにヤリを預けてもらっていた。
わたしだけに意識を向けさせ、あとは王子にとどめを刺してもらう。
「なぜだ!? なぜ、最強の魔導書であるアタシが、お前のような三流魔導書に負ける!?」
「最強だと思っていたのは、あなただけです。あなたと戦う前に、わたしは誰と戦っていたと思うのです?」
「きっ」
アドリアナが、舌打ちをした。
そう。ゼム将軍だ。体術においては、ゼム将軍の方が優れている。ネロックは、他国と争っていた。そのため将軍は常に戦闘があり、実戦を繰り返していただろう。
ゼム将軍だけじゃない。他の魔導書とも、わたしは絶えず戦闘を重ねてきた。
「おおかたあなたは、お遊戯レベルの体術で褒められていた。お世辞で強くなった気でいる相手が、いつまでも最強なわけがないでしょう」
「おのれおのれおのれ! だが、アタシはただでは死なねえ! てめえを道連れにして、今度こそお前を絶望の淵に叩き落とす! 死ね!」
最期の力を振り絞って、アドリアナがわたしに魔術を放つ。
『いかん! 毒の魔法じゃ! お主に宿っていた病魔など、比較にならぬ。今度は、防げぬぞ!』
ならば、受け止めるまで。
「危ない、フォルテ殿!」
フェターレ王子が、わたしをかばった。
「ぐ、ぐおおおおお!」
毒を受けた王子が、苦しみだす。
「大将!」
「フェターレ殿!」
配下二人が、王子に付き添う。
「来るな。毒が広がってしまう」
「アハハハ! ウケる!」
ミイラになってさえ、アドリアナはゲラゲラ笑った。
『こんな女の思いどおりになって、たまるかい。ふん!』
レメゲトンがわたしの身体を使って、フェターレ王子の寸勁を放つ。
誰しもが、呆気にとられていた。
「おい、あんた!」
「どういうつもりでござるか!?」
フェターレ王子の部下二人が、わたしを責め立てる。だが、その表情はすぐに驚きに変わった。
王子の顔が、もとに戻っていったからである。
寸勁で、アドリアナの放った病魔だけを殺したか。
「な、なぜ……なぜ誰も、絶望に飲み込まれない……」
今度こそ、アドリアナは死んだ。
精霊姿のレメゲトンも、わたしの手の上に落ちる。
「レーやん!?」
まずい。レメゲトンの魔力は、連戦でかなり消耗していたはずだ。
「自分の魔力を、犠牲にしたのですね?」
『これでええ』
「いいわけがないでしょう!」
『いや。お主は、人間であるべきじゃ。魔王の力を取り込んだままでは、お前は人として生きられぬ』
冗談じゃない。今まで助けてくれたレメゲトンと、こんな形で別れるなど。
それこそ、アドリアナの思うツボだ。
「あなたを死なせはしない!」
わたしは、再び魔王レメゲトンを体内に取り込む。
魔王と一体化していくのが、わかる。
わたしの髪は、完全に黒髪へ変色した。わたしは、魔王となったのだ。
『な、なぜじゃフォルテ!? 我が体内にいる限り、お主は王都ダメリーニに追われ続ける。それでは、一つの土地に定住できぬ! マッスリアーににも、帰れぬというのに! 我が死ねば、お主は人として生きられるのじゃぞ!?」
「それでは、あなたが幸せになれない!」
魔王レメゲトンを犠牲にした平和など、わたしは認めない。
だって彼女はもう、わたしの家族なのだ。
「魔力が、抜けていく! おのれフォルテ! 貴様、なにをした!? ロプロイの杖など、持っていなかったはず!」
「わたしがロッドを所持していないのに、気づくべきでしたね」
「はっ……!?」
どうしてわたしは、カチュアを連れて行かなかったのか。
連れていけば、聖なるヤリを警戒されるからだ。
「おそらくあなたなら、ロプロイの軍勢などたやすく壊滅させられたはず。しかし、それをしなかった。あなたにとっても、ロプロイのヤリは恐ろしかったのでしょう」
「あの短時間で、そこまで把握して……なんてやつ」
カチュアには、王子の護衛ふたりにヤリを預けてもらっていた。
わたしだけに意識を向けさせ、あとは王子にとどめを刺してもらう。
「なぜだ!? なぜ、最強の魔導書であるアタシが、お前のような三流魔導書に負ける!?」
「最強だと思っていたのは、あなただけです。あなたと戦う前に、わたしは誰と戦っていたと思うのです?」
「きっ」
アドリアナが、舌打ちをした。
そう。ゼム将軍だ。体術においては、ゼム将軍の方が優れている。ネロックは、他国と争っていた。そのため将軍は常に戦闘があり、実戦を繰り返していただろう。
ゼム将軍だけじゃない。他の魔導書とも、わたしは絶えず戦闘を重ねてきた。
「おおかたあなたは、お遊戯レベルの体術で褒められていた。お世辞で強くなった気でいる相手が、いつまでも最強なわけがないでしょう」
「おのれおのれおのれ! だが、アタシはただでは死なねえ! てめえを道連れにして、今度こそお前を絶望の淵に叩き落とす! 死ね!」
最期の力を振り絞って、アドリアナがわたしに魔術を放つ。
『いかん! 毒の魔法じゃ! お主に宿っていた病魔など、比較にならぬ。今度は、防げぬぞ!』
ならば、受け止めるまで。
「危ない、フォルテ殿!」
フェターレ王子が、わたしをかばった。
「ぐ、ぐおおおおお!」
毒を受けた王子が、苦しみだす。
「大将!」
「フェターレ殿!」
配下二人が、王子に付き添う。
「来るな。毒が広がってしまう」
「アハハハ! ウケる!」
ミイラになってさえ、アドリアナはゲラゲラ笑った。
『こんな女の思いどおりになって、たまるかい。ふん!』
レメゲトンがわたしの身体を使って、フェターレ王子の寸勁を放つ。
誰しもが、呆気にとられていた。
「おい、あんた!」
「どういうつもりでござるか!?」
フェターレ王子の部下二人が、わたしを責め立てる。だが、その表情はすぐに驚きに変わった。
王子の顔が、もとに戻っていったからである。
寸勁で、アドリアナの放った病魔だけを殺したか。
「な、なぜ……なぜ誰も、絶望に飲み込まれない……」
今度こそ、アドリアナは死んだ。
精霊姿のレメゲトンも、わたしの手の上に落ちる。
「レーやん!?」
まずい。レメゲトンの魔力は、連戦でかなり消耗していたはずだ。
「自分の魔力を、犠牲にしたのですね?」
『これでええ』
「いいわけがないでしょう!」
『いや。お主は、人間であるべきじゃ。魔王の力を取り込んだままでは、お前は人として生きられぬ』
冗談じゃない。今まで助けてくれたレメゲトンと、こんな形で別れるなど。
それこそ、アドリアナの思うツボだ。
「あなたを死なせはしない!」
わたしは、再び魔王レメゲトンを体内に取り込む。
魔王と一体化していくのが、わかる。
わたしの髪は、完全に黒髪へ変色した。わたしは、魔王となったのだ。
『な、なぜじゃフォルテ!? 我が体内にいる限り、お主は王都ダメリーニに追われ続ける。それでは、一つの土地に定住できぬ! マッスリアーににも、帰れぬというのに! 我が死ねば、お主は人として生きられるのじゃぞ!?」
「それでは、あなたが幸せになれない!」
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だって彼女はもう、わたしの家族なのだ。
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